第83回輸送計画委員会議事の記録(案)

日時: 

平成29年6月9日(金曜日)14時00分-16時00分

場所: 

文化庁2階特別会議室

出席者:

委員

飯島 朋子

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構主任研究開発員


石坂 丞二

国立大学法人名古屋大学宇宙地球環境研究所教授


宇都正太郎

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所特別研究主幹


梅村 行男

独立行政法人航空大学校特任教授


遠藤小百合

独立行政法人海技教育機構海技大学校航海科准教授


河内 啓二

国立大学法人東京大学名誉教授


庄司 るり

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


角  洋一

国立大学法人横浜国立大学名誉教授、放送大学客員教授


塚本 達郎

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


宮崎 英樹

防衛省人事教育局人材育成班員(品川 高浩 同人材育成課長の代理)


伊東 圭市

防衛装備庁プロジェクト管理部事業計画調整官(三島 茂徳 同事業監理官(艦船担当)の代理)


中畑 正生

防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官補佐(吉田 孝弘 同事業監理官(航空機担当)の代理)


佐久間 俊

防衛装備庁長官官房艦船設計官付首席主任設計官


黒田 英史

防衛省海上幕僚監部防衛部艦船体系班員(大川 努 同装備体系課長の代理)


宮﨑 好司

防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課南極観測支援班長


橋本  剛

防衛省海上幕僚監部装備計画部艦船・武器課船体班員(宮本 一彦 同艦船・武器課長の代理)


吉元 博文

国土交通省総合政策局技術政策課長


長屋 好治

海上保安庁海洋情報部海洋調査課長(石井 昌平 同総務部政務課長の代理)


木下 敏和

海上保安庁装備技術部航空機課航空機整備管理室長(川口 修 同航空機課長の代理)


野木 義史

国立極地研究所 副所長


末広 峰政

国立極地研究所南極観測センター副センター長(事業担当)


林  孝浩

部科学省研究開発局 海洋地球課長

オブザーバー

白石 和行

国立極地研究所長


本吉 洋一

第58次南極地域観測隊長(兼夏隊長)


樋口 和生

第57次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)


土井浩一郎

第59次南極地域観測隊長(兼夏隊長)


木津 暢彦

第59次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)


長川 智憲

防衛省海上幕僚監部装備計画部艦船・武器課船体班員


竹原 真理

環境省自然環境局自然環境計画課国際森林・乾燥地・極地生態系保全対策係長

事務局

小酒井克也

文部科学省研究開発局海洋地球課極域科学企画官


土井 大輔

文部科学省研究開発局海洋地球課課長補佐

 

議事:

(1)事務局より、委員改選及び今期主査の報告があり、主査から主査代理が指名された。

(2)当日の議題・配付資料について確認があり、その後南極地域観測事業の概要説明があった。

(3)以下の議題について、報告及び審議がなされた。

≪報告事項≫

1.輸送計画委員会について(事務局)
2.前回議事について(事務局)
3.第57次越冬隊・第58次観測隊の活動結果及び現状について
(国立極地研究所、環境省)
4.第58次南極地域観測における輸送協力等について(防衛省)
5.平成29年度南極地域観測事業予算の概要について(事務局)

≪審議事項≫

6.第59次南極地域観測実施計画の概要(案)等について
(事務局及び国立極地研究所)
7.第60次南極地域観測計画の概要(素案)等について
(事務局及び国立極地研究所)
8.その他(事務局)

主な意見は以下のとおり。
(議題3)
【梅村委員】
ドロンイングモードランドの航空網について、ステーション17と昭和基地の距離はどのぐらいか。
【樋口第57次副隊長】
昭和基地とS17は、直線で約15キロ離れている。昭和基地は島にあるので、大陸までは4キロ、そこから先、残り11キロは大陸となっている。
【梅村委員】
S17であれば、バスラーターボは着陸が可能なのか。
【樋口第57次副隊長】
着陸可能であるし、11月には昭和基地の前の海氷上に滑走路を整備して、5便着陸があった。そこで給油のサポートを行った。
【梅村委員】
その海氷上の滑走路にも、バスラーなら降りられるということか。
【樋口第57次副隊長】
そのとおり。
【梅村委員】
例えばバスラーを緊急に要請すれば、いつでも来てくれるような体制にはなっているのか。
【樋口第57次副隊長】
ドロンイングモードランドの航空網が、10月の末から2月いっぱいぐらいまで運航しているので、その期間であれば、緊急搬送は可能。
【角委員】
「しらせ」のラミング回数が例年に比べてかなり少なくて済んだという報告があったが、燃料消費にも影響する程度の顕著な差ということか。
【宮﨑南極観測支援班長】
「しらせ」の往路燃料についても影響は大きく出る。少なくて済む。
【角委員】
例えば昨年とか一昨年、非常に結氷の厚いときに比べると、何トンというような目に見える形で差があるということか。
【宮﨑南極観測支援班長】
一番厳しいときは、大体往路に1,000キロリットルぐらい要した。それをほとんど使わずに済むぐらいの差が出た。
【塚本主査】
環境省からの報告で、空のドラム缶が発見されたという話もあったが、かなり以前に忘れられたものが、氷が溶けて出てきたということか。
【竹原自然環境計画課係長】
ドラム缶自体に三十何次という記載があったので、南極環境保護法が施行される以前に使われていたものが残っていると思われる。場所的には東雪鳥池なので、冬場は雪に埋まっていると思うが、今回3個確認しており、第54次で行った環境省職員も、この付近で1個確認しているので、これが全てなのか一部なのかも確認いただきたい。
【宇都委員】
「定着氷の状況について」という御報告で、かなり大規模な流出が起きているということだが、まだ大分先の話だが、次の接岸位置とか氷上輸送への影響というのが少し気になっている。その辺はモニターを続けていくということか。
【野木副所長】
そのとおり。今は極夜期なので、衛星などのSAR等を使いながら監視していって、端が見えるようになってから、どんどん現地の情報を併せて、どのような状況に進んでいるかを注視しながら、輸送に関しても、「しらせ」の方々と情報共有していこうと思っている。
【石坂委員】
海氷流出に伴って、一部の作業が限定的になったという話だったが、これは、冬場にも海氷の方へ行って、普段だったら例えば海氷の下の海洋観測をしたりしているのが、できなかったということになるのか。
【野木副所長】
特に、アザラシなどの大型動物の生態観測とか一部限定的になっている。できるだけのことをやっているところ。

(議題4)
【梅村委員】
電磁ログ艦底部という、電磁ログというのはどういったものか。
【宮﨑南極観測支援班長】
船の速力を計測する航海計器で、艦底からピトー管を出して速力を示す計器である。
【塚本主査】
氷の状況を写真で見せていただいたが、接岸直後はよいが、離岸直前というこの状況だと、パイプラインで輸送を行うのは、厳しいというか、できないということか。
【宮﨑南極観測支援班長】
はい。この状態ではできないので、接岸直後にこういったパイプライン輸送と氷上輸送を速やかにやる必要があるが、この次どうなっているかというのは、先ほどからあったとおり、継続して見ていく必要がある。
【梅村委員】
フリーマントルを出てから海氷域の間が、航海としては結構厳しいと聞いているが、どのような状況か。
【宮﨑南極観測支援班長】
一般に言われる暴風圏を航行することになるが、今次は非常に天候に恵まれ、ほぼ順調な航海であったと報告を受けている。
【白石所長】
「しらせ」の装備であるマルチナロービームがいまだに修理のめどが立っていないような印象を受けたが、海上自衛隊としては、マルチナロービームは必須の装備ではないと考えてよろしいか。もちろん観測には必要な装備だと思っているが、船にとっては、運航上、マルチナロービームがなくても差し支えないという立場か。
【宮﨑南極観測支援班長】
水深の分からないところも多々入っていくので、運航に関しても必須な装置であることは間違いない。毎年、予算要求において、必要であるということは、防衛省として毎回申し上げている。
【白石所長】
3年前、座礁事故によって壊れてしまったわけだが、これはほかの観測計画委員会での議題になるかもしれないが、観測者、研究者としては、特に今年のようにリュツォ・ホルム湾が完全にオープンになったとき、これこそ今まで分からなかったリュツォ・ホルム湾の海底地形を調べる絶好のチャンスを逃したわけなので、非常に残念に思っている。自衛隊のみならず文科省も、よろしく御協力をお願いしたい。
【長屋海洋調査課長】
海底地形調査を担当しており、私どもからもマルチナロービームの修理をよろしくお願いしたい。
【遠藤委員】
南緯55度のところに赤線を引っ張っているが、ポーラーコードで定める南極域は南緯60度だと思うが、ここになぜ線が入っているのか。
【小酒井企画官】
これは、観測隊員に南極手当が支給されるのが55度以南であるためである。
【塚本主査】
この概要の表にある南極行動日数99日というのが、この55度以南の日数ということで区別されているということか。
【小酒井企画官】
そのとおり。
【遠藤委員】
法律で、2017年1月に、SOLAS、MARPOL関係含めたポーラーコードが発効されているが、現存の「しらせ」の設備が、それとの照合、今後の対策含めて、また乗組員のSTCWの極海を航行する船舶の訓練に関して、2018年7月には発効予定だが、こういったところの対策等を検討しているのか。
【佐久間首席主任設計官】
構造設計的にはIACSのルール等を全て網羅している。
【遠藤委員】
乗組員の資格はどうなっているか。
【宮﨑南極観測支援班長】
一つは自衛艦であるということで、適用除外となっている。一つは自衛隊で必要な教育はしており、それ相応の教育はしてきている。
【塚本主査】
マルチナロービームについては、予算の問題もあるとは思うが、是非とも御努力いただいて、何とか修理していただけるようによろしくお願いしたい。

(議題5)
【宇都委員】
3号機が整備されたということで、南極観測の運用上、どういう変化が出てくるのか。
【小酒井企画官】
ヘリが3号機になったということで、1機は日本国内で整備や訓練を行い、2機を順次南極に持っていくことによって、輸送や観測に関しては、仮に1機が故障しても代替えが効くということで、3機体制になり、効率的に行われるということで考えている。
【塚本主査】
これまで2機だけのときは、年によっては1機しか持っていけない年があったのが、3機あれば、毎年必ず2機持っていけるということか。
【宮﨑南極観測支援班長】
そのとおり。
【白石所長】
3機体制になって、私たちも大変喜んでいる。今年、初めて新型ヘリのCHの2機が入って運用した年だったが、運用状況はどうだったのか。
【宮﨑南極観測支援班長】
まず、出発の時点で非常に安心であった。運用状況についても、この2機で運用して、途中、1機不具合が生じたものの、1機は常に稼働状態ということを維持できたというのは大きな成果だと思っていて、2機で場合によっては1機しか持っていけない年からすると、必ず2機持っていけるという状態というのは格段に違うということが言える。
【白石所長】
今、観測隊でも小型のヘリをチャーターして持っていっているが、これはもちろん、研究上、観測上必要で手当てしているが、それがない年でも2機あるわけなので、輸送に関しては全く差し支えないということでよろしいか。
【宮﨑南極観測支援班長】
現地に行ったときに、1機が整備状態で1機は稼働状態になるが、相互救難体制があるので、もう1機稼働な航空機があることによって、遠方まで輸送が可能となったり、野外観測支援ができる体制になる。それを維持するには、もう1機、観測隊のチャーターヘリがあった方が、現地で今までと同じような輸送と野外観測をするのであれば必要だと思う。もしCH2機だけだと、行動範囲、母艦から比較的近いところでの飛行という所要が出てくるので、そこを現地での活動をどうするかというのは考えた上での2機、プラス1機持っていくかになるかと思う。

【白石所長】
つまり、CH2機だけで運航していて1機が壊れると、1機体制になってしまうので救援ができないということで、行動範囲が極めて限定されるということか。
【宮﨑南極観測支援班長】
 そのとおり。
【白石所長】
かつての2機体制のときと一緒。
【宮﨑南極観測支援班長】
はい。ただし、必ず整備時間というのがあるので、2機持っていっても、1機稼働状態という状態は生まれる。1機非稼働、1機稼働というのは、数日間、その状態が発生する。
【白石所長】
南極に持っていくのは常に2機で、1機は常に日本に置いてあってという、その辺のところをはっきりと御説明いただければと思うが。
【宮﨑南極観測支援班長】
航空機は4年に1回、半年ぐらいかけて整備する必要があるので、3機持っていないと、常に2機現地に持っていく体制は生まれない。その半年間の長期整備プラス、あと半年間は、国内での次期南極に行くパイロットの要員養成などに使っている。したがって、3機体制がずっと必要だということで、今回、やっとその体制ができたというもの。これを線表上ずっと引っ張っていくと、2機、必ず持っていけるし、1機は長期整備が入っても問題ないというローテーションになる。
【白石所長】
基本的には、3機あるわけで、常に2機持っていくので、観測隊のヘリがあろうとなかろうと輸送任務は達成できるというのが基本的な考え方ということでよろしいか。
【宮﨑南極観測支援班長】
輸送任務についてはそのとおり。
【河内委員】
今年みたいに接岸できたときと、それから接岸できないときで、ヘリの稼働は大分変わると思うが、今年みたいなときは、ヘリの役割は非常に少なくなるか。それとも、かなりフル稼働になるのか。
【宮﨑南極観測支援班長】
輸送所要は同じ。ただ、接岸できない場合は、氷上輸送で持っていこうとしていたものもヘリで持っていくことから、ヘリでの輸送所要が増える。接岸できる場合は輸送、プラス、野外観測などに観測隊員を送ったりすることに使えるので、そういった面では、接岸できる場合、接岸できなかった場合で、飛行機の使用にも変わってくるものがある。
【河内委員】
要するに使用量の調整で、ヘリはいつもフルに動いていると、そういうことか。
【宮﨑南極観測支援班長】
期間を通して動いている。
【白石所長】
ヘリが2機のうちの1機に不具合があったようなことをおっしゃったが、具体的にそれが何で、それは特に大したことではなかったのか、御説明いただきたい。
【宮﨑南極観測支援班長】
今回発生したのは、もうほぼ輸送の所要は終わっていたので、任務には全く影響がなかったが、操縦席の前のガラス部分にひびが入り、飛行不能ではないが、安全のため、その機体は以後使用しなかった。もう1機で残りの若干の輸送所要をできたので、輸送には影響なかったが、そういった故障が生じることがある。今回、その原因については、不整地のところに離着陸するので、非常に細かい砂とか石などが当たったということが考えられるが、これは解明されたものではなくそれだろうという推定。
【河内委員】
もしそうだとすると、今後もそういう事態が予想されると思うが、何か対策の方法はあるのか。
【宮﨑南極観測支援班長】
対策は、更に強度の強い操縦席のフロントガラスがあるので、それに逐次変えていくということをやっていこうとしている。
【河内委員】
操縦席だけではなくて、例えばエンジンが吸い込むとか、不整地の着陸はいろいろなトラブルが起こりやすいので、そういうところは十分御注意いただきたい。

(議題6)
【庄司委員】
マルチナロービームの話に関連すると思うが、3ページの定常観測のところで、保安庁さんの海底地形測量とかあると思うが、これはその機械がなくてもできるものなのか。それから、さっき、その機械は航行の安全にも関連するとおっしゃっていたので、それに代わるものがほかにどんなものがあるのかということを教えていただきたい。
【長屋海洋調査課長】
調査機器としての海底地形調査について御説明したい。マルチナロービーム測深器は精密な海底地形が面的に分かるということで、海底地形の成り立ちとか基礎的な情報を得ることで非常に重要なツールだと考えている。これが現在ないので、それに代わるものとして、非常にデータの質は落ちるが、表層の地層を測る機械、観測機器を使って、「しらせ」の直下の水深だけをとっている。
【庄司委員】
通常の測深器みたいな。
【野木副所長】
通常の測深器ではない。「しらせ」は20キロヘルツの高周波なので、本当に海底面で使えるが、サブボトムプロファイラーはもともと地底より中に潜り込むように作っているので、全体に水深は若干深めに出る。ということで、これは研究上とかのリファレンスポイントとしては十分使えるデータにはなるが、海図には使えないデータになる。実際の海底地形はマルチナロービームで測定しないといけない。現在は代用品で海底地形図、サブボトムプロファイラーという3.5キロヘルツの測深器を使っていると御理解いただければよいと思う。
【庄司委員】
航行用の測深器は、また別に持たれていると理解してよろしいか。
【宮﨑南極観測支援班長】
 そのとおり。
【庄司委員】
というと、観測自体も微妙に、精度が、非常にもったいないなという気がする。
【梅村委員】
一般研究観測の「GNSS観測による南極氷床変動とGIAの研究」について。準天頂衛星「みちびき」の2号機が上がったが、多分、準天頂衛星は太平洋上を周回しているので、南緯50度以南では、かなり厳しいかなと思う。何らかのメリットがあるのか。日本とか太平洋上では精度が上がると思うが、昭和基地付近は、裏側になるので全く精度は上がらないのではないか。
【野木副所長】
GNSSはGPSから始まって、ガリレオ、その辺り全てを含めて、ほかの測地衛星もしっかり使う態勢で、測地観測を行うこととしている。
【梅村委員】
だから「みちびき」は、エリア的には無理な感じか。
【野木副所長】
エリア的には、かなり難しいかと思う。
【塚本主査】
第59次観測実施計画(案)を本委員会として承認し、6月23日の本部総会に諮ることとしたい。
(委員会了承)

(議題7)
【塚本主査】
第60次観測計画(素案)を本委員会として承認し、6月23日の本部総会に諮ることとしたい。
(委員会了承)

(その他)
【白石所長】
南極観測実施責任者評議会(COMNAP)の議長をやっているが、毎年総会を開いていて、その中で、南極海におけるセーフティー、安全の課題が非常に大きなウエートを占めている。それで、「しらせ」が航行するインド洋地域、東経150度から0度ぐらい、そのぐらいの範囲にわたっては、東南極大陸地域だが、そこの海域を利用する各国の観測隊で、情報交換を毎年やっている。いつも問題になるのは、もし何か起きたときに、どういう態勢がとれるかということ。それで、ここ何年か前から、南極海を管轄しているMRCC、マリタイム・レスキュー・コーディネーション・センターとも連絡をとって、南ア、ニュージーランド、豪州、チリ、アルゼンチンとサーチ・アンド・レスキューのワークショップを何年かに一遍開いている。 その海域の中で一番強力な船は、何といっても「しらせ」。各国は、何かあったら「しらせ」に頼めるから、内心非常に当てにしている。それが実際に、昨年、オーストラリアのオーロラ・オーストラリスが座礁したときに発揮された。日頃から何が起こるか分からないが、「しらせ」も、実際に起きたときにどういう態勢で臨むかというのは、ある程度シミュレーションしておいた方が良いのではないかと思っている。もちろん各国の観測隊の本部と、それからレスキュー・コーディネーション・センターとのやり取りというのも、それぞれの国でルールを作ってやっているようだが、日本は、海上保安庁は直接は関係ないが、少なくとも海上自衛隊と極地研と、もちろん本部、そういったところで情報交換を、具体的な、こういうときにはどのようにしたらいいかというシミュレーションをして、そして、現場でレスキューをやる場合は、もちろん船長の判断、艦長の判断でいろいろなことをやられると思うが、大概はコンタクトポイントの国の機関を通じて来たりすることもあって、しかし、どういう形で来るか分からないので、どういう場合でも対応できるように、そして、そういうものは後で費用を誰が最終的に負担するかという問題も出てくるので、そこもきちんと話をある程度は詰めておいていただきたい。昨年の事故の後、極地研としては非常に困ったことが起きたので、この輸送計画委員会の中でお認めいただいて、あるいは本部でアレンジしていただいて、具体的なワーキンググループみたいなので、そういう検討をしていただければと思う。
【小酒井企画官】
まずは具体的にどのようなことがあるのかというのを、極地研をはじめ関係の方々から聴取させていただいた上で、検討したい。


(4)事務局から次回の会議日程については、委員の都合を確認の上、連絡する旨の説明があった。

―― 了 ――



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極域研究振興係
電話番号:03-5253-4111(内線4144,4451)