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総合的・長期的な計画の必要性
(1) |
当該地方自治体における全体的な中・長期の行政計画,文教施設整備計画,学校施設整備計画等の上位計画との整合を図りつつ,多様な学習活動の実施,安全性への配慮,地域との連携を考慮し,将来の学校像も視野に入れ具体的な施設整備の計画を進めることが重要である。 |
(2) |
人口の自然増減や社会増減を検討して当該地域における児童数の将来動向を適確に推計し,学級編制の標準に関する将来の動向も考慮しつつ,計画を進めることが重要である。 |
(3) |
増築,一部改築,改修等の場合においても,学校施設整備の基本方針,新たな課題への対応を踏まえ,総合的かつ中・長期的な視点から計画することが重要である。 |
(4) |
施設部分等により予算科目,所管部課,整備時期等が異なる場合においても,相互に十分に調整し,総合的に計画することが重要である。 |
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2 |
施設機能の設定
(1) |
児童数の現状等により決定される学校規模や多様な学習形態による活動規模を考慮しつつ,各施設の面積規模に応じ,室構成,室数等を決定することが重要である。その際,認定就学(注1)を受けた障害のある児童の在籍状況又は他校からの通級による指導(注2)の実施状況を考慮しつつ,室構成,室数等を決定するとともに,障害の状態や特性等に応じ必要となる環境条件等を適切に把握して,必要とする施設機能を設定することが重要である。
(注1)認定就学… |
学校教育法施行令(昭和28年10月31日政令第340号)第5条第1項第2号に基づき,同令第22条の3(特別支援学校の就学基準)に該当する児童生徒について,市町村の教育委員会が当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者については,小学校又は中学校に就学させることとする制度。 |
(注2)通級による指導… |
小学校又は中学校の通常の学級に在籍している障害の軽い児童生徒が,ほとんどの授業を通常の学級で受けながら,障害の状態等に応じた特別の指導を特別な場(特定の小学校,中学校又は公共施設等)で受ける指導形態。一部通級による指導の担当教員が特別の場に出向く場合や児童生徒が特別支援学校等に出向く形態等もある。 |
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(2) |
学習指導の内容及び方法について,指導計画の分析等により現状を詳細に把握し,また,将来にわたるそれらの展開等も検討し,必要とする施設機能を弾力的に設定することが重要である。 |
(3) |
情報技術・機器の進展等も踏まえ,教育機器,教材等の種類,校内配置形態,利活用の方法等を検討し,必要とする施設機能を弾力的に設定することが重要である。 |
(4) |
児童の人体寸法や動作領域に適合した家具の導入を考慮し,施設機能を設定することが重要である。また,学校開放などの際に使用する大人用の家具の導入についても計画することが望ましい。 |
(5) |
児童の校内生活について,当該地域の気候風土や気候の季節的な変化への対応を考慮しつつ,生活行動及び生活領域を学年段階等に応じて具体的に検討し,必要とする施設機能を設定することが重要である。 |
(6) |
会議等の回数及び規模,教務事務の内容について検討し,必要とする施設機能を設定することが重要である。 |
(7) |
学校事務の内容,執務方式,使用する事務機器の種類,台数,配置及び利用の方法等を教育委員会事務局との役割分担等にも留意しつつ検討し,必要とする施設機能を設定することが重要である。 |
(8) |
学校開放への要請の内容等を十分に分析し,学校教育への影響に配慮しつつ,学校開放の対象とする施設部分,時間帯等を決定し,柔軟に対応できるよう施設機能を設定することが重要である。 |
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3 |
計画的な整備の実施
(1) |
当初に,企画,基本設計,実施設計及び施工の各段階について十分な期間を確保した年次計画等を策定し,これに基づき,計画的に整備を進めることが重要である。特に,企画から基本設計へ至る段階については,十分な計画を行うことが望ましい。 |
(2) |
企画から施工に至る整備の各段階において,各段階相互の内容的な連続性,整合性等を十分に確保することが重要である。 |
(3) |
完成後には施設に係る評価を定期的に行い,今後の改修・改築等の計画に生かしていくことが重要である。 |
(4) |
施設の整備を段階的に行う場合は,将来に渡る施設全体を,総合的に計画することが重要である。 |
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4 |
長期間有効に使うための施設整備の実施
(1) |
学校施設を常に教育の場として好ましい状態に維持するためには,日常の点検・補修及び定期的な維持修繕が必要であり,これらを行い易い計画とすることが重要である。 |
(2) |
建物構造体を堅固につくり,室区画や室仕上げは将来の学習内容・学習形態の変化に応じて変更可能なように計画する等,長期間建物を有効に使う計画を行うことが有効である。 |
(3) |
情報技術の進展等,今後のニーズの進展による既存施設の改修整備を見込んで,改修整備をしやすい施設となるよう計画することも有効である。 |
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5 |
関係者の参画と理解・合意の形成
(1) |
当該地方自治体や学校において実施しようとする特色ある学習内容・学習形態等を反映したものとなるとともに,地域と連携した学校運営が行われるよう,企画の段階から学校・家庭・地域等の参画により,総合的に計画することが重要である。また,より効果的・効率的な施設運営を行うためには,施設の完成後においても継続的に施設使用者との情報交換等を行うことが有効である。 |
(2) |
開放施設の利用内容・方法,管理方法及び当該学校施設が周辺地域に及ぼす騒音・交通・塵埃等の影響,災害時の対応などについて,事前に地域住民等と十分協議することが重要である。 |
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6 |
地域の諸施設との有機的な連携
(1) |
当該地方公共団体における全体的な中・長期の行政計画,文教施設整備計画との整合を図りつつ,これらの施設との有機的な連携について計画することが望ましい。 |
(2) |
学校と地域社会との連携を深めていく上で,社会教育施設や高齢者福祉施設等との施設間の相互利用,共同利用等による学習環境の高機能化及び多機能化に寄与する複合化について計画することは有効である。その際には,児童の学校施設における学習と生活に支障を生ずることのないよう計画し,設計することが重要である。 |
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7 |
整備期間中の学習・生活環境の確保
(1) |
全面改築等の場合においては,整備期間中,適切な方法により,学校教育に必要な環境を確保することが重要である。 |
(2) |
増築,一部改築,改修等の場合においては,工事に伴い児童の心身の健康及び安全並びに学習及び生活に支障の生じることのないよう十分留意することが重要である。特に,情緒障害,自閉症又はADHD等の障害のある児童がいる場合は,騒音,振動等の刺激によるパニックや多動・衝動性等に十分配慮することが重要である。 |
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