第37回観測・設営計画委員会の記録(案)

日時

平成29年6月16日(金曜日)10時~12時

場所

文部科学省東館15階 15F特別会議室

出席者

(委員)
江淵 直人 国立大学法人北海道大学低温科学研究所長
神沢  博 国立大学法人名古屋大学大学院環境学研究科教授
神田 穣太 国立大学法人東京海洋大学副学長、学術研究院長・教授
松岡 彩子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所准教授
道田  豊 国立大学法人東京大学大気海洋研究所附属国際連携研究センター教授
横山 祐典 国立大学法人東京大学大気海洋研究所高解像度環境解析研究センター教授

(オブザーバー)
柴田 明穂 国立大学法人神戸大学大学院国際協力研究科教授
鵜生川太郎 国土地理院企画部国際課長
荻原 裕之 気象庁観測部計画課南極観測事務室長
佐々木健介 海上保安庁海洋情報部技術・国際課技術・国際官
保苅 俊行 外務省国際協力局地球環境課課長補佐
中野 彰子 環境省自然環境局自然環境計画課課長補佐
竹原 真理 環境省自然環境局自然環境計画課国際森林・乾燥地・極地生態系保全対策係長
前野 英生 国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所宇宙環境研究室主任研究員
白石 和行 国立極地研究所長
野木 義史 国立極地研究所副所長
中村 卓司 国立極地研究所副所長
榎本 浩之 国立極地研究所副所長
本吉 洋一 第58次南極地域観測隊長(兼夏隊長)
樋口 和生 第57次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)
土井浩一郎 第59次南極地域観測隊長(兼夏隊長)
木津 暢彦 第59次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)

(事務局)
林  孝浩 文部科学省研究開発局海洋地球課長
小酒井克也 文部科学省研究開発局海洋地球課極域科学企画官
土井 大輔 文部科学省研究開発局海洋地球課課長補佐

議事

(1)事務局より、委員改選及び今期主査の報告があり、主査から主査代理が指名された。

(2)当日の議題・配付資料について確認があり、その後南極地域観測事業の概要説明があった。

(3)以下の議題について、報告及び審議がなされた。

≪報告事項≫
1.観測・設営計画委員会について(事務局)
2.前回議事について(事務局)
3.第40回南極条約協議国会議(ATCM)の概要について(外務省)
4.第57次越冬隊・第58次観測隊の活動結果及び現状について(国立極地研究所、環境省)
5.柴田神戸大学教授第58次観測隊同行結果報告について(柴田神戸大学教授)
6.平成29年度南極地域観測事業予算の概要について(事務局)
≪審議事項≫
7.南極条約第7条5に基づく事前通告のための電子情報交換システム(EIES)について
8.第59次南極地域観測実施計画の概要(案)等について(国立極地研究所及び事務局)
9.第60次南極地域観測計画の概要(素案)等について(国立極地研究所及び事務局)

10.その他(事務局)

主な意見は以下のとおり。
(議題4)
【横山(祐)委員】
第58次の夏隊の活動報告を頂きましたけれども、93名、無事に活動を終えられたということでしたが、7名の外国人が参加されたということで、どういう国の参加者だったかとか、専門がどういう方だったかを教えていただきたいということと、もう一つ、せっかくリュツォ・ホルム湾の海底地形が観測できる状況だったのに、マルチナロービームが使えずに、詳しくは観測できなかったということだったと思いますが、それの改修というか、補修の計画みたいなのについて、もう1回リマインドしていただきたい。
【本吉第58次隊長】
最初の御質問ですけれども、外国人7名、内訳は、オーストラリア、それから中国、コロンビア、モンゴル、インドネシア、タイ。オーストラリアの方は2名なので、それで7名になる。
オーストラリアの方は、1名はヘリコプターの整備士。それからもう1名の方は、「海鷹丸」に乗船された海洋関係の方。それから中国の方は、大気が専門の同行者だったが、S17というところで1か月半、野外に行かれた。あと、モンゴル、タイ、インドネシアの方が地質学、コロンビアの方が生物の御専門であった。
【小酒井企画官】
マルチナロービームについては、昨年、平成29年度についても、財務省の方までは要求はさせていただいたが、全体的な予算が厳しいことから、残念ながら認められなかった。30年度についても、事務局としても引き続き要求していきたいと思っており、引き続き関係の皆様方のお知恵を借りながら、事務局としては早急に整備をしていきたいと考えている。
【道田委員】
環境省から御報告いただいたことがあったが、これについて対応状況あるいは対応の検討状況について、もしこの場で御紹介いただけることがあれば、お話しいただきたい。
【野木副所長】
特に夏宿舎の問題は、これまでもいろいろ指摘されているところ、今、施設等を移設する等を計画しており、順次対応していきたいと思っている。また、南極でのそこに関しては、今後、対応を検討したいと思っている。
【江淵主査】
海氷状況は、定着氷が非常に流出して、輸送とか海洋観測には非常に適した状況という一方、野外活動に制限がかかっているということだが、氷の上はもちろん、溶けているときとか状態の悪いときに移動ができないので、野外活動に制限があったという記述があったと思うが、それで何か観測とか研究に対して支障があることというのはあるのか。
【樋口第57次副隊長】
57次の昨年の越冬中に関して言うと、例年だと、4月ぐらいから徐々に東オングル島の外に出て、海氷上のルートを作って、野外の観測地点に行ったりとか、設営作業のところに行ったりするが、それが極夜前にできなかったので、全体的にスケジュールがタイトになったということは否めないと思う。ただ、極夜が明けてから、隊員たちが頑張ってくれて、隊員の負担は増えることになったが、ほぼ予定していた観測・設営作業はできたと考えている。
【江淵主査】
全体の設営とかそういうところには、大きな支障はなかったということか。
【樋口第57次副隊長】
昨年はなかった。

(議題5)
【松岡委員】
非常に伝統のある大きい事業というものが陥りがちな、何かとてもそういう一般的なことを鋭く御指摘いただいたと感じて、非常に納得する部分も多々あった。
先生が今御指摘いただいたようなことが本当にそうかどうかということの一つの指標としては、外国がどのぐらい日本による南極事業とかに参入しているかということがあると思う。
先ほどお話を伺っていて、外国の方が昭和基地に来て参加したというお話を伺った。その国ではまだ余り南極の研究をやっていないところからの参加があったというお話で、オーストラリアはどうなのか、確かにそういう国だなという印象を持った。一方、日本からほかの基地に行って共同研究をやるというお話もあったが、ほかの基地の隊員が昭和基地に来て、昭和基地の施設を使った研究や観測活動がどのぐらい行われているかということを、もしよろしければ教えていただきたい。
【白石所長】
正直申し上げて、ゼロではもちろんないが、南極観測のトップクラスの国に比べたら各段に少ない。それは人数として。一番大きな原因は、先ほど柴田先生も指摘されたように、アクセス、輸送が一番大きなネックになっているからだと思う。
そういうことで、人が実際に南極に行ってやるというよりも、昭和基地で得られたデータを使って国際共同研究をやる。これは普通にあること。それから、フィールドワークとか、そういうのを一緒にやるということも非常にあることだが、昭和基地ということに限っていうと、昭和基地でやっている観測を昭和基地で一緒に国際的にやるということは、極めて少ない。
【道田委員】
私も南極行ったことあるので、非常に鋭いなと思ってお聞きしていた。私が行ったのは28次なので、今から30年前。
あくまでも個人的な感想なので、その前提でお聞きいただきたいが、当時は探検的な、そういう要素が若干まだ残っていたと思う。それで、私が行ったときの隊員を取り巻く高揚感というのか、それは独特なものがあった。それが現在、あれから30年たって、私、ちょうど今から数えれば折り返しの頃に行ったことになるのだと思うが、事業が成熟化していることは間違いないことであって、それが、安全サイドとかいろいろなことを考えれば、多分、プラスのことはたくさんあるが、柴田先生、ルーティン化と書かれているが、恐らくそのことは、成熟化したことによって、何かブレークスルーにつながるようなことにつながりにくくなりつつある。その辺のマイナスが出ていて、それを、これまで直接南極に行かれていなかった柴田先生は、強く感じられたのではないかと思う。
具体的に何かアイデアがあるわけではないが、先ほど柴田先生が提言された幾つかのことについては、なかなかすぐできないこともあるかもしれないが、すぐにでもできることもたくさんあったと思うので、是非この委員会でも議論させてもらって、うまく新しい展開ができるような議論ができればいいのではないかと思ったので、そういう意味で、大変いいというか、鋭い御指摘を頂いたなと思う。
【神沢委員】
私は極地研に1981年から12年ほどいて、それから国立環境研究所で衛星観測とか気候モデルの研究を10年ほどやって、今、名古屋大学にきてから15年弱経つ。極地研にいたときに越冬隊員として南極に行かせていただいたのが1984年から1986年、ちょうど柴田先生に南極研究が活発な時代として御紹介いただいた30年前ぐらいだった。極地研は、1973年の発足以来10年強で、南極研究が、全体的に割合にアクティブに行われている雰囲気があった。
特に、オゾンホールの発見というのがあった。忠鉢繁さんが南極から帰ってきた直後、1983年の春にオゾン観測のデータを見せてもらって、その時に私は、今となっては整理されて記述されているオゾンホールという現象の一側面をそのデータが示しているということは認識できなかったけれども、オゾンが冬から春にかけて急激に減少しているデータは面白い、と思って相談に乗った。ちょうど手元に案内が届いていたオゾンの国際シンポジウムに出たらいいのではないかと勧めた。忠鉢さんはそのシンポジウムに出たのを契機に活躍した。また、オゾンホールの話題が注目を浴びていた1986年末、海外からも研究者を呼んで、熱気に富んだシンポジウムを開催したりした。その当時、柴田先生の専門に近いと思われる、科学を政治面から考える研究をしているスウェーデン人研究者に1990年の夏のフェアバンクスでの国際会議で知り合って、翌年、その人が、日本の南極観測隊に比較的豊富に予算が出るのは何故かを調べに来て、私が対応したことがあった。当時の研究主幹であった平澤先生に、僕なんかが対応するのでいいのですかと言ったら、君が受けたのだから君がやりたまえということだった。彼は日本の南極観測に関する研究成果を英文の本にまとめたのだけれども、要するに、科学観測の意義と南極に基地を持つという国としての政策的な意義の両方の物差しがあるという点が、その本の骨子だったように覚えている。このように、南極観測事業は、全くの科学目的だけに特化しているわけではなくて、国として南極に基地を維持するという施策があるために、科学観測に何となく甘えが入り込む余地がある気がする。
それと、私が南極に行った当時でも、越冬隊員の中において自分で論文を書くという方は、35人ぐらい越冬したうち、5人とか7人ぐらいの方しかいなかった。柴田先生が、観測隊に生き生きした雰囲気を感じられなかったとおっしゃったのだけれども、今、観測隊の規模が小さくなって、多分、越冬される方で自分で論文を書くという割合がなお小さくなって、そういうような不活発な状況になっている気がする。それをどう直したらいいかということは、柴田先生のおっしゃる戦略会議ですか、そういうのをうまく立ち上げて議論すればいいと思う。
【神田委員】
私は観測隊には参加したことはないが、我々は海洋研究に携わっているので、船を使ったフィールド調査などと、例えば個々の研究よりも設営が大事であるというマインドは共通している様に思う。これはある意味で日本人のいいところで、自分の研究をまず自己主張するのではなくて、全体のオペレーションを重視するということで、これによって観測がうまくいっている部分があり、観測隊にもおそらくそういう雰囲気はあるんだろうなと直感した。そういうところを含めて非常によく見ていただいていると思った。
その上で、もう一つ大事な視点は、日本全体のサイエンスの中で、地球環境研究なり地球科学研究なり、フィールドでの観測を伴う分野の特殊性であろう。フィールド調査は、研究者にとってもそれなりの負担が伴い、他の分野に比べてある意味で非常に損な分野である。同じ量のデータを取るために、ほかの分野よりは大変なわけで、そのところを見据えた上で、フィールドサイエンス、あるいは地球科学的な研究に帯するバックアップを、国全体の科学の中でどう位置付けていくのかという視点も必要なのだろうと思う。
国全体の経済の規模も止まってきているし、18歳人口も減っているし、大学院に進む大学院生も減ってきている。必然的に自然科学の分野の研究者の数も減ってきている中で、こういう損な分野では、非常に危機的な状況になりやすいだろう。既に大学院学生の入学者や進学者の数などのレベルで問題が顕在化しつつある。その中で、しかしそうはいいながら、地球環境研究というのは非常に重要な面があるし、かつ地道にデータを継続的に取ることの大切さはあると思う。長期モニタリングそれ自体では現在進行形のサイエンスとして説得力がないというのは正にそのとおりだが、その重要性は、別の面ではあると思う。大きな目で、我が国のサイエンス、あるいは世界のサイエンスを見渡す一環として、フィールド研究やその基盤となる長期的なデータ取得をどう考えていくかを、是非この南極観測の問題の中で考えていければよいと思っている。
【江淵主査】
非常に重要な御指摘がたくさんあって、すぐに今からどうするという対応が思い付くものでもないものと、それから割と短期的に対応を考えられるもの、あると思うが、この委員会でもいろいろこれから議論をしていきたい。
【白石所長】
まずは柴田先生の鋭い御指摘、特に1ページ目の非常に大局的に見られた南極観測全体の印象、これは非常にこれからじっくり、我々、考えなきゃいけない問題であるので、ここでは申しませんけれども、後の方でいろいろ書いてくださったことに関してですが、例えば具体的な、最終的にはそういう長期的な検討グループを作るという提案は、私も大賛成である。
個々のいろいろな設営的な問題、あるいは事業の運営の問題なんかに関しては、10年前に、ちょうど今の新しい「しらせ」が就航する直前に、今後10年間、南極観測はどうしたらいいのだということを非常に真剣に考えた。それはこの委員会でもやったし、私たちの研究所の中でもやった。ちょうど今、10年たったので、次をやらなきゃいけないとき。もうあと10年たつと、次の次の「しらせ」をまた考えなきゃいけないときになるので、そこを見越して、ほとんどここに書いてある御指摘いただいたことは、10年前にも検討して、しかし、この10年間、ほとんど進まなかったというところがかなりある。それをどうやったら前に進めるかということを真剣に考えたい。今、既に動き始めているので、是非そういう場面でも、これから御助言いただければと思う。

(議題7) 
【江淵主査】
電子情報交換システムについては、本委員会として承認し、6月23日の本部総会に諮ることとしたい。
(委員了承)

(議題8)
【横山(祐)委員】
2ページ目の第1パラグラフのところで、「サブテーマ3では」以下のところで、80万年を超える古いアイスコアの採取の話があるが、加えてリュツォ・ホルム湾沿岸域での湖沼での堆積物採取等を実施するというのは、これは関係してはいないと理解していいか。湖から別に80万年前のデータを取るわけじゃなくて、生態系を見るということか。
【野木副所長】
はい。
【横山(祐)委員】
これは柴田先生のお話とも少し関連すると思うが、公開の研究テーマ、6名、派遣希望者数があるということで理解していいか。
【野木副所長】 
今の希望は6名で、これから人数の調整は入るかもしれないが、5名から6名程度は考えている。
【横山(祐)委員】
最後に、最初に前回の外国人の参加者の内訳などをお聞きしたものと関連するが、今回の59次隊に関して、外国人に何かオープンコールみたいな感じで参加者を募るみたいな形をとるのか。そういうシステムはなくて、むしろ所内の共同研究者と連絡を取り合う形で、外国人や所外の方を参加させるスキームがあるとして理解しておけばいいのか。
【野木副所長】
メインの観測テーマはここにあるので、そのことに共同研究者が入ってくることはある。それから公開利用に関しては、その意味で、日本人が担当であっても、外国の研究者が入ってくる可能性はある。完全にオープンにしていくようなプロトコルはない。
【道田委員】
公開利用研究、これは59次については既にプロセスが進んでいるので、難しいのかもしれないですけれども、先ほどの柴田先生の御指摘等を考えると、うまく公開利用研究の制度を戦略的に使って、次の展開を図る。萌芽研究とかあるので、それとの仕分けとか、いろいろあるかもしれないけれども、外からのアイデアを入れるいい仕組みであることは間違いないと思うので、今から制度設計、59次について変えたりいじったりするのは大変なのだろうと思うが、何か実質的に、この制度を使って次につながるような研究の芽を作るとか、そういう実質面のてこ入れ策みたいなことを可能な範囲で御検討いただけるといいのではないかと思う。
【野木副所長】
そのように検討したいと思う。8-3を見ていただければ分かるが、5番の課題は人文系の課題が入っていて、そういう意味ではどんどんそういう方向に広がっているかなということはあるので、それを更にいい方策をまた検討したいと思う。
【竹原自然環境計画課係長】
資料8-1の2ページ目にある設営計画のところにある埋立廃棄物の対策検討について、内容をもう少し詳しく教えていただきたいのと、少し次の審議事項と絡むかもしれないが、60次以降も含めた対策の予定状況など分かれば教えていただきたい。
【樋口第57次副隊長】
59次隊で特に具体的な埋立地に関して工事を行うとかというのは、予定は今のところはしていないが、過去数年かけて拡散防止とかの方策をやってきているので、その後の方針を立てる上で、現地調査は行う予定。
その先、埋立地というのは一朝一夕に全てごみを持ち帰るという規模のものではないので、恐らく手をかけると何十年もかかるかという大規模なものなので、具体的にこの年に何をやってという計画の具体化はまだしていないが、数年前に方針は立てているので、それに沿っていければと考えている。
あと、夏の期間中、非常に限られた期間で、建物の更新工事であるとか老朽化した設備の更新工事とか入っているので、限られたマンパワーと期間の中でできることというのは限られるので、其れとの兼ね合いで、どれぐらい進捗するかが決まってくるかと思う。
【竹原自然環境計画課係長】
60次の方を見ると、廃棄物の処理などと書いてあったので、何か具体的に進むのかなと思ってお聞きした。なかなか実際に進めていくのは難しいというのは承知しているが、このように進めていただいていることは有り難いと思うので、引き続き進めていただきたい。
【江淵主査】
それでは、第59次観測実施計画(案)を本委員会として承認し、6月23日の本部総会に諮ることとしたい。
(委員了承)

(議題9) 
【江淵主査】
60次に、アイスコアの調査を前倒しでやるということだが、これによって、輸送とか人員とか予算とかそういうもので、ほかのところに影響があるということは考えられないのか。
【野木副所長】
今のところ、もともと61次で予定していたものを1年前倒しということなので、うまく配分できると考えている。
【江淵主査】
もう一つ、3ページで最後のポツのところがよく理解できないが、ヨーロッパが同じようなところをやるので早くやっておきたいという意味か。
【野木副所長】
今のところヨーロッパはドームCをターゲットにしているわけだが、ドームCで80万年を超えるようなアイスコアの見込みがないとなったときは、ドームふじにスイッチする可能性が十分あるので、その調査が入り込む可能性がある。そういう意味では、先手をちゃんと打っておきたいという考えである。
【江淵主査】 
そこは先手を打ってプライオリティーという話にするのか、一緒に手を組んで、より充実した何かをするチャンスにするのか、そこのところは御検討いただければと思う。
【野木副所長】
プライオリティーを確保しながら、しっかり国際共同していくというのがいいと考えている。
【江淵主査】
それでは、第60次観測計画(素案)を本委員会として承認し、6月23日の本部総会に諮ることとしたい。
(委員了承)

(その他)
【神沢委員】
南極観測は、先ほどの柴田先生の話の中のブレークスルーといえるような科学的成果を得るのが最終目的であることから、この委員会で、その内容を深く議論する時間はもちろんないと思うが、そのときの科学的成果のトピックスを紹介していただくということをしてもいいのではないかという気がする。
例えば、極地研のホームページを最近見たら、極地研の川村賢二さんと東大大気海洋研の阿部彩子さんが中心となった共同研究の成果として、ドームふじのアイスコアから、過去72万年にわたった気温の指標や二酸化炭素濃度について、非常に細かい時間分解能のデータが得られることを活用して、そのデータの解析結果の解釈に気候モデル計算を上手く援用して、二酸化炭素濃度のレベルが、非常に周期の短い気候変動が起こりやすいか否かと関係していることを、明らかにしている。柴田先生の言うブレークスルーに相当するのではないかと私は思う。そういうような成果も得られているので、そういう科学的成果を極地研の側から、この委員会で紹介していただくということをしてもいいのではないかという気がする。
そういう紹介は、この「観測・設営計画委員会」と遊離せずに可能かと思う。例えば、今回の議事のうち、資料8-1の重点研究観測計画のサブテーマ3「地球システム変動の解明を目指す南極古環境復元」には、川村さんたちも関わっているわけで、この川村さんたちの科学的成果はその計画の前哨戦として位置づけて紹介することができる。何らかの形で科学的成果のトピックスを、この会で紹介いただくということがあってもいいのではないかというのが提案。
【土井課長補佐】
南極地域観測事業で挙げられた成果を本委員会で共有させていただくのは意義があると思うので、検討させていただきたい。
【横山(祐)委員】
先ほど白石先生の方から、10年前にレビューをして、今のタイミングでレビューしてもいいのではないかというお話があったんですけれども、10年前のレビューの成果というか、結果みたいなのが何かまとまっていれば、次の会議か何かのときにでも資料を頂いて、皆さんでシェアしてもいいのかなと思う。
【白石所長】
公表しているし、極地研のホームページからもダウンロードできるし、冊子もあるので、次回、事務局の方から配らせていただく。
【神沢委員】
極地研のホームページ、非常に充実していると思う。さきほど紹介した川村さんや阿部さんたちの成果も含めて。所長の白石さんが、60周年の行事のときに話された、非常にすばらしい力のあるレビュー講演の内容を、所長コラムとしてホームページにアップしていて、こういう会のときにもプリントをお配りしてもいいような内容かと思う。
【江淵主査】
アウトリーチというか、そういうところも非常に重要なので、ホームページというのは、今、非常に必要なことであるし、非常に充実しているということはすばらしいと思う。

(4)事務局から次回の会議日程については、委員の都合を確認の上、連絡する旨の説明があった。

―― 了 ――

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