小学校高学年における教科担任制に関する事例集~小学校教育の活性化に繋げるために~(令和5年3月)



 小学校高学年における教科担任制(以下「教科担任制」という。)については、現在、全国の学校や教育委員会において、各学校や地域の実情を踏まえつつ、様々な工夫を凝らしながら導入を進めていただいているところです。
 文部科学省においては、中央教育審議会の答申(「令和の日本型学校教育」の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(令和3年1月26日))(以下「令和3年答申」という。)において、令和4年度を目途に教科担任制を本格的に導入する必要があるとされたことを受け、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について、検討会議を設置して議論を進め、令和3年7月に報告をまとめました。
 こうした検討の結果も踏まえ、文部科学省では、令和4年度から、教科担任制の推進に必要な教職員の加配定数を措置しており、4年程度をかけて段階的に取組を推進することとしています。
 このように、教科担任制について、国・教育委員会・学校それぞれの主体において取組が進んでいるところですが、小学校教育が学級担任制を中心として実施されてきた中で、今後、義務教育9年間を見通しつつ、教科担任制の更なる導入を円滑に進めるとともに、学校現場において効果的に運用するためには、学校関係者や教育委員会関係者の皆様にとって、教科担任制に関する情報を手に取っていただきやすい形で提供する必要があると考えています。 
   こうした認識の下、この度、教科担任制を小学校教育の活性化に繋げている好事例について、その特徴や運用上の工夫、効果を「見える化」するため、文部科学省において、「小学校高学年における教科担任制に関する事例集~小学校教育の活性化に繋げるために~」を作成しました。
 本事例集には、関係の学校や教育委員会に御協力いただきながら、5都道県の11小学校における教科担任制の実践事例を掲載しており、それぞれの取組は、学校や地域の実情を踏まえた多様なものでありながらも、校長や教育委員会が、教科担任制を導入する目的や趣旨を各学校の教師にわかりやすく伝えるとともに、導入のメリットを教師に実際に感じてもらい、一方で、導入に伴ってデメリットが生じないよう、管理職を中心として学校マネジメント上の工夫を様々に凝らしているという、共通する特徴も見えてきます。
 全国の学校や教育委員会の皆様におかれましては、是非とも、研修をはじめ様々な機会を捉えて本事例集を御活用いただき、今後の教科担任制の導入や運用に当たって、授業の質の 向上、小・中学校間の円滑な接続、多面的な児童理解、教師の負担軽減といった効果が最大限発揮されるよう、御尽力いただければと考えています。
 御協力いただいた教育委員会や学校の皆様にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げるとともに、本事例集が全国各地の学校や教育委員会において、子供たちにとって最良の取組を進める上で一助となることを願っています。

令和5年3月文部科学省初等中等教育局財務課

※義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議