第2章 各教科 第8節 技術・家庭

第1 目標

生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。

第2 各分野の目標及び内容

技術分野

1 目標

 実践的・体験的な学習活動を通して、ものづくりやエネルギー利用及びコンピュータ活用等に関する基礎的な知識と技術を習得するとともに、技術が果たす役割について理解を深め、それらを適切に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

A 技術とものづくり

(1)生活や産業の中で技術の果たしている役割について、次の事項を指導する。
 ア 技術が生活の向上や産業の発展に果たしている役割について考えること。
 イ 技術と環境・エネルギー・資源との関係について知ること。

(2)製作品の設計について、次の事項を指導する。
 ア 使用目的や使用条件に即した製作品の機能と構造について考えること。
 イ 製作品に用いる材料の特徴と利用方法を知ること。
 ウ 製作品の構想の表示方法を知り、製作に必要な図をかくことができること。

(3)製作に使用する工具や機器の使用方法及びそれらによる加工技術について、次の事項を指導する。
 ア 材料に適した加工法を知ること。
 イ 工具や機器を適切に使い、製作品の部品加工、組立て及び仕上げができること。

(4)製作に使用する機器の仕組み及び保守について、次の事項を指導する。
 ア 機器の基本的な仕組みを知ること。
 イ 機器の保守と事故防止ができること。

(5)エネルギーの変換を利用した製作品の設計・製作について、次の事項を指導する。
 ア エネルギーの変換方法や力の伝達の仕組みを知り、それらを利用した製作品の設計ができること。
 イ 製作品の組立て・調整や、電気回路の配線・点検ができること。

(6)作物の栽培について、次の事項を指導する。
 ア 作物の種類とその生育過程及び栽培に適する環境条件を知ること。
 イ 栽培する作物に即した計画を立て、作物の栽培ができること。

B 情報とコンピュータ

(1)生活や産業の中で情報手段の果たしている役割について、次の事項を指導する。
 ア 情報手段の特徴や生活とコンピュータとのかかわりについて知ること。
 イ 情報化が社会や生活に及ぼす影響を知り、情報モラルの必要性について考えること。

(2)コンピュータの基本的な構成と機能及び操作について、次の事項を指導する。
 ア コンピュータの基本的な構成と機能を知り、操作ができること。
 イ ソフトウェアの機能を知ること。

(3)コンピュータの利用について、次の事項を指導する。
 ア コンピュータの利用形態を知ること。
 イ ソフトウェアを用いて、基本的な情報の処理ができること。

(4)情報通信ネットワークについて、次の事項を指導する。
 ア 情報の伝達方法の特徴と利用方法を知ること。
 イ 情報を収集、判断、処理し、発信ができること。

(5)コンピュータを利用したマルチメディアの活用について、次の事項を指導する。
 ア マルチメディアの特徴と利用方法を知ること。
 イ ソフトウェアを選択して、表現や発信ができること。

(6)プログラムと計測・制御について、次の事項を指導する。
 ア プログラムの機能を知り、簡単なプログラムの作成ができること。
 イ コンピュータを用いて、簡単な計測・制御ができること。

3 内容の取扱い

(1)内容の「A技術とものづくり」については、次のとおり取り扱うものとする。
 ア (1)のイについては、技術の進展がエネルギーや資源の有効利用、自然環境の保全に貢献していることについて扱うこと。
 イ (2)、(3)及び(4)については、主として木材・金属などを使用した製作品を取り上げること。(2)のウについては、等角図、キャビネット図のいずれかを扱うこと。
 ウ (4)については、製作に使用する電気機器の基本的な電気回路や、漏電・感電等についても扱うこと。
 エ (6)については、草花や野菜等の普通栽培を原則とするが、地域や学校の実情等に応じて施設栽培等を扱うこともできること。

(2)内容の「B情報とコンピュータ」については、次のとおり取り扱うものとする。
 ア (1)のアについては、身近な事例を通して情報手段の発展についても簡単に扱うこと。(1)のイについては、インターネット等の例を通して、個人情報や著作権の保護及び発信した情報に対する責任について扱うこと。
 イ (3)のイについては、生徒の実態を考慮し文書処理、データベース処理、表計算処理、図形処理等の中から選択して取り上げること。
 ウ (4)については、コンピュータを利用したネットワークについて扱うこと。
 エ (6)のイについては、インタフェースの仕組み等に深入りしないこと。

家庭分野

1 目標

 実践的・体験的な学習活動を通して、生活の自立に必要な衣食住に関する基礎的な知識と技術を習得するとともに、家庭の機能について理解を深め、課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。

2 内容

A 生活の自立と衣食住

(1)中学生の栄養と食事について、次の事項を指導する。
 ア 生活の中で食事が果たす役割や、健康と食事とのかかわりについて知ること。
 イ 栄養素の種類と働きを知り、中学生の時期の栄養の特徴について考えること。
 ウ 食品の栄養的特質を知り、中学生に必要な栄養を満たす1日分の献立を考えること。

(2)食品の選択と日常食の調理の基礎について、次の事項を指導する。
 ア 食品の品質を見分け、用途に応じて適切に選択することができること。
 イ 簡単な日常食の調理ができること。
 ウ 食生活の安全と衛生に留意し、食品や調理器具等の適切な管理ができること。

(3)衣服の選択と手入れについて、次の事項を指導する。
 ア 衣服と社会生活とのかかわりを考え、目的に応じた着用や個性を生かす着用を工夫できること。
 イ 日常着の計画的な活用を考え、適切な選択ができること。
 ウ 衣服材料に応じた日常着の適切な手入れと補修ができること。

(4)室内環境の整備と住まい方について、次の事項を指導する。
 ア 家族が住まう空間としての住居の機能を知ること。
 イ 安全で快適な室内環境の整え方を知り、よりよい住まい方の工夫ができること。

(5)食生活の課題と調理の応用について、次の事項を指導する。
 ア 自分の食生活に関心をもち、日常食や地域の食材を生かした調理の工夫ができること。
 イ 会食について課題をもち、計画を立てて実践できること。

(6)簡単な衣服の製作について、次の事項を指導する。
 ア 日常の衣服に関心をもち、身体を覆う衣服の基本的な構成を知ること。
 イ 簡単な衣服の製作について課題をもち、計画を立てて製作できること。

B 家族と家庭生活

(1)自分の成長と家族や家庭生活とのかかわりについて考えさせる。

(2)幼児の発達と家族について、次の事項を指導する。
 ア 幼児の観察や遊び道具の製作を通して、幼児の遊びの意義について考えること。
 イ 幼児の心身の発達の特徴を知り、子どもが育つ環境としての家族の役割について考えること。

(3)家庭と家族関係について、次の事項を指導する。
 ア 家庭や家族の基本的な機能を知り、家族関係をよりよくする方法を考えること。
 イ 家庭生活は地域の人々に支えられていることを知ること。

(4)家庭生活と消費について、次の事項を指導する。
 ア 販売方法の特徴や消費者保護について知り、生活に必要な物資・サービスの適切な選択、購入及び活用ができること。
 イ 自分の生活が環境に与える影響について考え、環境に配慮した消費生活を工夫すること。

(5)幼児の生活と幼児との触れ合いについて、次の事項を指導する。
 ア 幼児の生活に関心をもち、課題をもって幼児の生活に役立つものをつくることができること。
 イ 幼児の心身の発達を考え、幼児との触れ合いやかかわり方の工夫ができること。

(6)家庭生活と地域とのかかわりについて、次の事項を指導する。
 ア 地域の人々の生活に関心をもち、高齢者など地域の人々とかかわることができること。
 イ 環境や資源に配慮した生活の工夫について、課題をもって実践できること。

3 内容の取扱い

(1)内容の「A生活の自立と衣食住」については、次のとおり取り扱うものとする。
 ア (1)のイについては、五大栄養素に関する基礎的な事項を扱うこと。また、水の働きについても触れること。(1)のウについては、食品群と食品群別摂取量の目安を扱う程度とすること。
 イ (2)のアについては、調理実習で用いる生鮮食品の良否と加工食品の表示を扱うこと。(2)のイについては、魚、肉、野菜を中心として扱い、基礎的な題材を取り上げること。
 ウ (3)のイについては、既製服の表示と選択に当たっての留意事項を扱うこと。
 エ (4)のアについては、住空間の計画、平面図は扱わないこと。
 オ (6)のイについては、生徒が活用できる日常着を扱うこと。なお、地域、学校及び生徒の実態等により、和服等の平面構成の基礎について扱うこともできること。

(2)内容の「B家族と家庭生活」については、次のとおり取り扱うものとする。
 ア (1)、(2)及び(3)については相互に関連を図り、実習や観察、ロールプレイングなどの学習活動を中心とするよう留意すること。
 イ (2)のイについては、幼児期における基本的な生活習慣の形成の重要性についても扱うこと。
 ウ (4)のアについては、中学生にかかわりの深い販売方法を取り上げること。
 エ (5)のイについては、幼稚園や保育所等で幼児との触れ合いができるよう留意すること。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)技術分野及び家庭分野の授業時数については、3学年間を見通した全体的な指導計画に基づき、いずれかの分野に偏ることなく配当して履修させること。その際、技術分野の内容の「A技術とものづくり」及び「B情報とコンピュータ」並びに家庭分野の内容の「A生活の自立と衣食住」及び「B家族と家庭生活」それぞれの(1)から(4)の項目については、すべての生徒に履修させること。また、技術分野の内容の「A技術とものづくり」及び「B情報とコンピュータ」並びに家庭分野の内容の「A生活の自立と衣食住」及び「B家族と家庭生活」それぞれの(5)及び(6)の項目については、各分野ごとに4項目のうち1又は2項目を選択して履修させること。
(2)技術分野の内容の「A技術とものづくり」及び「B情報とコンピュータ」並びに家庭分野の内容の「A生活の自立と衣食住」及び「B家族と家庭生活」の各項目に配当する授業時数及び履修学年については、地域、学校及び生徒の実態等に応じて、各学校において適切に定めること。
(3)各項目及び各項目に示す事項については、相互に有機的な関連を図り、総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。

2 各分野の内容の指導については、次の事項に配慮するものとする。
(1)実践的・体験的な学習活動を中心とし、仕事の楽しさや完成の喜びを体得させるようにすること。
(2)生徒が自分の生活に結び付けて学習できるよう、問題解決的な学習を充実すること。

3 実習の指導に当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整備するとともに、火気、用具、材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意するものとする。

4 選択教科としての「技術・家庭」においては、生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう、第2の内容その他の内容で各学校が定めるものについて、課題学習、基礎的・基本的な知識と技術の定着を図るための補充的な学習、地域の実態に即したり各分野の内容を統合したりする発展的な学習などの学習活動を各学校において適切に工夫して取り扱うものとする。

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初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --