学校施設の換気設備に関する調査研究報告書 参考資料[1]-(4)

(4)「エネルギーの使用の合理化に関する法律」

 省エネルギー法では、建築物の建築をしようとするもの(建築主)は、

  1. 建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止のための措置
  2. 建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置

 を適確に実施することにより、建築物に係るエネルギーの使用の合理化に資するよう努めなければならないとされている(第13条)。特に平成14年6月の改正によって、住宅を除く延べ面積が2,000平方メートル以上の全ての建築物について省エネルギー措置を行政に届け出ることが義務化されており、措置が著しく不十分な場合、所管行政庁は必要な指示ができ、正当な理由がなくて指示に従わなかったときは、その旨を公表することができるようになっている(法15条の2)。省エネルギー法に基づく告示「建築物に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」(省エネルギー基準)では、性能基準の基準値や仕様基準が具体的に定められている(平成15年4月施行)。

省エネルギー基準

 省エネルギーの判断基準には、性能基準(PAL、CEC)と仕様基準の2つがある。性能基準は従来からあったものだが、計算手順が複雑であることから、平成15年に対象建物が住宅を除く全用途に拡大されたのを契機に、省エネルギー性能の計算を要しない仕様基準が別に設けられた。
性能基準は、次のような建物及び設備の省エネルギー性能を表す指標に対する基準となっている。

  • 建築物の外皮性能に関するPAL(年間熱負荷係数)
  • 建築設備に関するCEC(エネルギー消費係数)

 以下に示す、5つの種類に分かれている。

CEC CEC/AC(空調)
CEC/L(照明)
CEC/HW(給湯)
CEC/V(換気): 非居室(機械室や駐車場、便所などの非空調部分)に関するもの
CEC/EV(エレベータ)

 仕様基準も性能基準と同じ項目について定められており、5,000平方メートル以下の中小規模の建築(一部対象外のものもある)では性能基準のかわりに判断基準として良いことになっている。主だった省エネルギー手法に評価点を与え、数値が100以上になることを要求していることから、ポイント法とも呼ばれている。

教室の換気に関連する省エネルギー基準について

 教室の換気に関連する省エネルギーの基準には、空気調和設備に係るエネルギーの効率的利用についての規定あり、性能基準(CEC/AC)と仕様基準(ポイント法)の2種類の基準があります。

  • 性能基準(CEC/AC)
     年間空調エネルギー消費量を年間仮想空調負荷と呼ばれるもので除したものとして定義され、この値が小さいほど省エネルギーであることを意味しており、専用のシミュレーションソフトBECS/CEC/ACや全負荷相当運転時間法(手計算法)によって計算することができます。学校等におけるCEC/ACの判断基準値は1.5となっており、この値を下回るような空調設備を採用しなければならないとされています。
  • 仕様基準(ポイント法)
     5,000平方メートル以下の建築物の空調設備(空冷パッケージエアコンディショナー・ガスヒートポンプ冷暖房機)に関しては性能基準(CEC/AC)とは別に仕様基準(ポイント法)が設けられており、熱交換器、バイパス制御の採用、予熱時の外気取り入れの停止等の主だった省エネルギー手法に評価点を与え、数値が100以上になることが要求されています。
    参考文献: 「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」、「建築物の省エネルギー基準と解説 仕様基準(ポイント法)」(財団法人建築環境・省エネルギー機構)

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