理容・美容に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、その社会的意義と役割を理解させるとともに、理容・美容を通して、公衆衛生の向上に寄与する能力と態度を育てる。
理容・美容に関する法規及び制度について理解させ、理容・美容業を適切に行うために必要な能力と態度を育てる。
(1)衛生行政
ア 衛生行政の仕組みと意義
イ 保健所の組織と活動
(2)理容師法及び美容師法
ア 沿革と目的
イ 理容師及び美容師の資格
ウ 理容所及び美容所の開設
エ 罰則規定
(3)関係法規
ア 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
イ 消費者保護関係法規
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については、理容所や美容所、保健所の見学等を通して、理容師や美容師の役割や理容・美容業の意義についての自覚を促すようにすること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、衛生行政の組織のうち、特に、理容・美容業と関係の深い保健所の組織と活動を重点的に扱うこと。
イ 内容の(2)については、特に理容師や美容師の業務上の遵守事項等について扱うこと。
ウ 内容の(3)については、理容・美容の業務との関連を図り、関係法規の概要について扱うこと。
環境衛生の意義と目的について理解させるとともに、感染症の予防、消毒法に関する知識と技術を総合的に習得させ、理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
(1)公衆衛生概説
ア 公衆衛生の意義と歴史
イ 保健所と理容・美容業
(2)環境衛生
ア 環境衛生概論
イ 環境衛生各論
ウ 理容所及び美容所における環境衛生
(3)感染症
ア 感染症の種類と発生原因
イ 感染症の予防
ウ 理容・美容と感染症
(4)衛生管理技術
ア 消毒の意義と目的
イ 消毒法の種類
ウ 消毒法の実際
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、「理容・美容保健」と関連させながら、理容・美容業における衛生措置の実際的な知識と技術の習得を図ること。
イ 内容の(4)については、器具の消毒が、理容・美容の業務を衛生的に行う上で、特に重要なものであることから、実験・実習を通して、その意義を理解させ、消毒に関して必要な適切な技術等の習得に努めること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、公衆衛生と理容・美容業との結び付き、理容師や美容師の責務、保健所の業務等を重点的に扱うこと。
イ 内容の(2)については、環境と健康、衣食住の衛生、廃棄物処理と環境保全等を重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については、感染症の種類等、理容・美容と関係の深い事項を重点的に扱うこと。
エ 内容の(4)については、消毒器具の取扱い、消毒薬の保管方法等の概要を扱うこと。
人体、皮膚及び皮膚附属器官の構造と機能に関する科学的、系統的な知識を総合的に習得させ、理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
(1)人体の構造と機能
ア 人体の構造
イ 人体の調整機能
ウ 骨格、筋
エ 循環、呼吸
オ 消化、排泄
(2)皮膚及び皮膚附属器官の構造と機能
ア 構造
イ 生理作用
(3)皮膚及び皮膚附属器官の疾患
ア 皮膚に影響を及ぼす因子
イ 保護と手入れ
ウ 疾患
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、各種の模型や標本の活用、ビデオ教材等の工夫によって、専門的な知識の習得を図ること。
イ 内容の(2)及び(3)については、「理容・美容の物理・化学」と関連させながら、皮膚疾患とその感染経路、病原菌と消毒法及び予防法に関する的確な知識と技術を習得させること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、人体の構造と機能に関する基礎的・基本的な事項を、各器官の疾病と保健に関連させながら扱うこと。
イ 内容の(2)については、皮膚及び皮膚附属器官の構造や生理作用の概要を指導するとともに、特に、毛髪の保健衛生については重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については、皮膚及び皮膚附属器官に影響を与える因子、その性状に合った保護と手入れの方法等を重点的に指導すること。
理容・美容器具や香粧品等に関する科学的知識を習得させ、理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
(1)理容・美容に関する物理
ア 力、熱、光
イ 理容・美容と機械・器具
(2)香粧品に関する化学
ア 物質の構造
イ 化学反応と化合物
ウ 香粧品の種類と原料
エ 基礎香粧品の使用目的と取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、実験・実習や観察を重視するとともに、「理容・美容保健」、「理容実習」及び「美容実習」と関連させながら、実際的な知識の習得を図ること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、熱伝導、光、電磁気など理容・美容にかかわりのある物理の基本的な原理と機械・器具の構造や機能を関連させながら、その操作方法について扱うこと。
イ 内容の(2)については、溶液の性質、香粧品の原料、洗浄剤の種類等、香粧品に関する化学の概要を扱うこと。
理容・美容の業務を行うために必要な美的感覚を身に付けるとともに、豊かな表現力と鑑賞力を養う。
(1)理容・美容文化史
ア 理容・美容の変遷
イ 流行の影響
(2)理容・美容デザイン
ア 造形の意義と応用
イ 色彩の意義と応用
(3)服飾
ア 服飾の歴史
イ 理容・美容業と服飾
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、美的感覚、表現力、鑑賞力を養うために、芸術科等と関連させながら指導すること。また、生徒の興味・関心に即して、見学の機会を設けるなどして、ファッションを概括的に取り扱うこと。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、時代や地域を象徴するファッションを基に、その特徴や時代背景等について扱うこと。
イ 内容の(2)については、色彩や造形の原理等、基礎的・基本的な事項を中心に、理容・美容と関連させながら扱うこと。
ウ 内容の(3)については、時代や地域を象徴する服飾を基に、その特徴や機能、ファッション性等の概要を扱うこと。
理容・美容に関する基礎的な知識と技術を総合的に習得させ、理容・美容を衛生的、能率的に実践する態度と習慣を養うとともに、これを適切に行う能力を育てる。
(1)基礎技術
ア 理容・美容技術の意義
イ 理容・美容技術と人体各部の名称
ウ 作業姿勢
(2)器具類の取扱い
ア 種類と使用目的
イ 形態と機能
ウ 選定法と手入れ
エ 理容所と美容所の設備・備品
(3)頭部技術
ア ヘアデザインとカッティング
イ シャンプー技術とリンシング
ウ 頭部処置技術
エ アイロン技術とパーマネント技術
(4)理容の顔面技術
ア シェービング
イ 顔面処置技術
(5)特殊技術
ア 染毛技術
イ 美顔術
(6)美容の和装技術
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、「理容実習」及び「美容実習」と関連させて取り扱うこと。また、理容所や美容所の施設等とその業務の見学や器具、用具類の操作等を通して、具体的に知識と技術を習得させること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、実際の業務において必要とされる理容師や美容師としての心構え、衛生措置等の概要を扱うこと。
イ 内容の(3)については、基礎となるヘアデザインを中心に、各種頭部技術の概要について扱うこと。
ウ 内容の(5)については、染毛技術における薬剤の取扱いに重点を置いて扱うこと。
エ 内容の(6)については、日本髪の由来や名称及びその特徴、着付け技術等に重点を置いて扱うこと。
理容・美容業にかかわる運営管理の基本的事項及び適切な接客方法を習得させ、理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
(1)マーケティング
ア マーケティングの概要
イ 理容・美容業とマーケティング
(2)経営管理
ア 企業と経営
イ 理容・美容業と経理
(3)労務管理
ア 労務管理の概要
イ 社会保障制度
ウ 作業管理と健康管理
(4)接客法
ア 接客法の基本
イ 事故及びトラブルの処理
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、経営管理や労務管理の理論的、技術的な学習にとどまることなく、理容・美容の業務に関する職業観の育成に努めること。
イ 内容の(4)については、「理容実習」及び「美容実習」と関連させながら指導すること。また、理容所や美容所の施設等における実習等を通して、実践的な態度と能力を育てること。なお、接客法の指導に当たっては、個々の生徒のコミュニケーション手段の特性に合わせて、的確な接客法が身に付くよう留意すること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、マーケティング理論の概要、理容業界や美容業界の現状等を、具体的な事例を基に指導すること。
イ 内容の(2)については、経営管理や事務にかかわる基礎的・基本的な理論と事例について扱うこと。
ウ 内容の(3)については、労務管理の目的や範囲について関係法規と関連させながら扱うこと。
エ 内容の(4)については、社会生活におけるエチケットの必要性に触れるとともに、実習を通して、接客の意義、接客用語等を重点的に扱うこと。
理容に関する技術を総合的に習得させ、理容を適切に行う能力と態度を育てる。
(1)基礎技術実習
ア 実習の心構え
イ 作業位置と姿勢
ウ 施設の衛生管理
(2)器具の取扱い実習
ア 管理方法と消毒方法
イ 基本操作
(3)頭部技術実習
ア スタンダードヘアにおけるカッティング技法の実習
イ デザインヘアにおけるカッティング技法の実習
ウ ヘアセッティング技法の実習
エ シャンプー技術の実習
オ 理容マッサージ技法の実習
(4)顔面技術実習
ア シェービング技術の実習
イ 顔面処置技術の実習
(5)特殊技術実習
ア 染毛技術の実習
イ フェイスマッサージ及びトリートメント技術の実習
(6)総合実習
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、「理容・美容技術理論」と関連させながら、理容師としての専門的な技術の習得を図ること。
イ 器具、用具類の基本操作の指導に当たっては、安全で確実な操作の習得を優先するとともに、けが等の応急処置の方法にも触れること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、実習を行う際の一般的な留意事項や衛生上の留意事項について扱うこと。
イ 内容の(2)については、刃物類の安全性に留意して扱うとともに、刃物類、櫛、ブラシ類の消毒方法や研磨方法等を重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については、カッティングの準備から事後処置までの順序や各種技法の特徴等を中心に、頭部処置の実際を扱うこと。
エ 内容の(4)については、フェイスシェービング及びネックシェービングの準備から事後処置までの順序や技法等を中心に、顔面処置の実際を扱うこと。
オ 内容の(5)については、各種染毛剤の取扱い、パッチテストの方法等を扱うこと。
美容に関する技術を総合的に習得させ、美容を適切に行う能力と態度を育てる。
(1)基礎技術実習
ア 実習の心構え
イ 作業位置と姿勢
ウ 施設の衛生管理
(2)器具の取扱い実習
ア 管理方法と消毒方法
イ 基本操作
(3)頭部技術実習
ア トリートメント技術の実習
イ シャンプー技術の実習
ウ カッティング技法の実習
エ パーマネント技法の実習
オ ヘアセッティング技法の実習
(4)特殊技術実習
ア 染毛技術の実習
イ 美顔術とボディケア技術の実習
ウ 化粧技法の実習
エ マニキュアとペディキュア技術の実習
(5)和装技術実習
ア 日本髪
イ 着付け技術の実習
(6)総合実習
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、「理容・美容技術理論」と関連させながら、美容師としての専門的な技術の習得を図ること。
イ 器具、用具類の基本操作の指導に当たっては、安全で確実な操作の習得を優先するとともに、けが等の応急処置の方法にも触れること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、実習を行う際の一般的な留意事項や衛生上の留意事項について扱うこと。
イ 内容の(2)については、刃物類の安全性に留意して扱うとともに、刃物類、櫛、ブラシ類の消毒方法等を重点的に扱うこと。
ウ 内容の(4)については、各種染毛剤の取扱い、パッチテストの方法、マッサージの基本手技等を扱うこと。
エ 内容の(5)については、伝統的なヘアスタイルの重要性に触れ、基本的な着付け技術の習得を図ること。
オ 内容の(6)については、頭部技術実習や特殊技術実習などを組み合わせることにより、総合的に美容技術を扱うこと。
社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに、情報処理に関する知識と技術を習得させ、理容・美容の分野で情報及び情報手段を活用する能力と態度を育てる。
(1)情報社会とコンピュータ
ア 生活と情報処理
イ コンピュータの利用分野
ウ 情報の価値とモラル
(2)コンピュータによる情報処理
ア コンピュータの仕組み
イ コンピュータの活用
ウ 情報通信ネットワーク
(3)理容・美容とコンピュータの活用
ア 理容・美容におけるコンピュータ利用の目的と意義
イ 理容・美容におけるコンピュータ活用の実際
ウ
個人情報の管理
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては、実習を通して、実践的・体験的に理解させるよう留意すること。
イ 内容の(1)及び(2)については、理容・美容に関する題材やデータを用いることなどにより、理容・美容の分野との関連を考慮した指導を行うよう留意すること。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、生活における情報の意義や役割及びコンピュータの利用分野の概要について理解させるとともに、情報を扱う者の責任や基本的なルールについても扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては、生徒の実態に応じてアプリケーションソフトウェアを選択し、その基本操作を扱うこと。ウについては、情報通信ネットワークを活用した情報の収集、処理、発信について体験的に理解させること。
ウ 内容の(3)については、理容・美容業務において、現在、用いられているデータ処理や経営管理、顧客管理等のコンピュータの活用について扱うこと。
理容又は美容に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。
(1)調査、研究、実験
(2)作品製作
(3)産業現場等における実習
(4)職業資格の取得
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお、課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)生徒が取得しようとする資格の種類に応じて、各科目の内容を選択して指導すること。
(2)各科目の指導に当たっては、できるだけ実験・実習を通して、実際的、具体的に理解させるようにすること。
(3)「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(4)地域や理容所、美容所等との連携を図り、就業体験を積極的に取り入れるとともに、社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては、コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り、学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意するものとする。
初等中等教育局教育課程課
-- 登録:平成21年以前 --