令和元年5月31日(金曜日)15時00分-17時00分
文部科学省15F特別会議室
委員 |
青山 剛史 |
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 航空技術部門 |
飯島 朋子 |
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 主任研究開発員 |
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石坂 丞二 |
国立大学法人 名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授 |
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宇都 正太郎 |
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 理事 海上技術安全研究所 所長 |
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梅村 行男 |
独立行政法人 航空大学校 特任教授 |
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遠藤 小百合 |
独立行政法人 海技教育機構海技大学校航海科 准教授 |
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大沢 直樹 |
国立大学法人 大阪大学大学院工学研究科 教授 |
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庄司 るり |
国立大学法人 東京海洋大学学術研究院 教授 |
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塚本 達郎 |
国立大学法人 東京海洋大学学術研究院 教授 |
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土屋 武司 |
国立大学法人 東京大学大学院工学系研究科 教授 |
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原田 尚美 |
国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門地球表層システム研究センター センター長 |
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中西 礎之 |
防衛省 人事教育局 人材育成課長 |
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安藤 明宏 |
防衛装備庁 プロジェクト管理部 事業計画調整官 (加藤 隆広 事業監理官(艦船担当)代理) |
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木村 孝行 |
防衛装備庁 プロジェクト管理部 事業計画調整官 (家護谷 昌徳 事業監理官(航空機担当)代理) |
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金子 太一 |
防衛装備庁 長官官房艦船設計官付 設計管理室 (長谷川 寿一 主席主任設計官代理) |
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小野 彰一郎 |
防衛省海上幕僚監部装備計画部艦船・武器課長 |
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松岡 広哲 |
防衛省海上幕僚監部装備計画部航空機課長 |
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工藤 敦 |
防衛省海上幕僚監部防衛部装備体系課 |
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白方 将司 |
防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課 南極観測支援班長 |
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楠 勝浩 |
海上保安庁 海洋情報部 海洋調査課長 |
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田村 安正 |
海上保安庁 装備技術部 航空機課長 |
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オブザーバー |
野木 義史 |
国立極地研究所 副所長 |
末広 峰政 |
国立極地研究所 南極観測センター 副センター長(事業担当) |
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福井 俊英 |
文部科学省 研究開発局 海洋地球課長 |
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中村 卓司 |
国立極地研究所長 |
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木津 暢彦 |
第59次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長) |
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青木 茂 |
第61次南極地域観測隊隊長(兼夏隊長) |
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青山 雄一 |
第61次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長) |
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熊谷 宏靖 |
第61次南極地域観測隊副隊長(兼夏副隊長) |
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橋田 元 |
国立極地研究所南極観測センター 副センター長(観測担当) |
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安生 浩太 |
環境省自然環境局自然環境計画課係長 |
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事務局 |
河野 広幸 |
文部科学省 研究開発局 海洋地球課 極域科学企画官 |
土井 大輔 |
文部科学省 海洋地球課 課長補佐 |
《報告事項》
1.輸送計画委員会について
2.南極地域観測事業の概要について
3.第59次越冬隊・第60次観測隊の活動結果及び現状について
4.第60次南極地域観測における輸送協力等について
5.2019年度南極地域観測事業予算の概要について
《審議事項》
6.第61次南極地域観測実施計画の概要(案)等について
7.第62次南極地域観測計画の概要(素案)等について
《その他》
主な意見は次のとおり。
(議題3)
【梅村委員】
今回ヘリコプターの2機運用は十分なされたのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】
2機搭載したが、運用開始後しばらくして1機故障し1機体制になった。しかし残った1機を100%稼働できる状況にしたため、輸送任務としては問題なかった。
【遠藤委員】
資料3-4で、復路のラミング回数が往路に比べて非常に多かったと説明あったが、2月8から10日にかけて、流氷域の南方へ圧縮ということで、かなりのリッジが形成されたと想像できる。この低気圧の発生前に脱出するということは不可能だったのか。燃料消費の関係も含め、人為的、全体的なところで負担が大きい印象を受けた。
【原田委員】
日程ぎりぎりまで昭和基地での南極事業のスケジュールが入っており、この前に離脱ということはできなかった。しっかりと計画された南極事業を遂行するということも60次の大事なミッションである。
【梅村委員】
今回、1名の方が、病気でDROMLANを使って帰国する状況があったが、これは簡単に手続等行えるものなのか。
【橋田国立極地研究所南極観測センター副センター長】
このために新たに特別なフライトを仕立てたということでの搬送ではなかった。
昭和基地から大陸のハブ空港であるノボラザラレフスカヤ滑走路までの大陸内のフライト、ノボラザラレフスカヤ滑走路からケープタウンへの大陸間のフライトという2経路でケープタウンまで搬送するということになったが、いずれも、既にスケジュールされていたフライトに空きがあったので、それを利用した。
【梅村委員】
そういった緊急の対応に近いものが可能であるということは隊員にとってはありがたいことである。
【橋田国立極地研究所南極観測センター副センター長】
大体11月上旬から2月上旬は常に飛んでいるということはないが、そういった手段はある。幸い日本の隊員について例は無いが、他国ではそのためにフライトを仕立てて傷病者を緊急搬送するということもある。
【宇都委員】
風力発電装置のブレードが損傷したという報告があり、原因は今解明中ということだが、風力発電機は3機あるのでそれが安定的に運用できるように検討していただきたい。また、もう1機を安全上止めたとのことだが、これはどういう判断で止めたのか。
【野木国立極地研究所副所長】
原因がよく分からないので、安全上ということで運転を停止した。原因を追及した上で、対策を練っていきたい。早急に対応したい。
【宇都委員】
今回、3号機も入っているが、これも運用はされていないということか。
【野木国立極地研究所副所長】
3号機の方も今現在は運用していない。立ち上げて運用をし始めたが、すぐにシャットダウンしている。
【飯島委員】
資料3-1でドロンイングモードランド航空網への対応で、昭和基地滑走路及び大陸の滑走路を整備したとあるが、具体的にどういった規模の整備か。
【木津第59次観測隊副隊長】
昭和基地滑走路は、40メートル×1キロの滑走路を作っている。その滑走路の中で、氷厚が1メートル以上あるかどうか。この地点は多年氷帯なので3メートル以上あり、それで可とした。
さらに航空旗という黒い旗があるが、それを100メートルごとに設置し、滑走路であるということが分かるようにしている。
【飯島委員】
風向、風速は調べたのか。
【木津第59次観測隊副隊長】
主風向は気象で分かっているので、その主風向に向かって滑走路を作っている。
【遠藤委員】
環境省の職員の方が行く年度と行かない年度があるようだが、どういった基準の下で、行く年度、行かない年度というのを決められているのか。
【安生自然環境局自然環境計画課係長】
現在、大体2年に1回職員を南極に派遣している。1年目に南極でサンプリングをしてサンプルを回収し、翌年に分析を行い、その分析を基にまた翌年に南極に派遣をしてサンプルを回収するというサイクルをとっている。
(議題4)
【青山委員】
ドローンの運用体制や機材について、どのようになっているのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】
ドローンについては、「しらせ」も数機持っていっている。運用については、船で規定を決めており、基本的には南極でしか使用しない。ラミングの状況や、海氷面の確認に使用している。
【青山委員】
専門の方が操作しているのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】
自衛官が操縦訓練等を行い、専属の操縦する人間を養成し、操作している。
【青山委員】
機材はどこのものを使用しているのか。
【白方海幕運用支援課南極観測支援班長】
確認する。
【土屋委員】
ヘリが2機あるうちの1機が故障したという説明があったが、原因は何だったのか。
【松岡海幕航空機課長】
今回の行動で、2機搭載の状態から故障で1機になったのは1月3日である。91号機において、メインローターの4番目のブレードの根元の部分に、積層されたゴムのエラストブリックベアリングが入っているが、ここに亀裂が見つかった。これは交換を要するため、フライトができないという基準になっている。
交換品の現地への輸送等の調整はしたが、タイミングが合わず、そのまま1機運営になった。
復路のシドニーにおいて部品を輸送して現地で取り付け復旧したが、南極圏の行動には間に合わなかった。
【塚本主査】
「しらせ」の定期検査の中で、マルチビームソナーの新替えというのがあるが、これはずっと故障して使えない状態になっていたものだが、今回新替えできるということか。次の航海からまた使えるというのは、大変良かった
(議題5)
【梅村委員】
ドームふじへの旅行についてはベルギーのプリンセス・エリザベスから内陸への燃料輸送を行うということだが、ドームふじ基地は標高が非常に高く距離も遠い。輸送には航空機を使うのか。
【野木国立極地研究所副所長】
ベルギー基地に燃料をデポして、そこから陸路で行く。
(議題7)
【青山委員】
公募というのはどの程度活発に行われているのか。応募数と採択数は。
【野木国立極地研究所副所長】
4、50の課題を採択している。
【宇都委員】
62次隊から拠点に本格的な物資輸送に着手するとあるが、かなりの大変な作業になることが予想される。輸送に使うインフラは更新する計画はあるか。
【野木国立極地研究所副所長】
予算も絡んでくる話なのではっきりは言えないが、そり等の充当も考えながら進めている。
【宇都委員】
以前もかなり苦労されたという話を聞くので、少しでも安全かつ効率的な輸送ができるように検討していただきたい。
【野木国立極地研究所副所長】
今回ドームふじ経由で輸送するというのも1つの新たな手段で、そのようなことを模索しながらやっている。
【梅村委員】
ヘリのCH101の修復はその後どうなっているか。
【中西人材育成課長】
修復の必要性等の調査には予算が必要だが、その扱いについて、文科省と防衛省の方で調整をしている段階。具体的に修復というところについては、それを受けての検討ということになる。
(その他)南極地域観測将来構想について
【中西人材育成課長】
この先は、具体的に計画があるわけではないということか。
【野木国立極地研究所副所長】
今すぐということではないが、今回こういう形でまとめたので、議論のたたき台になる。これを基に将来の方向等を議論していけばよいと考えている。
【中西人材育成課長】
防衛省をめぐる状況としては、周辺国の海洋活動がかなり活発になっており、海上自衛隊に対する負荷というのも非常に高くなっている一方、少子化に伴う募集状況の厳しさというところがある。そういう中で、少なからぬリソースを割いて南極観測事業というのを着実に実施しているという状況である。輸送について、防衛省の状況というところも踏まえて幅広く検討していただきたい。
【河野海洋地球課極域科学企画官】
本件については明確な議題ということではなく、机上配付としている。
ただいま頂いた意見も踏まえて、こういった場で今後議論していくのか、それについてのやりとりが今後あるのかということについても、皆様の意見を踏まえながら検討したい。
【原田委員】
今回60次の行動に参加して、海洋観測、輸送、野外観測等、本当にしらせの乗員の皆さんのお力添えで支えられているというのが、現場を統括する立場になってよく分かった。早い段階でヘリは1機体制になったが、南観班長の白方さんには当時副長で支えていただいていたが、完璧な運用体制、整備体制で、翌日にはヘリがすぐ使えるようになった。
その一方で、1機体制になってしまうと、現場での整備で制約が出てきてしまうということもあり、充実した南極観測事業のためには、CH101の2機体制というものを引き続きしっかりとお支えいただきたい。
海洋観測に関しても、恐らく「しらせ」が砕氷能力世界一と考えており、東南極のような厳しい海氷の状況の中で観測ができるのは世界でも「しらせ」のみである。引き続き南極観測事業に絶大なる御支援を頂きたい。
―― 了 ――
極域研究振興係
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