1.第157回極地域観測統合推進本部総会 議事の記録(案)

1.日時

令和2年11月2日(月曜日)14時00分~15時40分

2.場所

オンライン開催(文部科学省13階 13F1~3会議室)

3.出席者

(副本部長)
藤原 誠 文部科学事務次官

(委員)
青木 周司 東北大学 名誉教授
池島 大策 早稲田大学国際教養学部 教授
江淵 直人 国立大学法人北海道大学低温科学研究所 教授
大城 和恵 社会医療法人孝仁会 北海道大野記念病院 医師
小山内 康人 国立大学法人九州大学比較社会文化研究院 教授
瀧澤 美奈子 科学ジャーナリスト
塚本 達郎 国立大学法人東京海洋大学学術研究院 教授
津田 敦 国立大学法人東京大学大気海洋研究所 教授
永原 裕子 日本学術振興会学術システム研究センター副所長、東京工業大学地球生命研究所フェロー
藤井 理行 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所 名誉教授
生川 浩史 文部科学省研究開発局長
大木 章一 国土地理院企画部長(野田国土地理院長代理)
大林 正典 気象庁大気海洋部長(関田気象庁長官代理)
楠 勝浩 海上保安庁海洋情報部沿岸調査課長(奥島海上保安庁長官代理)

(幹事)
五十嵐 壮雄 総務省国際戦略局技術政策課専門職(栁島技術政策課長代理)
平 和昌 国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所長
小谷 朋恵 外務省国際協力局地球環境課課長補佐(森下地球環境課長代理)
長野 裕子 文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当)
原 克彦 文部科学省大臣官房会計課長
福井 俊英 文部科学省研究開発局海洋地球課長
中村 卓司 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所長
榎本 浩之 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長
野木 義史 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所総括副所長
伊村 智 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長
清水 勇吾 水産庁増殖推進部研究指導課水産研究専門官(髙瀨研究指導課長代理)
田中 恵信 気象庁大気海洋部環境・海洋地球課南極観測事務室長(湯原総務部総務課長代理)
鐘尾 誠 海上保安庁海洋情報部沿岸調査課課長補佐(石塚総務部政務課長代理)
伊豫田 望 環境省自然環境局自然環境計画課長補佐((植田自然環境計画課長代理)
末富 理栄 防衛省人事教育局人材育成課長

(オブザーバー)
白方 将司 防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課南極観測支援班長
橋田 元 国立極地研究所南極観測センター副センター長(観測担当)、第62次南極地域観測隊隊長(兼夏隊長)
牛尾 収輝 国立極地研究所南極観測センターオペレーション支援室長
阿保 敏広 第62次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)
金子 宗一郎 国立極地研究所南極観測センター専門職員、第62次南極地域観測隊副隊長(兼夏副隊長)
宮本 仁美 国立極地研究所南極観測センター企画業務担当マネージャー

(事務局)
河野 広幸 文部科学省研究開発局海洋地球課 極域科学企画官
小野寺 多映子 文部科学省研究開発局海洋地球課 課長補佐

4.議事:

(1)藤原文部科学事務次官より挨拶があった。

(2)事務局より、当日の議題・配布資料について確認があった。

(3)以下の議題について、報告及び審議がなされ、審議事項については議題7~10の事項で原案のとおり了承された。

《報告事項》
1.前回議事について
2.各委員会等の審議状況について
3.南極条約協議国会議(ATCM)等の状況について
4.第61次南極地域観測隊越冬隊の現況について
5.令和2年度「しらせ」年次検査について
6.令和3年度南極地域観測事業概算要求の概要について
《審議事項》
7.第62次南極地域観測行動計画(案)等について
8.南極条約第7条5に基づく事前通告のための電子情報交換システム(EIES)(案)
について
9.南極地域観測第X期6か年計画骨子(案)等について
10.第63次南極地域観測隊長・副隊長候補者(案)について

《その他》
11.南極地域観測事業の最近の成果

主な意見は以下のとおり。

(議題7)

【大城委員】 COVID-19への対策は、非常によくまとめられており、現在の検査技術と、リモートでできることの限界の中ではすごく上手に構築されたなと思う。10月2日に出た病原体の検査の指針にものっとっている方向なのでいいと思う。これだけやっておくと、おそらく本当に感染を持ち込まないで済むとは思うが、前回の議事で、現地の設備が限られていることもあって重篤な患者への対応を心配されていたが、例えば重篤化リスクのある隊員を外すなどのことはされたのか。
【野木総括副所長】 重篤化については、その要因をできるだけ出発前に減らしていくことで進めている。もし何かあれば、急遽どこかの外国等で寄港するこということで対応したい。
【大城委員】 糖尿病や高血圧といった病気を持っている人が重篤化しやすく、そういった人の参加率が少ない方がより安全と思われるので、ご確認いただけるといいと思う。あと、隔離エリアを南極にも、「しらせ」にも設けると書いてあるが、WHOがエアロゾル感染、空気感染のことを明確にしたので、その隔離エリアの空調がほかの健常者の居住エリアの空調と確実に分けられているのかが気になったが、いかがか。
【白方南極観測支援班長】 「しらせ」艦内については、乗員の居住スペースの通風と観測隊員の区画の通風とは別個になっており、少なくとも自衛隊側と観測隊側の空気の経路については違う艦内構造になっている。
【大城委員】 もし感染の疑い者が出た場合に、隔離した人とその他の症状が全くない人たちとの空調が分けられた方がいいので、その点、ご検討いただければ、より安全に運行できると思う。
【白方南極観測支援班長】 了解した。「しらせ」艦内には医務室があり、そこの区画のベッドが何床かあるのと、ゾーニングについて艦内で検討しているので、ある程度の区分けはできると認識している。
【大城委員】 了解した。空調をよろしくお願いする。
【野木総括副所長】 先ほどのご質問に関して、隊員は健康診断をしっかり受けて、判定を受けており、高血圧や糖尿病がないか、その辺りもしっかりチェックしている。
【大城委員】 とてもよろしいかと思う。
【藤井委員】 「往路の行動計画に大幅な変更が生じた場合の対応について」というところで、しらせによる収容ができない場合、他国船・航空機による収容を行うという一文がある。この航空機とはDROMLANを想定していると思うが、この次のシーズンのDROMLANの運行予定はどういう具合になっているのか教えていただきたい。
【野木総括副所長】 DROMLANについては、本数は減らすものの、運行自体は行うことになっており、何か非常時の場合には使用できると現在考えている。
【永原委員】 この困難な状況な中で、全体として計画がきちんと立てられていることにとても安心した。重点研究について、これは日本の南極事業の中でも、現在非常に重要なテーマで、学術的にも意義の高いものであり、極地研の研究活動においても重要なものだと認識しているが、1つの目の質問は、隊員が通常時より大幅に減っているわけだが、従来の計画どおりに進めることが可能なのか。リモートだかから問題がないのか、それとも、そこに参加できる人間の数がいろいろ関係してくるのかを教えていただきたい。2つ目の質問は、COVID-19によってどんなことが起こるか分からない状況の中で、計画どおりに進むことを願っているが、万が一、その予定どおりに「しらせ」が昭和基地に到着できなかったときや、何か問題が起きたときに、この研究計画がどういう展開になるか、向こう1年間観測がどの程度縮小してしまうのか、その辺の見込みについて教えていただきたい。
【橋田観測隊長】 1点目のご質問は、特にサブテーマ1に関するものだが、隊員数の縮小は全体としてあったものの、特にこのサブテーマ1を実施するための越冬隊員は当初計画から縮小していない。夏期にメンテナンス作業を行う夏隊員は編成から外さざるを得なかったものの、越冬観測における、例えば、大型大気レーターを維持するための隊員や、それ以外の総合的、先端的な観測機器の運用や、機器の維持を行うために3名の隊員が越冬隊に含まれており、予定通り物資の輸送できれば、多くのことが計画通り実施できると考えている。2番目の観測隊や「しらせ」等での様々な遅れがどの程度の影響になるかというご質問については、62次観測行動計画において説明があったように、61次越冬隊のピックアップのみということになれば、昭和基地を閉鎖することになるため、62次隊の越冬期間中の観測は実施できないことになる。それと、越冬交代が成立できるかは、それに必要な燃料、食料等の物資、観測機器を持ち込めるかどうかにかかってくる。800トン程度の物資を輸送できる日程が確保できれば、基本観測と一部の重点観測も実施できると考えている。日程が遅れる場合、それは輸送に困難な海氷状況ということも想定されるので、その点も踏まえて越冬成立に必要な活動をどこまで実施できるかについて副案として考えている。


(議題9)

【瀧澤委員】 今期においては、最小限、大事な観測を継続して行うということで、十分な対策が行われていると思うが、専門的な感染症の治療施設がないということを踏まえると、大きな考え方の変化が必要なのかどうかが気になるところ。まず、1番目の質問として、今期の第IX期の重点テーマが今回絞られることにより、その内容が次期に向けてずれこまないかどうか。また、ポストコロナの時代に向けて、基地のリモート化を検討するということだが、観測のリモート化に向けてどういったことを考えているのか伺いたい。
【野木総括副所長】 重点研究観測のサブテーマ1の大型大気レーダーに関しては継続観測が実施可能なため、このまま順調に進んでいくと考えている。また、サブテーマ2に関しては、昨シーズンにトッテン氷河沖での観測を実施しており、これに継続する形で来年実施できれば、X期につながっていくものと考えている。サブテーマ3のアイスコアの採取に関しては、1年ずれ込むが、来年度において物資が輸送できれば、X期におけるアイスコアの採取、深層コアの採取まで到達できると考えている。また、昭和基地のリモート化については、現状でも省エネ化、リモート化は進めているが、燃料や人が確認しなければいけいない機器等、その他どうしても非リモートでないとできない業務もあるため、も検討しながらもう少しリモートが進めていきたいと考えているが、現状でもリモート化等は進めているとご理解いただけばと思う。
【河野企画官】 事務局より1点補足させていただく。第X期計画に対して、今後の進展、進捗をどのように対応していくかと点については、今回の本部総会で第X期計画骨子を決定していただき、具体的な内容については、今年度の観測隊の行動実施状況や今後の対応を検討し、約1年かけ、この本部総会や、観測・設営計画委員会で検討を進めていきたいと思っている。第X期6か年計画が令和4年4月から開始されるため、第62次観測隊、第63次観測隊の状況を見つつ、第X期計画を策定していきたい。
【永原委員】 重点観測は、いずれも、日本が南極観測において学術研究をする根幹となるテーマのため、IX期からX期に大きく変わらない点は当然かと思う。ただし、IX期では、PANSYレーダー設置に対しては大きな予算が必要で、特別な予算が付いたが、X期ではサブテーマ1でアイスコアを計画の一番中心に据えており、これに関して特別の予算要求が必要となるのか、それほど必要ではないのか。テーマを掲げて本当に実施に移せるのか、何か特別なことが必要になるのかについて教えてほしい。
【河野企画官】 令和3年度概算要求の概要について、国立極地研究所が実施する氷床掘削の観測については、運営費交付金での実施になり、氷床掘削観測の強化ということで増額して要求を行っている。今年度の状況を含めて、令和4年度、5年度には、その運営費交付金の内容として概算要求されていくものと思っている。
【野木総括副所長】 アイスコアの採取に向けては、やはり新たな予算は必要となるが、昭和基地の施設についても予算要求をお願いしたいと思っており、その中である程度やりくりしながら進めていきたいと考えている。そういう意味で、他の重点観測や一般・萌芽などとのバランスを見ながら進めていくことになると思う。
【永原委員】 概算要求のこの程度の増加の範囲で考えており、それほど巨額の予算が必要ではないと理解した。
【河野企画官】 今回は令和3年度の概算要求についての報告であり、今後については、随時ご報告したい。


(議題10)

【江淵委員】 ここ数年、副隊長は2名体制で取り組んでいたと思うが、今回は副隊長が1名で問題はないか。
【中村所長】 今後、必要に応じて、副隊長の追加推薦をお願いすることもあり得る。


(4)事務局から次回の総会は令和3年6月を予定しており、それまでの間、緊急を要する案件などについては、本部連絡会に一任いただく旨の連絡があった。

 

―― 了 ――

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