資料4‐1 科研費の不正使用・不正受給の事例について

1.不正使用・不正受給の事例

A 私的流用

  1. 自己治療のために薬品を購入し、使用していた。
  2. 領収書に「文献代」、「雑誌代」と内訳の分からないように記載させ、これを立替払いとして請求し、実際には、研究と関係ない中学生用参考書等を購入していた。

B 補助申請時と異なる費目への研究費支出

預け金

  1. 業者に取引実態と異なる虚偽の書類を作成させ補助金を支払わせ、支払われた代金を業者に預け金として管理させ、動物実験施設の改修工費費用に充当していた。

旅費名目による研究費等への流用

  1. エコノミークラスの格安航空券を購入したにもかかわらず、業者に正規運賃の見積書及び請求書の作成を依頼して外国旅費を水増し請求し、大学院生等の国内学会出席等に使用
  2. 出張を取りやめたにもかかわらず、偽りの出張報告書を提出し、不正に旅費を受領し、科研費以外の研究目的の出張に流用した。

謝金名目による研究費等への流用

  1. 実体を伴わない謝金の請求を行い、支出された謝金を出勤表に記載せずに実施した研究協力業務に対する謝金に充てていた
  2. 実体を伴わない謝金の請求を行い、支出された謝金を、研究室の運営経費に充てるためプールしていた。

C 不正受給

  1. 応募・受給資格がない研究者が科学研究費補助金の応募・交付申請を行い、不正に補助金を受給していた。

2.科研費の不正な使用に対する措置について

補助金の返還(「補助金等に係る予算の執行の適性化に関する法律」)第18条及び第19条)

 不正に使用された補助金+(たす)加算金
 (補助金を受領した日から返還の日まで、年率10,95パーセント)

応募資格の停止

 科学研究費補助金取扱規程第3条第3項第2項に定める科学研究費補助金を交付しない期間の扱いについて

科学研究費補助金の他の用途への使用の内容等 交付しない期間
1 補助事業に関連する科学研究の遂行に使用した場合 2年
2 1を除く、科学研究に関連する用途に使用した場合 3年
3 科学研究に関連しない用途に使用した場合 4年
4 虚偽の請求に基づく行為により現金を支出した場合 4年
5 1から4にかかわらず、個人の経済的利益を得るために使用した場合 5年

 なお、偽りその他不正の手段により科学研究費補助金の交付を受けた者に対しては、補助金の返還が命じられた年度の翌年度以降5年間、補助金を交付しないこととする。(不正受給に対する措置)

(参考)補助金を不正に使用したため、応募資格が停止された事例

実例 応募資格の停止期間
 自己治療のために劇薬イソゾール及び向精神薬ドルミカム等を自ら購入し、使用していた。 5年
 出張を取りやめたにもかかわらず、偽りの出張報告書を提出し、不正に旅費を受領していた 4年
 実態を伴わない謝金や旅費の請求を行い、不正に受領していた 4年
 架空の取引により支出された購入代金を、業者に預け金として管理させていた 4年
 応募・申請資格のない研究者が、科研費の応募・交付申請を行い、不正に補助金を受給 5年

-- 登録:平成21年以前 --