不正行為の防止を徹底するため、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月文部科学大臣決定)を踏まえた機関の経費管理・監査体制の整備に係るルールを追加しました。
(ガイドラインの主な内容)
【経費管理・監査体制の整備】
4‐1 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定)を踏まえ、経費管理・監査体制を整備すること。
【研究機関による補助金の管理等】
1‐4 研究代表者及び研究分担者は、所属する取扱規程第2条に規定する研究機関(以下「研究機関」という。)に、文部科学省が別に定める「科学研究費補助金の使用について各研究機関が行うべき事務等」に従って補助金の管理を行わせるとともに、この補助条件に定める諸手続を当該研究機関を通じて行わなければならない。研究代表者及び研究分担者が所属する研究機関を変更した場合も、同様とする。
会計検査院の指摘(業者が保管する納品書(控)等の日付と研究機関が会計処理した納品書等の日付とのかい離)を受け、納品検査の徹底等について、
に係るルールを追加しました。
物品購入に関する不正行為の疑いが生じた際、納品検査が不十分なため、正当性を証明できない場合は、機関が当該補助金を返還することになるので注意してください。
物品費のみならず、旅費、謝金等においても、カラ出張、カラ謝金といった不正行為を防止するため、証拠書類のチェックや謝金を支払う本人への事実照会など、事務職員による適切な事実確認を行ってください。
また、補助金の管理口座について科研費専用の口座を設け、実績報告時に、残高証明書または当該口座の通帳の写の提出を求めることとしました。
【物品費の支出】
3‐5 補助事業に係る物品費の支出(購入物品の納品検査)については、以下により、適切に行うこと。
【旅費及び謝金等の支出】
3‐6 補助事業に係る旅費及び謝金の支出は、事実確認を行った上で適切に行うこと。
【保管】
3‐2 直接経費は、適切な名義者により、補助金専用の銀行口座を設け、適正に保管すること。
【実績報告に係る手続】
3‐17 次の手続を行うこと。
補助金の機関管理を徹底するため、交付申請時における管理責任者(補助金管理の責任を有する部課長)及び経費管理担当者(各部局で科研費の管理を担当する係長等)の記載欄を、交付申請書に追加しました。
【経費管理担当者の報告】
4‐3 研究機関としての経費管理責任者及び交付内定を受けた補助事業ごとの経費管理担当者を選任し、交付申請書の提出時に文部科学省に報告すること。
補助金の適正な使用を確保するためには、機関管理の徹底とともに、研究費の交付を受ける研究者自身が不正使用は許されないという強い意識を持つよう、交付申請書の作成とともに、各研究者に補助条件を遵守し不正行為等を行わない旨の「補助金使用に当たっての確認書」(誓約文書)を追加しました。
研究機関においては、交付申請書の取りまとめにあたり、研究者一人一人から「誓約文書」を徴収し、内容を確認するとともに当該文書を保管してください。
【誓約文書の徴収及び保管】
4‐4 交付内定を受けた補助事業について、交付申請を行う際には、各研究代表者が作成する誓約文書(補助条件等を遵守し、不正行為を行わない旨の確認書)を必ず徴収し、確認するとともに、当該文書を機関において保管しておくこと。
【法令等の遵守】
1‐1 研究代表者及び研究分担者は、補助事業の遂行に当たり、適正化法、同法施行令(昭和30年政令第255号)、科学研究費補助金取扱規程(昭和40年文部省告示第110号。以下「取扱規程」という。)及びこの補助条件の規定を含む、関係する法令等の規定を遵守しなければならない。
【直接経費の公正かつ効率的な使用】
2‐1 研究代表者及び研究分担者は、直接経費(補助事業の遂行に必要な経費及び研究成果の取りまとめに必要な経費)の公正かつ効率的な使用に努めなければならず、他の用途への使用及びこの補助条件に違反する使用をしてはならない。
機関の管理状況を把握するために設けていた「支出状況一覧(様式B‐5)」については、これまで実績報告時に提出していただいていましたが、平成20年度の公募(平成19年9月)より、応募時に、研究計画調書とともに各機関の管理体制に関する報告書の一部として提出していただく予定です。
平成19年度から、研究機関における補助金の管理状況を確認するため、一部機関に対する実地検査を無作為に実施する予定です。
【文部科学省が行う実地検査への協力】
4‐8 文部科学省が行う補助金の経理管理・監査の実施状況に関する実地検査に対して積極的に協力すること。
研究機関における補助金の管理体制については、
【不適正な管理・監査に対する間接経費の返還等】
4‐9 補助金の不正使用に対し、文部科学省が、機関の経理管理・監査の実施体制・実施状況等が不適正と判断した場合は、その指示に従って、間接経費の返還等を行うこと。
研究成果公開促進費の交付対象は、研究者個人、研究者グループ、学会の代表者等、様々であり、補助金の管理は交付された補助事業者が行っています。しかし、「研究成果公開発表(A)」、「学術図書」及び「研究成果データベース」の補助事業者の多くは大学等の研究機関に所属する者です。
このため、研究成果公開促進費等の機関管理が義務付けられていない研究種目についても、大学等の研究機関に所属する者に交付する補助金については、機関が管理することとし、「研究機関使用ルール」に追加しました。
【費目別の収支管理】
3‐4 直接経費の収支管理は、様式B‐1「収支簿」を用いて、費目ごとに行うこと。
【使用の制限】
3‐8 研究成果公開発表(A)の直接経費は、「3‐4」2又は3に掲げる経費以外には使用しないこと。
研究活動の不正行為への対応のため、「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」(平成18年8月8日科学技術・学術審議会研究活動の不正行為に関する特別委員会報告)」を踏まえたルールを追加しました。
研究活動の公平性の確保のため、「研究者使用ルール(補助条件)」に新たなルールを追加しました。
【研究活動の公正性の確保】
8‐1 補助事業において、研究活動における不正行為(発表された研究成果の中に示されたデータや研究結果等の捏造や改ざん、及び盗用)が行われること、もしくは関与することがあってはならない。
補助金による研究活動における不正行為(発表された研究成果の中に示されたデータや研究結果等の捏造や改ざん、及び盗用)の疑いが生じた場合に適切に対応できるようにするため、関連する規程等を定め、所属する研究者に周知することを義務化しました。
【規程等の整備】
5‐1 補助金による研究活動における不正行為(発表された研究成果の中に示されたデータや研究結果等の捏造や改ざん、及び盗用)を防止するとともに、その疑いが生じた場合に適切に対応できるようにするため、「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」(平成18年8月8日科学技術・学術審議会研究活動の不正行為に関する特別委員会報告)を参考に、関連する規程等を定めるとともに、所属する研究者に周知すること。
補助金による研究活動における不正行為(発表された研究成果の中に示されたデータや研究結果等の捏造や改ざん、及び盗用)が明らかになった場合(疑義が生じた場合も含む)に速やかに調査すること及びその結果を文部科学省に報告することを義務化しました。
【研究活動の不正行為に係る調査の実施】
5‐2 補助金による研究活動に関わる不正行為が明らかになった場合(不正行為が行われた疑いのある場合を含む)には、速やかに調査を実施し、その結果を文部科学省に報告すること。
研究者が不正使用等を行う必要がないように、経費の柔軟な使用についてルールを変更しました。
研究機関で通常備えるべき物品を購入するための経費について、「机、いす、複写機等」という例示を削除しました。
【使用の制限】
3‐7 特別推進研究、特定領域研究、若手研究(A)・(B)及び特別研究促進費の直接経費は、次の費用として使用しないこと。
【使用の制限】
2‐7 直接経費は、次の経費として使用してはならない。
応募資格の喪失について、「補助金の交付を受ける年度において、連続して6ヶ月を超えて、補助事業を遂行できなくなる場合を含む」という部分を削除しました。
【交付申請書の記載内容の変更に係る手続】
3‐16 次の手続を行うこと。
【研究代表者の応募資格の喪失】
3‐5 研究代表者は、応募資格を有しなくなる場合には、「3‐3」に規定する手続により、補助事業を廃止しなければならない。
研究者が年度末の研究遂行(物品購入)に支障をきたすことのないよう研究費の使用期間を確保した上で、研究機関が年度末の会計処理を適切に終了することができるように、実績報告書の提出期限を延長しました。
【支出の期限】
3‐3 補助事業に係る物品の納品、役務の提供等を、補助事業を行う年度の3月31日までに終了し、これに係る支出を実績報告書の提出期限(平成20年5月31日)までに行うこと。
【交付申請書の記載内容の変更に係る手続】
3‐16 次の手続を行うこと。
【育児休業等による中断】
3‐11 研究代表者は、産前産後の休暇又は育児休業(以下「育児休業等」という。)を取得する場合に、年度途中に補助事業を廃止し、翌年度の育児休業等の終了後に補助金の再交付を希望する場合には、育児休業等を取得する前に、様式C‐13「研究中断承認申請書」により申請を行い、文部科学大臣の承認を得るとともに、未使用の補助金を返還し、廃止の時までの補助事業について、廃止の後、30日以内に、様式C‐6「実績報告書(収支決算報告書)」及び様式C‐7‐1「実績報告書(研究実績報告書)」(研究分担者に分担金を配分した研究代表者にあっては、様式C‐6「実績報告書(収支決算報告書)」、様式C‐7‐1「実績報告書(研究実績報告書)」及び様式C‐7‐2「研究組織登録票」)により、文部科学大臣に実績報告を行わなければならない(同報告書中の「研究実績の概要」は、利用者がプリントアウトできるかたちで、国立情報学研究所のホームページにより公開される)。
【実績報告書の提出期限】
5‐1 研究代表者は、平成20年5月31日まで(補助事業を廃止した場合には、当該廃止の後30日以内)に、様式C‐6「実績報告書(収支決算報告書)」及び様式C‐7‐1「実績報告書(研究実績報告書)」(研究分担者に分担金を配分した研究代表者にあっては、様式C‐6「実績報告書(収支決算報告書)」、様式C‐7‐1「実績報告書(研究実績報告書)」及び様式C‐7‐2「研究組織登録票」)により、文部科学大臣に実績報告を行わなければならない(同報告書中の「研究実績の概要」は、利用者がプリントアウトできるかたちで、国立情報学研究所のホームページにより公開される)。
項目 | 改正内容 | 該当規定 | |
---|---|---|---|
補助条件 | 機関使用ルール | ||
1 不正使用等の防止 | 「研究成果公開発表」に係る管理の追加 | 3‐4 3‐8 |
|
機関管理の明確化 | 1‐4 | 前文 | |
補助条件遵守の明示 | 1‐1 2‐1 |
||
直接経費の使用制限の明示 | 2‐7 2 | 3‐7 2 | |
直接経費の保管のための専用口座の設置と残高証明書の提出 | 3‐2 3‐17 1 |
||
物品費の支出における適正化 | 3‐5 1.2.3 | ||
旅費、謝金の支出の手続の追加 | 3‐6 | ||
機関の自己管理体制の強化 | 4‐1 | ||
機関管理状況報告書の提出 | 4‐2 | ||
補助金の経費管理責任者の登録 | 4‐3 | ||
研究者に対するルールの確認 | 4‐4 | ||
実地検査への協力 | 4‐8 | ||
不適正な管理に対する間接経費の返還 | 4‐9 | ||
2 研究活動の不正行為への対応 | 研究活動の公正性の確保について追加 | 8‐1 | |
不正行為防止に係る規程の整備 | 5‐1 | ||
研究機関における研究活動の不正行為に係る調査・報告の義務化 | 5‐2 | ||
3 経費の柔軟な使用 | 什器類の購入に係る使用制限の明確化 | 2‐7 | 3‐7 2 |
応募資格喪失「6ヶ月ルール」の廃止 | 3‐5 | 3‐16 6.8.9 | |
実績報告書の提出期限の変更 | 3‐11 5‐1 |
3‐3 3‐16 4.10 |
|
4 その他 | 「間接経費の使用」に係る構成を整理 | 3‐11~14 |
項目 | 改正内容 | 研究者 ハンドブック |
研究機関 ハンドブック |
---|---|---|---|
1 不正使用等の防止 | 交付申請時の補助金の管理責任者の登録、研究者の誓約文書の保管について追加 | 11頁 90頁 |
|
旅費及び謝金等の確認について追加 | 49頁 | ||
科研費専用の口座での管理、実績報告書提出の際の残高証明書または当該口座の通帳の写しの提出について追加 | 15頁 24頁 69頁 |
||
機関の自己管理体制の強化、実地検査への協力、機関管理状況報告書の提出及び間接経費の返還等の「適正な使用の確保」について追加 | 87頁~94頁 | ||
2 研究活動の不正行為への対応 | 研究活動の不正行為により応募資格が停止される場合がある旨追加。 | 19頁 | |
研究活動の不正行為に係る調査の実施について追加。 | 95頁 | ||
3 経費の柔軟な使用 | 什器類の購入に係る使用制限の明確化 | 11頁 | |
実績報告書の提出期限を追加 | 69頁 | ||
間接経費の使用例の追加(管理事務の必要経費) | 14頁 | ||
4 繰越し制度の周知徹底 | 繰越に当たっての直接経費・間接経費の扱いについて追加 | 13頁 | 55頁 61頁 62頁 |
繰越した課題の会計年度終了実績報告の提出期限を追加 | 63頁 | ||
5 研究成果の発表 | 論文等における謝辞の表示について追加 | 17頁 |
研究振興局学術研究助成課
-- 登録:平成21年以前 --