第2章 各教科 第9節 体育

第1 目標

 心と体を一体としてとらえ、適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して、運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる。

第2 各学年の目標及び内容

第1学年及び第2学年

1 目標

(1)基本の運動及びゲームを簡単なきまりや活動を工夫して楽しくできるようにするとともに、体力を養う。

(2)だれとでも仲よくし、健康・安全に留意して運動をする態度を育てる。

2 内容

A 基本の運動

(1)走・跳の運動遊び、力試しの運動遊び、器械・器具を使っての運動遊び、用具を操作する運動遊び、水遊び及び表現リズム遊びについて、仲間との競争、いろいろな課題への取組などを楽しく行うとともに、体の基本的な動きや各種の運動の基礎となる動きができるようにする。

(2)順番やきまりを守って仲よく運動をしたり、運動をする場所や器械・器具の安全に気を付けたり、水遊びの心得を守ったりすることができるようにする。

(3)競争や運動の仕方を知り、活動を工夫することができるようにする。

B ゲーム

(1)ボールゲーム及び鬼遊びについて、易しい遊び方を身に付け、みんなでゲームが楽しくできるようにする。

(2)規則を守り、互いに仲よくゲームを行い、勝敗を素直に認めることができるようにする。

(3)ゲームを楽しむための簡単な規則を工夫することができるようにする。

3 内容の取扱い

(1)内容の「A基本の運動」の「走・跳の運動遊び」、「器械・器具を使っての運動遊び」、「水遊び」及び「表現リズム遊び」については、2学年にわたって指導するものとする。

(2)内容の「Bゲーム」の「ボールゲーム」については、2学年にわたって指導するものとする。

(3)地域や学校の実態に応じて歌や運動を伴う伝承遊び、自然の中での運動遊び及び簡単なフォークダンスを加えて指導することができる。

第3学年及び第4学年

1 目標

(1)各種の運動の課題をもち、活動を工夫して運動を楽しくできるようにするとともに、その特性に応じた技能を身に付け、体力を養う。

(2)協力、公正などの態度を育てるとともに、健康・安全に留意して最後まで努力する態度を育てる。

(3)健康な生活及び体の発育・発達について理解できるようにし、身近な生活において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。

2 内容

A 基本の運動

(1)走・跳の運動、力試しの運動、器械・器具を使っての運動、用具を操作する運動及び浮く・泳ぐ運動について、仲間との競争、いろいろな課題への取組などを楽しく行うとともに、体の基本的な動きや各種の運動の基礎となるよい動きができるようにする。

(2)順番やきまりを守って仲よく運動をしたり、運動をする場所や器械・器具の安全に気を付けたり、浮く・泳ぐ運動の心得を守ったりすることができるようにする。

(3)競争や運動の仕方の課題をもち、運動の楽しさを求めて活動を工夫することができるようにする。

B ゲーム

(1)バスケットボール型ゲーム、サッカー型ゲーム及びベースボール型ゲームについて、友達と規則を工夫し、簡単な技能を身に付け、ゲームが楽しくできるようにする。

(2)規則を守り、互いに協力してゲームを行い、勝敗を素直に認めることができるようにする。

(3)チームの課題をもち、簡単なゲームを工夫することができるようにする。

C 器械運動

(1)自己の能力に適した課題をもって次の運動を行い、技に取り組んだり、その技ができるようにしたりする。
 ア マット運動及び鉄棒運動について、技に取り組んだり、できる技を繰り返したり、組み合わせたりすること。
 イ 跳び箱運動について、支持跳び越しをすること。

(2)互いに励まし合って運動をしたり、器械・器具の使用の仕方を工夫して安全に運動をしたりすることができるようにする。

(3)自己の能力に適した技に取り組み、その技ができるようにするための活動を工夫することができるようにする。

D 水泳

(1)自己の能力に適した課題をもち、クロール及び平泳ぎの技能を身に付け、ある程度続けて泳ぐことができるようにする。

(2)互いに協力して水泳をしたり、水泳プールのきまりや水泳の心得を守って安全に水泳をしたりすることができるようにする。

(3)自己の能力に適した課題をもち、活動を工夫することができるようにする。

E 表現運動

(1)表現及びリズムダンスについて、身近な生活の中から題材を選んでその主な特徴をとらえて表現したり、軽快なリズムに乗って踊ったりして、みんなで踊りを楽しむことができるようにする。

(2)互いのよさを認め合い、協力して練習や発表ができるようにする。

(3)表したい内容にふさわしい動きやリズムに乗って踊るための活動を工夫することができるようにする。

F 保健

(1)健康の大切さを認識するとともに、健康によい生活の仕方が理解できるようにする。
 ア 毎日を健康に過ごすためには、食事、運動、休養及び睡眠の調和のとれた生活を続ける必要があること。
 イ 毎日を健康に過ごすためには、体の清潔を保つことや明るさ、換気などの生活環境を整えることなどが必要であること。

(2)体の発育・発達について理解できるようにする。
 ア 体は、年齢に伴って変化すること。また、体をよりよく発育・発達させるためには、調和のとれた食事、適切な運動、休養及び睡眠が必要であること。
 イ 体は、思春期になると次第に大人の体に近づき、体つきが変わったり、初経、精通などが起こったりすること。また、異性への関心が芽生えること。

3 内容の取扱い

(1)内容の「A基本の運動」の「走・跳の運動」については、2学年にわたって指導するものとする。

(2)内容の「Bゲーム」の(1)については、地域や学校の実態に応じてバレーボール型ゲームなどその他の運動を加えて指導することができる。

(3)内容の「C器械運動」及び「D水泳」については、原則として第4学年で指導するものとする。その場合、「A基本の運動」の(1)の「器械・器具を使っての運動」及び「浮く・泳ぐ運動」は取り扱わないものとする。

(4)内容の「E表現運動」については、2学年にわたって指導するものとする。また、「E表現活動」の(1)については、地域や学校の実態に応じてフォークダンスを加えて指導することができる。

(5)内容の「F保健」については、(1)を第3学年、(2)を第4学年で指導するものとする。

(6)内容の「F保健」の(1)については、学校でも、健康診断や学校給食など様々な活動が行われていることについて触れるものとする。

(7)内容の「F保健」の(2)については、自分と他の人では発育・発達などに違いがあることに気付き、それらを肯定的に受け止めることが大切であることについて触れるものとする。

第5学年及び第6学年

1 目標

(1)各種の運動の課題をもち、活動を工夫して計画的に行うことによって、その運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに、その特性に応じた技能を身に付け、体の調子を整え、体力を高める。

(2)協力、公正などの態度を育てるとともに、健康・安全に留意し、自己の最善を尽くして運動をする態度を育てる。

(3)けがの防止、心の健康及び病気の予防について理解できるようにし、健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。

2 内容

A 体つくり運動

(1)自己の体に関心をもち、ねらいをもって次の運動を行い、体ほぐしをしたり、体力を高めたりすることができるようにする。
 ア 体ほぐしの運動
 (ア)自己の体に気付き、体の調子を整えたり、仲間と交流したりするためのいろいろな手軽な運動や律動的な運動をすること。
 イ 体力を高める運動
 (ア)体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための運動をすること。
 (イ)力強い動き及び動きを持続する能力を高めるための運動をすること。

(2)互いに協力して、運動ができるようにする。

(3)自己の体力や体の状態に応じて、体ほぐしの行い方や体力の高め方を工夫することができるようにする。

B 器械運動

(1)自己の能力に適した課題をもって次の運動を行い、技に取り組んだり、その技ができるようにしたりする。
 ア マット運動及び鉄棒運動について、新しい技に取り組んだり、その技を加えてそれらを繰り返したり、組み合わせたりすること。
 イ 跳び箱運動について、安定した動作での支持跳び越しをすること。

(2)互いに協力して運動をしたり、器械・器具の使用の仕方を工夫して安全に運動をしたりすることができるようにする。

(3)自己の能力に適した技に取り組み、その技ができるようにするための課題の解決の仕方を工夫することができるようにする。

C 陸上運動

(1)自己の能力に適した課題をもって次の運動を行い、その技能を身に付け、競争したり、記録を高めたりすることができるようにする。
 ア 短距離走・リレー及びハードル走
 イ 走り幅跳び及び走り高跳び

(2)互いに協力して安全に練習や競争ができるようにするとともに、競争では、勝敗に対して正しい態度がとれるようにする。

(3)自己の能力に適した課題を決め、課題の解決の仕方を工夫することができるようにする。

D 水泳

(1)自己の能力に適した課題をもち、クロール及び平泳ぎの技能を身に付け、続けて長く泳ぐことができるようにする。

(2)互いに協力して水泳をしたり、水泳プールのきまりや水泳の心得を守って安全に水泳をしたりすることができるようにする。

(3)自己の能力に適した課題を決め、課題の解決の仕方を工夫することができるようにする。

E ボール運動

(1)チームに適した課題をもって次の運動を行い、その技能を身に付け、簡単な作戦を生かしてゲームができるようにする。
 ア バスケットボール
 イ サッカー
 ウ ソフトボール又はソフトバレーボール

(2)互いに協力し、役割を分担して練習やゲームができるようにする。また、勝敗に対して正しい態度がとれるようにする。

(3)自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたり、ルールを工夫したりすることができるようにする。

F 表現運動

(1)表現及びフォークダンスについて、身近な生活の中から題材を選んで動きに変化と起伏を付けて表現したり、地域の踊りや世界の踊りを身に付けたりして、みんなで踊りを楽しむことができるようにする。また、友達やグループの表現や動きのよさが分かるようにする。

(2)互いのよさを認め合い、協力して練習や発表ができるようにする。

(3)自分やグループの特徴を生かした表現や踊りに取り組んだり、練習や発表の仕方を工夫したりすることができるようにする。

G 保健

(1)けがの防止について理解するとともに、けがなどの簡単な手当ができるようにする。
 ア 交通事故、学校生活の事故などによるけがの防止には、周囲の危険に気付いて、的確な判断の下に安全に行動することや環境を安全に整えることが必要であること。
 イ けがをしたときなどは、速やかに手当をする必要があること。また、簡単な手当ができること。

(2)心の発達及び不安、悩みへの対処の仕方について理解できるようにする。
 ア 心は、いろいろな生活経験を通して、年齢とともに発達すること。
 イ 心と体は密接な関係にあり、互いに影響し合うこと。
 ウ 不安や悩みへの対処には、大人や友達に相談する、仲間と遊ぶ、運動をするなどいろいろな方法があること。

(3)病気の予防について理解できるようにする。
 ア 病気は、病原体、体の抵抗力、生活行動、環境がかかわりあって起こること。
 イ 病原体が主な要因となって起こる病気の予防には、病原体を体に入れないことや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。
 ウ 生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には、栄養の偏りのない食事や口腔(くう)の衛生など、望ましい生活習慣を身に付けることが必要であること。また、喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は、健康を損なう原因となること。

3 内容の取扱い

(1)内容の「A体つくり運動」の(1)のア及びイの(ア)については、2学年にわたって指導するものとする。

(2)内容の「D水泳」の(1)については、学校の実態に応じて背泳ぎを加えて指導することができる。

(3)内容の「Eボール運動」の(1)については、地域や学校の実態によってはウは取り扱わないことができることとし、ハンドボールなどその他のボール運動を加えて指導することができる。

(4)内容の「F表現運動」の(1)については、地域や学校の実態に応じてリズムダンスを加えて指導することができる。

(5)内容の「G保健」については、(1)及び(2)を第5学年、(3)を第6学年で指導するものとする。

(6)内容の「A体つくり運動」の(1)のアと「G保健」の(2)のウについては、相互の関連を図って指導するものとする。

(7)内容の「G保健」の(3)のウの薬物については、有機溶剤の心身への影響を中心に取り扱うものとする。また、覚せい剤等についても触れるものとする。

第3 指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)地域や学校の実態を考慮するとともに、個々の児童の運動経験や技能の程度などに応じた指導や児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を行えるよう工夫すること。
(2)一部の領域の指導に偏ることのないよう授業時数を配当すること。
(3)第2の第3学年及び第4学年の内容の「F保健」に配当する授業時数は、2学年間で8単位時間程度、また、第2の第5学年及び第6学年の内容の「G保健」に配当する授業時数は、2学年間で16単位時間程度とすること。
(4)第2の第3学年及び第4学年の内容の「F保健」並びに第5学年及び第6学年の内容の「G保健」(以下「保健」という。)については、効果的な学習が行われるよう適切な時期に、ある程度まとまった時間を配当すること。

2 第2の内容の取扱いについては、次の事項に配慮するものとする。
(1)第5学年及び第6学年の「A体つくり運動」の(1)のアの「体ほぐしの運動」については、各学年の各領域においてもその趣旨を生かした指導ができること。
(2)「水遊び」、「浮く・泳ぐ運動」及び「水泳」の指導については、適切な水泳場の確保が困難な場合にはこれらを取り扱わないことができるが、これらの心得については、必ず取り上げること。
(3)「クロール」及び「平泳ぎ」の指導については、スタートも取り上げること。その際、安全に十分留意すること。
(4)集合、整とん、列の増減などの行動の仕方を身に付け、能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については、第1学年及び第2学年、第3学年及び第4学年の「A基本の運動」や第5学年及び第6学年の「A体つくり運動」をはじめとして、各学年の各領域(保健を除く。)において適切に行うこと。
(5)自然とのかかわりの深い雪遊び、氷上遊び、スキー、スケート、水辺活動などの指導については、地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意すること。
(6)保健の内容のうち食事、運動、休養及び睡眠については、保健を除く第3学年以上の各領域及び学校給食に関する指導においても関連した指導を行うよう配慮すること。
(7)保健の指導に当たっては、積極的に実習などを取り入れたり、課題を解決したりしていくような学習を行うなど指導方法の工夫を行うこと。

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-- 登録:平成21年以前 --