生命科学系3分野支援活動に対する所見(3分野共通)

審査部会における所見

 平成22年度から開始された新学術領域研究(研究領域提案型)「生命科学系3分野(がん、ゲノム、脳)支援活動」は、科学研究費補助金により支援活動のみを助成の対象とする新しい取組である。平成24年度に実施した中間評価を踏まえ、平成25年度は、支援活動の継続若しくは拡充に資するための進捗評価を実施した。
 生命科学系3分野支援活動は、総括班活動とリソース・技術支援を通じて各分野の研究の発展と若手人材育成に資することを目的としている。分野ごとの取組、3分野合同のシンポジウムの開催に加え、中間評価結果を踏まえて、遺伝子改変マウスなどのモデル動物支援におけるリソースの共有、ゲノム解析支援により得られるゲノム情報を基にしたデータベースの構築等、分野間の連携・協力を進めるための具体的な取組を始めたことは評価できる。3分野支援活動において提供されるリソースや技術は、3分野に限らず生命科学系全体で必要とされるものも多く、3分野支援活動が連携することにより、より効率的なリソース・技術の支援が可能となるとともに、我が国における最先端の研究の推進、研究者の裾野の拡大にも大きな力を発揮し得ると思われる。また、若手研究者の育成支援、分野を超えた研究者交流の促進等により、他の生命科学分野全体への波及効果、異分野交流による新しい価値の創成なども期待できる。緒に就いたばかりの3分野支援活動間の連携施策が実質的に機能するよう、引き続き取り組んでいただきたい。
 一方で、今後のリソース・技術支援の内容については、それぞれの分野の研究推進戦略の下、どのような支援が求められるかという視点で検討することも必要である。その上で、3分野間で共有・連携できる部分と各分野が独自に支援すべき部分を明確にし、より効率的・効果的な支援活動を展開していただきたい。

 また、生命科学系3分野支援活動が平成26年度末で終了した後、こうした支援活動をどのような形で実施すべきか、改めて支援のあり方を議論する時期に来ている。研究及びそれを支える技術の進展が著しい生命科学分野において、我が国の研究者が最先端の研究を推進する上で、本支援活動が果たした役割は総じて大きいが、より具体的に各支援の効果を検証するとともに、各分野における我が国の立ち位置も踏まえて、今後真に必要かつ効果的な支援のあり方を検討する必要がある。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課

-- 登録:平成26年04月 --