自然に対する関心や探究心を高め、観察、実験などを行い、科学的に探究する能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な自然観を育成する。
科学と人間生活とのかかわり、自然の探究・解明や科学の発展の過程について、観察、実験などを通して理解させ、科学に対する興味・関心を高めるとともに、科学的な見方や考え方を養う。
道具や火の活用、自然の観察とその積み重ね、自然の中に見られる規則性や法則性の発見など、科学の始まりと人間生活とのかかわりについて考えさせる。
自然への疑問や興味に基づく客観的な観察と新しい発想が科学を発展させ、自然の見方を大きく転換し、展開させたことについて理解させる。
ア 物質の成り立ち
(ア)原子、分子の探究
(イ)物質の合成への道
イ 生命を探る
(ア)細胞の発見と細胞説
(イ)進化の考え方
ウ エネルギーの考え方
(ア)エネルギーの考え方の形成
(イ)電気エネルギーの利用
エ 宇宙・地球を探る
(ア)天動説と地動説
(イ)プレートテクトニクス説の成立
様々な自然認識の展開による科学の成果についての学習を踏まえて、現在及び将来における科学の課題と身近な人間生活とのかかわりについて考察させる。
ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、科学の発展と人間生活とのかかわりについて理解させ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ 内容の(1)については、この科目の導入であることを踏まえ、科学への興味・関心を高めるよう展開すること。その際、羅列的な扱いはしないこと。
ウ 内容の(2)のアからエまでについては、生徒の実態等を考慮し、それぞれ(ア)又は(イ)のいずれかを選択して扱うこと。その際、典型的な観察や実験を取り上げ、探究的な学習を行うようにすること。
エ 内容の(3)については、内容の(2)の学習を踏まえ、課題を適宜設けて考察させ、報告書にまとめたり、発表を行わせたりすること。
オ 指導に当たっては、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ア 内容の(1)については、直立歩行する人類の特性から道具や火の活用が進み、文明をつくる基礎となったこと、自然観察に基づいて、人間生活にかかわる工夫が重ねられたことを扱うこと。また、言語や文字の発達により、情報が時代を超えて集積されるようになり、古代においても人類が自然の法則性を見いだしたこと、その中には今日でも通用するものがあると同時に、実証的でなく観念的なものも長く続いていたことを扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、元素の概念や原子、分子の存在を確かめていく過程で決め手となった諸法則に関する観察や実験を通して、物質を構成する粒子の概念が形成された過程を平易に扱うこと。
(イ)については、物質の合成についての簡単な実験を通して、物質を構成する元素の組成の組替えにより、天然にしかないと思われていた物質も合成でき、合成された有用な物質が人間生活を豊かにしてきたことを扱うこと。その際、合成物質などの利用には自然界に対する配慮が重要になってきたことにも触れること。
ウ 内容の(2)のイの(ア)については、顕微鏡を用いた身近な生物の観察を通して、すべての生物を構成する基本的な単位が細胞であること、細胞の発見から細胞説が確立されたこと及び生物は自然発生をしないことを扱い、それらに関して顕微鏡の発明が重要な役割を果たしたことにも触れること。
(イ)については、進化論が提唱されるに至った過程や論争の考察を通して、地球上に生活する多様な生物が進化の過程を経て現在に至ったことを進化の事例とともに扱うこと。その際、分子進化については扱わないこと。
エ 内容の(2)のウの(ア)については、熱と仕事との関係や熱と他のエネルギーとの変換に関する実験を通して、エネルギー保存の法則が自然のあらゆる現象を貫いて成立する自然科学の一般的な原理として確立されたことを扱うこと。その際、蒸気機関の発明にも触れること。なお、数式の扱いは最小限にとどめること。
(イ)については、電気や磁気についての実験を通して、電池や発電機が発明されたことにより化学エネルギーや力学的エネルギーが電気エネルギーに変えられるようになったことを扱うこと。また、電気エネルギーは動力源、光、熱などへも容易に変換できる便利なエネルギーとして広く利用されるようになったことも扱うこと。
オ 内容の(2)のエの(ア)については、惑星の観測や観測資料から得られる惑星の運動の様子を基に、惑星の軌道を作図するなどの実習を通して、天動説から地動説への宇宙に対する見方や考え方の転換を扱うこと。その際、ケプラーの法則及びそれがニュートンの万有引力の法則の発見につながったことにもごく簡単に触れること。
(イ)については、モデル実験やコンピュータシミュレーションなどを通して、大西洋中央海嶺(れい)の発見が契機となり地球表層の運動がプレートの動きで説明できるようになるまでの過程を平易に扱い、地殻や地表に見られる地学現象がそれによって説明できるようになったことにも触れること。
カ 内容の(3)については、(2)で学習した内容の発展として、生徒の興味・関心等に応じて、物質とエネルギー、生命と環境、宇宙と地球などの分野から、現在及び将来の社会における科学に関連した課題を取り上げて、身近な人間生活とのかかわりについて平易に扱うこと。
自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
身近な自然の事物・現象についての観察、実験などを通して、それらの基本的な方法を習得させるとともに、エネルギーや物質について考察させ、自然を探究する力を養う。
ア 自然の見方
自然をエネルギーや物質の変化と変換などでとらえ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
イ 探究の仕方
具体的な事例についての観察、実験などを通して、探究の進め方を体得させる。
人間生活にかかわりの深い化石燃料、原子力、水力、太陽光などの利用の際見られる現象は、エネルギーという共通概念でとらえられることを理解させる。
ア 資源の開発と利用
(ア)エネルギー資源の利用
蓄積型の化石燃料と原子力及び非蓄積型の水力、太陽エネルギーなどの特性や有限性及びその利用などについて理解させる。
(イ)その他の資源の開発と利用
金属、非金属資源の特性や有限性、資源探査の方法や開発、再利用について理解させる。
イ いろいろなエネルギー
(ア)仕事と熱
電流による発熱や仕事など、熱と仕事を中心としてエネルギーの基礎について理解させる。
(イ)エネルギーの変換と保存
太陽エネルギーは仕事に変えられたり生物のエネルギー源になったりすること及びエネルギーは変換されるがその総量は保存されることについて理解させる。
身の回りの物質は原子、分子、イオンから成り立ち、それらの粒子の結び付きの変化で物質の性質が変わることやエネルギーの出入りがあることを理解させる。
ア 物質の構成と変化
(ア)物質の構成単位
原子、分子、イオンとその結合についての基礎を理解させる。
(イ)物質の変化
物質の状態変化及び化学変化における原子、分子、イオンの状態をエネルギーと関連させて理解させる。
イ 物質の利用
(ア)日常生活と物質
人間生活とかかわりの深い物質の特性と利用及び物質の製造にエネルギーが必要であることについて理解させる。
(イ)生物のつくる物質
生物が有用な物質をつくること及び生物体内の化学反応の精妙さについて理解させる。
科学技術の成果と今後の課題について考察させ、科学技術と人間生活とのかかわりについて探究させる。
ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、日常生活と関連付けて身近な自然の事物・現象についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ 内容の(1)については、内容の(2)から(4)までの事項と関連を図り、具体的な事例を取り上げて扱うこと。また、内容の(2)から(4)までの中で扱うこともできること。指導に当たっては、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ウ 内容の(2)から(4)までについては、各項目を有機的に関連付けて自然を総合的にとらえられるようにすること。
エ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)までの学習を踏まえ、課題を適宜設けて探究させ、報告書にまとめたり、発表を行わせたりすること。
ア 内容の(1)のアについては、電流と熱、力と仕事、物質の成分などに関連した身近な自然の事物・現象の中から適宜事例を取り上げ、観察、実験などを基にして扱うこと。
イについては、具体的な課題を取り上げ、観察、実験などを中心に扱うこと。その際、得られた数値の処理の仕方やグラフの表し方にも簡単に触れること。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、多様なエネルギー資源が発電や熱源に利用されていること及び蓄積型のエネルギー資源の成因、分布、埋蔵量の有限性並びにこれらがエネルギーとして利用できる過程についての概略を扱い、環境への配慮が必要であることにも触れること。その際、羅列的な扱いはしないこと。原子力に関連して、天然放射性同位体の存在やα線、β線、γ線の性質にも触れること。(イ)については、金属、非金属資源となる元素が地殻の中に地域的に濃縮して鉱床をつくっていることを扱うこと。また、海洋底を含めて資源の探査及び資源の有効利用にも触れるが、深入りしないこと。
イの(ア)については、力と仕事の基礎概念を扱うとともに、位置及び運動のエネルギーの考えを仕事の概念と結び付けて扱うこと。その際、熱が仕事に変わる際の不可逆性も含めて仕事と熱量や電力量などのエネルギーとの関係にも触れること。(イ)については、太陽エネルギーにより水が位置エネルギーを得て、水力、電力として利用されること、光合成で有機物が生成され、呼吸によって生物のエネルギー源となり、その一部は化石燃料のエネルギーとして蓄積され、燃料となっていることなどを身近な事例を基に扱うこと。また、エネルギー保存の法則により、一見多様な現象が統一的にとらえられることを扱うこと。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、元素の周期性を基に原子、分子、イオンを平易な例に基づいて扱うこと。また、原子の構造も簡単に扱うこと。(イ)については、三態変化、燃焼、酸化・還元、中和などの中から事例を一つ又は二つ選び、物質の状態変化や化学変化にはエネルギーの出入りが伴うことを扱うこと。
イの(ア)については、半導体、磁性体、金属、セラミックス、プラスチックの中から二つ又は三つの事例を選び扱うこと。(イ)については、人間が衣食住や医療の分野において生物のつくる物質に支えられていること、おだやかな条件下で特定の物質を効率よくつくる生物の働きなどを扱うこと。その際、自然界における生物の働きに与える合成物質の影響にも触れること。
エ 内容の(4)については、生徒の興味・関心等に応じて、物質や資源の利用、ネルギーの変換や利用など科学技術に関する身近な課題を取り上げ、科学技術と人間生活とのかかわりなどを平易に扱うこと。
自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、生物とそれを取り巻く環境を中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
身近な自然の事物・現象についての観察、実験などを通して、それらの基本的な方法を習得させるとともに、生物とそれを取り巻く環境について考察させ、自然を探究する力を養う。
ア 自然の見方
自然を多様性と共通性、変化と平衡などでとらえ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
イ 探究の仕方
具体的な事例についての観察、実験などを通して、探究の進め方を体得させる。
生命の星としての地球の変遷をたどり、生命の出現と生物の変遷は地球環境の変化とかかわっていること及び生物は遺伝という共通の性質をもち、親の形質を子に伝えていることについて理解させる。
ア 地球の移り変わり
(ア)惑星としての地球
他の惑星との比較において、生命を生み出す条件を備えた地球の特徴について理解させる。
(イ)地球の変動
プレートの動きによる世界の大山脈の形成などの大地の変動について理解させる。
イ 生物の移り変わり
(ア)生物の変遷
地球上の光合成生物の誕生から生物が陸上に進出し現在の生物に至るまでの変遷について理解させる。
(イ)遺伝の規則性
生物には親から子へ形質を伝える遺伝現象があり、そこには遺伝子の存在という共通性があることを理解させる。
地球上の様々な自然環境は、変化するとともに、その過程で平衡が保たれ、そこで多様な生物が生活していることについて理解させる。
ア 地表の姿と大気
(ア)多様な景観
現在の地球上の陸地、島弧、海洋底などの景観の特徴とその成因について理解させる。
(イ)大気と水の循環
地球規模の大気と水の循環や運動について理解させ、地球上では熱の移動が行われ、熱的平衡が保たれていることを認識させる。
イ 生物と環境
(ア)生物の多様性
地球には多様な生物が存在していること及びそれらの生活の多様性について理解させる。
(イ)生物と環境とのかかわり
生物とそれを取り巻く環境は種々の生態系としてとらえることができること及び生態系における生物と環境とのかかわりを理解させる。
生物とそれを取り巻く環境の現状と課題について考察させ、人間と地球環境とのかかわりについて探究させる。
ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、日常生活と関連付けて身近な自然の事物・現象についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ 内容の(1)については、内容の(2)から(4)までの事項と関連を図り、具体的な事例を取り上げて扱うこと。また、内容の(2)から(4)までの中で扱うこともできること。指導に当たっては、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ウ 内容の(2)から(4)までについては、各項目を有機的に関連付けて自然を総合的にとらえられるようにすること。
エ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)までの学習を踏まえ、課題を適宜設けて探究させ、報告書にまとめたり、発表を行わせたりすること。
ア 内容の(1)のアについては、大地の変動、大気と水の循環、生態系などに関連した身近な自然の事物・現象の中から適宜事例を取り上げ、観察、実験などを基にして扱うこと。
イについては、具体的な課題を取り上げ、観察、実験、野外観察、調査などを中心に扱うこと。その際、得られた数値の処理の仕方やグラフの表し方及び野外観察の記録の取り方や整理の仕方などにも簡単に触れること。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、地球の表面の様子を太陽系の他の惑星の表面の様子と比較して扱うとともに、生命を生み出した条件としての大気や水の存在などの地球の特徴を扱うこと。また、地球誕生時の大気、水、大地の様子や生命の化学進化について扱うが、地球の誕生については簡単に触れるにとどめること。(イ)については、プレートの動きによる大地の変動を平易に扱うこと。その際、世界の大山脈の形成など典型的な事例を取り上げ、それに関連して、褶(しゅう)曲や断層、不整合にも触れること。プレートの移動の原因については深入りしないこと。
イの(ア)については、生物の変遷の羅列的な扱いはしないこと。また、大気の組成の変化と生命活動との相互のかかわりについても扱うこと。光合成生物の出現と関連し、太陽放射エネルギーについても扱い、その際、光の種類と性質にも触れること。(イ)についてはメンデルの法則のうち、優性の法則と分離の法則を扱うが、遺伝子については遺伝子の本体がDNAであることを指摘する程度にとどめること。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、火山、山脈、河川、海岸などの陸地、島弧、海溝や海嶺などの海洋底の景観の特徴を扱い、その成因については、太陽放射エネルギーと地球内部のエネルギーとの関連において平易に扱うこと。その際、羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、地球規模の大気と水の循環や運動を扱い、日本付近の大気の動きと気象の変化との関連にも触れること。また、水や空気の性質、水が二酸化炭素とともに地球の温度を一定に保っていることも扱うこと。
イの(ア)については、地球には様々な動物や植物が存在すること及びそれらがそれぞれの環境の下で多様な生活の仕方をしていることを具体的な例を通して扱うこと。その際、無脊椎(せきつい)動物及び種子をつくらない植物を含めて扱うこと。
(イ)については、地球上の生物とそれを取り巻く環境との関係が、陸上や水中のそれぞれに特徴的な生態系としてとらえられることを扱い、食物網については簡単な扱いにとどめること。その際、生態系における炭素、窒素の循環やエネルギーの流れも扱うこと。また、人間も構成要素として含め、地球そのものが一つの大きな生態系とみなせることも扱うこと。
エ 内容の(4)については、生徒の興味・関心等に応じて、水や大気の汚染、植物の遷移現象、地球温暖化など生物とそれを取り巻く環境に関する身近な課題を取り上げ、人間と環境とのかかわり、地球環境を保全することの重要性などを平易に扱うこと。
物理的な事物・現象についての観察、実験などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。
生活の中で用いられている電気や磁気の性質を観察、実験などを通して探究し、それらへの関心を高めるとともに、基本的な概念や法則を理解させ、電気の性質と日常生活とのかかわりについて認識させる。
ア 生活の中の電気
(ア)電気と生活
(イ)モーターと発電機
(ウ)交流と電波
イ 電気に関する探究活動
地震波、水波、光、音などいろいろな波について共通の性質を観察、実験などを通して探究し、波動現象についての基本的な概念や法則を理解させるとともに、それらを日常生活と関連付けて考察できるようにする。
ア いろいろな波
イ 音と光
(ア)音の伝わり方
(イ)音の干渉と共鳴
(ウ)光の伝わり方
(エ)光の回折と干渉
ウ 波に関する探究活動
日常に起こる物体の運動や様々なエネルギーの現象を観察、実験などを通して探究し、それらの基本的な概念や法則を理解させ、運動とエネルギーについての基礎的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 物体の運動
(ア)日常に起こる物体の運動
(イ)運動の表し方
(ウ)運動の法則
イ エネルギー
(ア)エネルギーの測り方
(イ)運動エネルギーと位置エネルギー
(ウ)熱と温度
(エ)電気とエネルギー
(オ)エネルギーの変換と保存
ウ 運動とエネルギーに関する探究活動
ア 中学校理科との関連を考慮しながら、物理学の基本的な概念の形成を図るとともに、物理学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行い、創意ある報告書の作成や発表を行わせること。また、それらを通して、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、実験データの分析・解釈、法則性の発見など探究の方法を習得させること。その際、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ア 内容の(1)のアについては、観察や実験を中心に扱うこと。(ア)については、人間生活と電気とのかかわりを扱うこと。(イ)については、身近なモーターや発電機を取り上げ、その原理などを扱うこと。(ウ)については、家庭で使用されている電気が交流の電気であることや情報通信に電波を利用していることなど、身近に使われている電気や電波の性質などを扱うこと。また、放電現象にも簡単に触れること。
イ 内容の(2)のアについては、身の回りの波動現象について観察、実験を中心に扱うこと。その際、縦波や横波にも簡単に触れること。イの(ア)については、ドップラー効果の扱いは初歩的な程度にとどめること。(ウ)については、光の速さ、反射及び屈折を扱い、レンズの幾何光学的な性質に触れる場合は、初歩的な程度にとどめること。(エ)については、実験を中心に扱い、光は横波であることや光のスペクトルにも触れること。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、空気抵抗や摩擦のある運動の観察を中心に扱うこと。また、水中での運動については、水圧や浮力にも簡単に触れること。(イ)及び(ウ)については、直線運動を中心に扱うこと。(イ)については、力の合成・分解、力のつり合い、摩擦力、弾性力にも簡単に触れること。慣性モーメントは扱わないこと。(ウ)については、質量と重さの違い及び放物運動も扱い、物体に働く力にも触れること。その際、空気の抵抗は定性的に扱うこと。イの(ア)については、仕事率も扱うこと。(イ)については、弾性エネルギー及び力学的エネルギーの保存にも触れること。(ウ)については、分子運動と温度の関係を定性的に扱い、比熱及び内部エネルギーにも触れること。(エ)については、ジュール熱を中心に、電界中の電荷の移動とエネルギーの関係を扱う程度にとどめること。(オ)については、熱現象における不可逆変化にも触れること。
物理的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。
運動とエネルギーについての基礎的な見方や考え方に基づき、物体の運動を観察、実験などを通して探究し、力と運動に関する概念や原理・法則を系統的に理解させ、それらを応用できるようにする。
ア 物体の運動
(ア)平面上の運動
(イ)運動量と力積
イ 円運動と万有引力
(ア)円運動と単振動
(イ)万有引力による運動
電気や磁気に関する現象を観察、実験などを通して探究し、電気や磁気に関する基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ、それらを様々な電磁気現象に応用して考察できるようにする。
ア 電界と磁界
(ア)電荷と電界
(イ)電流による磁界
イ 電磁誘導と電磁波
(ア)電磁誘導
(イ)電磁波
物質と原子に関する現象を観察、実験などを通して探究し、物質の物理的な性質が原子や分子などの運動によってもたらされることを理解させ、固体の性質を電子の状態と関連付けて考察できるようにする。
ア 原子、分子の運動
(ア)物質の三態
(イ)分子の運動と圧力
イ 原子、電子と物質の性質
(ア)原子と電子
(イ)固体の性質と電子
光や電子の波動性と粒子性、原子や原子核、素粒子における現象を観察、実験などを通して探究し、量子的な考えなど基本的な概念や原理・法則を理解させる。
ア 原子の構造
(ア)粒子性と波動性
(イ)量子論と原子の構造
イ 原子核と素粒子
(ア)原子核
(イ)素粒子と宇宙
物理についての応用的、発展的な課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行い、物理学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
ア 特定の物理的事象に関する研究
イ 物理学を発展させた実験に関する研究
ア 「物理Ⅰ」との関連を考慮しながら、物理学の基本的な概念の形成を図るとともに、物理学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 内容の(1)から(5)までのうち、(1)、(2)及び(5)についてはすべての生徒に履修させること。(3)及び(4)については生徒の興味・関心等に応じていずれかを選択することができること。
ウ 内容の(5)については、ア及びイの中から一つ以上の適当な課題を設けて適切な時期に研究を行うものとし、創意ある研究報告書の作成や研究発表を行わせること。研究を行うに当たっては、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、実験データの分析・解釈、法則性の発見など探究の方法を習得させること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、計測・制御、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。
ア 内容の(1)のアの(ア)については、運動の記述と運動の法則を扱うこと。(イ)については、運動量の保存も扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、コンデンサーの基本的な性質にも触れること。(イ)については、直線電流及び円電流による磁界を中心に扱うこと。また、ローレンツ力にも触れること。イの(ア)については、電磁誘導の法則を中心に扱い、交流回路については定性的に扱うにとどめること。(イ)については、実験を中心に扱うこと。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、物質の状態変化を扱う際に、熱膨張にも触れること。(イ)については、理想気体の状態方程式及び分子運動と絶対温度の関係を扱うこと。また、モル比熱を扱う場合は単原子分子にとどめること。イの(ア)については、電子の波動性も簡単に扱うこと。(イ)については、物質中の電子の状態によって、導体、不導体、半導体などがあることを扱うこと。
エ 内容の(4)のアの(イ)については、水素原子の構造を中心にスペクトルと関連させて扱うこと。イの(ア)については、放射線及び原子力の利用とその安全性の問題にも触れること。(イ)については、素粒子を中心に扱い、宇宙については、素粒子の研究が宇宙の始まりの研究と結び付いてきたことに簡単に触れる程度とすること。
オ 内容の(5)については、内容の(1)から(4)まで及び「物理Ⅰ」と関連させて扱うこと。イについては、物理学の歴史における著名な実験などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。
化学的な事物・現象についての観察、実験などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。
化学の役割や物質の扱い方を理解させるとともに、物質に対する関心を高め、物質を探究する方法を身に付けさせる。また、物質の構成粒子を観察、実験などを通して探究し、基本的な概念を理解させ、物質について微視的な見方ができるようにする。
ア 物質と人間生活
(ア)化学とその役割
(イ)物質の探究
イ 物質の構成粒子
(ア)原子、分子、イオン
(イ)物質量
ウ 物質の構成に関する探究活動
無機物質と有機化合物の性質や変化を観察、実験などを通して探究し、物質に関する基本的な概念や法則を理解させるとともに、それらを日常生活と関連付けて考察できるようにする。
ア 無機物質
(ア)単体
(イ)化合物
イ 有機化合物
(ア)炭化水素
(イ)官能基を含む化合物
ウ 物質の種類と性質に関する探究活動
反応熱、酸と塩基の反応、酸化還元反応を観察、実験などを通して探究し、基本的な概念や法則を理解させるとともに、化学反応をエネルギーの出入りと関連付けて考察できるようにする。
ア 化学反応
(ア)反応熱
(イ)酸・塩基、中和
(ウ)酸化と還元
イ 物質の変化に関する探究活動
ア 中学校理科との関連を考慮しながら、化学の基本的な概念の形成を図るとともに、化学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行い、創意ある報告書の作成や発表を行わせること。また、それらを通して、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、実験データの分析・解釈など探究の方法を習得させること。その際、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ア 内容の(1)のアの(ア)については、化学の成果が人間生活を豊かにしたことを具体例を通して扱うこと。その際、有害な物質については適切な管理が必要であることにも触れること。(イ)については、物質の分離・精製の方法や物質の確認の反応などの基本操作を扱うこと。イの(ア)については、原子は電子と原子核から成り立っていることを扱い、電子配置は周期表の第3周期までの元素及びアルカリ金属、ハロゲン、希ガス元素を対象とする程度にとどめること。また、イオンや分子の形成について簡単に扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては、第3周期までの元素や日常生活とかかわりの深い元素が関係する物質及びイオンを中心に扱うが、羅列的な扱いはしないこと。金属イオンの系統的分離は扱わないこと。代表的な無機物質については、化学工業との関連にも触れること。イの(ア)については、炭素、水素の2種類の元素からなる代表的な化合物の構造や性質を扱うが、個々の化合物の羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、酸素及び窒素を含む官能基をもつ代表的な有機化合物を扱うが、羅列的な扱いはしないこと。油脂のケン化価及びヨウ素価は扱わないこと。また、配座異性体は扱わないこと。高分子化合物については、日常生活と特に関連の深いものについて、反応や構造に関係ある箇所で扱うこと。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、熱化学方程式を中心に扱うこと。(イ)については、酸・塩基の強弱は定性的な扱いにとどめ、pHは測定実験を中心に扱うこと。(ウ)については、電子の授受による反応を中心に扱うこと。また、代表的な酸化剤、還元剤にも触れるが、その強弱は定性的な扱いにとどめること。
化学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。
気体、液体、固体の性質を観察、実験などを通して探究し、化学結合の概念や物質の構造を理解させる。また、反応速度と化学平衡を観察、実験などを通して探究し、化学反応を平衡と関連付けて理解させる。
ア 物質の構造
(ア)化学結合
(イ)気体の法則
(ウ)液体と固体
イ 化学平衡
(ア)反応速度
(イ)化学平衡
日常生活と関係の深い食品や衣料、プラスチック、金属、セラミックスを観察、実験などを通して探究し、それらの性質や反応を理解させ、身の回りの物質について科学的な見方ができるようにする。
ア 食品と衣料の化学
(ア)食品
(イ)衣料
イ 材料の化学
(ア)プラスチック
(イ)金属、セラミックス
生命体を構成する物質、生命現象と関係する化学反応、医薬品や肥料を観察、実験などを通して探究し、それらの性質や利用について理解させ、化学の成果が日常生活に役立っていることを認識させる。
ア 生命の化学
(ア)生命体を構成する物質
(イ)生命を維持する化学反応
イ 薬品の化学
(ア)医薬品
(イ)肥料
化学についての応用的、発展的な課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行い、化学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
ア 特定の化学的事象に関する研究
イ 化学を発展させた実験に関する研究
ア 「化学Ⅰ」との関連を考慮しながら、化学の基本的な概念の形成を図るとともに、化学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 内容の(1)から(4)までのうち、(1)及び(4)についてはすべての生徒に履修させること。(2)及び(3)については生徒の興味・関心等に応じていずれかを選択することができること。
ウ 内容の(4)については、ア及びイの中から一つ以上の適当な課題を設けて適切な時期に研究を行うものとし、創意ある研究報告書の作成や研究発表を行わせること。研究を行うに当たっては、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、実験データの分析・解釈、推論など探究の方法を習得させること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、計測・制御、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。
ア 内容の(1)のアの(ア)については、電気陰性度は、水素、炭素、窒素、酸素、ハロゲンの大小関係を示す程度にとどめること。(イ)については、理想気体の状態方程式を中心に気体の共通な性質を扱うこと。気体の分子運動論については定量的な扱いはしないこと。気体の分圧については、混合気体の全圧との関係で扱い、圧力の単位にはPa(パスカル)を用いること。(ウ)については、物質が分子の熱運動により三態変化することを扱うこと。結晶については、原子、分子又はイオンの配列を扱うにとどめること。溶液について沸点上昇、凝固点降下、浸透圧を扱う場合は定量的な扱いはしないこと。
イの(ア)については、化学反応の速度が濃度、温度、触媒などの影響を受けることを代表的な事例を通して定性的に扱うこと。触媒についてはごく簡単に扱うこと。(イ)については、平衡定数は、弱酸や弱塩基のごく簡単な系を扱うにとどめること。また、水のイオン積にも触れること。化学平衡の移動については、ルシャトリエの原理を中心に扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、食品中の主な成分の構造や性質、反応を扱うこと。(イ)については、代表的な天然繊維及び合成繊維の構造、性質、合成及び用途を扱うこと。染料や洗剤にも簡単に触れること。イの(ア)については、代表的なプラスチックの構造、性質、合成及び用途を扱い、燃焼にかかわる安全性にも触れること。(イ)の金属については、腐食の難易やその防止にも触れること。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、生命体を構成する基本的な物質の構造と性質を扱うこと。(イ)については、生命体内に摂取された物質の分解や再合成、エネルギーを得る反応などを取り上げ、それらが化学反応であることを扱うこと。その際、酵素については、化学反応に関与するタンパク質であることに触れる程度とし、羅列的な扱いはしないこと。イの(ア)については、薬理作用をもつ基本的な物質の性質や構造を扱うが、羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、植物の成長に必要な元素の作用及び化学肥料の合成や性質を扱うこと。
エ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)まで及び「化学Ⅰ」と関連させて扱うこと。イについては、化学の歴史における著名な実験などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。
生物や生物現象についての観察、実験などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。
細胞、生殖と発生及び遺伝について観察、実験などを通して探究し、生物体の成り立ちと種族の維持の仕組みについて理解させ、生命の連続性についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 細胞
(ア)細胞の機能と構造
(イ)細胞の増殖と生物体の構造
イ 生殖と発生
(ア)生殖細胞の形成と受精
(イ)発生とその仕組み
ウ 遺伝
(ア)遺伝の法則
(イ)遺伝子と染色体
エ 生命の連続性に関する探究活動
環境と生物の反応の間に見られる仕組みを観察、実験などを通して探究し、生物は、個体として外部環境の変化に対応して、安定した内部環境を維持したり、成長や器官の分化を調節したりすることを理解させる。
ア 環境と動物の反応
(ア)体液とその恒常性
(イ)刺激の受容と反応
イ 環境と植物の反応
(ア)植物の生活と環境
(イ)植物の反応と調節
ウ 環境と生物の反応に関する探究活動
ア 中学校理科との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行い、創意ある報告書の作成や発表を行わせること。また、それらを通して、仮説の設定、実験の計画、情報の収集、調査、対照実験、データの解釈など探究の方法を習得させること。その際、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ア 内容の(1)のアの(ア)については、細胞への物質の出入りや酵素も扱うこと。酵素については、酵素が細胞内や細胞外で作用することにより、生物現象を維持していることに触れる程度にとどめること。また、原核細胞の構造にも簡単に触れること。(イ)については、体細胞分裂によって様々な機能をもつ組織や器官をつくることにも触れるが、基本的な事項にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。イの(ア)については、有性生殖を中心に扱い、生活環は扱わないこと。(イ)については、卵割や発生様式の羅列的な扱いはしないこと。発生の仕組みを扱うに当たっては、探究の過程に重点を置き、平易に扱うこと。分化についての分子生物学的な扱いはしないこと。ウの(ア)については、遺伝子の相互作用も扱うが、代表的な二つ又は三つの例にとどめること。(イ)については、遺伝子の連鎖と組換えも扱うが、二重乗換えには触れないこと。また、DNAの構造については二重らせん構造に触れる程度にとどめること。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、体液の働きとその循環に触れ、恒常性の維持の原理についても代表的な例に基づいて扱うこと。生体防御については、平易に扱うこと。その際、人の健康との関連にも簡単に触れること。(イ)については、受容器は代表的な一つ又は二つの例を中心に扱うこと。神経の興奮については初歩的な事項にとどめ、その仕組みは扱わないこと。脳を扱う場合、つくりについては深入りしないこと。動物の行動を扱う場合は一つ又は二つの例に基づいて、行動の発現する仕組みを扱うこと。イの(ア)については、水分の吸収、移動や光合成等と環境との関係を扱うが、光合成の仕組みは扱わないこと。(イ)については、植物の発芽、成長、花芽形成等と環境との関係について探究の過程を重視して扱うこと。
生物や生物現象についての観察、実験や課題研究などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、生物学的に探究する能力や態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。
生物体内の化学変化やエネルギー変換、様々な生物現象を支えるタンパク質や核酸などの働きを観察、実験などを通して探究し、生命を維持する共通の原理を理解させ、生物現象を分子レベルでとらえることができるようにする。
ア タンパク質と生物体の機能
(ア)生物体内の化学反応と酵素
(イ)同化と異化
(ウ)タンパク質の機能
イ 遺伝情報とその発現
(ア)遺伝情報とタンパク質の合成
(イ)形質発現の調節と形態形成
(ウ)バイオテクノロジー
生物の分類と系統及び進化の過程とその仕組みを観察、実験などを通して探究し、生物界の多様性と歴史的変遷を理解させ、分類と進化についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 生物の分類と系統
(ア)生物の分類
(イ)生物の系統
イ 生物の進化
(ア)生物界の変遷
(イ)進化の仕組み
個体群の構造と維持、生物群集と生態系について観察、実験などを通して探究し、生物を集団のレベルでとらえて生物と環境とのかかわりについて理解させ、自然界における生物集団についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 個体群の構造と維持
(ア)個体群の維持と適応
(イ)物質生産と植物の生活
イ 生物群集と生態系
(ア)生物群集の維持と変化
(イ)生態系とその平衡
生物についての発展的、継続的な課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行い、生物学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
ア 特定の生物や生物現象に関する研究
イ 自然環境についての調査
ア 「生物Ⅰ」との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 内容の(1)から(4)までのうち、(1)及び(4)についてはすべての生徒に履修させること。(2)及び(3)については生徒の興味・関心等に応じていずれかを選択することができること。
ウ 内容の(4)については、ア及びイの中から一つ以上の適当な課題を設けて適切な時期に研究を行うものとし、創意ある研究報告書の作成や研究発表を行わせること。研究を行うに当たっては、課題や仮説の設定、実験の計画、情報の収集、対照実験、調査、測定、数的処理、分類、データの解釈、推論など探究の方法を習得させること。その際、解決すべき課題についての情報の収集・検索、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。
ア 内容の(1)のアの(ア)については、代謝を理解するために必要な最小限の化学の基礎知識に触れること。(イ)については、同化と異化の例として光合成や呼吸などの仕組みを扱うが、反応系の物質の羅列的な扱いはしないこと。(ウ)については、免疫や筋収縮、細胞間情報伝達などをタンパク質の機能の観点から平易に扱うこと。イの(ア)については、遺伝情報、遺伝子の複製、タンパク質の合成などを核酸の構造に基づいて平易に扱うこと。その際、DNAやRNAの分子構造は、模式的に示す程度にとどめること。(イ)については、形質発現の調節、細胞の分化や形態形成の仕組みの初歩的な事項を扱うこと。(ウ)については、遺伝子操作や細胞融合などの例を通して平易に扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、分類の基準を理解する上で必要な程度にとどめ、各分類群の羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、多様な生物が存在することについて、それらの系統関係を探究的に考察する過程を重視して扱うこと。イの(ア)については、生命の起源及び進化の過程の概要を扱うこと。(イ)については、生物の変異、進化の証拠やその要因などを扱うが、集団遺伝については初歩的な事項にとどめること。進化説については代表的なものを中心に扱うこと。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、個体群の成長の様式や個体群が様々な環境に適応して維持される仕組みなどについて、基本的な事項を中心に平易に扱うこと。(イ)については、光合成による植物の物質生産と植物の形態や生活との関連などを、代表的な例を通して扱うこと。イの(ア)については、生物群集内での個体群間の相互作用、植物群落の遷移や生態分布などを扱うこと。(イ)については、食物網や物質循環・エネルギーの流れなどについてそれぞれ代表的な例を通して扱うこと。環境の保全については、羅列的な扱いはしないこと。
エ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)まで及び「生物Ⅰ」と関連させて扱うこと。イについては、野外の生物に関する調査・研究などを行うこと。
地学的な事物・現象についての観察、実験などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。
惑星としての地球の特徴及び地球表層や内部に見られる地学的事象を観察、実験などを通して探究し、地球表層や内部を相互に関連させ、地球の歴史の経過の中でとらえることができるようにする。
ア 地球の概観
(ア)太陽系の中の地球
(イ)地球の形状と活動
イ 地球の内部
(ア)地球の内部構造と構成物質
(イ)火山と地震
ウ 地球の歴史
(ア)野外観察と地形・地質
(イ)地層の形成と地殻変動
(ウ)化石と地質時代
エ 地球の構成に関する探究活動
地球の大気圏及び水圏での現象を観察、実験などを通して探究し、それらが太陽放射エネルギーを原動力としていることを理解させる。また、太陽や恒星の活動を観察、実験などを通して探究し、宇宙の構造や広がりを理解させる。
ア 大気と海洋
(ア)大気の熱収支と大気の運動
(イ)海水の運動
イ 宇宙の構成
(ア)太陽の形状と活動
(イ)恒星の性質と進化
(ウ)銀河系と宇宙
ウ 大気・海洋と宇宙の構成に関する探究活動
ア 中学校理科との関連を考慮しながら、地学の基本的な概念の形成を図るとともに、地学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行い、創意ある報告書の作成や発表を行わせること。また、それらを通して、仮説の設定、実験の計画、情報の収集、野外観察、調査、データの解釈、推論など探究の方法を習得させること。その際、適宜コンピュータなどの活用を図ること。
ア 内容の(1)のアについては、重力及び地磁気についての詳細な扱いはしないこと。(ア)については、地球の誕生及び地球、惑星、月の表面の様子や大きさなどの特徴を扱うこと。また、地球における生物の生存要因にも触れること。太陽系の構造に関連してケプラーの法則も扱うこと。(イ)については、地球表層の形成と活動を中心に平易に扱うこと。イの(ア)については、プレートの概念も扱い、マントル内部の運動にも簡単に触れること。構成物質については、岩石を中心に扱い、鉱物については主要なものにとどめること。結晶系は扱わないこと。(イ)については、地震及び火山活動をプレートの運動と関連させて扱うこと。地球内部のエネルギー源については深入りしないこと。ウの(ア)については、地形と露頭の観察を中心に扱い、地質図については初歩的な事項にとどめること。(イ)については、岩石の相互関係や変形、現在及び地質時代の地殻の変動を中心に扱うこと。(ウ)については、地質時代が生物界の変遷に基づいて区分されることを中心に扱い、ヒトの進化にも触れるが、古生物の羅列的な扱いはしないこと。放射年代にも触れるが、詳細な扱いはしないこと。
イ 内容の(2)のアについては、大気及び海洋の運動が太陽放射エネルギーを原動力として起きていることを地球規模で扱うこと。(ア)については、緯度による受熱量の違いによって大気の大循環が生じていることを中心に扱い、日本の四季の気象も扱うこと。また、オゾン層の破壊などの地球環境問題にも触れること。偏西風波動については深入りしないこと。大気圏の層構造、大気中の水、風の吹き方も扱うが、転向力については定量的な扱いはしないこと。(イ)については、海洋の層構造と大循環及び海流を扱うこと。また、エルニーニョ現象など大気と海洋の相互作用を平易に扱うこと。潮汐(せき)は扱わないこと。イの(ア)については、エネルギー源としての核融合を扱うが、概略にとどめること。(イ)については恒星のHR図を中心に扱い、恒星の性質や進化については定性的な扱いにとどめること。(ウ)については、銀河系の構造を中心に扱い、宇宙の膨張については定量的な扱いはしないこと。
地学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。
プレートの動きや地殻の変化を観察、実験などを通して探究し、現在の地球の変動の様子、地球の進化や日本列島の変遷を理解させ、地球を動的にとらえることができるようにする。
ア プレートの動きと地殻の変化
(ア)プレートの動き
(イ)大地形の形成
イ 日本列島の変遷
(ア)島弧としての日本列島
(イ)日本列島の地史
地球の重力や地磁気及び大気と海洋の現象を観察、実験などを通して探究し、大気と海洋の運動の基本的原理や観測方法を理解させ、地球表層の環境についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 地球の観測
(ア)重力と地磁気
(イ)気象と海洋の観測
イ 大気と海洋の現象
(ア)気象と気候
(イ)海洋の現象
天体の放射や宇宙に関する現象を観察、実験などを通して探究し、宇宙の広がりや観測方法を理解させ、宇宙の構造と進化についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 天体の観測
(ア)天体の放射
(イ)天体の様々な観測
イ 宇宙の広がり
(ア)天体の距離と質量
(イ)宇宙の構造
地学についての発展的、継続的な課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行い、地学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
ア 特定の地学的事象に関する研究
イ 自然環境についての調査
ア 「地学Ⅰ」との関連を考慮しながら、地学の基本的な概念の形成を図るとともに、地学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ 内容の(1)から(4)までのうち、(4)についてはすべての生徒に履修させること。(1)、(2)及び(3)については生徒の興味・関心等に応じていずれか二つを選択することができること。
ウ 内容の(4)については、ア及びイの中から一つ以上の適当な課題を設けて適切な時期に研究を行うものとし、創意ある研究報告書の作成や研究発表を行わせること。研究を行うに当たっては、課題や仮説の設定、実験の計画、情報の収集、野外観察、調査、数的処理、分類、データの解釈、推論など探究の方法を習得させること。その際、解決すべき課題についての情報の収集・検索、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。
ア 内容の(1)のアの(ア)については、海洋プレートの生成・移動・消滅を中心に扱うこと。(イ)については、プレート境界の種類と大地形の関係、大陸地殻の成長を中心に扱うこと。イの(ア)については、日本列島の地質構造や火山・地震に見られる特徴を、日本付近のプレート境界と関連させて扱うこと。その際、地殻熱流量にも触れること。(イ)については、古環境の変遷も扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については、ジオイド、重力異常、地磁気の成因にも触れるが、詳細な扱いはしないこと。(イ)については、人工衛星などから得られる情報の活用も図ること。また、高層天気図も扱い、高層大気の流れと地上の天気変化との関連にも触れること。イの(ア)については、偏西風帯の気象を中心に、気候の形成を地球規模で扱い、気候の形成に対する海洋の働きにも触れること。水の循環に関連して陸水にも触れること。(イ)については、津波も扱うこと。海洋の現象の羅列的な扱いはしないこと。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については、恒星の放射を中心に扱うこと。(イ)については、電磁波に対する大気の影響を扱うこと。また、各波長における観測法を扱い、それにより得られる情報の活用も図ること。イの(ア)については、近距離の測定から遠距離の測定までを扱うが、羅列的な扱いはしないこと。また、銀河系の回転運動と質量との関連に簡単に触れること。(イ)については、銀河の分類と宇宙の膨張を扱い、ハッブルの法則にも触れること。
エ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)まで及び「地学Ⅰ」と関連させて扱うこと。イについては、自然環境に関する地学的調査を行うこと。
1 指導計画の作成に当たっては、「物理Ⅱ」、「化学Ⅱ」、「生物Ⅱ」及び「地学Ⅱ」の各科目については、原則として、それぞれに対応するⅠを付した科目を履修した後に履修させるものとする。
2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)観察、実験、野外観察、調査などの指導に当たっては、特に事故防止について十分留意するとともに、生命の尊重や自然環境の保全に関する態度の育成に留意すること。また、使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(2)環境問題や科学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については、自然科学的な見地から取り扱うこと。
(3)各科目の指導に当たっては、観察、実験の過程での情報の収集・検索、計測・制御、結果の集計・処理などにおいて、コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用すること。
(4)各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は、当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において必要がある場合には、この事項にかかわらず指導することができること。
初等中等教育局教育課程課
-- 登録:平成21年以前 --