1.第88回輸送計画委員会議事の記録

日時

令和元年10月28日(月曜日)15時00分-17時00分

 

場所

文部科学省15F1会議室

出席者

委員

青山 剛史

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 航空技術部門
数値解析技術研究ユニット長

宇都 正太郎

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 理事

海上技術安全研究所 所長

梅村 行男

独立行政法人 航空大学校 特任教授

遠藤 小百合

独立行政法人 海技教育機構海技大学校航海科 准教授

大沢 直樹

国立大学法人 大阪大学大学院工学研究科 教授

庄司 るり

国立大学法人 東京海洋大学学術研究院 教授

塚本 達郎

国立大学法人 東京海洋大学学術研究院 教授

土屋 武司

国立大学法人 東京大学大学院工学系研究科 教授

原田 尚美

国立研究開発法人海洋研究開発機構 

地球環境部門地球表層システム研究センター センター長

岩田 和昭

防衛省 人事教育局 人材育成課長

竹岡 貴裕

防衛装備庁 プロジェクト管理部 事業監理官(艦船担当)付

(加藤 隆広 事業監理官(艦船担当)代理)

木村 孝行

防衛装備庁 プロジェクト管理部 事業計画調整官

(家護谷 昌徳 事業監理官(航空機担当)代理)

長谷川 寿一

防衛装備庁 長官官房艦船設計官付 主任設計官

髙木 明佳

防衛省 海上幕僚監部 装備計画部 艦船・武器課 機関班員
(小野 彰一郎 艦船・武器課長代理)

日田 豊久

防衛省 海上幕僚監部 装備計画部 艦船・武器課 機関班員
(松岡 広哲 航空機課長代理)

工藤 敦

防衛省海上幕僚監部防衛部装備体系課
(佐藤 正博 装備体系課長代理)

白方 将司

防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課

南極観測支援班長

楠 勝浩

海上保安庁 海洋情報部 海洋調査課長
(新垣 慶太 政務課長代理)

小石 裕明

海上保安庁 装備技術部 航空機課 航空機整備管理室長
(田村 安正 航空機課長代理)


野木 義史
 

国立極地研究所 副所長
 

末広 峰政
 
国立極地研究所 南極観測センター
副センター長(事業担当)

オブザーバー

中村 卓司

国立極地研究所長

橋田 元

国立極地研究所南極観測センター

副センター長(観測担当)

青木 茂

第61次南極地域観測隊隊長(兼夏隊長)

青山 雄一

第61次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)

熊谷 宏靖

第61次南極地域観測隊副隊長(兼夏副隊長)

事務局

河野 広幸

文部科学省 研究開発局 海洋地球課 極域科学企画官

土井 大輔

文部科学省 海洋地球課 課長補佐

 

議事

(1)事務局より、当日の議題・配付資料について確認があった。
(2)以下の議題について、各担当者より報告及び説明があった。

《報告事項》
1.前回議事について
2. 第31回南極観測実施責任者評議会(COMNAP)の概要について
3. 第60次南極地域観測隊越冬隊の現況について
4.令和元年度「しらせ」の定期検査について
5.令和2年度南極地域観測事業概算要求の概要について

《審議事項》
6.第61次南極地域観測隊行動実施計画(案)について

主な意見は次のとおり。

(議題4)

【大沢委員】 マルチビームの修理の件について、以前の委員会でも報告のあった案件だが、損傷がそもそも発生したのは何が原因だったと、結論付けられているのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】 故障自体は平成26年に座礁した事案があり、その際に船体以外にもこのマルチビームの測深部分が非常に大きな被害を受けて、資料3に示している部分が浸水したり、機械が冠水したことで不具合が発生したと考えている。
【大沢委員】 以前、報告された座礁に絡む故障ということで記憶しているが、資料3にある写真で、外観異状なし、といった注釈のある写真の意味がよく分からない。これは、修理前にこういう状況だったという写真なのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】 帰国後、水から揚げた状態で確認した際に、海の中にいる際には確認できなかった部分を確認したところ、異状がなかった部分、あった部分両方の写真となっている。
【大沢委員】 これは故障前の状態の全部戻したということで、特に板厚を増したとかそういう手当てをされているわけではないのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】 故障前の原状に戻している。

(議題5)

【原田委員】 説明いただいた海上輸送部門の経費に含まれているか分からないが、現在修理を検討している93号機のヘリコプターの調査の進捗はどうなっているのか。
【河野海洋地球課極域科学企画官】 現状、93号機の経費は調整中で、新たな対応はまだ進んでいない。
【原田委員】 まだ調査そのものも実施されていないような状況という認識でよろしいか。
【河野海洋地球課極域科学企画官】 その点についても、防衛省と調整中である。

(議題6)

【原田委員】 往路、復路ともに観測でヘリコプターを使うと説明があったが、これはしらせのヘリコプターと観測隊のチャーターヘリのどちらを使うのか。
【青木第61次観測隊長】 観測隊のチャーターヘリとしらせのヘリの両方を使う予定である。
【原田委員】 そうすると、輸送も含めて、行きで使うにしても帰りで使うにしても、しらせのCHヘリをオペレーション、観測で使うとなると、しっかりと2機体制でなければ観測ができないということになるかと思うが、2機体制はしっかり維持していただけるという認識でよろしいか。
【青木第61次観測隊長】 観測隊としてはそれが前提だと考えている。
【河野海洋地球課極域科学企画官】 今度の61次隊の輸送計画についても、2機体制ということで聞いているので、その方向で出航していただければと思っている。
【梅村委員】 C案の空輸のみの場合はヘリでのシャトルになるかと思う。これは要望に近いが、フライトスケジュールをどのように組まれるか存じてはいないが、日没がない状況の中で、体内時計を重視して、パイロットの方の休憩時間を十分に確保していただきたい。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】 船側は過去の実績等もあるので、フライトスケジュールの組み方等についてはその実績とも照らし合わせて、安全面を重視して実施していると考えている。
【宇都委員】 トッテン氷河沖のオペレーションがかなり目玉のオペレーションになっているかと思うが、ここでしらせの砕氷能力を最大限活用し、と書いてあるが、かなり海氷状況は厳しいところだと理解をされているということか。もう一つは、観測空白域になっているということで、海図やチャートのデータというものは整備されているのか。
【青木第61次観測隊長】 1点目については、かなり厳しいところである。ただし、昭和基地やリュツォ・ホルム湾ほど定着氷が張っていて行けない、というような状況ではない。しらせの能力があれば、大体パックアイスになるところなので、大丈夫かと考えている。
2点目の海底地形に関しては、確かに大きな問題ではあるが、現在考えているオペレーションとしては、オーロラ・オーストラリスが一度通ったところの近傍からまず調査していって、そこからヘリ等で海底地形を調べた上でそちらの方にも進出していくという計画を立てており、万全を期しながら海底地形に関しては進めていきたいと思っている。
【青山委員】 衛星画像について、これはどちらで入手されているものか。
【橋田国立極地研究所南極観測センター副センター長】 今回ここに示したデータは、全て可視及び近赤外領域の画像で、特に白黒がきれいな、1枚目の4月7日、4月17日、5月4日のものは、通常の可視画像であるMODISである。
そのほか、少しグレーがかったものに関しては、近赤外で、コントラストを特に強くしており、こちらはスオミ衛星であり、いずれも公開されているものである。そのほかにも、特に極夜域に関してはいずれのデータも、可視であれ近赤外でも雲があると下の方が見えないということがあり、JAXAと国立極地研究所で協定を結んでおり、その中でALOSのデータとのSARデータを最低、越冬期では月に1回か2回、取得しており、万一曇天が続くような場合でも最低限の監視は継続できるような体制にしている。
【青山委員】 これは、基本的には現状で十分満足できているのか、それとも今後、もう少し南極特有のニーズがあったりとか、改善の余地があるのか、という点を教えていただきたい。
【橋田国立極地研究所南極観測センター副センター長】 これはその年々のオペレーションによるかと思われる。今回は昭和基地の接岸輸送に主に重点を乗せた資料を作っているが、先ほど青木隊長からもあったように、トッテン氷河沖という昭和基地の大分東側のエリアで活動するといった場合にも、時間が限られている中で、特にパックアイスなど、風に影響を受けるものに関しては、かなり即時的なデータを、船の運航では要求している。
一方で船のデータの帯域幅もそれほど多くないので、そういった部分に関しては、技術的なものを、国立極地研究所の専門スタッフで詰めながら、何とか必要なデータを船側に届けるという体制で、船が次にどこに行きそうなときにどういったデータが欲しいかというものを、国内の支援側で見ながら出していっている。それでも十分かと言われるとまだそういう状況ではなくて、まだまだ改善するところはあるかと思っている。
【遠藤委員】 環境保護について、今回、環境省の方は、隔年に一度ということで乗船されないため、レジュメ等で対応されるということだが、今回どのような対応を予定されているのかお聞かせいただきたい。また、海氷の状況は、今年度は行ってみないと分からないところもあるが、おそらく大丈夫ということだが、過去10、20年でどう変化してきているのかが非常に気になるところなので、客観的なところでお聞かせいただきたい。
【熊谷第61次観測隊副隊長】 一点目の質問について、今次隊での環境保護に関する取組について、まず一つは昭和基地の埋め立て廃棄物の調査を、昨年に引き続き今年も実施し、最終的な撤去に向けて相当時間が掛かると見込んでいるが、まず計画を立てるための調査をするということが大きなポイントになっている。
それからもう一つは、セール・ロンダーネ山地方面に以前使っていたあすか基地にも残置した物資があるため、今回、数チームが入るということになっており、そちらも調査をして撤去に向けた計画の策定に資するように調査をしていきたいと思っている。今次隊の環境保護に関する取組としてはその点が大きく、あとは昭和基地周辺の飛散したドラム缶の回収等を考えている。
【橋田国立極地研究所南極観測センター副センター長】 2点目の質問について、海氷が少し中期的な長い期間どのように変動していって、現在の状況がどういった状況にあるかというところから説明すると、これはこういったオペレーションに関わる部分であると同時に、学術的な研究の対象ともなっている。こういった衛星データが客観的に得られるようになってからそういった状況が、この年には不安定、この年は安定しているということは分かるし、南極観測事業の中では宗谷、ふじの時代からこういった砕氷ということを行っており、そういったデータもある。
国立極地研究所の研究者はそういったものを研究している中で、例えば特に10年ほど前にはこういう、現在と同じように割れ込みが発達して、それが拡大し、冬期中期にも不安定な状況が継続していることがあったことは、既に分かっているところで、これは文献等にも報告されている。現在の状況は特に57次の越冬期からこのような割れ込みが顕著になっており、それが継続していると捉えていただいて差し支えないかと思う。
こういった割れ込みが強い状態だと、59次隊、60次隊ではいつも接岸しているところの海氷も薄かったり緩かったりとかいうような一方で、昭和基地にアクセスするためには相対的に、比較的厚い氷がない分だけアクセスしやすいというようなメリットも、デメリットもある。我々としては今不安定な時期と、仮に申し上げるのであれば、そういったところからより安定した、海氷が厚い状況に転じているかとはまだ言い切れず、底を打っているのかどうか分からないというところである。
ただし、過去を見ると、そういったものが必ずしも周期的とは言えないレコードが、例えば10年前のものしかないとか、20年前に同じような状況があったかということは、確実には検証できていないので、まだ周期的という言葉は使いづらい状況ではあるが、過去の例に倣うと、また海氷は厚くなり、多年氷が発達して、砕氷航行、しらせのアプローチに非常に困難な状況が来るということも想定しつつ、現在の比較的ゆるい状況に対応しているというところである。
【塚本主査】 特に修正意見等はなかったため、本計画を本委員会として承認し、次回、11月6日開催予定の本部総会にこの計画案を諮ることとしたい。(委員了承)
 

 

(3)事務局から次回の会議日程については、委員の都合を確認の上、連絡する旨の説明があった。

―― 了 ――

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極域研究振興係
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