学校施設の換気設備に関する調査研究報告書 第1章 学校施設における換気計画の基本的な考え方(5)

(5)各種の条件に対応する換気計画の考え方

1)季節による違い

 夏季及び冬季の冷暖房設備の運転時に、直接外気を室内に導入する方式は、室内の温熱的な快適性を確保する観点からあまり好ましい方式とはいえません。外気処理(加熱・加湿、冷却・除湿、その他フィルターによる粉塵除去等)した後に給気する方式の検討が必要です。
 中間期等で窓開け換気により十分な換気量が確保されることが明らかな場合は、機械換気設備の運転を停止させる等の運用も考えられます。(第1章(4)1)建築基準法への対応参照)

2)地域性による違い

 都市部の幹線道路沿いや火山灰の降灰地域など外気の空気質が悪い地域の場合は、フィルター付きの換気設備を設置する等の配慮が必要です。

3)冷暖房方式による違い

 学校で使用される冷暖房の方式には各種の方式(第1章(1)空調・換気設備参照)があり、その方式の特徴を考慮した換気計画をたてる必要があります。特に開放型または半密閉型の暖房器具を使用する場合には、必要換気量が大きくなることに注意が必要です。また、FF式温風暖房機等の密閉型の暖房機器を使用する場合には、暖房機器の排気ガスが給気口や開口部等から室内へ流入しないように、給気口や開口部等から離れた位置に排気口を設ける等の配慮が必要です。
 冷暖房設備を設置する場合には、温熱快適性の確保や省エネルギーの観点から全熱交換型の採用が望ましいと考えられます。

4)外気の取り入れ方式(熱処理の有無)による違い

 外気の熱処理を行った上で給気する方式(全熱交換型等)と外気を直接給気する方式(第1章(1)空調・換気設備参照)があります。外気の取り入れ方式の選定に当たっては、省エネルギーや温熱快適性等を考慮して選定することが望ましいと考えられます。
 全熱交換型の方式の場合でも、給気温度が室温と違う場合があるため、吹き出し気流による不快感を生じないよう給気口の位置や吹き出し方向に配慮する必要があります。
 外気を直接給気する方式の場合は、給気口からの冷たい外気の流入による不快感(コールドドラフト)を防止するため、給気口の取り付け位置をなるべく天井に近い位置に設置すること、暖房機器の吹き出し温風と外気がうまく混合するような位置に給気口を設けること、放射パネルのパネル裏側から小風量に分散して給気すること等の配慮が必要です。

省エネルギー対策を考慮した外気の取り入れ方式の例

  • 全熱交換型換気設備
  • ハイブリッドシステム(第1章(1)空調・換気設備参照)
  • クールチューブ、ヒートチューブ
     地中に埋め込んだ通気管から外気を取り入れる方式で、安定した地中温を利用して、冬季は外気を暖めて、また、夏季は冷やしてから導入する給気方式です。
  • 太陽熱集熱システム
     屋根面の受ける太陽熱を利用して、冷たい外気を暖めてから室内に導入する方式です。

お問合せ先

文教施設企画部施設企画課

-- 登録:平成21年以前 --