平成21年度 実務担当者説明会配布資料 科研費に関するQ&A【解答】

【科研費ルール(1)】

答1 「〈1〉 使用ルール」

解説
科研費には3つのルールがあり、ここの解答は「使用ルール」ということになります。(科研費に関するルールについては、「科研費ハンドブック(研究機関用)2009年度」をご参照ください。)

【e-Radによる応募】

答2 「〈2〉 e-Rad用のみ」

解説
平成21年8月24日以降、電子申請システムにログインする際に必要な認証情報をe-RadのID・パスワードに一元化したことにより、従前使用していた「電子申請システム用のID・パスワード」は使用できなくなっています。
なお、e-Radによる研究者情報については、登録期間(期限)を設けていないので、随時、登録(更新)が可能となりましたが、事前に研究者情報が登録され、所属する研究機関からID・パスワードを付与されていなければ応募することができませんので、ご注意ください。(詳しくは、公募要領等説明会資料「資料2」P22~P23及び「資料3」P44~P59もご参照ください。)

【科研費ルール(2)】

答3 「〈2〉 いいえ」

解説
科研費の「使用ルール」には、「研究者向け」と「研究機関向け」の2種類があります。したがって、研究機関向けのルールは当然存在します。(科研費に関するルールについては、「科研費ハンドブック(研究機関用)2009年度」をご参照ください。)

【審査・評価システム】

答4 「〈2〉 正しくない」

解説
科研費の審査は、ピア・レビュー(専門分野の近い複数の研究者による審査)により行われていますが、審査の各段階で必ず複数名の審査委員が審査に関わるシステムをとっています。「1人で決定するシステム」という点は明らかに誤った表現です。(実務担当者説明会配付資料P11及びP12をご参照ください。)

【直接経費の管理(1)】

答5 「〈2〉 許されない」

解説
研究者使用ルール(補助条件)において、研究代表者と研究分担者は、補助金の管理を所属する研究機関に行わせなければならないこととしています。本問の場合は、あくまで極端な事例として示すための内容としていますが、このようなことは絶対に許されません。

【補助事業完了時の手続】

答6 「〈3〉 実績報告書の提出に係る手続のみを行う」

解説
この設問で注目しなければならないことは、「補助事業が完了」しているということです。完了している以上、「補助事業の廃止」のための手続を行う必要はなく、「実績報告書の提出に係る手続」のみを行うこととなります。この場合の実績報告書の提出期限は、翌年度の5月31日となります。なお、補助事業の廃止の場合と異なりますので、科研費の管理口座の残高証明書または当該口座の通帳の写しも提出する必要があります。

【育児休業等による研究の中断】

答7 「〈2〉 一定の条件を満たす場合は可能」

解説
研究代表者は、「翌年度中に補助金の再交付を受け補助事業を再開する場合」という要件を満たす場合は、産前産後の休暇又は育児休業(以下、「育児休業等」という。)による研究の中断が認められています。
ただし、「新学術領域研究(研究領域提案型)」及び「特定領域研究」の場合は、研究領域の設定期間に沿って研究を進める必要があるなど、研究課題単位で育児休業等の取得が難しい場合があります。このため、前述の要件に加え、研究代表者が事前に領域代表者の了解を得る必要があります。
育児休業等により研究を中断する場合は、その前に申請を行い、承認を得るとともに、未使用の補助金を返還し、廃止の時までの補助事業の実績報告書を提出しなければなりません。

【研究組織の変更】

答8 「〈2〉 研究分担者となる本人の承諾(研究分担者承諾書の徴収)以外にも注意すべきことがある」

解説
研究分担者を追加する場合、補助事業者変更承認申請書を提出する必要がありますが、まず、「研究分担者承諾書」の徴収が必要であることを忘れてはなりません。
さらに、研究分担者を追加する場合には、研究分担者の「申請(応募)資格」や「重複(応募)制限」についても、十分確認する必要があります。「新学術領域研究」や「特定領域研究」など研究分担者間に係る重複制限が設定されている研究種目については、特にご注意ください。

【直接経費の配分額の変更】

答9 「〈1〉 可能 事前承認を得る必要もない」

解説
交付決定後において、研究の進展等に伴い、交付申請書に記載された補助事業者間の配分額を変更することは可能です。また、その変更にあたっては承認手続は必要ありません。なお、変更後の補助金の使用額については実績報告書(様式C-6)の実支出額欄に記載する必要があります。
さらに、各課題ごとに、各費目(物品費、旅費、謝金等、その他)の額を、交付された直接経費の50%(直接経費の総額の50%の額が300万円以下の場合は、300万円)を超えて変更する場合には、直接経費使用内訳変更承認申請書を提出し、文部科学省又は日本学術振興会より承認を得なければなりませんので、補助事業者間の配分額を変更する場合もその使用内訳を把握しておく必要があることにもご注意ください。

【直接経費の管理(2)】

答10 「〈2〉 できない」

解説
仮にB大学にアルコール飲料を提供しても良いという規則があったとしても研究者使用ルール(補助条件)の「直接経費の各費目の対象となる経費」に「アルコール類を除く」と明記していることから、科研費から支出することはできません。(実務担当者説明会資料P30をご参照ください。)

【直接経費の管理(3)】

答11 「〈3〉 研究者のみならず所属研究機関としても問題」

解説
科研費の直接経費から、研究代表者及び研究分担者以外の、例えばポスドクなど研究に協力する者を雇用するために必要となる経費を支出することはできますが、これは、あくまで交付を受けた科研費の研究課題の研究遂行に必要な経費ということで支出することができるものであり、同じ科研費でも、他の研究者が行っている研究課題の研究遂行のために使用することはできません。本問の場合は、あくまで極端な事例として示すための内容としていますが、このような目的外使用を認めた場合には研究機関としても責任が問われます。

【直接経費の管理(4)】

答12 「〈2〉 できない」

解説
本問の出張のように、科研費の研究業務と他の業務とを合わせて一回の出張で行う場合に、全ての旅費、つまり、「他の業務として整理すべき部分」の旅費についてまで科研費から支出することはできません。
なお、直接経費は、原則として、他の経費と合算して使用することはできませんが、本問の出張の場合には、例外として、科研費の研究業務に必要な直接経費と他の業務に必要な経費との使用区分を明確にしたうえで合算して使用することができます。合算使用に関しては、「科研費ハンドブック(研究機関用)2009年度」をご参照ください。

【間接経費の管理(1)】

答13 「〈2〉 文部科学省又は日本学術振興会の承認がなくてもできる」

解説
「競争的資金の間接経費の執行に係る共通指針」では、間接経費を「直接経費に対して一定比率で手当され、競争的資金による研究の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費として、被配分機関が使用する経費」と定めています。科研費も、当該指針に基づき、原則間接経費は直接経費の30%相当額と定めています。ただし、役割分担等の内容により、特に研究環境の整備等が必要な場合など、研究代表者と研究分担者の所属する研究機関間の取り決めにより、これと異なる取り扱いをしても差し支えありません。

【直接経費と間接経費の合算使用】

答14 「〈2〉 許されない」

解説
直接経費と間接経費の合算使用はできません。「自分が獲得した補助金だから」という研究者もいるかもしれませんが、本問のようなことは絶対に認められるものではありません。

【直接経費、間接経費使用の判断基準】

答15 「〈3〉 購入目的によって異なる」

解説
直接経費、間接経費のいずれからの支出が妥当かについては、品名で判断するのではなく、その使途等により判断します。本問の場合、「顕微鏡」の使途が、科研費交付の対象となった研究課題の研究に直接必要なものであれば、「直接経費」から支出することとなります。一方、研究環境整備の観点で広く共用できるよう顕微鏡を購入する場合など、当該研究遂行に関連して間接的に必要なものとしての購入であれば、「間接経費」から支出することができます。(実務担当者説明会資料P36をご参照ください。)

【間接経費の管理(2)】

答16 「〈1〉 可能」

解説
間接経費は、補助事業の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費として、研究代表者及び研究分担者の研究環境の改善や研究機関全体の機能の向上に活用するものであり、各研究機関の長の責任の下で公正・適切かつ計画的・効率的に使用する必要があります。本問の場合、「科研費専門の新たな事務職員を雇用すること」の必要性がE大学の長において判断されるのであれば、上記の趣旨に沿った支出に該当すると考えられます。 

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