特別支援学校施設整備指針 はじめに

 「学校施設整備指針」は,学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために,計画及び設計において必要となる留意事項を示したものである。

 障害のある幼児児童生徒のための学校については,これまで平成8年1月に「盲学校,聾学校及び養護学校施設整備指針」を策定し,その後,平成11年4月に用語に関わる改正を行っている。さらに,平成19年7月には「特別支援学校施設整備指針」として全面的に改訂し,特別支援教育を推進するための施設整備の基本的な考え方として,障害の重度・重複化などを踏まえた一人一人の教育的ニーズへの対応やセンター的機能の推進などの観点を記述するとともに,具体的な計画・設計上の留意事項を示した。また,現行の学習指導要領等への対応に加え,耐震化の推進,防犯対策の推進などの学校施設を取り巻く今日的な課題への対応に関する記述を充実させている。

 このような中,学校施設を巡る事故が後を絶たない状況を踏まえ,文部科学省では学校施設の安全対策について検討するとともに,学校施設整備指針における関連規定を見直すことを目的として調査研究を行った。その結果,学校施設の様々な場所で起こる事故全般(転落,衝突,転倒,挟まれ,落下物及び遊具等)を対象に,学校施設を計画・設計する際の事故防止に関する留意点等について,平成21年3月に報告書「学校施設における事故防止の留意点について」が取りまとめられた。そのうち,特に「学校施設整備指針」において反映させるべき点が「学校施設整備指針の改訂について」として示された。

 今般改訂した「特別支援学校施設整備指針」では,この報告を基に,総則における事故防止の基本的な考え方から詳細設計レベルの留意点まで,各章において事故防止対策に関する記述を充実させている。

 既存施設の改修を含めた学校施設の今後の整備に際し,この「特別支援学校施設整備指針」が活用され,設置者の創意工夫の下に,幼児児童生徒の教育の場にふさわしい豊かな環境が全国で形成されていくことを切に願う次第である。

【本指針を活用するに当たっての留意事項】

(各整備指針共通の留意事項)
○整備指針の位置づけ
 本指針は,学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために,計画及び設計において必要となる留意事項を示したものである。
 地方公共団体等の学校設置者は,学校施設の計画及び設計に当たり,安全上,保健衛生上,指導上その他の学校教育の場として適切な環境を確保するため,関係法令等の規定に基づくことはもとより,本指針の関係留意事項に十分配慮すること。

○整備指針の適用範囲
 本指針は,学校施設を新築,増築,改築する場合に限らず,既存施設を改修する場合も含め,学校施設を計画及び設計する際の留意事項を示したものである。

○整備指針の表現
 本指針は,おおむね次のような考え方で記述している。
「〜重要である。」:
学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために標準的に備えることが重要なもの
「〜望ましい。」 :
より安全に,より快適に利用できるように備えることが望ましいもの
「〜有効である。」:
必要に応じて付加・考慮することが有効なもの

(特別支援学校施設整備指針に関する留意事項)
○特別支援学校の施設計画においては,本指針を踏まえ幼児児童生徒の障害の状態及び特性等に応じた配慮を加えつつ計画すること。

○本指針は,学校教育法において規定する視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)を対象とした特別支援学校に関する計画・設計上の留意事項を定めており,各障害の特性に応じ一層留意すべき事項については,次の凡例により表示している。
 複数の障害に対応した施設(複数の障害を併せ有する幼児児童生徒を対象とする施設も含む。)とする場合は,各々の障害の特性に応じた留意事項に配慮すること。
 また,複数の障害を併せ有する場合の取扱いに関しては,これらの5つの障害の間での重複に加え,言語障害や情緒障害などを併せ有する場合についての取扱いも記述していることから,当該留意事項に配慮すること。

※凡例
【視覚障害に対応した施設】:
主として視覚障害の幼児児童生徒を対象とする施設に関する事項
【聴覚障害に対応した施設】:
主として聴覚障害の幼児児童生徒を対象とする施設に関する事項
【知的障害に対応した施設】:
主として知的障害の幼児児童生徒を対象とする施設に関する事項
【肢体不自由に対応した施設】:
主として肢体不自由の幼児児童生徒を対象とする施設に関する事項
【病弱に対応した施設】:
主として病弱の幼児児童生徒を対象とする施設に関する事項

○幼稚部,小学部,中学部又は高等部の各部の計画に当たっては,「幼稚園施設整備指針」,「小学校施設整備指針」,「中学校施設整備指針」又は「高等学校施設整備指針」の関連する指針を準用しつつ計画すること。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部

-- 登録:平成21年以前 --