第2章 各教科 第1節 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校 第4款 保健理療

第1 目標

 あん摩・マッサージ・指圧に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、保健理療の本質と社会的な意義を理解させるとともに、国民の健康の保持増進に寄与する能力と態度を育てる。

第2 各科目

[医療と社会]

1 目標

 医学、医療及びあん摩・マッサージ・指圧の歴史、医療制度と関係法規に関する基礎的な知識を習得させるとともに、あん摩・マッサージ・指圧に従事する者の倫理について理解させ、施術者として必要な能力と態度を育てる。

2 内容

(1)医学、医療及び保健理療の歴史
 ア 西洋における医学、医療
 イ 日本、中国等における医学、医療

(2)医療制度の現状と課題
 ア 医学の分野
 イ 医療と社会
 ウ 医療従事者
 エ 医療機関
 オ 医療行政

(3)保健理療の現状と課題
 ア 現代の東洋医学
 イ 保健理療の概念
 ウ 保健理療の課題

(4)あん摩・マッサージ・指圧従事者の倫理
 ア 医療と倫理
 イ 保健理療と倫理

(5)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律
 ア 法令の沿革
 イ 法令の主な内容

(6)関係法規の概要
 ア 医事関係法規
 イ その他の関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、あん摩・マッサージ・指圧の医療における位置付けについて、十分理解を促すよう取り扱うこと。
 イ 内容の(3)及び(4)については、「地域保健理療と保健理療経営」との関連を考慮して指導すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(2)については、現代の医療制度の現状とその当面する課題の概要を理解させること。
 イ 内容の(3)のアについては、あん摩・マッサージ・指圧のみならず、湯液、鍼灸(しんきゅう)の概要も扱うこと。
 ウ 内容の(4)については、国民の健康の保持増進に寄与する観点から、あん摩・マッサージ・指圧従事者の心構え等について、十分な理解を促すよう具体的に指導すること。
 エ 内容の(6)のアについては、医療法、医師法等の概要を扱うこと。

[人体の構造と機能]

1 目標

 あん摩・マッサージ・指圧に必要な人体諸器官の形態と構造及び機能について理解させ、これを施術に応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)解剖学及び生理学の基礎
 ア 人体の構成
 イ 細胞
 ウ 組織エ器官と器官系

(2)人体の系統別構造・機能及び生体の観察
 ア 運動器系
 イ 消化器系
 ウ 呼吸器系
 エ 泌尿・生殖器系
 オ 内分泌と代謝
 カ 循環器系
 キ 神経系
 ク 感覚器系

(3)生体機能の協調
 ア 身体の運動
 イ 全身的協調
 ウ 生体の防御機構

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、人体についての理解が、知識に偏ることがないよう実験・実習を取り入れるようにすること。
 イ 内容の(2)については、標本、模型などを有効に活用して、指導の効果を高めるよう配慮すること。
 ウ 内容の(3)については、「疾病の成り立ちと予防」との関連を考慮して扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアについては、この科目の導入として、人体の構成と働き、発生と成長の概要を扱うこと。イからエまでについては、それぞれの構造と機能を扱うが、詳細に深入りしないこと。
 イ 内容の(2)については、あん摩・マッサージ・指圧施術と関連の深いア、カ及びキについて、基本的事項に重点を置いて扱うこと。

[疾病の成り立ちと予防]

1 目標

 あん摩・マッサージ・指圧に必要な健康の保持、疾病の成り立ちと予防に関する基礎的な知識を習得させ、これを施術に応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)衛生・公衆衛生の概要
 ア 衛生・公衆衛生の意義
 イ 衛生・公衆衛生の歴史

(2)健康の保持増進と生活
 ア 健康の概念
 イ 健康の管理
 ウ 食生活と健康

(3)生活環境と公害
 ア 環境と健康
 イ 地域の環境衛生
 ウ 衣服と住居
 エ 公害

(4)産業衛生、精神衛生及び母子衛生
 ア 産業衛生
 イ 精神衛生
 ウ 母子衛生

(5)生活習慣病及び感染症対策
 ア 生活習慣病対策
 イ 感染症対策

(6)消毒
 ア 消毒法の一般
 イ 消毒の種類と方法
 ウ 消毒法の応用

(7)疫学
 ア 疫学の意義
 イ 疫学の現状

(8)衛生統計
 ア 衛生統計の一般
 イ 主な衛生統計

(9)疾病の一般
 ア 疾病の概念
 イ 疾病の分類
 ウ 疾病と症状
 エ 疾病の経過、予後及び転帰

(10)疾病の原因
 ア 病因の意義
 イ 病因の分類
 ウ 加齢と老化

(11)各病変の大要
 ア 循環障害
 イ 退行性病変
 ウ 進行性病変
 エ 炎症
 オ 腫瘍(しゅよう)
 カ 免疫の異常とアレルギー

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(6)については、「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」との関連を図りながら、実践的に扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(2)については、特に、生活習慣病と関連付けて扱うこと。
 イ 内容の(5)については、代表的な疾患を取り上げ、その発生に関する危険因子からの回避に重点を置いて扱うこと。
 ウ 内容の(7)及び(8)については、具体的な事例を中心に扱い、詳細に深入りしないこと。
 エ 内容の(9)については、半健康状態及び東洋医学の未病の概念を取り入れながら指導すること。

[生活と疾病]

1 目標

 臨床医学やリハビリテーションに関する基礎的な知識を習得させるとともに、疾病と日常生活とのかかわりを理解させ、施術を適切に行う能力と態度を育てる。

2 内容

(1)診察と治療の一般
 ア 診察法の一般
 イ 診察法の種類
 ウ 検査法の概要
 エ 治療法の一般
 オ 治療法の種類
 カ 物理療法
 キ 臨床心理

(2)主な症状の診察法
 ア 頭痛
 イ 肩こり、肩関節痛
 ウ 頸(けい)肩腕痛
 エ 腰痛
 オ 腰下肢痛
 カ 膝(しっ)痛
 キ 高血圧と低血圧
 ク その他の症状

(3)系統別疾患の概要
 ア 感染症
 イ 消化器疾患
 ウ 呼吸器疾患
 エ 泌尿・生殖器疾患
 オ 内分泌・代謝疾患及びビタミン欠乏症
 カ 運動器疾患
 キ 血液・循環器疾患
 ク 神経系疾患
 ケ その他の疾患

(4)リハビリテーションの一般
 ア リハビリテーションの概念と歴史
 イ 医学的リハビリテーションとリハビリテーション医学
 ウ 診察、評価、治療計画と記録
 エ 運動学の基礎

(5)主な疾患のリハビリテーション
 ア 片麻痺(ひ)
 イ 脳性麻痺(ひ)
 ウ 脊(せき)髄損傷
 エ 慢性関節リウマチ
 オ 整形外科疾患

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、予防医学、治療医学、リハビリテーション医学という現代医学の体系を踏まえて取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)については、あん摩・マッサージ・指圧と直接かかわりの深い事項に重点を置き、実習との関連を考慮して指導すること。ウについては、医学的な知識として、検査方法やデータの意味等についての概要を理解させるようにすること。オについては、代表的な治療法の概要を扱うこと。
 イ 内容の(2)については、各症状の病態生理と鑑別診断の概要を扱い、あん摩・マッサージ・指圧施術を行うことの適否の判断に生かすことができるようにすること。
 ウ 内容の(3)については、現代医学の立場から各系統別疾患の概要を扱い、それぞれの代表的な疾患の原因、症状及び治療法の基本的な知識を習得できるようにすること。
 エ 内容の(4)については、チーム医療としてのリハビリテーションの過程を、症例紹介やリハビリテーション施設の見学等を取り入れて指導するが、詳細に深入りしないこと。

[基礎保健理療]

1 目標

 東洋医学の概念、あん摩・マッサージ・指圧施術の意義及び治効理論について理解させ、施術を効果的に行う能力と態度を育てる。

2 内容

(1)東洋医学の基礎
 ア 東洋医学の意義と特色
 イ 陰陽五行論
 ウ 臓腑(ふ)経絡論
 エ 気血、営衛、津液
 オ 病因
 カ 証

(2)東洋医学の診断と治療
 ア 診断
 イ 治療

(3)経絡と経穴
 ア 臓腑(ふ)経絡とその流注
 イ 主な経穴

(4)経絡、経穴と現代医学
 ア 経絡、経穴の現代医学的研究
 イ 関連する反応点、反応帯

(5)あん摩・マッサージ・指圧施術の概要
 ア あん摩
 イ マッサージ
 ウ 指圧

(6)あん摩・マッサージ・指圧施術の治効理論と関連学説
 ア 刺激の伝達
 イ 身体組織・器官への影響
 ウ 生体反応と治効メカニズムエ関連学説

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、あん摩・マッサージ・指圧に関する研究の成果を踏まえて取り扱い、保健理療に対する研究的な態度を培うようにすること。
 イ 内容の(1)から(4)までについては、あん摩・マッサージ・指圧施術との関連を重視して扱うこと。
 ウ 内容の(6)については、内容の(4)や研究の成果を総合し、あん摩・マッサージ・指圧の臨床効果という観点から指導すること。また、「人体の構造と機能」との関連を考慮して扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(2)のアについては、切診に重点を置き、実習を取り入れて指導すること。
 イ 内容の(3)のイについては、あん摩・マッサージ・指圧の臨床でよく活用される経穴に重点を置いて指導すること。
 ウ 内容の(5)については、基本手技を取り上げ、その特徴を理解させるとともに、臨床においてあん摩・マッサージ・指圧施術を行うことの適否についても指導すること。また、諸外国における徒手による施術法の概要についても扱うこと。
 エ 内容の(6)のアからウまでについては、特に、運動器疾患や内臓器疾患に対する刺激の作用や生体反応の医学的意味と臨床への応用という観点から扱うこと。

[臨床保健理療]

1 目標

 診察に基づいて、あん摩・マッサージ・指圧施術の適否を判断し、施術を適切に行う能力と態度を育てる。

2 内容

(1)臨床保健理療の基礎
 ア 臨床保健理療の意義と役割
 イ 施術対象者の心理と施術者の対応

(2)東洋医学における診断、治療の原則
 ア 診察
 イ 施術計画
 ウ 施術原則
 エ 記録

(3)健康とあん摩・マッサージ・指圧施術
 ア 健康観と疾病観
 イ 健康の保持増進のためのあん摩・マッサージ・指圧施術
 ウ 生活習慣病予防のためのあん摩・マッサージ・指圧施術
 エ その他の健康療法

(4)主な症状のあん摩・マッサージ・指圧施術
 ア 頭痛
 イ 肩こり、肩関節痛
 ウ 頸(けい)肩腕痛
 エ 腰痛
 オ 腰下肢痛カ膝(しつ)痛
 キ 高血圧と低血圧
 ク その他の症状

(5)主な疾患のあん摩・マッサージ・指圧施術
 ア 片麻痺(ひ)
 イ 慢性関節リウマチ
 ウ 筋筋膜炎、腱鞘(けんしょう)炎
 エ 捻挫(ねんざ)、脱臼(きゅう)、骨折オその他の疾患

(6)高齢者に対するあん摩・マッサージ・指圧施術
 ア 高齢者の心身機能の特徴
 イ 高齢者の主な症状に対するあん摩・マッサージ・指圧施術
 ウ 要介護高齢者に対するあん摩・マッサージ・指圧施術

(7)スポーツ領域におけるあん摩・マッサージ・指圧施術
 ア スポーツ障害・外傷の一般
 イ スポーツ障害・外傷の予防と管理
 ウ 主なスポーツ障害・外傷のあん摩・マッサージ・指圧施術

(8)産業衛生におけるあん摩・マッサージ・指圧施術
 ア 仕事と健康
 イ 事業所内あん摩・マッサージ・指圧従事者の業務と役割
 ウ 主な職業起因性症状のあん摩・マッサージ・指圧施術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 東洋医学と現代医学の知識と技術を総合した臨床概念が養われるよう内容相互の関連に留意して指導すること。
 イ 指導に当たっては、「保健理療基礎実習」における実技実習との関連を考慮すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のイについては、施術対象者との信頼関係を確立する上で必要な臨床心理の基礎及び面接技法の基本を理解できるよう扱うこと。
 イ 内容の(3)については、東洋医学における未病の考え方を踏まえて扱うこと。
 ウ 内容の(4)及び(5)については、「生活と疾病」で取り上げる症状や疾患と関連付けて指導するとともに、健康指導、生活指導及び応急処置の方法の概要も含めて扱うこと。
 エ 内容の(6)のウについては、特に、片麻痺(ひ)患者の維持期リハビリテーションの概要について扱うこと。
 オ 内容の(7)のウについては、テーピングの基本についても扱うこと。

[地域保健理療と保健理療経営]

1 目標

 現代社会におけるあん摩・マッサージ・指圧の役割及び高齢社会における医療と福祉の在り方を理解させるとともに、保健理療経営の実際的な知識を習得させる。

2 内容

(1)保健理療と社会
 ア あん摩・マッサージ・指圧の業務と開業
 イ あん摩・マッサージ・指圧と医療・福祉制度
 ウ 諸外国における徒手による施術

(2)高齢社会の現状と課題
 ア 高齢社会の現状と課題への対応
 イ 高齢者介護と社会保障制度

(3)あん摩・マッサージ・指圧と経営
 ア 経営の一般
 イ 施術所の設置と運営
 ウ 経営の管理と経営分析

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、「医療と社会」との関連に留意するとともに、体験的な学習や問題解決的な学習を取り入れるよう配慮すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のウについては、諸外国における徒手による施術やそれに関連する制度の現状を紹介し、保健理療の発展の可能性を考察できるようにすること。
 イ 内容の(3)については、経営の実際の基本的な事項を扱うこと。

[保健理療基礎実習]

1 目標

 あん摩・マッサージ・指圧に関する実際的な知識と基礎的な技術を習得させ、施術を適切かつ効果的に行う能力と態度を育てる。

2 内容

(1)あん摩・マッサージ・指圧施術への導入
 ア 施術室の管理と清潔保持の実際
 イ 施術上の注意

(2)あん摩・マッサージ・指圧基礎実技実習
 ア あん摩の基本手技と身体各部の施術
 イ マッサージの基本手技と身体各部の施術
 ウ 指圧の基本手技と身体各部の施術

(3)あん摩・マッサージ・指圧応用実技実習
 ア 評価と理学的検査の実際
 イ 運動療法の応用
 ウ 物理療法の応用

(4)あん摩・マッサージ・指圧総合実技実習
 ア 総合実技の基礎
 イ 主要症状・疾患に対する総合実技実習

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、「生活と疾病」、「基礎保健理療」及び「臨床保健理療」との関連を重視し、現代医学と東洋医学の両面から、病状を総合的に把握して、実際的な施術ができるようにすること。
 イ 内容の(1)については、この科目全体を通して習慣化されるよう取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)については、消毒法の実際に重点を置いて扱うこと。
 イ 内容の(2)については、運動法の基本等についても扱うこと。
 ウ 内容の(3)のア及びイについては、片麻痺の評価、機能回復訓練の基本を含めて扱うこと。
 エ 内容の(4)のイについては、臨床実習への導入として位置付け、「臨床保健理療」の内容の(4)及び(5)で取り上げる症状や疾患に対する施術の実際を扱うこと。

[保健理療臨床実習]

1 目標

 あん摩・マッサージ・指圧に関する知識と技術を総合的に習得させ、施術を適切かつ効果的に行う能力と態度を育てる。

2 内容

(1)校内実習
 ア 施術者と施術対象
 イ 施術の実際
 ウ 資料の整理と症例検討

(2)校外実習
 ア 校外実習の目的
 イ 校外実習の実際
 ウ 経営の実際

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、技術的な側面のみならず、あん摩・マッサージ・指圧従事者としての倫理観や職業観を培うことに配慮すること。
 イ 地域の保健・医療・福祉機関との連携を図りながら、実際的に理解できるように指導すること。
 ウ 校内実習と校外実習の履修学年や授業時数の配当については、生徒の実態や実習・見学施設の状況等により弾力的に取り扱うこと。
 エ 内容の(2)については、あん摩・マッサージ・指圧の実践に適した施設等を選定し、当該施設等との十分な連絡調整を図ること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)については、生徒の臨床実習の習熟の程度に応じて適切な症例を選択するとともに、きめ細かな指導を行うことができるよう指導体制等に配慮すること。
 イ 内容の(2)のイについては、多様なあん摩・マッサージ・指圧関連業務を理解するための施設見学や生徒の進路希望に対応した実習ができるように計画すること。ウについては、施術所経営に関する実際的な基礎的知識が養われるように、臨床経験の豊富な人の話や施術所見学、模擬経営実習などを通して、具体的に指導すること。

[保健理療情報処理]

1 目標

 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに、情報処理に関する知識と技術を習得させ、保健理療の分野で情報及び情報手段を活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)情報社会とコンピュータ
 ア 生活と情報処理
 イ コンピュータの利用分野
 ウ 情報の価値とモラル

(2)コンピュータによる情報処理
 ア コンピュータの仕組み
 イ コンピュータの活用
 ウ 情報通信ネットワーク

(3)保健理療とコンピュータの活用
 ア 保健理療におけるコンピュータ利用の目的と意義
 イ 保健理療援助の支援システム
 ウ 保健理療管理業務の支援システム
 エ 地域保健医療情報システム
 オ 個人情報の管理

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 指導に当たっては、実習を通して、実践的・体験的に理解させるよう留意すること。
 イ 内容の(1)及び(2)については、保健理療に関する題材やデータを用いることなどにより、保健理療の分野との関連を考慮した指導を行うよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)については、生活における情報の意義や役割及びコンピュータの利用分野の概要について理解させるとともに、著作権やプライバシーの保護、情報発信者の責任など情報モラルの重要性について理解させること。
 イ 内容の(2)のイについては、生徒の実態等に応じてアプリケーションソフトウェアを選択し、その基本操作を扱うこと。ウについては、情報通信ネットワークを活用した情報の収集、処理、発信について体験的に理解させること。
 ウ 内容の(3)のイについては、保健理療援助を適切に行うための情報システムの活用について具体的に扱うこと。ウ及びエについては、保健理療管理業務及び地域保健医療を支援する情報システムの活用状況について理解させること。

[課題研究]

1 目標

 保健理療に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2 内容

(1)調査、研究、実験

(2)職業資格の取得

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、内容の(1)及び(2)の中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお、課題は内容の(1)及び(2)にまたがる課題を設定することができること。
 イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては、できるだけ実験・実習を通して、実際的、具体的に理解させるようにすること。
(2)「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」の指導に当たっては、生徒が常に達成感と新たな技術習得への意欲をもって学習できるように、指導内容の構成や指導方法の工夫に十分留意すること。
(3)「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(4)臨床実習の指導に当たっては、あん摩・マッサージ・指圧施術の対象となる代表的な症状や疾患について確実に施術ができるようにするため、個々の生徒の実態に応じた指導計画の作成に配慮すること。

2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」については、対象となる人々の人格を尊重する態度を育てるとともに、実習における安全と規律に留意すること。
(2)各科目の指導に当たっては、コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り、学習の効果を高めるようにすること。
(3)各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は、当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において必要がある場合には、この事項にかかわらず指導することができること。

3 実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意するものとする。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --