事務連絡
平成23年8月26日
文部科学省スポーツ・青少年局
学校健康教育課長 平下 文康 殿
内閣府食品安全委員会事務局
総務課長 井原 辰雄
平成23年8月22日付け事務連絡「評価書(案)『食品中に含まれる放射性物質』」等について」により照会のあった点については、別添のとおりです。
第一について
今般の放射性物質に関する食品健康影響評価(リスク評価)は、食品衛生法第6条第2号の規定に基づき放射性物質に係る指標値を定めることについて、厚生労働大臣からの諮問を受けて実施しているものであり、御指摘の委員長メッセージにおける「リスク管理機関」は、一義的には厚生労働省が想定されているものですが、学校給食に関することを所掌する文部科学省におかれても、厚生労働省と連携しつつ、学校給食の安全確保に努めていくことが望ましいと考えています。
第二について
食品安全委員会は、食品安全基本法に基づき、規制や指導等のリスク管理を担当する行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を行う機関であり、リスク管理措置の個別具体的な内容や方法については、評価結果を踏まえ、リスク管理機関で検討されるものと考えています。なお、少なくとも、食品安全委員会の評価結果を踏まえ、厚生労働省において食品衛生法に基づく(暫定)規制値の見直しについての検討がなされるものと承知しており、文部科学省におかれても、厚生労働省と連携しつつ、学校給食の安全確保に努めていくことが望ましいと考えています。
第三について
リスク管理措置の検討に当たっては、食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態等が勘案されるものと考えています。
第四について
評価書案においては、食品を介して放射性物質が摂取された場合の健康への影響について、現在の科学における可能な限りの知見が示されたものであり、具体的な線量の確認、管理の方法といったリスク管理措置については、リスク管理機関で検討されるものと考えています。なお、ICRPの考え方との関係については、食品安全委員会ホームページの「放射性物質を含む食品による健康影響に関するQ&A問5」
(http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka_qa.pdf) に掲載されているとおりです。(別紙参照)
第五について
評価書案においては、小児に関しては、例えば、次のような文献がありますが、線量を特定できるデータはなかったため、具体的な数値を示すには至らなかったものです。
・ 線量の推定等に不明確な点のある文献ではあるが、チェルノブイリ原子力発電所事故時に5歳未満であった小児を対象として、白血病のリスクの増加を報告している文献(Noshchenko
AG et al., Radiation-induced leukemia among children aged 0-5years at the time
of the Chernobyl accident., Int J Cancer. 2010 Jul 15;127(2):412-26.)
第六について
評価書案に対する国民からの意見や情報の募集(パブリックコメント)に際し、わかりやすい概要資料やQ&Aのホームページ掲載、メールマガジンでの情報発信などを行っているほか、評価書案の内容に関する国民の皆様の理解を深めてもらうことを目的とした意見交換会が平成23年8月2日に食品安全委員会主催で開催されたところです。また、地方公共団体と共催の意見交換会や食品安全委員会事務局からの講師派遣等を通じ、評価結果を丁寧に説明していくこととしています。
問5 国際機関では公衆の被ばく限度が1ミリシーベルト/年とされていると聞きますが、今回の「放射性物質の食品健康影響評価(案)」ではそれを考慮したのですか? |
答)
1 国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線による健康への影響について、
(1) 確定的影響(高い放射線量を受けた後、短期間で発症する不妊等の影響。問7参照)について、確実に防止するとともに、
(2)
確率的影響(低い放射線量でも数年以上のちに発症することがあるがん等の影響。問7参照)について、合理的に達成可能である限り防止する
という基本的考え方に基づいており、以下の値を示しています。
状況 |
一般公衆について |
---|---|
平常時 |
1ミリシーベルト/年 |
緊急時 |
状況に応じ20ミリシーベルト/年から100ミリシーベルトの間 |
出典) 国際放射線防護委員会(ICRP)「2007年勧告(Publication103)」
2 「低線量」での健康影響は、現代の科学では十分に解明されていませんが(問9参照)、この平常時における一般公衆の「1ミリシーベルト/年」という限度値は、
3 今回の「放射性物質の食品健康影響評価(案)」では、こうしたリスク管理のために示された仮説に基づくモデルの検証は困難であることから、仮説に基づくモデルによるのではなく、放射線を被ばくした人々の実際の疫学データに基いて、生涯の追加の累積線量で、おおよそ100ミリシーベルト以上で健康影響が見い出されているが、100ミリシーベルト未満については、現在の知見では健康影響の言及は困難としています。
【参考文献:ATOMICA「ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え」、国際放射線防護委員会(ICRP)「1990年勧告」附属書C(表C-5)】
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-- 登録:平成23年09月 --