第1章 総則

第1節 教育目標

 高等部における教育については、学校教育法第71条に定める目的を実現するために、生徒の障害の状態及び特性等を十分考慮して、次に掲げる目標の達成に努めなければならない。
 1 学校教育法第42条各号に掲げる教育目標
 2 生徒の障害に基づく種々の困難を改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うこと。

第2節 教育課程の編成

第1款 一般方針

1 各学校においては、法令及びこの章以下に示すところに従い、生徒の人間として調和のとれた育成を目指し、その障害の状態、発達段階及び特性等、地域や学校の実態並びに学科の特色を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。
 学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、生徒に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実に努めなければならない。

2 学校における道徳教育は、生徒が自己探求と自己実現に努め、国家・社会の一員としての自覚に基づき行為し得る発達段階にあることを考慮し、人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより、その充実を図るものとし、盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校においては、各教科に属する科目、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間において、また、知的障害者を教育する養護学校においては、道徳の時間をはじめとして、各教科、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間において、それぞれの特質に応じて適切な指導を行わなければならない。
 道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
 道徳教育を進めるに当たっては、特に、道徳的実践力を高めるとともに、自律の精神や社会連帯の精神及び義務を果たし責任を重んずる態度や人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行われるよう配慮しなければならない。

3 学校における体育・健康に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、体力の向上及び心身の健康の保持増進に関する指導については、「体育」及び「保健」(知的障害者を教育する養護学校においては「保健体育」)の時間はもとより、特別活動、自立活動などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとする。また、それらの指導を通して、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し、生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。

4 学校における自立活動の指導は、障害に基づく種々の困難を改善・克服し、自立し社会参加する資質を養うため、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、自立活動の時間における指導は、各教科に属する科目、特別活動及び総合的な学習の時間(知的障害者を教育する養護学校においては、各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間)と密接な関連を保ち、個々の生徒の障害の状態や発達段階等を的確に把握して、適切な指導計画の下に行うよう配慮しなければならない。

5 学校においては、生徒の障害の状態、地域や学校の実態等に応じて、就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし、勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に資するものとする。

第2款 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校における各教科・科目等の履修等

第1 各教科・科目及び単位数等

1 卒業までに履修させる単位数等

 各学校においては、卒業までに履修させる下記2から5までに示す各教科に属する科目及びその単位数、特別活動及びそれらの授業時数、自立活動の授業時数並びに卒業までに行う総合的な学習の時間の授業時数及び単位数に関する事項を定めるものとする。この場合、各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)及び総合的な学習の時間の単位数の計は、この款の第2に掲げる各教科・科目の単位数及び総合的な学習の時間の単位数を含めて74単位(自立活動の授業については、授業時数を単位数に換算して、この単位数に含めることができる。)以上とする。
 単位については、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。

2 普通教育に関する各教科・科目及び標準単位数

 各学校においては、教育課程の編成に当たって、生徒に履修させる普通教育に関する各教科・科目及びその単位数について、次の表に掲げる各教科・科目及び標準単位数を踏まえ適切に定めるものとする。ただし、生徒の実態等を考慮し、特に必要がある場合には、標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる。

教科 科目 標準単位数
国語 国語表現Ⅰ
国語表現Ⅱ
国語総合
現代文
古典
古典講読
2
2
4
4
4
2
地理歴史 世界史A
世界史B
日本史A
日本史B
地理A
地理B
2
4
2
4
2
4
公民 現代社会
倫理
政治・経済
2
2
2
数学 数学基礎
数学Ⅰ
数学Ⅱ
数学Ⅲ
数学A
数学B
数学C
2
3
4
3
2
2
2
理科 理科基礎
理科総合A
理科総合B
物理Ⅰ
物理Ⅱ
化学Ⅰ
化学Ⅱ
生物Ⅰ
生物Ⅱ
地学Ⅰ
地学Ⅱ
2
2
2
3
3
3
3
3
3
3
3
保健体育 体育
保健
7~8
2
芸術 音楽Ⅰ
音楽Ⅱ
音楽Ⅲ
美術Ⅰ
美術Ⅱ
美術Ⅲ
工芸Ⅰ
工芸Ⅱ
工芸Ⅲ
書道Ⅰ
書道Ⅱ
書道Ⅲ
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
外国語 オーラル・コミュニケーションⅠ
オーラル・コミュニケーションⅡ
英語Ⅰ
英語Ⅱ
リーディング
ライティング
2
4
3
4
4
4
家庭 家庭基礎
家庭総合
生活技術
2
4
4
情報 情報A
情報B
情報C
2
2
2
3 専門教育に関する各教科・科目

 各学校においては、教育課程の編成に当たって、生徒に履修させる専門教育に関する各教科・科目及びその単位数について、盲学校にあっては次の表の(1)及び(2)、聾(ろう)学校にあっては次の表の(1)及び(3)、肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校にあっては次の表の(1)に掲げる各教科・科目及び設置者の定める標準単位数を踏まえ適切に定めるものとする。

(1)盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校

教科 科目
農業 農業科学基礎、環境科学基礎、課題研究、総合実習、農業情報処理、作物、野菜、果樹、草花、畜産、農 業経営、農業機械、食品製造、食品化学、微生物基礎、植物バイオテクノロジー、動物・微生物バイオテクノロジー、農業経済、食品流通、森林科学、森林経 営、林産加工、農業土木設計、農業土木施工、造園計画、造園技術、測量、生物活用、グリーンライフ
工業 工業技術基礎、課題研究、実習、製図、工業数理基礎、情報技術基礎、材料技術基礎、生産システム技 術、工業技術英語、工業管理技術、機械工作、機械設計、原動機、電子機械、電子機械応用、自動車工学、自動車整備、電気基礎、電気機器、電力技術、電子技 術、電子回路、電子計測制御、通信技術、電子情報技術、プログラミング技術、ハードウェア技術、ソフトウェア技術、マルチメディア応用、建築構造、建築施 工、建築構造設計、建築計画、建築法規、設備計画、空気調和設備、衛生・防災設備、測量、土木施工、土木基礎力学、土木構造設計、社会基盤工学、工業化 学、化学工学、地球環境化学、材料製造技術、工業材料、材料加工、セラミック化学、セラミック技術、セラミック工業、繊維製品、繊維・染色技術、染織デザ イン、インテリア計画、インテリア装備、インテリアエレメント生産、デザイン史、デザイン技術、デザイン材料
商業 ビジネス基礎、課題研究、総合実践、商品と流通、商業技術、マーケティング、英語実務、経済活動と法、国際ビジネス、簿記、会計、原価計算、会計実務、情報処理、ビジネス情報、文書デザイン、プログラミング
水産 水産基礎、課題研究、総合実習、水産情報技術、漁業、航海・計器、漁船運用、船用機関、機械設計工作、電気工学、通信工学、電気通信理論、栽培漁業、水産生物、海洋環境、操船、水産食品製造、水産食品管理、水産流通、ダイビング
家庭 生活産業基礎、課題研究、家庭情報処理、消費生活、発達と保育、児童文化、家庭看護・福祉、リビングデザイン、服飾文化、被服製作、ファッションデザイン、服飾手芸、フードデザイン、食文化、調理、栄養、食品、食品衛生、公衆衛生
看護 基礎看護、看護基礎医学、成人・老人看護、母子看護、看護臨床実習、看護情報処理
情報 情報産業と社会、課題研究、情報実習、情報と表現、アルゴリズム、情報システムの開発、ネットワークシステム、モデル化とシミュレーション、コンピュータデザイン、図形と画像の処理、マルチメディア表現
福祉 社会福祉基礎、社会福祉制度、社会福祉援助技術、基礎介護、社会福祉実習、社会福祉演習、福祉情報処理
理数 理数数学Ⅰ、理数数学Ⅱ、理数数学探究、理数物理、理数化学、理数生物、理数地学
体育 体育理論、体つくり運動、スポーツⅠ、スポーツⅡ、スポーツⅢ、ダンス、野外活動
音楽 音楽理論、音楽史、演奏法、ソルフェージュ、声楽、器楽、作曲
美術 美術概論、美術史、素描、構成、絵画、版画、彫刻、ビジュアルデザイン、クラフトデザイン、映像メディア表現、環境造形、鑑賞研究
英語 総合英語、英語理解、英語表現、異文化理解、生活英語、時事英語、コンピュータ・LL演習

(2)盲学校

教科 科目
調律 調律概論、調律実習、整調・修理実習、課題研究
保健
理療
医療と社会、人体の構造と機能、疾病の成り立ちと予防、生活と疾病、基礎保健理療、臨床保健理療、地域保健理療と保健理療経営、保健理療基礎実習、保健理療臨床実習、保健理療情報処理、課題研究

(3)聾(ろう)学校

教科 科目
印刷 印刷概論、写真製版、印刷機械・材料、印刷デザイン、写真化学・光学、文書処理・管理、印刷情報技術基礎、画像技術、印刷総合実習、課題研究
理容・美容 理容・美容関係法規、衛生管理、理容・美容保健、理容・美容の物理・化学、理容・美容文化論、理容・美容技術理論、理容・美容運営管理、理容実習、美容実習、理容・美容情報処理、課題研究
クリーニング クリーニング関係法規、公衆衛生、クリーニング理論、繊維、クリーニング機器・装置、クリーニング実習、課題研究
4 学校設定科目

学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特色ある教育課程の編成に資するよう、上記2及び3の表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合において、学校設定科目の名称、目標、内容、単位数等については、その科目の属する教科の目標に基づき、各学校の定めるところによるものとする。

5 学校設定教科

(1)学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特色ある教育課程の編成に資するよう、上記2及び3の表に掲げる教科以外の普通教育又は専門教育に関する教科(以下この項及び第5款第1の2において「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において、学校設定教科及び当該教科に関する科目の名称、目標、内容、単位数等については、高等部における教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮し、各学校の定めるところによるものとする。

(2)学校においては、学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標、内容、単位数等を各学校において定めるに当たっては、産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ、社会に積極的に寄与し、生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとともに、生徒の主体的な各教科・科目の選択に資するよう、就業体験等の体験的な学習や調査・研究などを通して、次のような事項について指導することに配慮するものとする。
 ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観、職業観の育成
 イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
 ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成

第2 各教科・科目の履修

1 必履修教科・科目

 すべての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし、その単位数は、この款の第1の2に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし、生徒の実態及び専門教育を主とする学科の特色等を考慮し、特に必要がある場合には、標準単位数が2単位である必履修教科・科目を除き、その単位数の一部を減じることができる。
(1)国語のうち「国語表現Ⅰ」及び「国語総合」のうちから1科目
(2)地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」、「日本史B」、「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
(3)公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
(4)数学のうち「数学基礎」及び「数学Ⅰ」のうちから1科目
(5)理科のうち「理科基礎」、「理科総合A」、「理科総合B」、「物理Ⅰ」、「化学Ⅰ」、「生物Ⅰ」及び「地学Ⅰ」のうちから2科目(「理科基礎」、「理科総合A」及び「理科総合B」のうちから1科目以上を含むものとする。)
(6)保健体育のうち「体育」及び「保健」
(7)芸術のうち「音楽Ⅰ」、「美術Ⅰ」、「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰ」のうちから1科目
(8)外国語のうち「オーラル・コミュニケーションⅠ」及び「英語Ⅰ」のうちから1科目(英語以外の外国語を履修する場合は、学校設定科目として設ける1科目とし、その単位数は2単位を下らないものとする。)
(9)家庭のうち「家庭基礎」、「家庭総合」及び「生活技術」のうちから1科目
(10) 情報のうち「情報A」、「情報B」及び「情報C」のうちから1科目

2 専門教育を主とする学科における各教科・科目の履修

 専門教育を主とする学科における各教科・科目の履修については、上記1のほか次のとおりとする。

(1)専門教育を主とする学科においては、専門教育に関する各教科・科目について、すべての生徒に履修させる単位数は、25単位を下らないこと。ただし、各学科の目標を達成する上で、普通教育に関する各教科・科目の履修により専門教育に関する各教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては、その普通教育に関する各教科・科目の単位数の一部の履修をもって、当該専門教育に関する各教科・科目の単位数の一部の履修に替えることができること。

(2)専門教育に関する各教科・科目の履修によって、上記1の必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては、その専門教育に関する各教科・科目の履修をもって、必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。

第3 総合的な学習の時間

1 総合的な学習の時間においては、各学校は、地域や学校、生徒の実態等に応じて、横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。

2 総合的な学習の時間においては、次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(1)自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
(2)学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。
(3)各教科・科目、特別活動及び自立活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること。

3 各学校においては、上記1及び2に示す趣旨及びねらいを踏まえ、総合的な学習の時間の目標及び内容を定め、地域や学校の特色、生徒の特性等に応じ、例えば、次のような学習活動などを行うものとする。
ア 国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動
イ 生徒が興味・関心、進路等に応じて設定した課題について、知識や技能の深化、総合化を図る学習活動
ウ 自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動

4 各学校においては、学校における全教育活動との関連の下に、目標及び内容、育てようとする資質や能力及び態度、学習活動、指導方法や指導体制、学習の評価の計画などを示す総合的な学習の時間の全体計画を作成するものとする。

5 各学校における総合的な学習の時間の名称については、各学校において適切に定めるものとする。

6 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)目標及び内容に基づき、生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2)自然体験やボランティア活動、就業体験などの社会体験、観察・実験・実習、調査・研究、発表や討論、ものづくりや生産活動、交流活動など体験的な学習、問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
(3)グループ学習や個人研究などの多様な学習形態、地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫すること。
(4)学校図書館の活用、他の学校との連携、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携、地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。

7 職業教育を主とする学科においては、総合的な学習の時間における学習活動により、農業、工業、商業、水産、家庭、情報、調律、保健理療、印刷、理容・美容若しくはクリーニングの各教科に属する「課題研究」、「看護臨床実習」又は「社会福祉演習」(以下この項において「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては、総合的な学習の時間における学習活動をもって課題研究等の履修の一部又は全部に替えることができる。また、課題研究等の履修により、総合的な学習の時間における学習活動と同様の成果が期待できる場合においては、課題研究等の履修をもって総合的な学習の時間における学習活動の一部又は全部に替えることができる。

第4 各教科・科目、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間の授業時数等

1 各教科・科目、ホームルーム活動及び自立活動の授業は、年間35週行うことを標準とし、必要がある場合には、各教科・科目及び自立活動の授業を特定の学期又は期間に行うことができる。

2 週当たりの授業時数は、30単位時間を標準とする。

3 ホームルーム活動の授業時数については、原則として、年間35単位時間以上とするものとする。

4 生徒会活動及び学校行事については、学校や生徒の実態に応じて、それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

5 卒業までに総合的な学習の時間に充てる授業時数については、各学校において、学校や生徒の実態に応じて、適切に定めるものとする。

6 各学年における自立活動の時間に充てる授業時数は、生徒の障害の状態に応じて、適切に定めるものとする。

7 各教科・科目、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間(以下「各教科・科目等」という。)のそれぞれの授業の1単位時間は、各学校において、各教科・科目等の授業時数を確保しつつ、生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。

8 障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して、教員を派遣して教育を行う場合について、特に必要があるときは、実情に応じた授業時数を適切に定めるものとする。

第3款 知的障害者を教育する養護学校における各教科等の履修等

第1 各教科等の履修

1 普通教育に関する各教科等

(1)国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、職業及び家庭の各教科、道徳、特別活動、自立活動並びに総合的な学習の時間については、特に示す場合を除き、すべての生徒に履修させるものとする。

(2)外国語及び情報の各教科については、学校や生徒の実態を考慮し、必要に応じて設けることができる。

2 専門教育に関する各教科

(1)専門教育を主とする学科においては、上記1のほか、家政、農業、工業又は流通・サービスの各教科のうち、いずれか1以上履修させるものとする。

(2)専門教育に関する各教科の履修によって、上記1の(1)のすべての生徒に履修させる各教科の履修と同様の成果が期待できる場合においては、その専門教育に関する各教科の履修をもって、すべての生徒に履修させる各教科の履修に替えることができる。

3 学校設定教科

(1)学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特色ある教育課程の編成に資するよう、上記1及び2に掲げる教科以外の普通教育又は専門教育に関する教科(以下この項において「学校設定教科」という。)を設けることができる。この場合において、学校設定教科の名称、目標、内容等については、高等部における教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮し、各学校の定めるところによるものとする。

(2)専門教育を主とする学科において、専門教育に関する教科として学校設定教科を設け履修させる場合は、上記2の(1)によらないことができる。

第2 総合的な学習の時間

 総合的な学習の時間の取扱いについては、第2款第3(7は除く。)に示すところによるものとする。

第3 各教科、道徳、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間の授業時数等

1 各教科、道徳、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間(以下「各教科等」という。ただし、1、2及び8において、特別活動についてはホームルーム活動に限る。)の総授業時数は、各学年とも1、050単位時間(1単位時間は、50分として計算するものとする。3において同じ。)を標準とする。この場合、各教科、道徳、特別活動及び自立活動の目標及び内容並びに総合的な学習の時間のねらいを考慮し、それぞれの年間の授業時数を適切に定めるものとする。

2 各教科等の授業は、年間35週以上にわたって行うものとする。この場合、生徒の知的発達の遅滞の状態を十分考慮し、週当たりの授業時数が負担過重とならないようにするものとする。また、必要がある場合には、各教科、道徳、自立活動及び総合的な学習の時間の授業を特定の学期又は期間に行うことができる。

3 専門教育を主とする学科においては、専門教育に関する各教科について、すべての生徒に履修させる授業時数は、875単位時間を下らないものとする。

4 ホームルーム活動の授業時数については、原則として、年間35単位時間以上とするものとする。

5 生徒会活動及び学校行事については、学校や生徒の実態に応じて、それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

6 総合的な学習の時間に充てる授業時数については、各学校において、学校や生徒の実態に応じて、適切に定めるものとする。

7 各学年における自立活動の時間に充てる授業時数は、生徒の障害の状態に応じて、適切に定めるものとする。

8 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は、各学校において、生徒の実態及び各教科等の特質を考慮して適切に定めるものとする。

9 障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して、教員を派遣して教育を行う場合について、特に必要があるときは、実情に応じた授業時数を適切に定めるものとする。

第4款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項

1 選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程編成

 教育課程の編成に当たっては、生徒の障害の状態、特性及び進路等に応じた適切な各教科・科目(知的障害者を教育する養護学校においては各教科。この款及び第6款において同じ。)の履修ができるようにし、このため、多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また、教育課程の類型を設け、そのいずれかの類型を選択して履修させる場合においても、その類型において履修させることになっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり、生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目を設けたりするものとする。

2 各教科・科目等の内容等の取扱い

(1)学校においては、第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。また、第2章第1節第2款において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第2章及び第3章並びに同節第3款から第10款までに示す各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は、当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において必要がある場合には、この事項にかかわらず指導することができる。ただし、これらの場合には、第2章以下に示す教科、科目、特別活動及び自立活動(知的障害者を教育する養護学校においては、各教科、道徳、特別活動及び自立活動)の目標や内容の趣旨を逸脱したり、生徒の負担過重になったりすることのないようにするものとする。

(2)第2章以下に示す各教科・科目、特別活動及び自立活動の内容に掲げる事項の順序は、特に示す場合を除き、指導の順序を示すものではないので、学校においては、その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。

(3)盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校においては、あらかじめ計画して、各教科・科目の内容及び総合的な学習の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。

(4)学校においては、特に必要がある場合には、第2章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で、各教科・科目及び各段階の内容に関する事項について、基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。

3 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項

 各学校においては、次の事項に配慮しながら、学校の創意工夫を生かし、全体として、調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。

(1)各教科・科目等(知的障害者を教育する養護学校においては各教科等。5の(7)において同じ。)について相互の関連を図り、発展的、系統的な指導ができるようにすること。

(2)各教科・科目の指導内容については、各事項のまとめ方及び重点の置き方に適切な工夫を加えて、効果的な指導ができるようにすること。

(3)当該学校に就学することとなった障害以外に他の障害を併せ有する生徒(以下「重複障害者」という。)の指導に当たっては、個々の生徒の実態を的確に把握し、個別の指導計画を作成すること。

(4)開かれた学校づくりを進めるため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また、学校相互の連携や交流を図ることにも努めること。特に、生徒の経験を広めて積極的な態度を養い、社会性や豊かな人間性をはぐくむために、学校の教育活動全体を通じて、高等学校の生徒及び地域の人々などと活動を共にする機会を積極的に設けるようにすること。

4 職業教育に関して配慮すべき事項

(1)普通科においては、地域や学校の実態、生徒の特性、進路等を考慮し、必要に応じて、適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。

(2)職業教育を主とする学科においては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 職業に関する各教科・科目については、実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
 イ 生徒の実態を考慮し、職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には、各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し、その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い、また、主として実験・実習によって指導するなどの工夫をこらすようにすること。

(3)学校においては、地域や学校の実態、生徒の特性、進路等を考慮し、就業体験の機会の確保について配慮するものとする。

(4)職業に関する各教科・科目については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 職業に関する各教科・科目については、就業体験をもって実習に替えることができること。この場合、就業体験は、その各教科・科目の内容に直接関係があり、かつ、その一部としてあらかじめ計画されるものであることを要すること。
 イ 家庭、農業及び水産に関する各教科・科目の指導に当たっては、ホームプロジェクトなどの活動を活用して、学習の効果をあげるよう留意すること。この場合、ホームプロジェクトについては、適切な授業時数をこれに充てることができること。

5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項

 以上のほか、次の事項について配慮するものとする。

(1)学校の教育活動全体を通じて、個に応じた指導を充実するため、指導方法や指導体制の工夫改善に努めること。その際、生徒の障害の状態や学習の進度等を考慮して、個別指導を重視するとともに、授業形態や集団の構成の工夫、教師の協力的な指導などにより、学習活動が効果的に行われるようにすること。

(2)学校生活全体を通じて、言語に関する関心や理解を深め、言語環境を整え、生徒の言語活動が適正に行われるようにすること。

(3)生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに、現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、ガイダンスの機能の充実を図ること。

(4)教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め、生徒が主体的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒指導の充実を図ること。

(5)生徒が自己の在り方生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと。

(6)海外から帰国した生徒などについては、学校生活への適応を図るとともに、外国における生活経験を生かすなど適切な指導を行うこと。

(7)各教科・科目等の指導に当たっては、生徒がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用できるようにするための学習活動の充実に努めるとともに、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。なお、生徒の障害の状態や特性等に即した教材・教具を創意工夫し、それらを活用して指導の効果を高めるようにすること。

(8)学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。

(9)生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに、指導の過程や成果を評価し、指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。

(10) 実験・実習に当たっては、特に安全と保健に留意すること。

(11) 学校医等との連絡を密にし、生徒の障害の状態に応じた保健及び安全に十分留意すること。

(12) 家庭、児童福祉施設、医療機関等との連携を密にし、指導の効果をあげるよう努めること。

(13) 地域の実態や家庭の要請等により、障害のある生徒又はその保護者に対して教育相談を行うなど、各学校の教師の専門性や施設・設備を生かした地域における特殊教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすよう努めること。

第5款 単位の修得及び卒業の認定

第1 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校

1 各教科・科目及び総合的な学習の時間における学習活動の単位の修得の認定

(1)学校においては、生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し、その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には、その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。

(2)学校においては、生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な学習の時間において学習活動を行い、その成果が第2款第3に定めるねらいからみて満足できると認められる場合には、総合的な学習の時間における学習活動について、単位を修得したことを認定しなければならない。

(3)学校においては、生徒が1科目を2以上の学年にわたって分割履修したとき又は総合的な学習の時間における学習活動を2以上の学年にわたって行ったときは、各学年ごとにその各教科・科目について履修した単位又は総合的な学習の時間における学習活動に係る単位を修得したことを認定するものとする。また、単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。

2 卒業までに修得させる単位数

 学校においては、卒業までに修得させる単位数を定め、校長は、当該単位数を修得した者で、特別活動及び自立活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて、高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合、卒業までに修得させる単位数は、74単位(自立活動の授業については、授業時数を単位数に換算して、この単位数に含めることができる。)以上とする。なお、普通科においては、学校設定科目及び学校設定教科に関する科目に係る修得単位数は、合わせて20単位までを卒業までに修得させる単位数に含めることができる。

3 各学年の課程の修了の認定

 学校においては、各学年の課程の修了の認定については、単位制が併用されていることを踏まえ、弾力的に行うよう配慮するものとする。

第2 知的障害者を教育する養護学校

 学校においては、卒業までに履修させる各教科、道徳、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの授業時数を定めるものとする。
 校長は、各教科、道徳、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間を履修した者で、その成果がそれらの目標(総合的な学習の時間についてはねらい)からみて満足できると認められるものについて、高等部の全課程の修了を認定するものとする。

第6款 重複障害者等に関する特例

1 障害の状態により学習が困難な生徒について特に必要がある場合には、次に示すところによるものとする。
(1)各教科・科目の目標及び内容の一部を取り扱わないことができること。
(2)高等部の各教科・科目の目標及び内容の一部を、当該各教科・科目に相当する中学部又は小学部の各教科の目標及び内容に関する事項の一部によって、替えることができること。

2 重複障害者を教育する場合には、次に示すところによるものとする。
(1)盲学校、聾(ろう)学校又は肢体不自由者若しくは病弱者を教育する養護学校に就学する生徒のうち、知的障害を併せ有する者については、各教科・科目又は各教科・科目の目標及び内容の一部を、当該各教科・科目に相当する第2章第2節第1款及び第2款に示す各教科又は各教科の目標及び内容の一部によって、替えることができること。この場合、各教科・科目に替えて履修した第2章第2節第1款及び第2款に示す各教科については、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とするものとすること。
(2)重複障害者のうち、学習が著しく困難な生徒については、各教科・科目若しくは特別活動(知的障害者を教育する養護学校においては、各教科、道徳若しくは特別活動)の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な学習の時間に替えて、自立活動を主として指導を行うことができること。この場合、生徒の実態に応じた適切な総授業時数を定めるものとすること。
(3)校長は、各教科・科目若しくは特別活動の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な学習の時間に替えて自立活動を主として履修した者で、その成果がそれらの目標(総合的な学習の時間についてはねらい)からみて満足できると認められるものについて、高等部の全課程の修了を認定するものとすること。

3 障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して、教員を派遣して教育を行う場合については、次に示すところによるものとする。
(1)上記1又は2の(1)若しくは(2)に示すところによることができること。
(2)校長は、生徒の学習の成果に基づき、高等部の全課程の修了を認定することができること。

4 療養中の生徒及び障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒について、各教科・科目の一部を通信により教育を行う場合の1単位当たりの添削指導及び面接指導の回数等(知的障害者を教育する養護学校においては、通信により教育を行うこととなった各教科の一部の授業時数に相当する添削指導及び面接指導の回数等)については、生徒の実態に応じて適切に定めるものとする。

第7款 専攻科

1 盲学校又は聾(ろう)学校の専攻科における教科及び科目のうち標準的なものは、次の表に掲げるとおりである。盲学校又は聾(ろう)学校においては、必要がある場合には同表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目を設けることができる。

  教科 科目
盲学校 保健理療 医療と社会、人体の構造と機能、疾病の成り立ちと予防、生活と疾病、基礎保健理療、臨床保健理療、地域保健理療と保健理療経営、保健理療基礎実習、保健理療臨床実習、保健理療情報処理、課題研究
理療 医療と社会、人体の構造と機能、疾病の成り立ちと予防、生活と疾病、基礎理療学、臨床理療学、地域理療と理療経営、理療基礎実習、理療臨床実習、理療情報処理、課題研究
理学療法 人体の構造と機能、疾病と障害、保健・医療・福祉とリハビリテーション、基礎理学療法学、理学療法評価学、理学療法治療学、地域理学療法学、臨床実習、理学療法情報処理、課題研究
聾(ろう)学校 理容・美容 理容・美容関係法規、衛生管理、理容・美容保健、理容・美容の物理・化学、理容・美容文化論、理容・美容技術理論、理容・美容運営管理、理容実習、美容実習、理容・美容情報処理、課題研究
歯科技工 歯科技工関係法規、歯科技工学概論、歯科理工学、歯の解剖学、顎(がく)口腔(くう)機能学、有床義歯技工学、歯冠修復技工学、矯正歯科技工学、小児歯科技工学、歯科技工実習、歯科技工情報処理、課題研究

2 盲学校又は聾(ろう)学校においては、必要がある場合には上記1の表に掲げる教科及び科目以外の教科及び科目を設けることができる。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --