小学校、中学校、高等学校等の学習指導要領の一部改正等について(通知)

15文科初第923号
平成15年12月26日

附属学校を置く各国立大学長 殿
各都道府県教育委員会 殿
各都道府県知事 殿
国立久里浜養護学校長 殿

文部科学事務次官
御手洗 康

 小学校学習指導要領、中学校学習指導要領、高等学校学習指導要領、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領並びに盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校高等部学習指導要領(平成10年文部省告示第175号及び第176号、平成11年文部省告示第58号、第61号及び第62号。以下「新学習指導要領」という。)については、平成10年12月14日付け文初小第350号及び平成11年3月29日付け文初高第457号で通知し、平成14年4月1日から順次実施されているところですが、このたび、本年10月の中央教育審議会答申「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」を踏まえ、新学習指導要領の更なる定着を進め、そのねらいの一層の実現を図るため、平成15年12月26日付けで、新学習指導要領の総則を中心にその一部を改正しました。つきましては、下記により、教育課程及び指導の充実・改善に取り組まれるようお願いします。
 なお、各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対し、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対し、このことを十分周知されるようお願いします。

1 学習指導要領の一部改正等の趣旨

 今回、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに、各学校の裁量により創意工夫を生かした特色ある取組を行うことによって、児童生徒に、知識や技能に加え、学ぶ意欲や、自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、問題を解決する資質や能力などの確かな学力を育成し、生きる力をはぐくむという新学習指導要領のねらいの一層の実現を図るため、学習指導要領を一部改正したこと。

2 学習指導要領の一部改正等の内容

 小学校学習指導要領、中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領を、下記により、別添1、別添2及び別添3のとおり一部を改正したこと。

(1) 学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実

ア 学習指導要領に示しているすべての児童生徒に指導する内容等を確実に指導した上で、児童生徒の実態を踏まえ、学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができることを明確にしたこと。(小学校学習指導要領第1章第2の2、中学校学習指導要領第1章第2の2及び高等学校学習指導要領第1章第6款の2関係)

イ 「内容の取扱い」のうち、内容の範囲や程度を明確にしたり、学習指導が網羅的・羅列的にならないようにするための事項は、すべての児童生徒に対して指導する内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において特に必要がある場合等には、これらの事項にかかわらず指導することができることを明確にしたこと。(小学校学習指導要領第1章第2の2及び第2章、中学校学習指導要領第1章第2の2及び第2章並びに高等学校学習指導要領第1章第6款の2、第2章及び第3章関係)

(2)総合的な学習の時間の一層の充実

ア 総合的な学習の時間のねらいとして、各教科、道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすることを加えて、規定したこと。(小学校学習指導要領第1章第3の2、中学校学習指導要領第1章第4の2及び高等学校学習指導要領第1章第4款の2関係)

イ 各学校において総合的な学習の時間の目標及び内容を定める必要があることを規定したこと。(小学校学習指導要領第1章第3の3、中学校学習指導要領第1章第4の3及び高等学校学習指導要領第1章第4款の3関係)

ウ 各学校において総合的な学習の時間の全体計画を作成する必要があることを規定したこと。(小学校学習指導要領第1章第3の4、中学校学習指導要領第1章第4の4及び高等学校学習指導要領第1章第4款の4関係)

エ 総合的な学習の時間の目標及び内容に基づき、児童生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行う必要があることを規定したこと。また、学校図書館の活用、他の学校との連携、各種社会教育施設や社会教育関係団体等との連携、地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫する必要があることを明確にしたこと。(小学校学習指導要領第1章第3の6、中学校学習指導要領第1章第4の6及び高等学校学習指導要領第1章第4款の6関係)

(3)個に応じた指導の一層の充実

ア 小学校における個に応じた指導の充実のための指導方法等の例示として、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導を加えたこと。(小学校学習指導要領第1章第5の2関係)

イ 中学校における個に応じた指導の充実のための指導方法等の例示として、生徒の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導を加えたこと。(中学校学習指導要領第1章第6の2関係)

(4)その他

ア 上記(1)及び(2)の一部改正に準じ、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領並びに盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校高等部学習指導要領を別添4及び別添5のとおり一部を改正したこと。

イ 新学習指導要領への移行措置に係る特例について、上記(2)ウにより新たに事項が加わったことを踏まえ、別添6及び別添7のとおり一部を改正したこと。(高等学校学習指導要領(平成元年文部省告示第26号)の特例(平成11年文部省告示第130号)並びに盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校高等部学習指導要領(平成元年文部省告示第159号)の特例(平成11年文部省告示第132号)関係)

ウ 学習指導要領の一部改正等は、公布の日から施行すること。ただし、改正後の高等学校学習指導要領等の規定は、平成15年4月1日以降高等学校等の第1学年に入学した生徒等に係る教育課程から適用すること。

3 学習指導要領の一部改正等に関連する事項

(1)教育課程を適切に実施するために必要な指導時間の確保

ア 各学校においては、学年や学期、月ごと等に授業時数の実績の管理や学習の状況の把握を行うなど、教育課程の実施状況等について自ら点検及び評価を行い、教育課程を適切に実施するために必要な指導時間を確保するよう努める必要があること。また、年間の行事予定や各教科の年間指導計画等について、保護者や地域住民等に対して積極的に情報提供を進める必要があること。

イ 指導内容の確実な定着を図るため必要がある場合には、指導方法・指導体制の工夫改善を図りながら、学校教育法施行規則に定める各教科等の年間授業時数の標準を上回る適切な指導時間を確保するよう配慮すること。

(2)入学者選抜における取扱い

 入学者選抜における学力検査については、中学校においては小学校学習指導要領に定める各教科の内容、高等学校においては中学校学習指導要領に定める必修教科の内容が出題範囲となるよう配慮すること。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --