学校施設の換気設備に関する調査研究報告書 第2章 換気設備計画の立案(2)1)

(2)特別教室等における換気設備計画の立案

1)特別教室(音楽教室、図書室、コンピュータ教室、図画工作教室、視聴覚教室、理科教室等)における機械換気設備計画

 特別教室は、一般教室と比べ、次のような特殊性を有するため、それに対応した換気計画が必要となります。

  • 屋外への騒音対策又は屋外騒音の影響緩和のために窓を開放しにくい
     :窓を利用した換気が困難なため、機械換気設備によって必要換気量を充足させる必要があります。
  • コンピュータ等の教育用設備の使用環境を整えるために冷房を行う必要がある
     :窓を利用した換気が困難なため、機械換気設備によって必要換気量を充足させる必要があります。また、全熱交換型の換気設備を用いる等の省エネルギー対策の検討も必要です。
  • 普通教室にはない空気汚染物質が多量に発生する
     :空気汚染物質の発生量に見合った換気量を確保する必要があります。

  各特別教室の機械換気設備計画の考え方は以下のとおりです。

a)音楽教室、視聴覚教室

 歌唱や楽器演奏等の場であることから、学校の立地条件によっては周囲への騒音防止のために窓を開放できない場合もあります。そうした場合には、収容人員に建築基準法で定めるところの1人当りの必要換気量20立方メートル毎時を乗じた容量の機械換気設備を設置することが望ましい。

b)図書室

 窓が開放できない条件下(例えば外部騒音等のため)においては、収容人員(座席数)に建築基準法で定めるところの1人当りの必要換気量20立方メートル毎時を乗じた容量の機械換気設備を設置することが望ましい。また、書籍の印刷インク等からの揮発性有機化合物の発生の可能性があるため第2種機械換気設備の使用は避けることが必要です。

c)コンピュータ教室

 電子機器類による発熱対策等として空調が設置されている場合には、収容人員に建築基準法で定めるところの1人当りの必要換気量20立方メートル毎時を乗じた容量の機械換気設備を設置することが望ましい。また、省エネルギーの観点から第1種機械換気設備として全熱交換型の換気設備を用いることが望ましい。

d)図画工作教室、家庭教室、理科教室

 絵具、接着剤、木材、燃焼機器等の教材・教具自体または、加工する時に空気汚染物質が生じる可能性があり、該当する場所から機械排気を行うことが望ましいと考えられます。他の居室と比較しても汚染物質の発生がより多いと推測されるので、第2種機械換気設備の使用は避ける必要があります。また、屋外への排気箇所については、児童・生徒や近隣に対して支障のない場所を選ぶ必要があります。

e)その他の教室等空間

 給食の配膳室等の食品が保管される場所については、食物の臭いが校舎内部に拡散することを防ぐ必要があり、排気設備を設けることにより対処することが望ましいと考えられます。
 オープンスペース型教室の形式を採用する場合等で、明確な間仕切壁のない廊下については、普通教室部分と合わせて必要換気量を算定する必要があります。

 建物の中でも部屋の用途によって必要換気量は異なります。例えば、調理を行う室の様に燃焼器具を使用する部屋では、大量の換気が必要になり、図画工作教室の様な部屋では、どの様な接着剤が使用されるかによって必要換気量は異なってきます。また、同じ目的の部屋でも、在室人数により必要換気量は異なります。
 必要換気量は、汚染質の発生量が明らかで、その汚染質の許容濃度が分かっていれば次式で算出する事ができます。

 Q=K÷(Pa-Po)

  • Q:必要換気量(立方メートル毎時)
  • K:汚染質の発生量(ミリリットル毎時)
    Pa:汚染質の許容濃度(ppm)
  • Po:外気の汚染質濃度(ppm)

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