別紙2 大学等における遺伝子関連発明に関する特許性に係る留意点について

 現在、内閣府総合科学技術会議の知的財産戦略専門調査会においては、ライフサイエンス分野における知的財産制度による保護と活用を円滑に進めるため、「ライフサイエンス分野における知的財産の保護・活用等に関する検討プロジェクトチーム」が設置され、リサーチツール特許に関する使用の円滑化等について検討されております。
 同チームの第1回会合においては、遺伝子関連発明の特許審査基準の各国相違について、大学等の研究者に十分周知されず、効率的・効果的な特許出願がなされていないのではないかという指摘がなされたところです。
 このため、各大学等におかれましては、遺伝子関連発明の特許出願を行うにあたっては、別添2-1(PDF:165KB)及び別添2-2(PDF:54KB)、平成11年に公表されたDNA断片の特許性に関する三極特許庁比較研究、及び特許・実用新案審査基準(第7部第2章「生物関連発明」)等を踏まえつつ、以下の点に留意し、特許性の有無を十分検討されるようにお願いします。

  1. 機能や特定の明示された有用性の指摘のないDNA断片は特許が受けられる発明ではないこと。
  2. 例えば特定の疾患を診断するためのプローブとしての使用のように、特定の有用性が開示されたDNA断片は、他に拒絶理由が存在しない限り特許可能な発明であること。
  3. 現在のところ、三極特許庁に見解の相違がみられること。
     慣用の方法で得られ、機能が知られたタンパク質をコードするDNAと相同性(DNAの塩基配列、あるいはその塩基配列がコードするアミノ酸配列における配列の共通性の度合い:この共通性が高いほど、当該遺伝子や形態が共通の祖先をもつ、あるいは共通の機能をもつ可能性が高いことを意味する)が高いことに基づいて、ある構造遺伝子の一部であると推測されたDNA断片には、日本及び欧州においては、具体的な実験的検証なしに特許が付与されない一方、米国においては、明細書に特定の明示された有用性に関する記載があるDNA断片は具体的な実験的検証なしに特許が付与される場合があること。
  4. ある生物において特定の機能や有用性が公知となっているDNA断片の塩基配列(またはそれがコードするアミノ酸配列)と高い相同性を有するDNA断片を他の生物から得た場合、その機能を実験的に検証したとしても、当該公知となっているDNA断片に基づいて特許性が否定される可能性が高いこと。
  5. 上記4に相当する発明であっても、当該生物における先行技術に比較して当業者が予測できない有利な格別の効果を明らかにした場合には、特許性が認められる場合も有り得ること。(例えば、機能公知のマウスDNAと相同性の高いヒトDNAを取得した場合、マウスのそれと同様の機能や作用のみでは特許は受けがたいが、ヒトにとって格別の効果を示すものであることが明らかにされればこの限りではないと考えられる。)

参考

  • ライフサイエンス分野における知的財産の保護・活用等に関する検討プロジェクトチームにおける議事録等掲載サイト
    ライフサイエンス分野における知的財産の保護・活用等に関する検討プロジェクトチーム(※ライフサイエンス分野における知的財産の保護・活用等に関する検討プロジェクトチームへリンク)
  • DNA断片の特許性に関する三極特許庁比較研究についての関係記事掲載サイト
    特許庁ホームページ
    • ¥ 資料室
      • ¥ 調査結果・報告書等
        • ¥ 技術動向トピックス
          • ¥ DNA断片の特許性に関する三極特許庁比較研究について
  • 特許・実用新案審査基準の掲載サイト
    特許庁ホームページ
    • ¥ 資料室
      • ¥ 基準・便覧・ガイドライン
        • ¥ 特許・実用新案審査基準(第7部第2章「生物関連発明」)

お問合せ先

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電話番号:03‐3581‐1101(内線2165)
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(特許庁技術調査課大学等支援室)

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