学校施設の換気設備に関する調査研究報告書 はじめに

 近年、快適性の向上や省エネルギーの推進等を図るため建物の高断熱・高気密化が進んできています。
 そのような中、シックハウス症候群を防止する対策としては、化学物質の放散量の少ない建材等を使用するとともに換気により室内の化学物質の濃度を低減させることが必要です。
 そこで、シックハウス症候群の防止対策の一つとして、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する規制を導入するため、「建築基準法の一部を改正する法律」(平成14年法律第85号)が平成14年7月に成立・公布、平成15年7月1日から施行され、学校施設の整備に際しては教室等について、機械換気設備の設置が原則的に義務付けられたところです。
 これまでの学校施設においては、窓開け等による自然換気が中心であり、一部の施設や室を除いて機械換気設備が設置されることが少ない状況でした。しかし、近年の学校施設の高気密化による自然換気量の減少やシックハウス症候群の防止対策を進める上で、機械換気設備による換気が大変重要になってきています。
 昨年文部科学省より社団法人日本建築学会に委嘱して実施した「教室等の室内環境に関する調査研究」(参考資料5.「教室等の室内環境に関する調査研究」の概要参照)によると、冬季に窓を閉めきった状態で換気が十分に行われていない場合は、学校環境衛生の基準に規定されている二酸化炭素の室内濃度の基準を超える事態が生じており、良好な室内環境を確保するためには確実に換気が行われることが必要であるとされています。
 この報告書は、都道府県及び市町村教育委員会等の施設担当者や学校施設の計画設計実務者などを対象として、校舎全体並びに普通教室や特別教室等における換気計画の基本的な考え方や機械換気設備の施工監理時、維持管理及び運用時の留意点などをとりまとめたものです。また、財団法人ベターリビングで実施された「学校施設における機械換気システム導入のための基礎実験」の結果等を踏まえ機械換気設備の計画事例について示しています。
 学校施設の整備に当たっては、学校施設整備指針、「健康的な学習空間を確保するために~有害な化学物質の室内濃度低減に向けて~」(平成14年2月)、「学校施設における化学物質による室内空気汚染防止対策に関する調査研究報告書」(平成15年7月)などとともに、この報告書が活用され、学校施設におけるシックハウス対策がより一層推進されることを期待しています。

平成16年 3月
学校施設における換気マニュアル策定に関する調査研究委員会
委員長 吉野 博

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