数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め、事象を数学的に考察し処理する能力を高め、数学的活動を通して創造性の基礎を培うとともに、数学的な見方や考え方のよさを認識し、それらを積極的に活用する態度を育てる。
数学と人間とのかかわりや、社会生活において数学が果たしている役割について理解させ、数学に対する興味・関心を高めるとともに、数学的な見方や考え方のよさを認識し数学を活用する態度を育てる。
数量や図形についての概念等が人間の活動にかかわって発展してきたことを理解し、数学に対する興味・関心を高める。
ア 数と人間
イ 図形と人間
社会生活において数学が活用されている場面や身近な事象を数理的に考察することを通して、数学の有用性などを知り、数学的な見方や考え方を豊かにする。
ア 社会生活と数学
イ 身近な事象の数理的な考察
目的に応じて資料を収集し、それを表やグラフなどを用いて整理するとともに、資料の傾向を代表値を用いてとらえるなど、統計の考えを理解し、それを活用できるようにする。
ア 資料の整理
イ 資料の傾向の把握
(1)内容の(1)については、数学における概念の形成や原理・法則の認識の過程と人間や文化とのかかわりを中心として、数学史的な話題を取り上げるものとする。
(2)内容の(2)については、社会生活と数学とのかかわりの身近な事例を取り上げるよう配慮するものとする。
(3)内容の(3)については、統計の基本的な考えを扱うものとし、また、コンピュータ等を活用した学習がなされるよう配慮するものとする。
(4)この科目の指導に当たっては、身近な事例を取り上げるなど生徒が主体的に学習できるようにし、理論的な考察には深入りしないよう配慮するものとする。
方程式と不等式、二次関数及び図形と計量について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに、数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。
数を実数まで拡張することの意義を理解し、式の見方を豊かにするとともに、一次不等式及び二次方程式についての理解を深め、それらを活用できるようにする。
ア 数と式
(ア)実数
(イ)式の展開と因数分解
イ 一次不等式
ウ 二次方程式
二次関数について理解し、関数を用いて数量の変化を表現することの有用性を認識するとともに、それを具体的な事象の考察や二次不等式を解くことなどに活用できるようにする。
ア 二次関数とそのグラフ
イ 二次関数の値の変化
(ア)二次関数の最大・最小
(イ)二次不等式
直角三角形における三角比の意味、それを鈍角まで拡張する意義及び図形の計量の基本的な性質について理解し、角の大きさなどを用いた計量の考えの有用性を認識するとともに、それらを具体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 三角比
(ア)正弦、余弦、正接
(イ)三角比の相互関係
イ 三角比と図形
(ア)正弦定理、余弦定理
(イ)図形の計量
(1)内容の(1)のアの(ア)で扱う無理数の計算については、二重根号をはずす計算は扱わないものとする。(イ)については、使用する乗法公式は三次までとし、因数分解についても複雑なものには深入りしないものとする。ウについては、解の公式を扱い、実数解をもつもののみを取り上げるものとする。
(2)内容の(2)のアに関連して、いろいろな事象を表す関数を取り上げ、関数概念の理解を深めるものとする。イの(イ)については、二次関数のグラフとx軸との位置関係から解を求めるものとする。
(3)内容の(3)の三角比については、扱う角の範囲は、0゜から180゜までとする。
(4)内容の(3)のイの(イ)については、相似形の面積比・体積比及び球の表面積・体積を取り上げるほか、平面図形や簡単な空間図形の計量を取り上げるものとする。ただし、三角形の面積をヘロンの公式で求めるなどの深入りはしないものとする。
式と証明・高次方程式、図形と方程式、いろいろな関数及び微分・積分の考えについて理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに、それらを活用する態度を育てる。
式と証明についての理解を深め、方程式の解を発展的にとらえ、数の範囲を複素数まで拡張して二次方程式を解くことや因数分解を利用して高次方程式を解くことができるようにする。
ア 式と証明
(ア)整式の除法、分数式
(イ)等式と不等式の証明
イ 高次方程式
(ア)複素数と二次方程式
(イ)高次方程式
虚数、、判別式、因数定理
座標や式を用いて直線や円などの基本的な平面図形の性質や関係を数学的に考察し処理するとともに、その有用性を認識し、いろいろな図形の考察に活用できるようにする。
ア 点と直線
(ア)点の座標
(イ)直線の方程式
イ 円
(ア)円の方程式
(イ)円と直線
三角関数、指数関数及び対数関数について理解し、関数についての理解を深め、それらを具体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 三角関数
(ア)角の拡張
(イ)三角関数とその基本的な性質
(ウ)三角関数の加法定理
イ 指数関数と対数関数
(ア)指数の拡張
(イ)指数関数
(ウ)対数関数
弧度法、累乗根、
具体的な事象の考察を通して微分・積分の考えを理解し、それを用いて関数の値の変化を調べることや面積を求めることができるようにする。
ア 微分の考え
(ア)微分係数と導関数
(イ)導関数の応用
接線、関数値の増減
イ 積分の考え
(ア)不定積分と定積分
(イ)面積
極限値、
(1)内容の(1)のアの(ア)については、分母が二次程度までの分数式を扱うものとする。イの(ア)に関連して、解と係数の関係に触れる場合には、深入りしないものとする。イの(イ)については、数係数の簡単な三次方程式や複二次方程式を扱う程度とする。
(2)内容の(2)に関連して、簡単な場合について軌跡及び不等式の表す領域を扱うものとする。
(3)内容の(2)のイの(イ)については、円と直線の共有点を求める程度とする。
(4)内容の(3)のアの(ウ)については、2倍角の公式及びを扱う程度とする。イの(ウ)については、対数計算は扱わないものとする。
(5)内容の(4)のアについては、三次までの関数を扱い、イについては二次までの関数を扱うものとする。アの(ア)で扱う極限については、直観的に理解させる程度にとどめるものとする。
極限、微分法及び積分法についての理解を深め、知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに、それらを積極的に活用する態度を育てる。
微分法、積分法の基礎として極限の概念を理解し、それを数列や関数値の極限の考察に活用できるようにする。
ア 数列の極限
(ア)数列の極限
(イ)無限等比級数の和
イ 関数とその極限
(ア)合成関数と逆関数
(イ)関数値の極限
収束、発散、∞
いろいろな関数についての微分法を理解し、それを用いて関数値の増減やグラフの凹凸などを考察し、微分法の有用性を認識するとともに、具体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 導関数
(ア)関数の和・差・積・商の導関数
(イ)合成関数の導関数
(ウ)三角関数・指数関数・対数関数の導関数
イ 導関数の応用
接線、関数値の増減、速度、加速度
自然対数、e、第二次導関数、変曲点
いろいろな関数についての積分法を理解し、その有用性を認識するとともに、図形の求積などに活用できるようにする。
ア 不定積分と定積分
(ア)積分とその基本的な性質
(イ)簡単な置換積分法・部分積分法
(ウ)いろいろな関数の積分
イ 積分の応用
面積、体積
(1)内容の(1)のイに関連して、、
の程度の簡単な分数関数や無理関数を扱うものとする。イの(イ)については、導関数の計算に必要な程度にとどめるものとする。
(2)内容の(2)に関連して、平均値の定理に触れる場合には、直観的に理解させる程度にとどめるものとする。
(3)内容の(2)のアの(ア)の分数関数の導関数については、分母、分子が二次程度までにとどめるものとする。(イ)については、(
は有理数)、
及び
の程度の簡単な関数を扱うものとする。
(4)内容の(3)のアの(イ)については、置換積分法は、と置き換える程度にとどめるものとし、また、部分積分法は、簡単な関数について1回の適用で結果が得られるものにとどめるものとする。
平面図形、集合と論理及び場合の数と確率について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を育てるとともに、数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。
三角形や円などの基本的な図形の性質についての理解を深め、図形の見方を豊かにするとともに、図形の性質を論理的に考察し処理できるようにする。
ア 三角形の性質
イ 円の性質
図表示などを用いて集合についての基本的な事項を理解し、統合的に見ることの有用性を認識し、論理的な思考力を伸ばすとともに、それらを命題などの考察に生かすことができるようにする。
ア 集合と要素の個数
イ 命題と証明
具体的な事象の考察などを通して、順列・組合せや確率について理解し、不確定な事象を数量的にとらえることの有用性を認識するとともに、事象を数学的に考察し処理できるようにする。
ア 順列・組合せ
イ 確率とその基本的な法則
ウ 独立な試行と確率
、
、階乗、
、余事象、排反
(1)内容の(1)のアについては、重心、内心、外心などの簡単な性質を扱う程度とし、また、イについては、四角形が円に内接する条件や方べきの定理、二つの円の位置関係などを扱う程度とする。
(2)内容の(2)のアについては、集合に関する用語・記号には深入りしないものとする。また、集合の間の関係については複雑なものは扱わないものとする。イについては、集合の包含関係と関連付けて理解できる程度にとどめるものとする。また、必要条件、十分条件、対偶、背理法などを扱うものとする。
(3)内容の(3)のアに関連して、二項定理を扱うものとし、ウに関連して、期待値を扱うものとする。ただし、事象の独立、従属は扱わないものとする。
数列、ベクトル、統計又は数値計算について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに、それらを活用する態度を育てる。
簡単な数列とその和及び漸化式と数学的帰納法について理解し、それらを用いて事象を数学的に考察し処理できるようにする。
ア 数列とその和
(ア)等差数列と等比数列
(イ)いろいろな数列
イ 漸化式と数学的帰納法
(ア)漸化式と数列
(イ)数学的帰納法
ベクトルについての基本的な概念を理解し、基本的な図形の性質や関係をベクトルを用いて表現し、いろいろな事象の考察に活用できるようにする。
ア 平面上のベクトル
(ア)ベクトルとその演算
(イ)ベクトルの内積
イ 空間座標とベクトル
空間座標、空間におけるベクトル
統計についての基本的な概念を理解し、身近な資料を表計算用のソフトウェアなどを利用して整理・分析し、資料の傾向を的確にとらえることができるようにする。
ア 資料の整理
度数分布表、相関図
イ 資料の分析
代表値、分散、標準偏差、相関係数
簡単な数値計算のアルゴリズムを理解し、それを科学技術計算用のプログラミング言語などを利用して表現し、具体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 簡単なプログラム
イ いろいろなアルゴリズム
(ア)整数の計算
(イ)近似値の計算
(1)この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)内容の(1)のアの(イ)については、階差数列や数列の和を扱う程度とする。イの(ア)の漸化式については、二項間の関係式を扱う程度とする。また、イの(イ)の数学的帰納法については、その方法の理解に重点を置くものとする。
(3)内容の(2)のイについては、空間におけるベクトルが、平面上のベクトルと同様に扱えることの理解に重点を置き、空間におけるベクトルを用いた方程式は扱わないものとする。また、空間図形の方程式については、などを扱う程度とする。
(4)内容の(3)については、理論的な考察には深入りしないものとする。
(5)内容の(4)のアについては、プログラミング技術には深入りしないものとする。イの(ア)については、ユークリッドの互除法などを扱い、(イ)については、二分法、台形公式による面積の近似計算などを扱う程度とする。
行列とその応用、式と曲線、確率分布又は統計処理について理解させ、知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに、それらを積極的に活用する態度を育てる。
行列の概念とその基本的な性質について理解し、数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに、連立一次方程式を解くことや点の移動の考察などに活用できるようにする。
ア 行列
(ア)行列とその演算
和、差、実数倍
(イ)行列の積と逆行列
イ 行列の応用
(ア)連立一次方程式
(イ)点の移動
二次曲線の基本的な性質及び曲線がいろいろな式で表現できることを理解し、具体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 二次曲線
(ア)放物線
(イ)楕(だ)円と双曲線
イ 媒介変数表示と極座標
(ア)曲線の媒介変数表示
(イ)極座標と極方程式
焦点、準線
確率の計算及び確率変数とその分布についての理解を深め、不確定な事象を数学的に考察する能力を伸ばすとともに、それらを活用できるようにする。
ア 確率の計算
イ 確率分布
(ア)確率変数と確率分布
(イ)二項分布
条件つき確率、平均、分散、標準偏差
連続的な確率分布や統計的な推測について理解し、統計的な見方や考え方を豊かにするとともに、それらを統計的な推測に活用できるようにする。
ア 正規分布
(ア)連続型確率変数
(イ)正規分布
イ 統計的な推測
(ア)母集団と標本
(イ)統計的な推測の考え
推定
(1)この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)内容の(1)のアについては、3×3行列までを扱うものとする。ただし、逆行列の計算については、2×2行列にとどめるものとする。イの(イ)については、平面上の点の移動を扱うものとする。
(3)内容の(2)のアについては、二次曲線の標準形やそれを平行移動した程度のものを扱い、曲線の回転は扱わないものとする。イについては、コンピュータ等の活用などによりいろいろな曲線をかき、観察する程度とする。
(4)内容の(3)のアについては、「数学A」の確率の内容に続いて、条件つき確率などを扱う程度とする。
(5)内容の(4)については、理論的な考察には深入りしないものとする。
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」を履修させる場合は、原則として「数学Ⅰ」、「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」の順に履修させること。
(2)「数学A」については、「数学基礎」又は「数学1」と並行してあるいはそれらの科目を履修した後に履修させ、「数学B」については、「数学Ⅰ」を履修した後に履修させ、「数学C」については、「数学Ⅰ」及び「数学A」を履修した後に履修させることを原則とすること。
(3)各科目を履修させるに当たっては、当該科目及び他の科目の内容相互の関連を図るとともに、学習内容の系統性に留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の内容の[用語・記号]は、当該科目で扱う内容の範囲や程度を明確にするために示したものであり、内容と密接に関連させて扱うこと。
(2)各科目の指導に当たっては、必要に応じて、コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し、学習の効果を高めるようにすること。
(3)各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は、当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において必要がある場合には、この事項にかかわらず指導することができること。
初等中等教育局教育課程課
-- 登録:平成21年以前 --