クリーニングに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、その社会的意義と役割を理解させるとともに、クリーニングを通して公衆衛生の向上に寄与する能力と態度を育てる。
クリーニングに関する法規について理解させ、クリーニング業を適切に行うために必要な能力と態度を育てる。
(1)法制概要
ア 法の意義と役割
イ 衛生法規の概要
ウ 衛生行政の仕組みと意義
(2)クリーニング業法
ア 沿革と目的
イ クリーニング師の免許等
ウ 細則
(3)関係法規
ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
イ 水質汚濁防止法
ウ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については、クリーニング業の関係法規及び従事者の健康保持、公害防止などに関し、事例を基に具体的に扱うこと。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、法の役割と運用、衛生行政の仕組みなどについて、クリーニング業と関連させながら理解させること。
イ 内容の(2)については、クリーニング業の社会的意義、営業者や従事者の遵守事項に触れること。
ウ 内容の(3)については、ドライクリーニング溶剤の有害性、排水と環境汚染の関係、従事者の健康管理等の概要を扱うこと。
公衆衛生に関する知識を習得させ、クリーニングを衛生的に行う能力と態度を育てる。
(1)公衆衛生の概要
ア 公衆衛生の意義
イ 公衆衛生の歩みと課題
(2)環境衛生
ア 生物と環境
イ 生活の変化と環境の変化
ウ 自然環境と社会環境
エ 環境衛生活動
(3)予防衛生
ア 疾病の予防
イ 母子保健
ウ 老人保健
エ 精神保健
(4)感染症
ア 感染症と社会生活
イ 種類と発生要因
ウ 予防接種
(5)消毒
ア 消毒の意義と定義
イ 消毒の種類と方法
ウ クリーニング業と消毒の必要性
(6)環境への配慮
ア 公害の種類と環境保全
イ クリーニング業と環境汚染対策
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については、人と環境とのかかわり、科学技術の発展と環境汚染、環境保全の必要性などについて、事例を取り上げて具体的に指導すること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については、水、空気、日光や衣食住などへの関心を深め、公害や環境汚染と環境衛生活動とのかかわりについて理解させること。
イ 内容の(3)及び(4)については、医学の進歩と高齢化の進展、疾病予防等の学習を踏まえ、感染症とクリーニングとのかかわりについて具体的に扱うこと。
ウ 内容の(5)については、クリーニング業法に基づく被洗物の区分、消毒法と各種消毒薬の取扱い、従事者の業務停止等を取り上げること。
エ 内容の(6)については、クリーニング業務に必要な環境汚染対策を重点的に指導すること。
クリーニングを科学的に行うために必要な知識を習得させ、これを実際に応用する能力と態度を育てる。
(1)衣服と汚れ
ア クリーニングの歴史と目的
イ 着衣の目的
ウ 汚れの種類
エ 汚れの付着機構
(2)クリーニングの科学
ア クリーニングの三要素
イ 洗浄作用のメカニズム
(3)水と洗浄作用
ア 硬水と軟水
イ 硬水の欠点と軟化法
(4)界面活性剤
ア 界面活性剤の構造と性質
イ ビルダーの働きと種類
ウ 補助剤の種類と働き
(5)洗剤と溶剤
ア 洗剤と溶剤の違い
イ 洗剤と溶剤の働き
(6)ランドリー
ア ランドリーとウェットクリーニング
イ 被洗物と洗濯方式
ウ ランドリーの工程
(7)ウェットクリーニング
ア 被洗物
イ 洗剤と洗濯方法
(8)ドライクリーニング
ア 溶剤と洗剤
イ 工程と洗浄方式
ウ 溶剤管理と清浄方法
(9)特殊加工としみ抜き
ア 各種加工の目的と種類
イ しみ抜きの用具と機器
ウ しみの分類と判別
エ しみ抜きの方法
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、実験・実習を中心として取り扱うこと。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、着衣に伴う汚れの種類や性質など、内容の(4)については、界面活性剤の種類等に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(6)については、ランドリーの特徴と適する被洗物、工程に沿った洗剤濃度や洗濯時間等に重点を置いて扱うこと。
ウ 内容の(8)については、ドライクリーニングの特徴、有機溶剤の取扱いと人体に及ぼす影響、廃棄物の処理等に重点を置いて扱うこと。
エ 内容の(9)については、しみ抜きに関する知識、薬品の取扱いと管理、被洗物の損傷等について扱うこと。
繊維製品に関する知識を習得させ、これをクリーニングに応用する能力と態度を育てる。
(1)繊維の種類
ア 繊維素材による分類
(2)繊維の性質と判別
ア 各種繊維の性質
イ 各種繊維の判別
(3)織物と編み物
ア 織物の組織と性質
イ 編み物の組織と性質
ウ 不織布など
(4)繊維の各種加工
(5)附属品や飾りのクリーニングと取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(4)については、各種繊維の特徴、判別方法及び加工等について実験・実習を通して理解させるよう留意すること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については、各種繊維の用途や取扱い、内容の(3)については、織物と編み物のそれぞれの用途や取扱い、不織布、人工皮革などに重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(4)については、防水、防虫加工方法等、内容の(5)については、ボタンや飾り等の破損や熔解防止の方法について扱うこと。
クリーニング機器や装置に関する知識と技術を習得させ、クリーニングを適切に行う能力と態度を育てる。
(1)ランドリー機器・装置の構造と操作
ア 洗濯機と脱水機
イ 糊煮器と湯沸器
ウ 乾燥機
エ ブラッシング器具
(2)ドライクリーニング機器・装置の構造と操作
ア 洗濯機と脱水機
イ 清浄装置
(3)各種プレス機の構造と操作
ア ワイシャツプレス機類
イ ズボンプレス機類
ウ シーツローラー
(4)しみ抜き機器
ア 蒸気しみ抜き器
イ 超音波しみ抜き器
ウ ジェットスポッター
(5)ボイラー
ア ボイラーの構造
イ ボイラー用水の管理
(6)機器・装置の安全な操作と事故・危険防止
ア 蒸気バルブ
イ 電源とモーター
ウ 事故・危険防止
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については、各種しみ抜き機器、道具類の取扱いに関して、実技や実習を中心として指導すること。
イ 内容の(6)については、機器・装置の安全な操作、点検、事故・危険防止に関する事項を関連させながら扱うようにすること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、基本的な構造、原理、機能とその保守管理について、安全な操作と事故・危険防止の観点から重点的に扱うこと。
洗濯、乾燥、仕上げ等のクリーニングに関する実際的な知識と技術を総合的に習得させ、クリーニングを適切かつ効率的に行う能力と態度を育てる。
(1)ランドリー
ア 洗濯物の受付と仕分け
イ ランドリーの実際
ウ 被洗物の種類別乾燥方法
(2)ウェットクリーニング
ア ウェットクリーニングの実際
イ ドライクリーニングした被洗物の取扱い
ウ
カーペット
(3)ドライクリーニング
ア ドライクリーニングの実際
イ 溶剤の管理と清浄方法
ウ 有機溶剤と廃棄物
(4)仕上げ
ア ハンドアイロン仕上げ
イ シーツローラー仕上げとたたみ方
ウ 各種プレス機による仕上げと手直し
(5)しみ抜き
ア しみの判別と使用薬品
イ しみ抜きの実際
ウ 薬品の取扱いと管理
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、クリーニング工場等の産業現場における見学や実習を通して、機器・装置が適切に扱えるようにすること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(3)までについては、それぞれの被洗物に適した洗濯方法と工程等に重点を置いて指導すること。特に、内容の(3)については溶剤の管理と清浄方法に留意して扱うこと。
イ 内容の(5)については、薬品の取扱い等を具体的に指導すること。
クリーニングに関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。
(1)調査、研究、実験
(2)産業現場等における実習
(3)職業資格の取得
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、内容の(1)から(3)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお、課題は内容の(1)から(3)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては、できるだけ実験・実習を通して、実際的、具体的に理解させるようにすること。
(2)「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(3)地域や産業界との連携を図り、就業体験を積極的に取り入れるとともに、社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては、各種化学繊維、仕上げ機器等の発達を考慮して、科学的な知識と実際的な技術の習得について、特に留意すること。
(2)各科目の指導に当たっては、コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り、学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意するものとする。
初等中等教育局教育課程課
-- 登録:平成21年以前 --