核融合実験炉イーター「ITER」の組立・据付開始式典が開催

(20年7月28日 ITERサイト組立ホール式典会場)
(撮影:大前敬祥 ITER機構 官房 首席戦略官 兼 機構長副官房長)


令和2年7月28日にフランス、サン・ポール・レ・デュランスのITER機構本部にて核融合実験炉イーター「ITER」の組立・据付開始式典が開催され、その模様が全世界にライブ配信されました。(現在もWebにて閲覧可能)

式典はホスト国のマクロン仏大統領及びビゴITER機構長による歓迎の挨拶から始まり、ビデオ上映によりこれから本格的に始まるITER組立フェーズの説明がありました。その後ITER参加7極からビデオメッセージ等による挨拶があり、各極からは、ITERが組立という新たな段階を迎えたことに対するお祝いと、各極が各々の役割を果たしつつ一層連携していくことが重要である旨の祝辞が送られました。日本からは萩生田文部科学大臣がビデオメッセージで参加し、祝辞を述べるとともに安倍首相のメッセージを代読しました。
 

参加極の対応一覧


フランス(ホスト国)-マクロン大統領のビデオメッセージ
欧州(ホスト極)-・マイスター(独)教育科学省政務次官(メルケル独首相(EU理事会議長)の代理)のビデオメッセージ
                         ・シムソン欧州委員のビデオメッセージ
日 本 -萩生田文部科学大臣のビデオメッセージ(安倍総理大臣のメッセージを代読)
米 国 -ブルイエット エネルギー省長官のビデオメッセージ
ロシア -リカシェフ 国営原子力公社ロスアトム総裁のビデオメッセージ(プーチン大統領のメッセージを代読)
中 国 -王 科学技術部長のビデオメッセージ(習 国家主席のメッセージを代読)
韓 国 -文 大統領のビデオメッセージ
インド -アシュラフ 駐仏大使のビデオメッセージ(モディ首相のメッセージを代読)


 

ITER組立・据付開始式典での萩生田文部科学大臣のビデオメッセージ及び安倍首相のメッセージ


日本国の文部科学大臣の萩生田光一です。核融合エネルギーの実現に向けた国際プロジェクトであるITER計画における重要な工程である実験炉の組立・据付を開始するとのこと、1980年代後半から深く関与してきた日本として大変喜ばしく、お祝い申し上げます。
核融合エネルギーは、日本政府が策定した「革新的環境イノベーション戦略」において、「脱炭素社会」を実現するための革新的技術の一つとして位置付けられており、私としても強力にその推進を図っているところです。

折しも、全世界で新型コロナウイルスが猛威を振るっている中、 ITER計画において、日本が製作した世界最大級の超伝導コイルがITERサイトに納入されるなど、目標スケジュールどおり、実験炉の組立・据付を開始することができました。
これは、ビゴ機構長がおっしゃる「ITER Miracle」であり、我々の強靭な意思と連携、実行力の賜物と考えます。
このように建設・機器製作活動を様々な工夫をしながら推進しているITER機構や各極の研究機関の取組を称賛したいと思います。

日本においては、ITER計画とともに日欧が開始したBA活動の下、3月末に核融合実験装置「JT-60SA」の組立が完了したところです。

これらの研究開発による成果によって、人々の日々の生活をより豊かにすることを祈念しつつ、ITER計画との連携を更に強めていきたいと考えています。

ここで、安倍首相の祝福メッセージをいただいておりますので、代読させていただきます。

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「このたび、日欧米露中韓印の協力により、フランスにて建設が進んでいるITER計画が、実験炉の組立・据付開始という新たなステージに入ることに、心から祝意を表します。

気候変動という地球規模課題に立ち向かい、脱炭素社会を実現するには、革新的なイノベーションの創出が必要です。日本は、核融合エネルギーの実現に向け、本計画の黎明期から関与してきました。新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりの中にあっても、強固な国際的連帯により引き続き本計画が力強く進展していくよう祈念いたします。
令和2年7月28日
日本国内閣総理大臣 安倍晋三
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核融合エネルギーの実用化を実現するまでは息の長い研究開発が必要です。そのためには、全世界のGDPの約8割を占める世界7極が共同で取り組んでいるITER計画の成功が必要不可欠です。今後のITERの運転開始に向け、より一層各極が力を合わせて取り組んでいくべきです。
これからのITERの建設活動が無事に進捗していくこと、また今後の世界7極のITER計画における協力の更なる深化を祈って、日本国政府からの挨拶とさせていただきます。

 

関連リンク

ITER組立開始式典の模様
核融合研究
ITER計画


 

(研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)