第3章 専門教育に関する各教科 第2節 工業

第1款 目標

 工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、現代社会における工業の意義や役割を理解させるとともに、環境に配慮しつつ、工業技術の諸問題を主体的、合理的に解決し、社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。

第2款 各科目

第1 工業技術基礎

1 目標

 工業に関する基礎的技術を実験・実習によって体験させ、各分野における技術への興味・関心を高め、工業の意義や役割を理解させるとともに、工業に関する広い視野を養い、工業の発展を図る意欲的な態度を育てる。

2 内容

(1)人と技術と環境

 ア 人と技術
 イ 環境に配慮した技術

(2)基礎的な加工技術

 ア 形態を変化させる加工
 イ 質を変化させる加工

(3)基礎的な生産技術

 ア 生産の流れと技術
 イ 基礎的な分析及び測定技術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)及び(3)については、相互に関連する実験や実習内容を取り上げるよう留意し、総合的に理解させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、産業社会や職業生活についての調査や見学を通して、科学技術の発達と人間とのかかわりについて理解させること。また、職業資格及び工業所有権を簡単に扱うこと。イについては、環境に配慮した工業技術について、身近な事例を通して、その意義や必要性について理解させること。

 イ 内容の(2)については、日常生活にかかわる身近な製品の製作例を取り上げ、工業技術への興味・関心を高めるよう留意するとともに、工具や器具を用いた加工及び機械や装置類を活用した加工を体験させること。アについては、塑性加工など、形態を変化させる加工の基礎的な内容を扱うこと。イについては、化学変化など、主として質を変化させる加工の基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、簡単な工業製品の製作を通して、生産に関する技術の基礎的な内容を扱うこと。イについては、具体的な事例を通して、生産にかかわる基礎的な分析及び測定技術の重要性について理解させること。

第2 課題研究

1 目標

 工業に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2 内容

(1)作品製作

(2)調査、研究、実験

(3)産業現場等における実習

(4)職業資格の取得

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお、課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。

 イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。

第3 実習

1 目標

 工業の各専門分野に関する基礎的な技術を実際の作業を通して総合的に習得させ、技術革新に主体的に対応できる能力と態度を育てる。

2 内容

(1)要素実習

(2)総合実習

(3)先端的技術に対応した実習

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、生徒の興味・関心、進路希望等に応じて実習内容の重点化を図るとともに、生徒に実習内容を選択させるなど、弾力的に取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、各専門分野に対応した要素的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、内容の(1)の個々の要素技術を総合化した内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、工業の各専門分野における先端的技術の中から、基礎的な内容を選択して扱うこと。

第4 製図

1 目標

 製図に関する日本工業規格及び各専門分野の製図について基礎的な知識と技術を習得させ、製作図、設計図などを正しく読み、図面を構想し作成する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)製図の基礎

 ア 製図と規格
 イ 図面の表し方

(2)各専門分野の製図・設計製図

 ア 各専門分野に関する製図
 イ 各専門分野に関する設計製図

(3)自動設計製図装置の基礎

 ア 自動設計製図装置の機能
 イ 自動設計製図装置を活用した設計製図

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)については、各学科の特色に応じて、関連する内容を選択して扱うこと。
 イ 指導に当たっては、必要に応じて内容と関連する国際規格を取り上げ、基礎的な内容を取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、日本工業規格の製図に関する基礎的な内容を扱うこと。イについては、基礎的な図法及び製図用具の使い方を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、各学科の目的に応じ、適切な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のイについては、具体的な事例を通して活用の方法について理解させるとともに、基礎的な図面を作成させること。

第5 工業数理基礎

1 目標

 工業の各分野における事象の数理処理に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)工業の事象と数式

 ア 工業の事象の計算
 イ 面積、体積、質量の積算
 ウ 単位と単位換算

(2)基礎的な数理処理

 ア 力とエネルギー
 イ 力と釣合い
 ウ 計測と誤差
 エ 工業の事象とグラフ

(3)応用的な数理処理
(4)コンピュータによる数理処理

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、演習を重視し、数学を工業の基礎的事象を処理する道具として活用させるよう留意すること。

 イ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)までの数理処理と関連付けて扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のア及びイについては、中学校までに学んだ数学を基礎に数理処理できる工業の事象を扱うこと。ウについては、国際単位系を簡単に扱い、具体的な単位換算については内容の(2)及び(3)の各項目の中で扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、力とエネルギーに関する工業の事象を取り上げ、具体的な数理処理を扱うこと。イについては、力と釣合いに関する工業の事象を取り上げ、具体的な数理処理を扱うこと。ウについては、測定した値の精度及び位取りを扱い、有効数字の考え方について理解させること。エについては、工業の事象に関する実験の測定値をグラフに表す方法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、学科の特色に応じて、題材として適切な工業の事象を取り上げ、流れと圧力、時間とともに変化する事象などの数理処理を扱うこと。微積分を用いる場合は基礎的な内容にとどめること。

 エ 内容の(4)については、工業に関する事象を迅速かつ合理的に数理処理する技能を習得させること。

第6 情報技術基礎

1 目標

 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに、情報技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、情報及び情報手段を活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)産業社会と情報技術

 ア 情報化の進展と産業社会
 イ 情報のモラルと管理

(2)ソフトウェア

 ア オペレーティングシステムの基礎
 イ アプリケーションソフトウェアの利用

(3)プログラミング

 ア 流れ図
 イ 基本的なプログラミング
 ウ プログラム及びデータの取扱い

(4)ハードウェア

 ア 論理回路
 イ 処理装置の構成と動作
 ウ 周辺装置

(5)マルチメディア・制御・通信

 ア マルチメディアの活用
 イ コンピュータ制御
 ウ データ通信とネットワーク

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、コンピュータの操作を通して具体的に理解させるよう留意すること。

 イ 内容の(5)のイについては、学科の特色に応じて、扱わないことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、情報化の進展が産業社会に及ぼす影響について、身近な事例を通して理解させるとともに、望ましい情報活用のモラルと管理の在り方について理解させること。また、著作権の保護を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、ソフトウェアの概要について理解させるとともに、利用に必要な基本的な操作を習得させること。

 ウ 内容の(3)については、基本的なプログラムの作成方法を扱い、サブルーチン、配列、ファイル処理及びグラフィック処理は簡単に触れる程度とすること。

 エ 内容の(4)については、基本的なハードウェアの概要を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、マルチメディアやネットワークの基礎的な内容を扱うこと。

第7 材料技術基礎

1 目標

 工業の各分野に用いられる材料の製造、組織、性質及び用途に関する基礎的な知識を習得させ、材料の選択及び改良に必要な基礎的な能力と態度を育てる。

2 内容

(1)工業材料と社会生活
(2)工業材料の性質と構造

 ア 物質の状態と材料の構造
 イ 変形と流動
 ウ 構造と性質

(3)工業材料の検査

 ア 機械的性質の検査
 イ 顕微鏡による組織検査
 ウ 計器による検査

(4)工業材料の製造

 ア 金属材料の製造
 イ ファインセラミックスの製造
 ウ 高分子材料の製造

(5)工業材料の加工

 ア 工業材料の加工性
 イ 主な加工法

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、材料の性質、検査方法、製造方法などについて理解させ、工業材料の性質の利用や改善を図る基礎的な能力と態度を育てること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、工業材料が社会生活及び産業に果たしている役割を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、工業材料の化学結合の原理及び結晶構造を扱うこと。イについては、工業材料の変形及び流動と組織との関係を扱うこと。ウについては、工業材料の結晶構造と機械的、物理的、化学的性質との関係を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、検査の原理、検査方法及び検査結果と工業材料の性質との関係を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、主な工業材料を取り上げ、製造法の原理と材料の性質との関連性について理解させること。

 オ 内容の(5)のアについては、金属、セラミックス及び高分子材料の加工性の違いを扱うこと。イについては、鋳造、成形、機械加工、焼結などの主な加工方法の原理と方法を扱うこと。

第8 生産システム技術

1 目標

 生産システムに関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)電気技術

 ア 直流回路
 イ 交流回路
 ウ   電気設備

(2)電子技術

 ア 電子回路
 イ 電子部品と情報機器

(3)計測・制御

 ア 計測の基礎と計測用機器
 イ 制御の基礎
 ウ   コンピュータ制御

(4)機械技術

 ア 機械設備
 イ 材料の加工技術

(5)生産管理とシステム技術

 ア 生産管理
 イ 生産の合理化とシステム技術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(3)及び(5)については、コンピュータを活用するなど、指導上の工夫に努めること。

 イ 内容の(3)から(5)までについては、生徒の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のア及びイについては、基礎的な電気回路を扱うこと。ウについては、生産システムに必要な電気設備の基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、基礎的な電子回路の原理及び構成を扱うこと。イについては、基本的な電子部品の特徴と活用例及び生産システムにおける情報機器の基本的な構成と動作原理を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、計測の方法及び計測用機器の原理と構成を扱うこと。イについては、シーケンス制御とフィードバック制御の原理と構成及び電気的制御機器と機械的制御機器の原理と構成を扱うこと。ウについては、コンピュータ制御の原理及び制御機器とのインタフェースを扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、基本的な機械設備及びコンピュータ制御による自動化設備の原理と構成を扱うこと。イについては、基礎的な加工技術の原理と方法について理解させること。

 オ 内容の(5)のアについては、工程管理を中心に扱うこと。イについては、コンピュータを利用した生産のシステム技術に関する基礎的な内容を扱うこと。

第9 工業技術英語

1 目標

 工業の各分野における生産、営業及び管理の業務に必要な技術英語に関する知識と表現技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)工業に関連した簡単な会話

(2)会議における会話

(3)プレゼンテーション

(4)情報通信ネットワークを利用したコミュニケーション

(5)工業技術に関連したリーディングとライティング

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、英語科教員やネイティブ・スピーカーとの連携について留意すること。

 イ 指導に当たっては、工業の各分野で共通に必要とされる実践的な事例を取り扱い、基礎的な用語を使用し、専門的な用語は各分野の必要に応じて取り扱うよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、技術者としての自己紹介及び工場や実験室での簡単な会話を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、会議での簡単な質問の方法及び自分の意見を述べる方法を扱うこと。また、司会者として会議を進める際に必要な基本的な表現を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、各種の資料を用いて発表する際の基本的な表現を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、情報通信ネットワークを活用した簡単な英文による部品の注文や説明などを扱うこと。

 オ 内容の(5)については、工業製品仕様書の読解、報告書や図表の作成など、工業の各分野における基礎的な題材を取り上げて、表現技術を習得させること。

第10 工業管理技術

1 目標

 工業生産の運営と管理に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)工業管理技術の概要
(2)生産の計画と管理

 ア 生産の計画
 イ 生産の管理

(3)工程管理と品質管理

 ア 工程管理
 イ 品質管理

(4)安全管理

 ア 生産現場における災害とその防止
 イ 環境の保全

(5)工場の経営

 ア 人事管理
 イ 工業会計
 ウ 工業関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、産業現場を見学したり企業での具体的な事例を取り上げたりして、具体的に理解させるよう留意すること。

 イ 内容の(5)の指導に当たっては、ベンチャー企業の具体的な経営事例を取り上げ、起業家の養成の重要性についても簡単に扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、工業生産の管理技術の意義と工業生産に関する組織の概要を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、需要予測と生産数量及び生産方式の選定の概要を扱うこと。イについては、生産にかかわる全般的な管理の概要を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、生産工程の計画や作業日程などを扱うこと。イについては、基本的な品質管理方法の原理及び活用方法を扱い、統計学的な内容に深入りしないこと。

 エ 内容の(4)のアについては、安全管理の意義、目的及びその手法に重点を置いて、災害防止の概要を扱うこと。イについては、生産活動における公害発生とその防止の概要を扱うこと。

 オ 内容の(5)のアについては、人事管理の進め方、賃金、福利厚生、労使関係などの概要を扱うこと。イについては、工業会計の基礎的な内容を扱うこと。また、原価計算についても簡単に扱うこと。ウについては、工場経営に関連する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。

第11 機械工作

1 目標

 機械工作に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)機械工作法の発達
(2)機械材料

 ア 材料の加工性と活用
 イ 金属材料
 ウ 新素材

(3)各種の工作法

 ア 主な工作法
 イ 特殊な工作法

(4)工業量の測定と計測機器

 ア 測定
 イ 計測機器

(5)生産の管理

 ア 生産計画と管理
 イ 情報技術によるシステム化

(6)機械加工及び生産の自動化

 ア 工作機械の自動化と制御技術
 イ 将来の生産方式とシステム技術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、新しい工作機械や機械材料についてもその基礎的な内容を取り上げ、技術の進展に対応させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、機械材料及び機械工作の装置や工作法の発達を扱い、両者が相互に関連して発達してきたことについて理解させること。

 イ 内容の(2)のイについては、主な金属材料の機械的性質と利用方法を扱うこと。ウについては、新素材の基礎的な機械的性質を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、主な工作法の原理と方法及びその発展の動向を扱い、機械や装置の具体的な構造、機能及び操作は扱わないこと。イについては、レーザー加工法、放電加工法などの原理と方法を扱うこと。また、具体的な事例を通して、簡単なジグや取付具の構成と用途を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、機械に関する基本的な工業量の測定及び計測機器の原理を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、生産の管理手法について総合的に理解させること。また、災害の予防や安全対策及び情報技術の利用による管理のシステム化について基礎的な内容を扱うこと。

 カ 内容の(6)については、自動化された工作機械の現状について理解させるとともに、将来の生産方式にシステム技術の進展が及ぼす影響について考えさせること。

第12 機械設計

1 目標

 機械設計に関する基礎的な知識と技術を習得させ、機械、器具などを創造的、合理的に設計する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)機械と設計
(2)機械に働く力

 ア 機械に働く力と運動
 イ 機械に与えられたエネルギーと仕事及び動力の関係

(3)材料の強さ

 ア 機械部分に生ずる応力とひずみの関係
 イ 機械部分の形状

(4)機械要素と装置

 ア 締結要素
 イ 軸要素
 ウ 伝達装置
 エ 緩衝装置
 オ 管路、構造物、圧力容器

(5)機械と器具の設計

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、機械に働く力や機構について工学的に考えさせ、実際的な設計技術を習得させること。

 イ 内容の(4)のイ、エ及びオについては、生徒の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、機械が機構と機械要素から成り立っていること及び生産における設計の役割について理解させること。

 イ 内容の(2)のアについては、機械に働く力と運動に関する基本的な概念について理解させ、具体的な事例を通して基礎的な計算方法を扱うこと。イについては、機械に与えられたエネルギーと仕事及び動力の概念並びに基礎的な計算方法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、機械部分に生ずる応力とひずみの概念及び機械部分の形状と大きさを決める方法を扱うこと。なお、計算式は最小限にとどめ、座屈については計算式の活用に重点を置くこと。イについては、はりの断面の形状と寸法の計算を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアからオまでについては、要素と装置の種類、特性及び用途について理解させること。

 オ 内容の(5)については、設計の手順について理解させ、簡単な機械や器具を設計させること。また、自動設計製図装置などの情報機器を用いた設計の方法についても基礎的な内容を扱うこと。

第13 原動機

1 目標

 原動機の構造と機能に関する知識と技術を習得させ、原動機を有効に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)エネルギー変換と環境

 ア 動力エネルギーへの変換
 イ エネルギーと原動機
 ウ エネルギーと環境

(2)流体機械

 ア 流体の性質と力学
 イ 水車とポンプ
 ウ 送風機と圧縮機
 エ 油空圧機器

(3)内燃機関

 ア 熱機関の基礎
 イ 内燃機関の種類
 ウ 原理、構造、性能

(4)自動車

 ア 自動車と社会生活
 イ 自動車の分類と構造
 ウ 自動車の安全技術と整備及び環境対策

(5)蒸気原動機

 ア 蒸気発生装置
 イ 蒸気タービン

(6)冷凍装置

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、原動機の理論と実際の機器とを関連させて、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のウについては、エネルギー消費と環境問題の関連を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、流体及び気体の性質と基本的な力学計算を扱うこと。イからエまでについては、流体機械の構造、機能及び利用例を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、熱と仕事の関係を扱うこと。イについては、各種の代表的な内燃機関を取り上げ、その概要について理解させること。ウについては、ガソリン機関を中心として、エネルギー変換の原理と機関の構造を扱うこと。機関の性能については、各種のサイクル及び日本工業規格に基づく性能試験の基礎的な内容を扱うこと。その他の機関については、その特徴を扱う程度とすること。

 エ 内容の(4)のアについては、自動車が社会生活や産業において果たしている役割について理解させること。イについては、自動車の分類と構造の概要を扱う程度とすること。ウについては、自動車に関する法規の概要並びに自動車の法定整備と安全確保及び環境対策に関する基礎的な内容を簡単に扱うこと。

 オ 内容の(5)については、蒸気原動機の概要を扱うこと。また、原子炉による動力発生について、原理、構成、利用及び環境への配慮を簡単に扱うこと。

 カ 内容の(6)については、冷凍装置の原理と仕組みについて基礎的な内容を扱うこと。

第14 電子機械

1 目標

 電子機械に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)電子機械の概要と役割

 ア 身近な電子機械
 イ 電子機械と生産ライン

(2)機械の機構と運動の伝達

 ア 基本的な機械要素
 イ 基本的なメカニズム

(3)センサとアクチュエータの基礎

 ア センサ
 イ アクチュエータ

(4)シーケンス制御の基礎

 ア リレーシーケンス
 イ プログラマブルコントローラ

(5)コンピュータ制御の基礎

 ア コンピュータとインタフェース
 イ 外部機器の制御

(6)簡単な電子機械設計

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、身近なメカトロニクスに関する事例を通して、総合的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、身近な事例を通して、電子機械が社会生活や産業において果たしている役割について理解させるとともに、省エネルギーや環境保全などの分野における重要な技術であることについて理解させること。

 イ 内容の(2)のアについては、電子機械に必要な締結要素、軸要素及び伝達要素の概要を扱うこと。イについては、電子機械の基本的なメカニズムの特徴を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、主なセンサの原理、特徴及び利用例を扱うこと。イについては、主なアクチュエータの原理、特徴及び利用例を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、実際の利用例を通して、シーケンス制御の仕組みについて理解させ、理論的に深入りしないこと。

 オ 内容の(5)のアについては、インタフェース回路の原理と方法及び制御プログラムを扱うこと。イについては、外部機器からのフィードバック信号を利用した制御の原理と方法について理解させ、外部機器の基礎的な制御技術を扱うこと。

 カ 内容の(6)については、簡単なメカトロニクス製品を例に、マイコンの組み込み技術及び制御機構とソフトウェア技術について理解させ、簡単な電子機械の設計を扱うこと。

第15 電子機械応用

1 目標

 電子機械に関する応用的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)動力用アクチュエータ

 ア 電力を利用したアクチュエータ
 イ 流体を利用したアクチュエータ

(2)産業用ロボット

 ア ロボットの基礎
 イ ロボットの制御システム
 ウ ロボットの操作と安全管理

(3)ファクトリー・オートメーション

 ア CAD/CAMの基礎
 イ 数値制御工作機械
 ウ 生産システムの基礎
 エ ネットワーク技術

(4)電子機械応用設計

 ア 自動化機器の調査、研究
 イ 簡単なメカトロニクスシステムの設計

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(4)については、生徒の実態や学科の特色に応じて、ア又はイのいずれかを選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、出力の大きなアクチュエータの基礎的な技術を扱うこと。イについては、空気圧及び油圧を利用したアクチュエータを扱うこと。

 イ 内容の(2)については、基本的な産業用ロボットを扱い、専門的に深入りしないこと。

 ウ 内容の(3)については、ファクトリー・オートメーションを構成する基礎的な技術及びそれらを統合する基礎的なネットワーク技術を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、身近な自動化機器を対象として、システム化の技術や最適なシステムの在り方について調査、研究させること。イについては、簡単なメカトロニクスシステムの構想、設計及び製作手順までの一貫した内容を扱うこと。

第16 自動車工学

1 目標

 自動車の構造と機能に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)人と自動車
(2)自動車の原理

 ア 自動車の概要と力学
 イ 自動車用機関の働きと動力に関連する装置
 ウ 自動車の操作と制動

(3)自動車の構造

 ア 自動車用機関と性能
 イ 自動車用機関の附属装置
 ウ 車体とその附属装置
 エ 走行と性能

(4)自動車と電気・電子技術

 ア 自動車の電気装置
 イ 自動車の電子制御技術

(5)自動車と環境

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、自動車の発明と進歩、自動車産業と社会とのかかわり及び自動車と人間生活とのかかわりを簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、動力の発生、動力の伝達、自動車の操作装置、材料の性質などについて理解させること。イについては、自動車用機関の働きと動力に関連する装置の基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のウについては、技術の進展に留意して題材を取り上げ、基礎的な内容を扱うこと。エについては、走行性能と走行試験とを関連付けて扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、自動車の電気装置の原理と構造及び機能について理解させること。イについては、自動車の電子制御技術の基礎的な内容を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、自動車の安全確保及び環境保全に関する技術の基礎的な内容を扱うこと。

第17 自動車整備

1 目標

 自動車整備に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)自動車整備と関係法規

 ア 自動車整備の目的と内容
 イ 自動車の整備に関する法規
 ウ 自動車整備事業と自動車整備士

(2)自動車材料

 ア 自動車用材料の加工とリサイクル
 イ 自動車整備に伴う工作法と機器

(3)自動車の整備と試験

 ア 自動車用機関とその関連装置の整備
 イ 自動車シャシとその関連装置の整備
 ウ 環境保全と安全確保に関する装置の整備

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、自動車整備に関する法規の概要を、整備の体系と関連させて扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、自動車用材料の加工法及び省資源と環境保全の重要性を扱うこと。イについては、自動車整備に関連する工作機器の原理と基礎的な加工方法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のア及びイについては、関連する装置も含めて総合的に扱い、点検、測定、調整、検査及び試験に関しては、基礎的・基本的な内容を扱うこと。ウについては、技術の進展に留意して題材を取り上げ、基礎的な内容を扱うこと。

第18 電気基礎

1 目標

 電気に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)直流回路

 ア 電気回路の電圧・電流・抵抗
 イ 消費電力と発生熱量
 ウ 電気抵抗
 エ 電気の各種作用

(2)磁気と静電気

 ア 電流と磁気
 イ 静電気の基礎

(3)交流回路

 ア 交流回路の基礎
 イ 交流回路の電圧・電流・電力
 ウ 記号法
 エ 三相交流

(4)電気計測

 ア 電気計測の基礎
 イ 基礎量の測定
 ウ 測定量の取扱い

(5)各種の波形

 ア 非正弦波交流
 イ 過渡現象

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 計算方法の取扱いに当たっては、演習を重視し、実際に活用させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、電圧、電流及び抵抗の意味と関係する基本的な量と計算方法を扱うこと。イについては、電流による発熱、電力及び電力量を簡単に扱うこと。エについては、電気による各種作用の原理と利用を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、電流と磁気に関する計算方法は基本的なものにとどめ、専門的に深入りしないこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、交流の状態を表す諸量の意味について理解させること。イについては、交流回路における抵抗、インダクタンス及び静電容量についての基本的な計算方法を扱うこと。ウについては、交流回路における電流・電圧の基本的な計算方法を扱い、専門的に深入りしないこと。

 エ 内容の(4)のアについては、主な電気計器の基本原理、構造、特性及び取扱い方法を扱うこと。イについては、基礎量の基本的な測定法について理解させること。ウについては、測定に伴う誤差、測定値の取扱いなどを扱うこと。

 オ 内容の(5)のアについては、代表的な波形を扱うこと。イについては、電気回路における過渡現象の発生とその回路の時定数を扱う程度とし、専門的に深入りしないこと。

第19 電気機器

1 目標

 電気機器及び電気材料に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)直流機器

 ア 直流発電機
 イ 直流電動機
 ウ 特殊電動機

(2)交流機器

 ア 変圧器
 イ 誘導機
 ウ 同期機

(3)パワーエレクトロニクス

 ア パワーエレクトロニクス素子
 イ 基本回路
 ウ 応用回路

(4)電気材料

 ア 導電材料
 イ 磁性材料
 ウ 絶縁材料

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 計算方法の取扱いに当たっては、演習を重視し、実際に活用させるよう留意すること。

 イ 電気機器に関する法規及び日本工業規格などの各種規格については、内容と関連させて取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、直流機器の原理、構造及び特性を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、交流機器の原理、構造及び特性を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、パワーエレクトロニクス素子の原理、構造及び特性を扱うこと。イ及びウについては、パワーエレクトロニクス素子を使用した基礎的な電子回路を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、電気材料の特性及び取扱い方法を扱うこと。新素材については簡単に扱う程度とすること。

第20 電力技術

1 目標

 電力技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)発電と送電

 ア 発電方式
 イ 水力発電
 ウ 火力発電
 エ 原子力発電
 オ 送電

(2)配電と屋内配線

 ア 配電
 イ 自家用変電所と屋内配線

(3)自動制御

 ア シーケンス制御
 イ フィードバック制御
 ウ コンピュータ制御

(4)省エネルギー技術

 ア 発電・送電の省エネルギー技術
 イ 電力利用の省エネルギー技術

(5)各種の電力応用

 ア 照明
 イ 電熱
 ウ 電気化学
 エ 電気鉄道
 オ その他

(6)電気関係法規

 ア 電気事業に関する法規
 イ 電気工事に関する法規
 ウ 電気用品に関する法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(5)のアからオまでについては、生徒の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、主な発電方式の概要と特徴を扱うこと。また、新しい発電方式も、簡単に扱うこと。イからエまでについては、発電の基本原理、方法、構成及び特性を扱うこと。オについては、送電の方式と特性を扱うこと。変電所については、構成及び運用の基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、配電の方式、構成、特性及び保守の基本的な内容を扱うこと。イについては、自家用変電所の構成と関連する法規の概要及び屋内配線の設計・施工を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、電気エネルギーに関する制御の基本原理、制御系の構成及び動作を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、発電・送電及び電力利用の省エネルギー技術の原理と方法を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、電力応用の基本原理、機器と装置の構成及び利用例を簡単に扱うこと。

 カ 内容の(6)については、電気に関する法規の目的と概要を扱うこと。

第21 電子技術

1 目標

 電子技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)電子技術の概要
(2)半導体と電子回路

 ア 半導体素子
 イ 電子回路の基礎

(3)通信システムの基礎

 ア 有線通信システム
 イ 無線通信システム
 ウ データ通信システム
 エ 通信関係法規

(4)画像通信の基礎

 ア ファクシミリ
 イ テレビジョン
 ウ ディジタル通信

(5)音響機器の基礎

 ア マイクロホンとスピーカ
 イ 録音・再生機器

(6)電子計測の基礎

 ア 高周波計測
 イ 応用計測

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、電子技術の発達や現代社会における役割、将来の展望などを簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、半導体素子の種類と特性及びその具体的な働きを扱うこと。イについては、代表的なアナログ及びディジタル回路の基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアからウまでについては、通信に必要な電子機器の特性と利用例及び主な通信機器と通信システムの基礎的な内容を扱うこと。エについては、通信に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、画像通信に必要な電子機器の特性と利用例及び基本的な画像通信機器を扱うこと。

 オ 内容の(5)のアについては、マイクロホン及びスピーカの原理と構造を簡単に扱うこと。イについては、アナログ及びディジタル技術を利用した音響機器を取り上げ、その原理と構造について理解させること。

 カ 内容の(6)のアについては、高周波測定に用いる基本的な測定器を取り上げ、その原理と測定方法について理解させること。イについては、電子計測に用いられる基本的なセンサを取り上げ、その原理と応用例について理解させること。

第22 電子回路

1 目標

 電子回路に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)電子回路用素子

 ア ダイオード
 イ トランジスタ
 ウ 集積回路

(2)電子回路の基礎

 ア 低周波増幅回路
 イ 高周波増幅回路

(3)各種の電子回路

 ア 電源回路
 イ 発振回路
 ウ パルス回路
 エ 変調・復調回路

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、回路素子の機能や特性、基本的な電子回路の定量的な取扱い及び簡易な回路設計や製作を取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のア及びイについては、電子回路で用いる代表的な素子の構造、性質及び基礎的な用途を扱うこと。ウについては、アナログ及びディジタル回路に用いられる基本的な集積回路の種類と特徴及び機能と活用例を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、増幅回路の原理について理解させ、利得、帯域幅等の基本的な特性、電力増幅及び簡単な増幅回路の設計を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、代表的な電子回路の回路構成、動作原理及び取扱い方法を扱うこと。ウについては、パルス波の有用性、発生及び整形の方法を簡単に扱うこと。

第23 電子計測制御

1 目標

 電子計測制御に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)電子計測制御の概要

 ア 電子計測制御の考え方
 イ 計測制御機器とデータ処理

(2)シーケンス制御

 ア シーケンス制御の基礎
 イ シーケンス制御に使われる機器
 ウ 基本的な回路
 エ プログラマブルコントローラの利用

(3)フィードバック制御

 ア フィードバック制御の基礎
 イ 制御特性
 ウ フィードバック制御の利用

(4)コンピュータによる制御の基礎

 ア 制御装置とインタフェース
 イ 制御プログラム
 ウ コンピュータによる計測制御システム

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、身近な事例を通して、電子計測制御の基本的な考え方について理解させること。情報通信ネットワークを利用した計測制御システムについては簡単に触れる程度とすること。イについては、計測制御機器によるデータの簡単な測定方法及び処理方法について理解させること。

 イ 内容の(2)については、シーケンス制御の基本的な原理と特徴及び使用される電子機器の構成と取扱い方法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、フィードバック制御の基本的な原理、特性及び利用例を扱うこと。人工知能やファジー理論については簡単に触れる程度とし、専門的に深入りしないこと。

 エ 内容の(4)のアについては、コンピュータと外部機器との基本的な接続方法を扱うこと。イについては、外部機器を制御する基本的なプログラミングの方法を扱うこと。ウについては、コンピュータによる計測制御システムの概要を扱い、ファクトリー・オートメーションにおける計測技術については簡単に触れる程度とすること。

第24 通信技術

1 目標

 情報通信に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)有線通信

 ア 有線通信システム
 イ データ通信とネットワーク
 ウ 光通信

(2)無線通信

 ア 電波とアンテナ
 イ 無線通信システム
 ウ 主な無線機器
 エ 衛星を利用した通信システム

(3)画像通信

 ア 静止画像の通信
 イ テレビジョン技術
 ウ マルチメディアの通信技術

(4)通信装置の入出力機器

 ア 情報のディジタル化技術
 イ 入出力機器
 ウ 録音再生機器

(5)通信関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(5)については、(1)から(4)までの内容と関連させて扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、有線通信回線を用いたアナログ及びディジタル通信の具体的な事例を通して、通信システムの構成及び概要について理解させること。イについては、データ通信システム及びネットワークの概要を扱うこと。通信プロトコルと交換機については簡単に扱う程度とすること。ウについては、光通信の原理と利用方法を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、電波の性質、各種アンテナの電気的特性及び電波の放射と受信を扱うこと。イについては、無線通信の方法とその通信システムについて、アナログ及びディジタル通信の具体的な事例を通して、その概要について理解させること。

 ウ 内容の(3)のアについては、ファクシミリの送受信の原理を扱うこと。イについては、テレビジョンの電波と送受信機の概要及びアナログ放送とディジタル放送の特徴を扱うこと。ウについては、画像通信システム及びマルチメディアのディジタルデータを扱うネットワーク技術の基礎的な内容を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、電気通信に必要な情報の入出力機器について、ディジタル化技術を中心として扱うこと。また、技術の進展に留意して、新しい機器を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、通信に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。

第25 電子情報技術

1 目標

 電子情報技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)コンピュータの電子回路

 ア 論理回路と論理代数
 イ フリップフロップとその応用
 ウ レジスタと演算回路

(2)コンピュータの構成と機能

 ア マイクロプロセッサと処理装置
 イ 記憶装置と主な周辺機器
 ウ データの流れと命令語の構成

(3)制御プログラミング

 ア ハードウェアに適した言語
 イ   高級言語によるプログラミング
 ウ 制御への応用

(4)コンピュータの利用とネットワークシステム

 ア   オペレーティングシステム
 イ 情報処理形態とネットワーク
 ウ マルチメディアと電子技術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)及び(2)については、マイクロコンピュータに関する情報技術を扱うこと。

 イ 内容の(3)については、学校の実態に応じて、適切なプログラム言語を選択すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、基本的な論理回路の特徴、組み合わせた論理回路の機能及び簡単な論理代数を用いた回路設計を扱うこと。イについては、フリップフロップ回路の原理及びその応用回路の特徴と利用例を扱うこと。

 イ 内容の(2)のア及びイについては、装置や機器の動作原理、機能及び役割について理解させること。ウについては、命令語の構成やデータの処理手順を扱う程度とすること。

 ウ 内容の(3)のアについては、機械語及びアセンブリ言語の特徴と用途を簡単に扱うこと。イについては、基礎的な処理の流れ図及びプログラミングを扱うこと。ウについては、計測及び制御における基礎的なプログラミングの方法を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、代表的なオペレーティングシステムの概要を扱うこと。イについては、ネットワークシステムの概要と情報処理形態に適したシステム構築の方法を簡単に扱うこと。ウについては、マルチメディアに関連した基礎的な電子技術を扱うこと。

第26 プログラミング技術

1 目標

 コンピュータのプログラミングに関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)コンピュータによる問題処理手順

 ア 問題処理とプログラム開発の手順
 イ 文書化
 ウ プログラム言語
 エ 目的及び翻訳プログラム

(2)プログラミング技法

 ア 順次型のプログラム
 イ 選択型のプログラム
 ウ 繰返し型のプログラム
 エ プログラムの標準化

(3)応用的プログラム

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、産業界の動向、生徒の実態や学科の特色に応じて、適切な言語を選択し、実習を中心として取り扱うこと。

 イ 内容の(2)については、論理的思考の学習を重視し、プログラム言語の規則の習得に偏ることのないよう留意すること。

 ウ 内容の(3)については、生徒や学校の実態に応じて、制御処理、ファイル処理、グラフィック処理及びネットワーク処理の中から選択して扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、適切な例題を使った演習を取り入れ、効果的なプログラム開発の技法について理解させること。

 イ 内容の(2)については、基本的なアルゴリズムを扱い、プログラムの計画、作成、実施及び評価の実習を通して、効果的に情報を処理する方法を習得させること。

 ウ 内容の(3)においてシステム開発を扱う場合には、基礎的なシステムを扱うこと。

第27 ハードウェア技術

1 目標

 コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)ハードウェアの構成

 ア 論理回路と各種レジスタ
 イ データの表現
 ウ 中央処理装置
 エ 周辺装置
 オ 命令の構成

(2)通信技術

 ア データ通信の方式と機器
 イ ネットワーク技術
 ウ ネットワークシステムの設計

(3)制御技術

 ア 制御の概要
 イ 数値制御
 ウ コンピュータによる制御

(4)保守技術

 ア コンピュータの構成と組立
 イ コンピュータの保守
 ウ コンピュータの管理

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、汎用コンピュータのハードウェア技術について、具体的な事例を通して理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、基本的な論理回路の原理、レジスタの働き及び簡単な論理回路の設計を扱うこと。イについては、コンピュータ内部のデータ表現の原理と方法を扱うこと。ウについては、中央処理装置と主記憶装置の基本構成を取り上げ、基本動作について理解させること。エについては、周辺装置の構造と基本動作について理解させること。オについては、機械語の仕組みと機能及び基本的なプログラム作成を扱うこと。

 イ 内容の(2)のア及びイについては、具体的な事例を通して、データ通信の方法と機器及びネットワークに関する技術の概要を扱うこと。ウについては、ネットワークシステムを設計する基本的な方法を扱い、専門的に深入りしないこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、制御の原理及び種類の概要について理解させること。イについては、数値制御の仕組みと基礎的な技術を扱うこと。ウについては、コンピュータ制御における各部の働きと制御に関する基礎的な技術を扱うこと。

 エ 内容の(4)のウについては、コンピュータシステムを安全かつ効果的に運用するための方法を扱い、専門的に深入りしないこと。

第28 ソフトウェア技術

1 目標

 コンピュータのソフトウェアに関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)オペレーティングシステム

 ア オペレーティングシステムの概要
 イ オペレーティングシステムの機能

(2)アプリケーションプログラムの運用

 ア ソフトウェアパッケージの運用
 イ データベースの設計と運用
 ウ ネットワークソフトウェアの運用

(3)情報処理システムの管理

 ア オペレーティングシステムの管理
 イ ソフトウェアの管理システム

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、生徒の実態や学科の特色に応じて、適切なオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを選択し、実習を中心として取り扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、オペレーティングシステムの機能と役割について理解させること。

 イ 内容の(2)のアについては、ソフトウェアパッケージの基本的な構成、インストール及び基礎的な運用を扱うこと。イについては、データとファイルの構造、データベースの概念及び簡単なデータベースの設計と運用を扱うこと。ウについては、ネットワークソフトウェアの基本的な構成並びに利用者及びファイルの管理を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、オペレーティングシステムのインストール及び基礎的な運用と管理を扱うこと。イについては、ソフトウェアの保護と管理及び信頼性と安全対策の管理システムの基礎的な内容を扱うこと。

第29 マルチメディア応用

1 目標

 マルチメディア技術とコンピュータシステムに関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)マルチメディア技術と情報処理システム

 ア マルチメディア技術の概要
 イ 情報処理システムの概要

(2)ディジタル化技術

 ア マルチメディアのディジタル化技術
 イ データの圧縮と送受信

(3)システム開発の手順と設計

 ア システムの概要
 イ システムの分析と設計
 ウ システムの評価

(4)情報処理システムとマルチメディア技術の利用

 ア 情報通信ネットワークシステム
 イ マルチメディア処理システム
 ウ その他の情報処理システム

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、マルチメディア技術を活用したシステム開発の必要性について理解させ、これからのコンピュータ応用の在り方について考えさせるよう留意すること。

 イ 内容の(4)については、生徒の実態や学科の特色に応じて、アからウまでの中から1以上を選択し、小規模な情報処理システムを作成させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)のアについては、文字、画像、音声をディジタル化する基本的な技術を扱うこと。イについては、マルチメディア情報の圧縮、復元の原理と方法及びディジタルデータの送受信に関する基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(3)のウについては、具体的なシステムの事例を通して、システムの安全性、信頼性及び評価の概要を扱うこと。

第30 建築構造

1 目標

 建築物の構造及び建築材料に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)建築構造の概要
(2)建築材料

 ア 建築材料の種類と特徴
 イ 建築材料の規格と性能

(3)木構造

 ア 各部の名称
 イ 各部の構成と機能

(4)鉄筋コンクリート構造

 ア 各部の名称
 イ 各部の構成と機能

(5)鋼構造

 ア 各部の名称
 イ 各部の構成と機能

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、建築現場の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、建築構造の種類と歴史的発達、主な建築構造の特徴及び関連する法規を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、建築材料の基礎的な内容を扱い、身近な住宅などの事例を通して、材料と構造の関連について理解させること。その際、建築材料の種類と特徴は建築構造と関連させて扱うこと。

 ウ 内容の(3)から(5)までについては、それぞれの構造に関する各部の名称及びその構成と機能の基礎的な内容を扱うこと。また、プレファブ建築については、木質系は内容の(3)で、コンクリート系は内容の(4)で、鉄骨系は内容の(5)でそれぞれ扱い、補強コンクリートブロック構造については、内容の(4)で扱うこととするが、いずれもその概要を扱う程度とすること。

第31 建築施工

1 目標

 建築施工に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)建築施工の概要
(2)建築業務

 ア 施工方式
 イ 工事契約
 ウ 施工計画と施工監理

(3)各種工事

 ア 仮設工事
 イ 基礎工事
 ウ 主体工事
 エ 仕上工事
 オ 解体工事
 カ 建築物の保守

(4)工事用機器・器具
(5)建築積算

 ア 積算の意義と概要
 イ 概算見積及び明細見積

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、建築現場の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、建築施工の意義やその過程、建築工事に携わる関係技術者等を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、施工業務に関する内容の概要を扱うこと。施工に関する法規については簡単に触れる程度とすること。

 ウ 内容の(3)のアからエまでについては、各種工事の施工法の基礎的な内容を扱うこと。最新の工法や施工技術については簡単に扱う程度とすること。また、関連する施工技術の中で建築測量の概要を扱うこと。オについては、解体工事の概要と廃材の処理を扱うこと。カについては、建築物の保守の概要を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、主な工事用機器・器具の種類、特徴及び用途を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、積算の意義と概要について理解させるとともに、具体的な事例を通して、簡単な建築積算を扱うこと。

第32 建築構造設計

1 目標

 建築構造設計に関する基礎的な知識と技術を習得させ、構造物を合理的に設計する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)構造物に働く力

 ア 構造物と荷重
 イ 力の釣合い
 ウ 支点と反力
 エ 構造物の安定・不安定及び静定・不静定

(2)静定構造物

 ア 応力
 イ 静定ばり
 ウ 静定ラーメン
 エ 静定トラス

(3)部材に関する力学

 ア 構造材料の力学的特性
 イ 断面の性質
 ウ はりや部材の変形

(4)不静定構造物

 ア 不静定構造物の概念
 イ 不静定ばりと不静定ラーメン

(5)各種構造物の設計

 ア 鉄筋コンクリート構造
 イ 鋼構造
 ウ その他の構造

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、模型を用いた実験や視聴覚教材を活用し、力学的な現象を視覚的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、構造物に働く荷重の原理や構造物の力学的な特性を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、力の釣合い条件から応力が求められることについて理解させ、具体的な題材を通して基本的な計算方法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、応力度とひずみ度の関係及び許容応力度と部材設計の関係を扱うこと。イについては、簡単な断面の形状の力学的な特性を扱うこと。ウについては、はりや部材の変形と安全性及び簡単な部材の設計に必要な基礎的な内容を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、不静定構造物の概念及び簡単な構造物の計算を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、主な構造物の断面設計及び構造設計に当たって必要な基礎的な内容を扱うこと。

第33 建築計画

1 目標

 建築計画に関する基礎的な知識と技術を習得させ、建築物を合理的に計画し、設計する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)建築の歴史

 ア 我が国の建築
 イ 西洋の建築
 ウ 近代の建築

(2)建築と環境

 ア 気候
 イ 光
 ウ 音
 エ 熱
 オ 色彩

(3)建築の設備

 ア 給排水・衛生設備
 イ 空気調和設備
 ウ 電気・通信設備
 エ その他の設備

(4)各種建築物の計画

 ア 独立住宅
 イ 集合住宅
 ウ その他の建築物

(5)都市計画

 ア 都市計画の概要
 イ 都市計画と地域計画

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、建物の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、建築の歴史的変遷、建築様式と建築物の形態の概要及び建築計画の意義を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアからオまでについては、それぞれの事項と建築物との関係を扱い、自然条件が建築物に与える影響や快適な住環境を計画する上で基礎的な要因であることについて理解させること。

 ウ 内容の(3)のアからウまでについては、主な設備の種類、構成と特徴などの基礎的な内容を扱うこと。エについては、災害の予防や人命保護に関する設備を簡単に扱うこと。なお、アからエまでにおいては、省エネルギーの必要性も簡単に扱うこと。

 エ 内容の(4)のア及びイについては、身近な住宅を中心として、建築計画の基本的な手法を扱うこと。ウについては、不特定多数の利用者を対象とした建築物の空間構成と災害に対する配慮の必要性を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、都市計画に関する概念を扱うこと。

第34 建築法規

1 目標

 建築関係法規に関する基礎的な知識を習得させ、建築物の設計、施工、管理などに活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)建築関係法規の概要

 ア 建築関係法規の意義
 イ 建築関係法規の構成

(2)建築基準法

 ア 構造と設備に関する規定
 イ 用途と敷地に関する規定
 ウ その他の規定

(3)建築関係法規

 ア 建築の業務に関する法規
 イ 都市計画に関する法規
 ウ 労働安全に関する法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、具体的な事例を通して、建築物が安全及び衛生上の必要性から多くの法規によって規制されていることについて理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、建築関係法規の沿革に触れて、その意義について理解させること。イについては、建築関係法規の体系と構成について、その概要について理解させること。

 イ 内容の(2)のアからウまでについては、具体的な事例を取り上げ、相互に関連付けて扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、内容の(2)以外の建築に関する法規の概要を扱うが、専門的に深入りしないこと。

第35 設備計画

1 目標

 設備工業の計画に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に計画できる能力と態度を育てる。

2 内容

(1)設備の基礎

 ア 自然環境
 イ 室内環境
 ウ 流体及び熱に関する力学

(2)設備に関係した建築構造

 ア 建築物の計画
 イ 主な建築構造
 ウ 構造物の力学

(3)建築物の設備計画

 ア 設備計画の概要
 イ 建築物内の設備の配管
 ウ 機器・配管の所要スペース

(4)設備の施工

 ア 施工管理
 イ 設備工事の積算

(5)設備関係法規

 ア 設備に関する法規
 イ 建築に関する法規
 ウ その他の法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(5)のウについては、生徒や学校の実態に応じて、扱わないことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のア及びイについては、設備工業と自然環境及び室内環境とのかかわりを扱うこと。ウについては、水と空気に関する基礎的な力学及び簡単な熱力学を扱い、専門的に深入りしないこと。

 イ 内容の(2)のア及びイについては、設備を計画する際に必要な建築構造に関する基礎的な内容を中心に扱うこと。ウについては、静定構造物の力の釣合い、曲げモーメントとせん断力図、応力度とひずみ度の概念、断面二次モーメントと断面係数の概念及び基礎的な計算方法を扱うこと。

 ウ 内容の(5)については、設備に関する基本的な法規の概要を扱うこと。ウについては、衛生・防災に関する法規などの概要を扱うこと。

第36 空気調和設備

1 目標

 空気調和設備に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)空気調和の基礎

 ア 空気調和の方式
 イ 冷房・暖房負荷
 ウ 湿り空気の状態

(2)空気調和装置

 ア 空気調和装置の構成
 イ 中央式・個別式空気調和機
 ウ 空気調和装置の制御
 エ 空気調和装置の設計

(3)換気・排煙装置

 ア 換気・排煙設備の構成
 イ 換気・排煙設備の設計

(4)直接暖房装置

 ア 主な機器と構成
 イ 装置の設計及び配管

(5)空気調和設備の施工

 ア 機器の据付けと配管工事
 イ 空気調和設備の試験・検査・保守

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(3)については、学校の実態等に応じて、扱わないことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、代表的な空気調和方式の構成と特徴及び利用例を扱うこと。イについては、冷房及び暖房の簡単な負荷計算を扱うこと。ウについては、湿り空気の組成及び空気線図の仕組みを扱うこと。

 イ 内容の(2)のア及びイについては、空気調和装置を構成している主な機器の構造、性能及び用途を扱うこと。ウについては、空気調和装置の制御に関する基礎的な内容を扱うこと。エについては、空気調和装置の設計に関する基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、換気法の種類と排気量や排煙の方式について、関係法規と関連付けて扱うこと。イについては、換気・排煙設備の設計手順を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、直接暖房装置を構成する主な機器の構造、用途及び関連する配管を扱うこと。イについては、簡単な暖房装置の設計例を取り上げ、その概要を扱うこと。

 オ 内容の(5)のアについては、機器の据付け、配管工事及び保温・保冷工事の基礎的な内容を扱うこと。イについては、関係法規に基づく試験・検査及び保守について、基礎的な内容を扱うこと。

第37 衛生・防災設備

1 目標

 衛生・防災設備に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)給水・給湯設備

 ア 水資源と上水道
 イ 給水・給湯に関する機器と構成
 ウ 給水・給湯設備と配管機器の設計

(2)排水通気設備

 ア 排水と下水道
 イ 排水通気設備と配管機器の設計
 ウ 住宅の給排水設備

(3)排水処理設備

 ア 排水浄化の原理と方法
 イ し尿浄化設備と排水再利用

(4)防災設備

 ア 防火対象物と消防用設備
 イ 消火設備と配管機器の設計

(5)その他の設備
(6)衛生・防災設備の施工

 ア 機器の据付けと配管工事
 イ 衛生・防災設備の試験・検査・保守

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(3)及び(5)については、学校の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、水質基準と水道施設の概要を扱うこと。イについては、給水・給湯の機器構成及び給水方式を扱うこと。ウについては、給水・給湯量の計算、配管機器の簡単な設計及び給水・給湯管径の求め方を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、排水の種類と下水道施設の概要を扱うこと。イについては、排水・通気系統の機器と構成、衛生器具の排水量及び排水・通気管径の簡単な求め方を扱うこと。ウについては、具体的な事例を通して理解させること。

 ウ 内容の(3)については、環境保全の観点から排水処理の必要性について理解させ、し尿浄化設備の構成と排水の再利用を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、防災設備の必要性について理解させ、主な消火設備の機器の構成と配管を中心に扱うこと。

 オ 内容の(5)については、ガス設備を中心に扱い、それ以外の設備は概要について理解させる程度とし、網羅的に扱わないこと。

 カ 内容の(6)のアについては、施工法を中心に扱うこと。イについては、関係法規に基づく基礎的な機器の試験・検査及び保守を扱うこと。

第38 測量

1 目標

 土木測量に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)測量の基礎

 ア 測量の概要
 イ 距離の測量
 ウ 角の測量

(2)平面の測量

 ア 骨組測量
 イ 細部測量
 ウ 面積の計算

(3)高低の測量

 ア レベルによる高低の測量
 イ 縦横断測量
 ウ 体積や土量の計算

(4)地形図

 ア 地形測量の目的と順序
 イ 等高線とその測定法
 ウ 地形図の作成とその利用

(5)写真測量

 ア 写真測量の基礎
 イ 空中写真の性質と利用

(6)新しい測量技術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、三角測量、路線測量などの測量実習を通して、測量に関する総合的な能力と態度の育成に留意すること。

 イ 内容の(5)及び(6)については、学校の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)のア及びイについては、トランシットによる骨組測量や平板による細部測量など、測量の基本的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(4)については、土木工事を計画し施工するために必要な現場の地形図の作成手順とその利用方法を扱うこと。

 ウ 内容の(5)については、新しい写真測量技術の現状や利用方法の概要を扱うこと。

 エ 内容の(6)については、コンピュータや人工衛星などを利用した新しい測量技術を扱うこと。

第39 土木施工

1 目標

 土木施工と管理に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)土木材料

 ア 土木材料の基礎
 イ 土木材料の性質と利用
 ウ 土木材料としての土の利用

(2)施工技術

 ア 土工
 イ コンクリート工
 ウ 基礎工
 エ 舗装工
 オ トンネル工

(3)土木工事管理

 ア 工事管理の計画
 イ 工程管理と品質管理
 ウ その他の管理

(4)工事用機械と電気設備

 ア 工事用機械
 イ 工事用電気設備

(5)土木施工に関する法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、工事現場の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のア及びイについては、土木工事に用いられる基本的な材料を扱うこと。ウについては、土木材料としての土の利用や土の改良などを扱うこと。

 イ 内容の(2)については、土木工事の基礎的な技術を扱うこと。ウについては、土木構造物の基礎、杭基礎などの基礎工及び基礎掘削における土留め工法を扱うこと。オについては、トンネル工の基礎的な内容及び下水道管などの地下埋設物工事における圧入工法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、施工計画、工事の管理と組織などを扱うこと。ウについては、原価管理、安全管理などを扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、各種工事に必要な基本的な土工用機械を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、土木施工に関する法規の概要を扱うこと。

第40 土木基礎力学

1 目標

 土木構造物や土及び水の基礎力学に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)土木構造力学の基礎

 ア 土木構造物と力
 イ 静定構造物の計算
 ウ 材料の強さと部材の設計

(2)土質力学の基礎

 ア 土の基本的性質と調査及び試験
 イ 土中の水の流れ
 ウ 地中応力と土の圧密
 エ 土の強さ
 オ 土圧

(3)水理学の基礎

 ア 静水の性質
 イ 水の流れの性質と測定
 ウ 水路の計算
 エ 流れと波の力

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、模型を用いた実験や視聴覚教材を活用して、力学的な現象を視覚的に理解させるよう留意すること。

 イ 内容の(2)及び(3)については、生徒の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、土木構造物の種類、土木構造物に作用する力及び鋼とコンクリートの材料の基本的な性質を扱うこと。イについては、単純ばり、片持ばり、短柱及び長柱について、軸方向力、せん断力及び曲げモーメントの基本的な計算方法を扱い、専門的に深入りしないこと。静定トラス、ゲルバーばり、間接荷重ばりなどの計算方法は基礎的な内容にとどめること。ウについては、材料の強さ、部材断面の性質、はりの応力とたわみ及び断面形状の基本的な計算方法を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、土木構造物の安定や土木構造物を支える地盤に関連して、土の基本的な性質や力学の基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、静水圧を中心に扱うこと。イについては、ベルヌーイの定理を中心に扱うこと。ウについては、管水路と開水路の基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。エについては、水の流れにより物体の受ける力及び波の作用を簡単に扱うこと。

第41 土木構造設計

1 目標

 土木構造物の設計に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)鋼構造の設計

 ア 鋼構造の設計の基本
 イ Hビームの設計
 ウ プレートガーダーの設計

(2)鉄筋コンクリート構造物の設計

 ア 鉄筋コンクリート構造物の設計の基本
 イ はり構造の設計
 ウ 柱構造の設計
 エ プレストレストコンクリート構造物の設計

(3)基礎・土留め構造物の設計

 ア 杭基礎の設計
 イ 直接基礎の設計
 ウ 土留め構造物の設計

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、各種示方書などを取り扱い、土木構造物の部材の設計をさせるよう留意すること。

 イ 内容の(3)については、生徒の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

 ウ 指導に当たっては、工事現場の見学、土木構造物の模型を用いた実験及び視聴覚教材の活用により、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、設計の目的、順序、設計方法などの基本的な内容を扱うこと。イについては、H形鋼を用いたけたの応力計算や断面の設計方法について理解させること。ウについては、プレートガーダーを用いたけたの応力計算や断面の設計方法について理解させること。なお、イ及びウにおいて、曲げモーメントによるたわみや断面の基礎的な計算式についても扱うこと。

 イ 内容の(2)については、単鉄筋長方形ばりの設計計算を中心に扱い、複鉄筋長方形ばり、スラブなどの設計計算にかかる計算式については、専門的に深入りしないこと。

 ウ 内容の(3)については、具体的な事例を通して計算式の意味と使用方法について理解させること。

第42 社会基盤工学

1 目標

 社会基盤整備に関する基礎的な知識を習得させ、自然環境との調和を図り実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)社会基盤整備の概要

 ア 土木の歴史
 イ 社会資本と社会基盤の整備
 ウ 災害と国土の整備
 エ エネルギーの整備

(2)交通と運輸

 ア 道路
 イ 鉄道
 ウ 港湾
 エ 空港

(3)治水と利水

 ア 治水
 イ 利水

(4)社会基盤システム

 ア 都市計画
 イ 環境と景観
 ウ 防災

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)から(4)までについては、生徒の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、土木事業に関する技術史を取り上げ、土木構造物と人間の生活とのかかわり及び土木事業が産業や経済の発展に果たした役割を簡単に扱うこと。イについては、経済や産業の基盤整備と土木工事とのかかわりを簡単に扱うこと。ウについては、防災のための国土の整備を扱うこと。エについては、電力やガスなどのエネルギー資源の活用の概要について理解させること。

 イ 内容の(2)のアについては、道路の構造、施工及び維持管理の基礎的な内容を扱うこと。イについては、鉄道建設及び路線の規格と構造の基礎的な内容を扱うこと。ウについては、港湾の計画や管理及び港湾施設の基礎的な内容を扱うこと。エについては、空港の計画や施設の基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、河川の改修と海岸の防護、治山・砂防及び土木構造物の機能と簡単な計画を扱うこと。イについては、水資源の開発及び上下水道の基礎的な内容を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、都市計画の基本的な内容及び国土計画、地域計画の概要を扱うこと。イについては、内容の(2)及び(3)に関連する基本的な環境保全及び社会基盤施設と景観とのかかわりを扱うこと。ウについては、地震災害、土砂災害、火山災害などの災害と防災対策の基礎的な内容を扱うこと。

第43 工業化学

1 目標

 工業化学に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)地球と化学

 ア 地球の資源と化学
 イ 化学反応
 ウ 気体の性質
 エ 空気の利用

(2)水と化学

 ア 水と溶液
 イ 酸と塩基
 ウ 海水の利用
 エ アルカリ金属とハロゲン

(3)エネルギーと化学変化

 ア 燃焼と化学
 イ 酸化と還元
 ウ 化学結合
 エ 反応速度と化学平衡
 オ 原子エネルギー

(4)石油と化学

 ア 有機化合物の基礎
 イ 石油の精製
 ウ 石油と化学工業

(5)材料と化学

 ア 工業材料
 イ 新素材

(6)生活と化学工業製品

 ア 食品と化学
 イ 油脂と石鹸
 ウ バイオの化学
 エ 有害物質と危険物

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、化学工業が、資源とエネルギーを有効に利用して様々な材料を製造していること及び環境保全に関して重要な技術であることについて理解させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、地球上の主要な物質を構成している基本的な元素や化合物の概要を扱うこと。イについては、化学変化及び化学反応式の基礎的な内容を扱うこと。ウについては、気体の法則を中心に扱うこと。エについては、アンモニアの工業的製法の概要を扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、溶解度や濃度を中心に扱うこと。イについては、酸及び塩基の基礎的な内容を扱うこと。ウについては、食塩を原料とした化合物の工業的製法の概要を扱うこと。エについては、アルカリ金属とハロゲンの性質を簡単に扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、燃焼に伴う化学変化とエネルギー変化の基礎的な内容を扱うこと。イについては、酸化と還元及び電気分解と電池を扱うこと。ウについては、化学結合及び物質の構造を扱うこと。エについては、反応速度と化学平衡の基礎的な内容を扱うこと。オについては、放射性物質の性質と利用を簡単に扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、有機化合物の基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。イについては、石油製品の製造に関する基礎的な内容を扱うこと。ウについては、化学工業の原料としての石油の役割を扱うこと。また、天然ガスや石炭を原料とする化学工業を簡単に扱うこと。

 オ 内容の(5)のアについては、セラミックス、金属及び高分子の各材料の性質及び用途を簡単に扱うこと。イについては、機能性材料の性質と用途を簡単に扱うこと。

 カ 内容の(6)のア及びイについては、身近な生活用品を例として、生活と化学工業製品のかかわりを扱うこと。ウについては、酵素や微生物を利用した化学工業の概要を扱うこと。エについては、有害物質と危険物の取扱い方法及び取扱者の管理責任の概要を扱うこと。

第44 化学工学

1 目標

 化学製品の製造に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)化学工場と化学プラント

 ア 化学工場の特徴
 イ 反応装置
 ウ 周辺の装置と設備
 エ 化学プラント

(2)物質とエネルギーの収支

 ア 物質収支
 イ エネルギー収支
 ウ 単位換算

(3)単位操作

 ア 流体の輸送
 イ 熱の利用と管理
 ウ その他の単位操作

(4)計測と制御

 ア プロセス変量の計測
 イ 制御技術

(5)化学プラントの安全

 ア 化学工業と災害
 イ 災害の予防と安全管理

(6)管理と関係法規

 ア 生産の計画と工程管理
 イ 品質管理
 ウ 化学工場と関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、熱の有効利用や廃棄物の再利用及び省資源や省エネルギーの考え方について理解させること。

 イ 指導に当たっては、化学災害の防止や安全管理の重要性について認識させ、化学技術者としての職業観の育成に努めること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイ及びウについては、化学工場の概要を把握する上で必要な内容を扱う程度とすること。

 イ 内容の(2)については、資源及びエネルギーの有効活用の事例を通して、具体的に理解させること。イについては、熱収支を簡単に扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、基礎的な流体の力学計算及び物質収支とエネルギー収支を扱い、専門的に深入りしないこと。イについては、伝熱及び熱交換を扱い、化学工業において熱を効率よく利用することの重要性について理解させること。ウについては、地域や学校の実態に応じて、単位操作の題材を選定して扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、主な検出器の種類と原理及び用途を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、化学災害の防止やプラントの安全管理などの基礎的な内容を扱うこと。

 カ 内容の(6)のア及びイについては、化学工場における基礎的な工程管理及び品質管理を扱うこと。ウについては、化学工場に関する法規の目的と概要を簡単に扱うこと。

第45 地球環境化学

1 目標

 環境保全に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)地球環境と人間

 ア 生活と環境
 イ 自然環境の保全

(2)資源とエネルギー

 ア 地球と資源
 イ 資源の有効利用
 ウ 資源の使用と地球環境

(3)自然環境の調査

 ア 環境汚染の種類と原因
 イ 環境の分析と調査

(4)環境の保全と化学技術

 ア 環境保全と製造プロセスの改善
 イ 環境汚染の処理技術
 ウ 廃棄物の再利用

(5)環境保全に関する法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、地球の環境保全のために、化学技術が重要な役割を果たしていることについて理解させること。

 イ 内容の(3)及び(4)の各事項については、地域の実態や学科の特色に応じて適切な題材を選定するとともに、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、自然環境の保全と人間生活や生態系とのかかわりを簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、資源の有限性、資源及びエネルギーの有効利用の必要性、化石燃料の使用が地球環境に及ぼす影響などを扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、大気汚染と水質汚濁の事例を取り上げ、汚染の種類と原因を考えさせること。イについては、関係法規に基づいた測定法による基礎的な環境分析技術及び調査方法を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、環境保全のための製造プロセスの改善に関する基礎的な内容を扱うこと。イについては、環境汚染物質の基礎的な処理技術を扱うこと。ウについては、廃棄物の再資源化の基礎的な処理技術を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、環境保全に関する法規の概要を扱うこと。

第46 材料製造技術

1 目標

 材料製造技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)材料製造の基礎

 ア 材料製造法の発達
 イ 物質の性質と化学反応
 ウ 高分子化合物の合成

(2)鉱石と原料の予備処理

 ア 高温炉の種類
 イ 原料の予備処理

(3)鉄鋼製錬

 ア 鉄鋼の製造と製錬反応
 イ 鋼の造塊と連続鋳造

(4)非鉄金属製錬

 ア 溶融製錬法
 イ 湿式製錬法
 ウ 電解製錬法
 エ その他の製錬法

(5)セラミック材料の製造

 ア セラミック材料の概要
 イ セラミック材料の製造法
 ウ 複合材料の製造

(6)高分子材料の製造

 ア 高分子材料の概要
 イ 高分子材料の製造法

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、工業材料の製造方法と工業が相互に関連して発展してきたことについて理解させること。イについては、物質の種類と性質及び材料製造の原理と化学反応の基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(3)のアについては、主な炉による精錬の原理と方法を扱うこと。イについては、連続鋳造法の原理と鉄鋼製造工程の概要を扱うこと。

 ウ 内容の(4)のアからエまでについては、代表的な材料を取り上げ、精錬法の原理と方法を扱うこと。エについては、半導体などの特殊な材料の精錬法を簡単に扱う程度とすること。

 エ 内容の(5)については、セラミック材料として、ファインセラミックス、ガラス及びセメントを扱うこと。

第47 工業材料

1 目標

 工業材料に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)工業材料の開発の歴史
(2)工業材料の性質

 ア 化学結合と結晶構造
 イ 機械的性質
 ウ 物理的・化学的性質
 エ 状態図と結晶組織

(3)材料の試験と検査

 ア 機械的性質の試験
 イ 組織観察
 ウ その他の検査

(4)構造用材料

 ア 鋼と鋳鉄
 イ 軽金属材料
 ウ 構造用セラミックス
 エ エンジニアリングプラスチック
 オ 構造用複合材料

(5)機能性材料

 ア 電磁気材料
 イ 音響・光学材料
 ウ エネルギー変換材料
 エ その他の機能性材料

(6)環境と材料

 ア 工業材料と安全性
 イ 工業材料のリサイクル

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、工業材料の発達が生活文化及び工業の発展に大きな影響を与えてきたことについて理解させること。

 イ 内容の(2)については、物質の結合方法及び材料の組織が、材料の性質と相互に関連していることについて理解させること。

 ウ 内容の(3)については、材料の試験及び検査の原理と方法を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、鋼と鋳鉄及び基本的な鉄合金の性質を扱うこと。イからオまでについては、代表的な材料の種類と性質及び利用例を扱うこと。

 オ 内容の(5)のアからウまでについては、各材料に求められる性質及び応用例を扱うこと。エについては、センサ材料などの材料を簡単に扱う程度とすること。

 カ 内容の(6)のアについては、環境に対して安全な工業材料の製造及び活用方法を扱うこと。イについては、工業材料のリサイクルの基礎的な技術を扱うこと。

第48 材料加工

1 目標

 材料加工に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)材料加工技術の発達
(2)材料の加工方法

 ア 鋳造
 イ 成形
 ウ 焼結
 エ 機械加工
 オ 接合
 カ その他の加工方法

(3)生産の自動化とプロセス制御

 ア 計測方法
 イ 制御方法
 ウ 生産工程の自動化システム

(4)工業材料の製造管理

 ア 生産方式と工程管理
 イ 設備と資材の管理
 ウ 作業の標準化
 エ 環境管理

(5)工業材料の品質管理と検査

 ア 品質管理の目的と考え方
 イ 品質のばらつきと統計的な考え方
 ウ 品質保証と検査

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、工業材料の加工技術と生産方法が相互に関連して発展してきたことを簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、金属、セラミックス及び高分子材料に関する基本的な加工方法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のア及びイについては、材料の計測及び生産における制御の原理と方法を扱うこと。ウについては、生産工程の自動化システムの基本的な構成を扱い、専門的に深入りしないこと。

 エ 内容の(4)のアについては、工業材料の製造における基礎的な生産方式と工程管理を扱うこと。ウについては、作業の標準化と原価管理の基礎的な内容を簡単に扱うこと。エについては、生産工場における大気及び水質の汚染対策を簡単に扱うこと。

 オ 内容の(5)については、具体的な事例を通して、工業材料の品質管理と検査の基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。

第49 セラミック化学

1 目標

 セラミック材料に関する化学的な知識と技術を習得させ、製品の製造と品質の改良に実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)原子と原子構造

 ア 原子の構造
 イ 電子配置とイオン

(2)化学結合と物性

 ア 化学結合の種類
 イ イオン半径と配位数
 ウ 結晶構造と物性
 エ ガラス構造と物性

(3)平衡状態図

 ア 相と成分
 イ 平衡状態図

(4)高温反応

 ア 高温における物質移動と反応
 イ 溶融と結晶化

(5)結晶質材料

 ア シリカとアルミナ
 イ ケイ酸アルミニウムと粘土鉱物
 ウ その他の酸化物材料
 エ 非酸化物材料

(6)非晶質材料

 ア 酸化物ガラス
 イ 結晶化ガラス
 ウ その他の非晶質材料

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(5)及び(6)については、地域産業の実態や学科の特色に応じて、適切なセラミック材料を選定して扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、周期表の第3周期までの元素を扱う程度とすること。

 イ 内容の(2)については、化学結合と物性の基礎的な内容について理解させる程度とし、専門的に深入りしないこと。

 ウ 内容の(3)については、2成分系を扱う程度とすること。

 エ 内容の(4)については、焼結の機構を中心に扱い、専門的に深入りしないこと。

第50 セラミック技術

1 目標

 セラミックスの製造技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)原料処理

 ア 原料
 イ 処理工程
 ウ 調合計算と原料処理

(2)セラミックスの成形と乾燥

 ア 各種の成形法
 イ 乾燥

(3)加熱処理と溶融

 ア 燃料と燃焼
 イ 加熱炉
 ウ 溶融

(4)セラミックスの加工

 ア 研磨剤と工具
 イ セラミック加工

(5)品質の管理と評価

 ア 品質管理
 イ 品質の評価

(6)セラミック技術と安全

 ア 公害対策と安全
 イ 廃棄物の処理と再利用技術

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、工場の見学や実習などを活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

 イ 内容の(1)のウについては、地域産業の実態や学科の特色に応じて題材を選択して扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のウについては、調合計算と原料処理の基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、セラミックスの成形と乾燥の方法及び装置の構造を簡単に扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、燃料の特性と簡単な燃焼計算を扱うこと。イについては、加熱炉の構造及び炉材の特性を扱うこと。

 エ 内容の(4)のイについては、機械的加工、化学的加工及び電気的加工を扱うこと。

 オ 内容の(5)については、具体的な例を通して、品質管理及び評価方法の基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。

 カ 内容の(6)については、セラミックスの製造における環境保全及び資源の再利用技術の基礎的な内容を扱うこと。

第51 セラミック工業

1 目標

 セラミック工業に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)機能性セラミックス

 ア 材料と科学技術
 イ 機械的機能
 ウ 電気的機能
 エ 光学的機能
 オ その他の機能

(2)陶磁器

 ア 陶磁器の歴史
 イ 原料と製造工程
 ウ 陶器と磁器

(3)ガラスとほうろう

 ア ガラス工業の歴史
 イ 原料と製造工程
 ウ 主なガラス
 エ ほうろう

(4)耐火物

 ア 産業と耐火物
 イ 原料と製造工程
 ウ 各種の耐火物

(5)セメント

 ア 原料と製造工程
 イ セメントの性質と用途

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)から(5)までについては、地域産業の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、機能性セラミックスの開発を支えた技術の概要を簡単に扱うこと。イからオまでについては、セラミックスの多様な機能及び利用例を扱うこと。なお、機能性の原理については基礎的な内容にとどめ、専門的に深入りしないこと。

 イ 内容の(2)については、地場産業の発展の歴史やその製造方法と関連付けて扱うこと。

 ウ 内容の(3)のイについては、代表的なガラスの製造工程を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、耐火物を利用する製造業についても簡単に扱うこと。

 オ 内容の(5)のイについては、セメントに関する基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。

第52 繊維製品

1 目標

 繊維及び繊維製品に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)繊維製品の概要

 ア 繊維製品の役割
 イ 繊維の分類と性質
 ウ 新繊維

(2)糸

 ア 糸の種類と構造、製造
 イ 糸の性質と用途

(3)布類

 ア 織物の組織と構造、製造
 イ ニットの組織と構造、製造
 ウ その他の布類
 エ 布の性質と用途

(4)繊維の二次製品

 ア 二次製品の種類
 イ アパレル製造
 ウ 二次製品の加工
 エ 品質試験、品質管理

(5)繊維製品の企画と販売

 ア 繊維製品の消費動向と市場調査
 イ 製品の企画と開発
 ウ 繊維製品の流通と販売

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、代表的な天然繊維と化学繊維を扱うこと。ウについては、生活用新素材及び産業用新素材について、特徴と用途を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)のイについては、基本的な糸の性質と用途及び糸の性質を調べるための試験方法の原理を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のウについては、レース、組物及び網を簡単に扱うこと。エについては、布の性質を調べるための簡単な試験方法を扱うこと。

 エ 内容の(4)のアについては、衣料及び産業用資材としての二次製品の種類及び用途を簡単に扱うこと。エについては、品質試験及び品質管理の基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。

第53 繊維・染色技術

1 目標

 繊維製品の製造技術と染色技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)繊維製造・染色技術の概要

 ア 繊維・染色の歴史
 イ 繊維産業
 ウ 繊維・染色と生活環境

(2)繊維と染色の基礎化学

 ア 繊維高分子
 イ 染色の化学
 ウ 繊維と染色に関する薬品の性質

(3)素材

 ア 繊維の製造と性質
 イ 色素材料
 ウ 繊維製造における自動化

(4)染色加工

 ア 染色用水と廃水処理
 イ 精練と漂白
 ウ 浸染
 エ 仕上げ加工
 オ 染色と仕上げ加工の自動化

(5)機能性をもったテキスタイル

 ア 処理加工
 イ 特殊仕上げ加工

(6)プリント技術

 ア なせん
 イ 印刷
 ウ 非繊維素材への着色

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、繊維製造及び染色技術の発展史を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、繊維と染色に関する化学の原理やその基礎的な内容を扱い、専門的に深入りしないこと。

 ウ 内容の(3)のアについては、繊維製造の方法及び繊維の性質を扱い、製造機械については簡単に触れる程度とすること。イについては、色素材料の基本的な性質と代表的な用途及び管理を扱うこと。ウについては、繊維製造における自動化の原理と機械設備の基本的な構成を扱うこと。

 エ 内容の(4)のイについては、繊維材料の代表的な精練・漂白工程を扱うこと。ウについては、基本染法と主な繊維の染色方法の概要を扱うこと。オについては、染色、色彩管理及び仕上げ加工の自動化の基本的な原理と方法を扱うこと。

 オ 内容の(5)のアについては、機能性をもたせるための基本的な処理加工を扱うこと。

 カ 内容の(6)のアについては、なせんの概要を扱うこと。イについては、印刷の工程と製版の概要を扱うこと。ウについては、非繊維素材への着色の概要を扱うこと。

第54 染織デザイン

1 目標

 繊維製品の設計に必要な染と織のデザインに関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)造形とテキスタイル

 ア テキスタイルと人とのかかわり
 イ テキスタイルとデザイン
 ウ 基礎造形
 エ 色彩の基礎と色彩計画

(2)デザインの基礎技法

 ア テキスタイルデザインの性格
 イ 基礎描法
 ウ パターンデザイン

(3)デザインの具体化

 ア 織物による具体化
 イ 編み物による具体化
 ウ 染色加工による具体化
 エ コンピュータによる具体化

(4)服飾とインテリア

 ア 服飾とテキスタイル
 イ インテリアとテキスタイル
 ウ 美術様式と被服様式

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、美術館等の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のウについては、造形の原理について理解させ、簡単な作品制作を扱うこと。エについては、色彩の基礎と色彩計画の基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(2)のイについては、テキスタイルデザインを表示する基礎的な描法を扱うこと。

 ウ 内容の(3)のアからウまでについては、デザインの具体化の方法について、具体的な事例を通して理解させること。エについては、テキスタイルデザインにコンピュータを活用した事例を扱う程度とすること。

 エ 内容の(4)のアについては、服飾とテキスタイル及び繊維製品のデザイン画の制作を扱うこと。イについては、室内装飾としてのテキスタイルを扱うこと。

第55 インテリア計画

1 目標

 インテリア計画に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)インテリア計画の概要
(2)インテリアの環境条件

 ア 屋外環境
 イ 屋内環境
 ウ 色彩と形態

(3)インテリアと人間工学

 ア 人体と人体寸法
 イ 姿勢と動作
 ウ インテリアと住空間

(4)寸法計画と規模計画

 ア 空間の目的と規模
 イ モデュラーコーディネーション
 ウ 寸法設計

(5)インテリアエレメントの計画

 ア インテリアエレメントの分類
 イ エレメントの計画上の取扱い

(6)各種空間の計画

 ア 住宅
 イ 事務所
 ウ その他の施設

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)については、アからウまでを関連付けた適切な題材を選定し、インテリア空間の計画をさせるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、インテリア計画の意義と概要を簡単に扱うこと。

 イ 内容の(2)のアについては、気温や日照等の屋外の気象変化とインテリアの関係の基礎的な内容を扱うこと。イについては、照明や音響等の屋内の環境とインテリアの関係の基礎的な内容を扱うこと。ウについては、インテリアの色彩と形態及びそれが人間の感覚に与える影響の基本的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(4)のアについては、空間規模、施設規模及び規模決定の方法を扱うこと。イについては、モデュラーコーディネーションの基礎的な内容を扱うこと。ウについては、グリッドプランニングを扱うこと。

 エ 内容の(5)のアについては、インテリアエレメントの種類と分類を扱うこと。イについては、家具、カーテン、カーペット、照明器具などを扱うこと。

 オ 内容の(6)のア及びイについては、空間の計画と簡単な設計例を扱うこと。ウについては、商業施設、教育施設などの計画を簡単に扱う程度とすること。

第56 インテリア装備

1 目標

 インテリア装備に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)建築構造と力学

 ア 建築構造の概要
 イ 構造物に働く力
 ウ 部材の断面

(2)設備

 ア 給排水・衛生設備
 イ 空気調和設備
 ウ その他の設備

(3)インテリアの構造と施工

 ア 床、壁、天井の下地と仕上
 イ 開口部
 ウ 階段
 エ 造作

(4)インテリア材料の種類と性質

 ア 構造材料
 イ 機能材料
 ウ 仕上材料

(5)インテリアの工業化
(6)インテリアの維持保全
(7)インテリア装備の関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、インテリア装備の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、インテリア装備を計画し施工するために必要な建築構造の概要を扱うこと。イについては、構造物に加わる力の基礎的な力学計算を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、インテリア装備を計画し施工するために必要な設備の概要を扱うこと。

 ウ 内容の(4)については、インテリア材料の種類と性質及び材料の審美的特性と心理的効果の基礎的な内容を扱うこと。

 エ 内容の(5)については、インテリアのユニット化及びシステム化の概要を扱うこと。

 オ 内容の(6)については、インテリアの維持保全の方法及びリフォームの方法について基礎的な内容を扱うこと。

 カ 内容の(7)については、インテリア装備の施工と管理及び安全性などに関する法規の概要を扱うこと。

第57 インテリアエレメント生産

1 目標

 インテリアエレメント生産に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)材料と加工

 ア 木材と木質材料
 イ 金属材料
 ウ プラスチック材料
 エ その他の材料

(2)各種のエレメント

 ア 家具
 イ 建具
 ウ 照明器具
 エ 窓回り部品
 オ テキスタイル製品
 カ 壁装材料
 キ 工芸品

(3)生産技術

 ア 家具
 イ 建具
 ウ その他の生産技術

(4)生産管理

 ア 生産管理の基礎
 イ 生産の工程

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアからエまで及び(2)のアからキまでについては、生徒や地域産業の実態及び学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、材料の特性及び加工の原理と方法を扱うこと。

 イ 内容の(3)については、実際の生産工程に沿って機械設備と生産技術を総合的に扱うこと。また、関連する法規による規制の概要について触れること。

 ウ 内容の(4)のイについては、家具、建具、住宅部品のいずれかを例にして、生産工程及び基礎的な管理方法を扱うこと。

第58 デザイン史

1 目標

 造形とデザインの歴史を理解させ、実際に創造し鑑賞する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)日本のデザイン

 ア 古代の生活と造形
 イ 中世の生活と造形
 ウ 近世の生活と造形
 エ 近代の生活とデザイン

(2)西洋のデザイン

 ア 古代の生活と造形
 イ 中世の生活と造形
 ウ 近世の生活と造形
 エ 近代のデザインの成立と展開

(3)現代のデザイン

 ア 第二次大戦後のデザイン
 イ 現代デザインの展開

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、必要に応じて、東洋のデザインを含めて扱うこと。

 イ 指導に当たっては、美術館、博物館の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(3)については、日本のデザイン活動の国際的な広がり及び日本のデザインに影響を与えた諸外国のデザインなどを扱い、現代デザインの国際的な動向について理解させること。

第59 デザイン技術

1 目標

 デザイン技術に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に創造し応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)デザインの基礎

 ア デザインの概要と創造活動
 イ デザイン用具と用法
 ウ 形態観察と表示
 エ 色彩
 オ 人間要素

(2)ビジュアルデザイン

 ア ビジュアルデザインの概要
 イ グラフィックデザイン
 ウ パッケージデザイン
 エ 写真と印刷技術
 オ その他のビジュアルデザイン

(3)プロダクトデザイン

 ア プロダクトデザインの概要
 イ 生活器具のデザイン
 ウ 産業機器のデザイン
 エ 繊維・服飾デザイン
 オ 工芸品のデザイン
 カ その他のプロダクトデザイン

(4)環境構成デザイン

 ア 住空間と業務空間
 イ 家具
 ウ ディスプレイ及び店舗

(5)デザイン企画

 ア デザインの企画と計画
 イ マーケティング
 ウ デザインの組織と進行

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、美術館、博物館の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

 イ 内容の(2)のアからオまで及び(3)のアからカまでについては、地域産業の実態や学科の特色に応じて、選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、デザインの意味と要素、創造の意味と手法などを扱うこと。ウについては、物の見え方、とらえ方、表示及び表現の種類とその技法を扱うこと。エについては、色彩の基礎的な内容を扱うこと。オについては、造形の心理、人間工学、デザインと人間要素などの基礎的な内容を扱うこと。

 イ 内容の(2)については、視覚伝達デザインの分野にかかわる基礎的な内容を扱うこと。

 ウ 内容の(3)については、プロダクトデザインの意義、要素、用途などの基礎的な内容を扱うこと。

 エ 内容の(4)については、室内、家具及び店舗のデザインについて、基礎的な内容を扱うこと。

 オ 内容の(5)のア及びイについては、企業における製品デザインの企画、宣伝の企画、市場調査などを、具体的な事例を通して扱うこと。

第60 デザイン材料

1 目標

 デザイン材料及びその加工に関する基礎的な知識と技術を習得させ、使用目的に応じて適切な材料を選択する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)無機材料の特性と加工技術

 ア 金属材料
 イ セラミック材料
 ウ その他の無機材料

(2)有機材料の特性と加工技術

 ア 木・竹材料
 イ 合成樹脂
 ウ 繊維、皮革類
 エ 紙類
 オ 塗料と色材
 カ 接着剤
 キ その他の有機材料

(3)デザインと材料

 ア 材料の基本的な工学的特性
 イ 材料の感覚的特性
 ウ デザインと加工・施工技術
 エ 使用条件と材料の選択
 オ 製品実例の研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 指導に当たっては、産業現場の見学や視聴覚教材を活用して、具体的に理解させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のウについては、ガラスを中心に扱うこと。

 イ 内容の(2)については、各材料の種類、基本的な特性及び用途を扱うこと。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)工業に関する各学科においては、「工業技術基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2)工業に関する各学科においては、原則として工業に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(3)「実習」及び「製図」については、それぞれ科目名に各学科の名称を冠し、例えば「機械実習」、「機械製図」などとして取り扱うことができること。
(4)地域や産業界との連携を図り、就業体験を積極的に取り入れるとともに、社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

2 各科目の指導に当たっては、コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り、学習の効果を高めるよう配慮するものとする。

3 実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意するものとする。また、化学工業、材料技術、セラミックス、繊維などに関する「実習」においては、排気、廃液などの処理について十分留意するものとする。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --