令和7年6月2日(月曜日)14時30分~16時30分
WEB会議
(1)日本語教育関係施策の推進状況について
(2)日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(改定案)について
(3)その他
【委員】西原委員(座長)、伊東委員、オチャンテ委員、河原委員、小池委員、佐藤委員、杉山委員、高橋委員、田尻委員、西口委員、橋本委員、浜田委員、福島委員、松田委員、森下委員、山岸委員、由井委員、四ツ谷委員
【事務局】文部科学省 茂里総合教育政策局長、橋爪大臣官房審議官(総合教育政策局担当)、降籏日本語教育課長、鴨志田視学官、石川課長補佐
【関係府省庁】文部科学省国際教育課 岡嶋課長補佐、高等教育局参事官(国際担当)付留学生交流室 勝原留学交流支援係長、出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室 山口補佐官、政策課青柳補佐官、総務省国際戦略局技術政策課研究推進室 山内課長補佐、自治行政局国際室入江課長補佐、外務省大臣官房文化交流・海外広報課 鈴木課長、経済産業省アジア大洋州課 千野課長補佐、技術・人材協力室 高橋室長補佐、厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課 南摩海外人材受入就労対策室長
○西原座長
では、定刻となりましたので、ただいまから日本語教育推進関係者会議(第10回)を開催させていただきたいと思います。本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。 まず、事務局から配付資料等の確認をお願いいたします。
○石川日本語教育課課長補佐
事務局でございます。本日は対面とオンラインを併用したハイブリッド開催となっております。会議は公開となっておりますので、傍聴者の方もオンラインでこの会議を御覧になっていることを御承知おきください。
また、本日の出欠状況でございますが、ロジャーズ委員より御欠席の御連絡を、浜田委員より遅れて御出席される旨の御連絡を事前に頂戴しております。
なお、事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
文部科学省大臣官房審議官総合教育政策局担当に橋爪が、総合教育政策局日本教育課長に降旗が、日本語教育視学官に鴨志田が着任しております。それぞれ一言ずつ御挨拶させていただければと思います。
○橋爪審議官
橋爪でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○降籏日本語教育課長
4月1日付で日本語教育課長を拝命しました降籏と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○鴨志田視学官
視学官の鴨志田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○石川日本語教育課課長補佐
次に、本日の配付資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料でございますが、議事次第に記載しておりますとおり、資料2点、参考資料8点の計10点でございます。不足等がございましたら、事務局へお申しつけください。
事務局からは以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。本日の議題は議事次第にありますように2つでございます。まず、議事の1「日本語教育関係施策の推進状況について」は、各省庁から御報告いただきます。予算事業をはじめ、日本語教育関係施策の取組状況について御説明いただきます。
次に、議事の2でございますが、「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(改定案)」でございまして、これまで皆様方からいただいた御意見も踏まえて、関係省庁で取りまとめられた基本方針の改定案を事務局の方から御説明いただきます。
議事1及び議事2について、関係省庁・事務局から御説明をいただき、最後に、構成員の皆様方からの御意見等を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。日本語教育関係施策の推進状況で、各省より御説明をお願いいたします。まず、文部科学省からでしょうか。
○降籏日本語教育課長
文部科学省でございます。お手元に資料1をお願いいたします。日本語教育関係施策の推進状況というふうにございまして、非常に資料が多うございますので、かなり端折る形での御説明になることをお許しください。
まず、右下のページ番号3ページ目のところでございますが、文部科学省関係の日本語教育施策ということで、右下3ページをお願いします。令和2年に、日本語教育の推進に関する施策の総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を閣議決定をしまして、それに基づきまして、この下にございますような日本語教育の内容・方法等の充実をはじめとするそれぞれの施策につきまして、取組を進めてきたところでございます。
そして、下のところにございますが、令和5年には日本語教師の資格及び日本語教育機関の認定制度の創設ということで、日本語教育機関認定制度を創設しまして、これに基づいた取組を現在進めているところでございます。
2枚先に進めていただきまして、右下5ページをお願いいたします。こちらが外国人等に対する日本語教育の推進ということで、文部科学省の外国人に対する日本語教育の推進をまとめたものでございます。大きく2点、2つのものに分かれておりまして、真ん中のあたり、事業内容と書いてありますところの上側、1番と書いてあるものにつきましては、日本語教育を全国展開、また全国的に学習機会を確保するための施策でございます。
1番のところからございますが、外国人材の受入れ・共生のための地域の日本語教育の推進ということで、都道府県や政令指定都市が、総合的なこの地域の日本語教育の体制づくりを支援するものでございます。
真ん中の2番の日本語教室空白地域解消の推進強化のところでございますが、令和2年度には約930の空白地域がございましたが、こちらが令和5年度には730ほどまで空白地域の解消が進んでいるところでございます。この空白地域解消の取組につきましては、日本語教室がまだ開催されていない市区町村に対しましてアドバイザーを派遣するなど、日本語教室の開設・安定化に向けた支援などを行う事業を行っているところでございます。
3番の「生活者としての外国人」のための特定ニーズに対応した日本語教育事業のところでございますが、主にNPOや公益法人、大学などが行います例えば障害を有する外国人に対する日本語教育など、特定のニーズに対応した日本語教育の推進の事業を全国展開の事業として行っているものでございます。
下側の2番のところに書いてありますものが、日本語教育の質の向上を図るためのものでございます。2の丸の1番にございます、認定日本語教育機関活用促進事業は、昨年度、令和6年度の補正予算で計上したものでございまして、認定日本語教育機関と企業などが連携をしまして、企業からのニーズに応じたカリキュラムでありましたり、研修などを行うようなモデルをつくってもらいまして、日本語教育の企業がこの日本語教育機関に投資やお金の循環が回るようなモデルを確立するために行っている事業でございます。
真ん中の2番のところにつきましては、日本語教師の養成、また、現職日本語教師の研修に関する事業でございます。
また、3、4、飛ばしますが、5番のところにつきましては、日本語教育の水準の維持向上ということで、日本語教育機関認定法の実施に必要な日本語教員試験の実施、あるいは日本語教育機関認定法のポータルサイトの運用などなどを行っているところでございます。
このような以上の詳細につきましては、次の6ページから23ページまでそれぞれ今申し上げました事業の詳細な資料を御用意しておりますので、また、御参考いただければ幸いでございます。
24ページまで飛ばさせていただきます。24ページは、この共生社会の実現に向けた帰国・国内の外国人児童生徒の教育の推進支援のところでございます。上側の2つ目の丸でございますけれども、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒というものは、約10年間で1.9倍に増えております。こうして増えている中、下のグラフにございますように、外国人児童生徒の母語も多様化し、地域も集住も散在化しているところでございます。
次のページに移らせていただきますが、この25ページでは、外国人児童生徒等の教育の充実ということで、左側のところからでございますけれども、外国人の子供の就学促進事業ということで、就学状況の把握や就学ガイダンスなど、就学促進のための自治体の取組を支援する事業を行っております。
真ん中の義務教育段階、そして、高等学校段階のところになりますけれども、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業、きめ細事業と称しておりますが、このきめ細事業としまして、日本語指導の保護者や母語支援員の派遣、オンライン指導や多言語翻訳システムといったICTを活用した支援、また、自治体が行う取組を支援するための予算を計上しているところでございます。
この下の欄のところにつきまして、この就学前から高等学校のところまで通貫するところでございますけれども、情報検索サイト「かすたねっと」の整備や、アドバイザーによる派遣など、教育の支援の基盤整備を行っておるところでございます。
このページのところの詳細につきましては、27ページにまたこれのほか、主な施策につきまして御紹介をさせていますので、また、御覧いただければと存じます。
右下28ページに移らせていただきます。28ページは夜間中学校に関してでございますが、この資料の真ん中のあたりにあります左側、夜間中学のさらなる設置の促進というために新設の準備や運営支援、広報活動のための使用可能な補助事業に係る経費を計上しております。
また、右側の夜間中学の教育活動の充実のところでございますが、外国人向けのカリキュラムの開発などを含めます多様な生徒の実態に応じた環境整備の在り方などを検証する委託事業として、必要な経費を確保しているところでございます。
続きまして、右下29ページを御覧いただきたく存じます。留学生就職促進プログラム、この事業を平成29年から実施をしているところでありまして、外国人留学生の国内定着に向けまして、大学におきまして、真ん中の取組内容のところでございますが、ビジネス日本語教育、キャリア教育、インターンシップが一体となったカリキュラムを構築することを支援する事業であります。今年度、令和7年度は3つの大学への支援のために予算を確保しているところでございます。
また、次のページの30ページになりますけれども、留学生就職促進教育プログラム認定制度ということで、文部科学省が質の高い教育プログラムを認定するプログラムを実施しているところでございます。 31ページをお願いいたします。31ページは専修学校の国際化推進事業でございますが、この事業では、専修学校におきまして、外国人留学生の戦略的受入れの促進と就職先の企業との連携も踏まえた円滑な就職、その後の定着までを見据えましたトータルパッケージモデルの構築に取り組んでいるところでございます。文部科学省に関係します日本語教育関係の施策は大変駆け足で恐れ入りますが、以上になります。よろしくお願いいたします。
○西原座長
ありがとうございました。続きまして、法務省ですか、よろしくお願いします。
○山口入管庁外国人施策推進室補佐官
法務省出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室の山口と申します。よろしくお願い申し上げます。
資料は32ページから36ページまでとなっています。それでは33ページを御覧ください。
こちらは、政府全体の外国人との共生社会の実現に向けた中長期計画である「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」について記載しているものです。外国人との共生施策につきましては、関係閣僚会議におきまして政府全体の中長期計画であるロードマップと、単年度計画である総合的対応策を取りまとめております。このロードマップが令和4年から令和8年までの5年間の中長期計画になっています。こちらは毎年有識者の方々に御相談しながら、少しずつ施策を見直しています。
今現在も、6月上旬を想定します関係閣僚会議を目指しまして、施策内容の見直しをしていますが、本日は令和6年度のものを御紹介させていただきます。
それでは、スライド中の1番、三つのビジョンというところを御覧ください。こちらは政府全体が目指すべき共生社会のビジョンです。1つ目が安全・安心な社会、そして2つ目が多様性に富んだ活力ある社会、3つ目が個人の尊厳と人権を尊重した社会でございます。この3つのビジョンを実現するために取り組むべき中長期的な課題がございます。これが資料の下半分の四つの重点事項でございます。重点項目の1番目に円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組が載っています。そのほか、2番目、外国人に対する情報発信・外国人向けの相談体制の強化、3番目、ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援、4番目、共生社会の基盤整備に向けた取組がございます。
次に34ページを御覧ください。こちらのスライドでは、今申し上げました重点項目に基づく、具体的な取組の例が掲載されています。まず、左上の1番、円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組につきまして、御説明いたします。
こちら、複数の省庁による施策が掲載されておりますけども、まず1つ目としましては、文科省のお取組みである、都道府県等が行う日本語教育を強化するための総合的な体制づくりを着実に推進するとともに、市区町村が都道府県等と連携して行う日本語教育を含めた支援について掲載されています。
また2つ目として、「日本語教育の参照枠」に示された教育内容やレベル尺度等に対応した分野別教育モデルの開発・普及がございます。そして、法務省が主に行っているものとしましては、生活オリエンテーション動画の作成・活用等による社会制度等の知識を習得できる環境を整備するというものがございます。これは何かといいますと、日本語教育はもちろんのこと、住民税や社会保険等といった日本の社会制度、今現在外国人の方が日本で安全安心に暮らすために重要となるルール等につきまして外国人の方に知っていただくために、法務省において、17言語で、生活オリエンテーション動画というものを作成し、昨年3月のほうに公開しているものです。本日時点で36万回の再生をされています。
このほか、やはり動画を公開するだけでは、必ずしも外国人の方々にアプローチできないというところもございますので、民間団体や外国人コミュニティと連携し、対話型のオリエンテーションを実施しているところです。また、文科省において行われている、生活場面に応じた日本語を学習できるICT教材の開発・提供等も記載されています。
そのほか、同じく日本語教育環境を来日前に身につけるための仕組みである外務省の取組み、そして最後の日本語教育機関認定の開始及び登録日本語教員の資格制度の円滑な運用等を行っています。
また、重点事項に応じまして様々な項目がありますので後ほど御覧ください。
次のスライドを御覧ください。こちらはロードマップの進捗状況です。有識者の方々の御指摘等もいただきながら、毎年見直しを行っています。 次のスライドを御覧ください。細かい文字で恐縮ですが、単年度計画である総合的対応策についての資料です。こちらは5年間の中長期計画であるロードマップの記載を受けて実施する、単年度の施策等を詳しく記載しています。後ほど御覧いただければ幸いです。
駆け足でございますが、入管庁からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
○西原座長
ありがとうございました。では、引き続き外務省の関係をお願いいたします。
○鈴木文化交流・海外広報課長
外務省文化交流・海外広報課長の鈴木でございます。外務省と国際交流基金による海外における日本語教育について説明をさせていただきます。資料は資料1の37ページ以降となっておりますので、御覧ください。
最初に基本方針にもあるとおりでございますが、外務省国際交流基金は海外における日本語教育を推進するということで、国際交流基金を通じた日本語教育はもちろんなんですけれども、外務省においては、JICA海外協力隊を通じた日本語教育、中南米地域の日系団体が実施する日本語教育への支援、あるいは海外在留邦人や日本にルーツを持つ子供に対する日本語教育支援等を実施しているところでございます。
本日は、国際交流基金を通じた海外における日本語教育事業についての説明を中心にさせていただきたいと思います。資料38ページ、39ページでございます。御覧ください。冒頭ですけれども、国際交流基金、後ほど国際交流基金の日本語教育事業、さらに詳細御説明しますけれども、海外における日本語教育の現状ということで、調査も実施してございます。調査は3年に一度ということで、前回調査は2021年、令和3年度の数値について調査をしておりまして、このとき約37万9,000人の学習者がいるということでございましたけれども、3年に一度ということで、令和6年度に改めて調査を実施しているところでございます。失礼しました、数字の読み方間違っていました。379万人です。2021年度、令和3年度で379万人の学習者がいるということでございましたが、令和6年度にも改めて調査を実施しております。
令和6年度の数値ということで、調査結果自体は本年の夏以降になるかと思いますけれども、改めて新しいアップデートされた数字を公表させていただく予定でございます。前回調査がちょっとコロナの時期に重なっておりましたので、コロナ禍を経て、新しく令和6年度の学習者数、それから学習の方法や、目的、理由といったところがどう変化しているかということについて、改めて調査結果を公表したいと思っております。
続きまして、資料の41ページを御覧ください。こちらはこれまでも継続的に実施しているところでございますけれども、引き続き、海外における日本語教育環境の整備を主たる目的といたしまして、海外への日本語専門家の派遣でありますとか、日本語教師研修、教材購入支援、あるいは弁論大会経費助成などによる日本語教育機関に対する支援等に引き続き取り組んでおるところでございます。
資料42ページでございますけれども、さらに、日本語教育のための素材提供、教材開発、あるいは日本語能力評価ための日本語能力試験(JLPT)及び国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の実施もしっかりと進めさせていただいているところでございます。特にJLPTに関しましては、新しい取組といたしましてN1からN5までの各レベルの合格者に対して、CEFR上のレベルを参考表示をするということとなりました。本年12月試験より運用を開始する予定でございまして、こちらについては既に詳細、方針、詳細につきまして、JLPTのウェブサイトのほうに御案内をさせていただいているところでございます。
続きまして、資料の43ページでございますけれども、外国人材受入れ拡大のための日本語教育事業といたしまして、これも継続事業でございますが、CEFRレベルのA2レベルをはかる試験として、JFT-Basicを実施しているところでございます。これに加えまして、今後の育成就労制度が令和9年4月から開始されるということで、これに向けてA1相当及びA1からA2の間のレベルをはかる試験の開発を行っていく予定ということとなっております。また、さらに外国人材の主要な送り出し国において、現地の日本語教師の育成が課題となっている国に対して、日本語専門家の派遣などを通じた日本語教師育成強化事業等、こちらも実施していく予定でございます。
続きまして、資料の44ページでございます。日本語パートナーズ派遣事業でございますが、こちらも継続的に実施させていただいておるところでございますが、前回の会議でも御紹介させていただきましたけれども、令和6年度以降、10年間の事業継続が認められておりまして、日本語パートナーズ受入れ校の日本語教師高校生等を招聘した研修や教材開発なども含めまして、この日本語パートナーズ事業をさらに拡充した形で取り組んでいるところでございます。
今般の基本方針改定案につきましては、今御説明しましたような新しい取組も含めまして、外務省国際交流基金の事業を中心に修正を加えておるところでございます。当省関係の予算額につきましては、参考資料の予算一覧のとおりとなってございますので、御参照いただければと思います。
以上、外務省からの説明でございます。ありがとうございました。
○西原座長
ありがとうございました。それでは、続いて厚生労働省、よろしくお願いいたします。
○南摩海外人材受入就労対策室長
厚生労働省外国人雇用対策課海外人材受入就労対策室長、南摩と申します。私のほうからは53ページ目以降、厚生労働省関係でございます。前々回第8回の当会議におきまして、予算要求事項として御説明いたしました厚生労働省関連の施策につきましては、おおむね問題なく財源が確保されまして、今年度第1四半期の業務運営は安定的にスタートしております。
それでは、個別に触れさせていただきたいと存じます。54ページでございます。外国人就労・定着支援事業でございます。企業から採用内定を得た外国人留学生等に対して、現場において円滑に定着するために必要なコミュニケーション能力の向上や、日本の雇用慣行、労働関係法令、企業文化等のコミュニケーションを行う上で前提となる知識の習得を目的とした研修の実施でございます。令和7年度の実施の規模といたしましては、下段の右下に書いてございますとおり、全国112地域、280コース、受講者5,600名といった規模を予定してございます。
55ページでございます。こちら技能実習生の技能習得に資する日本語教育教材の開発事業でございます。技能実習生が入国前の講習、入国後の講習、実習期間中等に行う日本語学習で必要な日本語教育ツールを開発・提供するものでございます。これまでの実績といたしましては、下段にありますとおり、8言語について、教材の開発、提供を行っているところでございます。
56ページをお願いいたします。介護の日本語学習支援事業でございます。外国人の介護人材が介護の日本語学習を自律的に行うための環境整備を推進するための支援等を行うものでございます。事業実績の一例が同ページの下段に、コンテンツやテキストの実例として記載してございます。
次に、57ページをお願いいたします。EPAに伴う外国人看護師受入関連の事業でございます。まず、上段でございますが、外国人看護師候補者学習支援事業でございます。インドネシア、フィリピン、ベトナムとのEPAに基づき、外国人看護師候補者に対しまして、看護専門分野を中心とした日本語学習研修の充実を図るため、eラーニングでの学習支援システムを構築・運用するとともに、候補者に対する定期的な集合研修の実施や、受入施設の研修責任者等に対する研修計画の助言等を行っております。
下段でございますけれども、外国人看護師候補者就労研修支援事業でございます。こちらもEPAに基づきまして、外国人看護師候補者が就労する上で必要な日本語能力の向上を図るため、外国人看護師候補者受入施設に対して、1つは、日本語学校等への修学または講師を招聘するために必要な経費の財政支援。2つ目は、研修指導者等の経費や物件費の財政支援、こういったことを行う事業でございます。
58ページでございます。EPAの介護福祉士候補者等への学習支援等でございます。中段表の左側、外国人介護福祉士候補者受入施設学習支援事業でございます。こちらについては、外国人介護福祉士候補者の受入施設が実施する日本語や介護の学習及び学習環境の整備に対する支援等を行うものでございます。
中段表の右側でございますけれども、外国人介護福祉士候補者学習支援事業でございます。こちらは、外国人介護福祉士候補者の介護福祉士国家資格合格に向け、インドネシア、フィリピン、ベトナムの候補者を対象とした集合研修、通信添削指導及び資格を取得できずに帰国した者に対する母国での再チャレンジ支援を行うものでございます。こちら候補者の年度別の受入れ人数は、左下の表に記載してございます。
厚労省の説明につきまして、私からは以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。では、経済産業省、お願いいたします。
○千野アジア大洋州課課長補佐
経済産業省でございます。経済産業省のほうからは、大きく日本語関係の事業、2事業について御説明させていただきます。
1点目ですけれども、60ページ目にございますEPAに基づく看護師・介護福祉士候補者に対する日本語研修等の事業でございます。こちらはこれまでにも外務省さんからも資料ございましたけれども、訪日前、それから訪日後の集合型の研修につきまして、両省で予算を折半する形で実施をしてございます。経済産業省のほうでは、主に直接的には右側のベトナムの訪日後研修、それから、フィリピンの訪日後研修、この部分について契約し、実施をしているという状況となっております。以上、1点目の事業説明でございます。
○西原座長
1点目は、これでよろしいでしょうか。61ページについては。
○高橋技術・人材協力室室長補佐
私ども海外展開支援ですとか途上国への技術移転の観点から、途上国の日系企業が例えば新工場をつくるですとか、新製品を立ち上げるなどのために、現地の製造に係る中核人材を日本に呼んで研修してもらうというものに対して補助による支援をしてございます。
研修なんですけれども、研修ビザは、1年間という長丁場ですので、個別の企業の実地研修の前に導入研修という形で日本語を中心とした研修を実施してございます。
62ページが実績になってございまして、最近では大体300人台、アジアを中心に来日していただいているという状況でございます。
以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。では、最後となりますが、総務省関係の御説明をお願いいたします。
○総務省
総務省でございます。聞こえておりますでしょうか。64ページに進んでいただきまして、総務省では、地域における多文化共生推進プランにおいて、日本語教育の推進施策を実施する旨、掲示するほか、日本語教育の推進に係る好事例の情報提供、地域における日本語学習の推進状況に係る調査の実施を行うほか、次のページに進んでいただきまして、地方自治体が行う日本語講座等に対して必要な地方財政措置を講じることなどを通じて、地方公共団体における日本語教育の推進を促してきているところでございます。
また、次のページに進んでいただきまして、多言語翻訳技術の研究開発を推進しており、VoiceTraという翻訳アプリを公開しているところでありまして、次のページに進んでいただきまして、本技術を活用した民間サービスも数多く生まれているところでございます。シンポジウムの開催等を通して、今後もさらなる多言語翻訳技術の普及に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
引き続き、総務省といたしましては、関係省庁と連携しながら日本語教育の推進に取り組んでまいります。
以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。各省庁からの御発表をいただきました。次に資料2について御発表いただきますので、それが済みました後に、御意見等いただければと存じます。
それでは、資料2の日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(改定案)について御説明をお願いいたします。
○降籏日本語教育課長
事務局でございます。資料2をお願いをいたします。
まず、この基本的な方針の改定案でございますけれども、こちらは現在、関係省庁において作業をしている現時点版ということでございます。そして、今回のこの基本的な方針の改定案についてでありますが、委員の皆様方御案内のとおり、この現行の基本的な方針は令和2年6月に閣議決定をされまして、約5年間がたっているところでございます。今回のこの改定案につきましては、この5年間の間に起こりましたことなどを踏まえながら、改定を行っているところでございます。
そういう意味では、この5年間の中で大きな動きといいますと、まず昨年度、令和6年度に日本語教育機関認定制度が創設をされまして、認定日本語教育機関の制度、あるいはこの登録日本語教員の活用といったことを進めているところであります。
新たな基本的な方針の改定に当たりましては、こうした法改正など、新しい制度を踏まえた形の修正などの作業を行っているところでございます。また、令和6年度の法改正を受けて、令和9年度から特定技能育成就労の新制度が始まります。この特定技能育成就労の新制度におきましては、日本語能力の向上についての仕組みも入れられているところで、現在制度設計の省令改正などなど入管庁と厚生労働省のほうで進めておられます。この動きというものも踏まえた形の方針案ということで、今作業を進めているところでございます。
また、文部科学省では、文化庁時代でございますが、令和3年度に取りまとめました日本語教育の参照枠をつくったわけでございますけれども、この日本語教育の参照枠を国の各種の制度で活用、普及をしていきたいということで今動いておりまして、こうした流れを改定の基本的な方針案に反映しようとしているところでございます。
今日のこの基本的な方針案につきましては、これまでの関係者会議でいただきましたヒアリングでの御発表、あるいは、この会議でいただきました御意見を基に、この改定作業を行わせていただいているところでございます。 まず、目次のところでございますけれども、目次のところにつきましては、現行の基本方針と、この大きな柱組みなどの変更は入れておりません。ただ、下のほうに第3章のところのその他日本語教育の推進に関する重要事項のところにつきまして、現行の方針では、日本語教育を行う機関に関する制度の整備という項目がございました。こちらにつきましては、また後で御覧いただければと思いますが、昨年度の認定法に伴う制度が整備されたことを受けまして、その辺りにつきましては、第3章の2番のほうからは削除という形で項目の見直しを図ったところでございます。
1ページ目のところに移らせていただきますが、1ページ目は「はじめに」のところになります。この「はじめに」の項目では、真ん中のあたりにおきまして、令和4年に、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを決定をいたしまして、毎年、改定などなどを行っているところでございます。
今回の基本方針の改定案におきましては、この令和2年の段階ではなかった、この共生社会の実現に向けたロードマップのところにつきまして、入れながら「はじめに」のところを入れさせていただいております。同じように少し下のところにございます特定技能制度、また、令和6年6月の入管法と技能実習法の改正による育成就労制度の創設のところにつきましても、こちらの「はじめに」のところに書かせていただいたところであります。
この一番下のところに、「基本方針において「日本語教育」とは」という一文を入れさせていただいておりますが、このパラにつきましては、この関係者会議のほうでも、どこまでの範囲、この日本語教育の話をして入れるのかという辺りを考えるべきというような御意見がいただいたところでありまして、その御意見を踏まえて盛り込ませていただいた一文でございます。
続きまして、第1章の基本的な方向性のところでございますが、黒字の部分は現行の基本的方針を踏襲させていただいているところでございまして、色がついているところが今回修正、改定を加えているところでございます。以後、変更させていただいている案のところにつきましては、中心に御紹介、御説明をさせていただきたいと思います。
4ページの第2章のところでございますが、日本語教育の機会の拡充ということで(1)番、国内における日本語教育の機会拡充のところでございます。まず、アのところの外国人等である幼児、児童、生徒等に対する日本語教育のところでございますけれども、ページ変わりまして、5ページ目の具体的な施策例のところでありますが、こちらのほう、日本語指導が必要な児童生徒の「特別の教育課程」の制度活用や、児童生徒の資質・能力を育成するための日本語と教科の統合学習を含む体系的・専門的な指導の充実の推進ということで、こちらを具体的施策で加えさせていただきました。
また、その下のところにございますが、認定法に伴います登録日本語教員をはじめとします日本語指導の補助者や母語支援の活用といった地方公共団体における指導体制の構築を支援というところで、登録日本語教員をはじめとする日本語指導補助者や母語支援員の活用というところをここに書かせていただいております。
その次のパラのところは削除という形になっておりますけれども、この部分のところにつきましては、内容的には今申し上げました、この登録日本語教員の活用とかその辺りで含めさせていただいているところを受けて、こちらのほうは修正、変更をさせていただいております。
7ページ目のところに、外国人の留学生等に対する日本語教育の欄のイという項目がございます。7ページ目の具体的な施策例のところでございますが、先ほど、資料1でも御紹介をいたしました、大学と企業等と連携をした外国人留学生に対する「日本語教育」、「キャリア教育」や「インターンシップ」を一体として提供する質の高い教育プログラムの文部科学省の認定、そして、外国人留学生国内企業の就職につなげる仕組みの全国展開というところで、ここを今の事業、これから進めるべき具体的な施策の例として取り上げさせていただきました。
8ページ目のところに移らせていただきます。ウの外国人等である被用者等に対する日本語教育のところでございますけれども、この上のほうの赤字の修正のところ、「技能実習」の創設及び平成31年の在留資格「特定技能」の創設といった時点のところを加えさせていただくとともに、下のところにございますけれども、「日本で働くに当たって」のパラでありますけれども、「関係省庁や関係機関が連携し、様々な在留資格や業種の外国人労働者に対する体系的な日本語教育の質的及び量的な充実を図ることが重要」ということを入れた上で、具体的な施策のところでありますが、9ページ目のところで真ん中のあたり、特定技能外国人及び育成就労外国人の段階的な日本語能力の向上のため、次の行の後半にありますが、特定技能1号、2号の移行時に一定の日本語能力を求める。また、受入れ機関に対し育成就労外国人に日本語教育機関認定法に基づいた、認定日本語教育機関における講習機会を提供することなどを義務づけるといった記述を入れさせていただいております。
その次のポツのところには、育成就労外国人のところにつきましても、入れているところであります。
続きまして、下のところのエの難民等に対する日本語教育のところでございます。難民のところにつきましては、10ページ目のところに令和5年からのウクライナ避難民を念頭に置きました補完的保護対象者の認定制度が開始されたことにつきまして、記述をしております。
それを受ける形で、具体的な施策のところにつきましても、条約難民と第三国定住難民のところに加えまして、補完的保護対象者を加えるとともに、定住先地域における円滑な就業や就学等を促進するための日本語教育プログラム等の学習環境の一層の整備を進めるといったところを書かせていただいております。
続きまして、11ページのところでございますが、地域における日本語教育の項目でございます。真ん中のあたりにございますが、令和2年の基本方針の閣議決定、現行の基本方針にありますが、閣議決定が行われた後、地域日本語教育の総合的な体制づくりが促進されてというところと、日本語教育の空白地域についての記述を盛り込んだところでございます。併せまして、登録日本語教員の活用というところも含めまして、市区町村、企業、学校、認定日本語教育機関をはじめとする日本語学校の関係機関の連携・協力の推進を図る必要があるというように、認定日本語教育機関ということを一つ追加をさせていただいております。
下のところにつきましては、各地域における地域の実情に応じた日本語教育の実施のところでございますけれども、これらの取組を行う際には、外国人や日本語教育機関等の偏りなどの状況を具体的に把握した上で、状況に応じてオンラインによる教育提供や多様な手段を含めて学習機会の確保について検討する必要があるといった形で、空白地域を減少させるための取組についての方向性を記述したところでございます。
12ページのところにつきましては、「日本語教育の参照枠」のところについても触れるとともに、その下の具体的な施策の例のところにつきましては、都道府県や指定都市が行う総合調整会議などの設置などなど、具体的な今行われている地域の日本語教育の取組について、具体的な記述を入れているところでございます。
この具体的施策の例の2つ目のところのポツでございますけれども、これらの取組、上に書いてある総合的な取組を促進するために、日本語教育の専門家をアドバイザーとして派遣をするといったようなこと、あるいは、その次のポツのところにつきましては、空白地域の解消などなどの優良事例の情報共有や周知を図るといったようなことにつきまして、記述をしているところでございます。
13ページ以下につきましても、同様に空白地域の解消に向けた取組でありましたり、下のところには、先ほどの取組の資料1でも御説明をさせていただきました、特定の課題に対する学習ニーズに対応した先進的な取組の創出と普及につきまして、入れているところでございます。
その次のポツのところにつきましては、地域の日本語教育を支える研修に関する記述のことを入れたところでございます。
海外における日本語教育の充実というところで13ページ以降、続いていくわけでございますけれども、具体的な施策の例というところで現行の取組の記述に加えまして、15ページのところに移りますけれども、国際交流基金・JFを通じまして、特に中等教育段階で日本語学習者が多い東南アジアを中心とするアジア各国の地域に日本語母語話者を日本語教師や生徒の日本語学習のパートナーとして派遣することによって、日本語授業の運営の支援、それから、日本人との交流を通して、現地の日本語教育振興に協力するということを入れております。
その次のポツにつきましては、JFを通じた美術、音楽のほかのJポップといった我が国の文化の魅力を伝える文化発信のことにつきまして、入れているところでございます。
続きまして、16ページのところにつきまして、イのところでございますが、海外に在留する邦人の子などに対する日本語教育の欄でございます。具体的な施策のところで、教材作成の支援やネットワークの構築のことでありましたり、在外教育施設におきましても、登録日本語教員の支援員としての活用についての検討と必要な施策を講じることを入れております。
16ページのところは、国民の理解と関心の増進という項目でございますけれども、具体的な施策の例というところで17ページに移りますけれども、日本語教育大会の開催、あるいは地域日本語教育に関係する会議の開催、各地の地域日本語教育のシンポジウムの開催支援などなどや、その次のポツにありますが、全国の都道府県、指定都市、中核市などの日本語教育担当部署の窓口を文部科学省のウェブサイトに掲載をするとともに、地方公共団体に対しまして、各地の日本語教室等の情報一覧をはじめとします地域日本語教育に関する情報の周知、支援を行うということを入れさせていただいております。
この下の17ページの3番、日本語教育の水準の維持向上等のところにつきましては、(1)番、日本語教育を行う機関における日本語教育の水準の維持向上ということで、昨年の6年度から始まっております、文部科学大臣による日本語教育機関認定制度の創設などにつきまして、説明と方向性を書かせていただいております。
18ページには具体的な施策例を挙げておりますけれども、この項の具体的な施策の例のところにつきましては、認定日本語教育機関の認定基準に基づいた認定審査、あるいは定期報告、認定日本語教育機関に対する実地視察といった日本語教育機関認定制度の着実な実施につきまして、入れているところであります。
2つ目のポツのところは、育成就労制度におきまして、受入れ機関が日本語講習につきまして、認定日本語教育機関が実施をします就労の課程であることを求めるといったこの認定日本語教育機関が行う日本語教育課程を国の各種制度などに位置づけながら、認定日本語教育機関の活用を促すことを書いているところでございます。
以下、日本語教育機関認定法のポータルサイトによる情報発信などなど、認定日本語教育機関の活用のことにつきましたり、その次のポツにつきましては、先ほど、施策の取組のところでも触れさせていただきましたけれども、認定日本語教育機関と企業が連携をして、教育投資を得ながら質の高い日本語教育を提供するモデル構築と普及などによって、認定日本語教育機関の教育の質のさらなる向上を図ることを書かせていただいたところであります。
(2)のところにつきましては、日本語教員のところ、日本語教育に従事する指導者に関する項目でございます。令和6年度から新たに始まっております登録日本語教員制度についての話と、この日本語教育を行うための日本語教員試験の話、また、文部科学大臣の登録を受けた登録実践研修機関が実施をします実践研修を修了した者を、文部科学省が登録日本語教員として登録をするという制度の説明などをさせていただいております。
下のところになりますが、これを踏まえて、この登録の日本語教員制度の実施、また、登録日本語教員の活用促進、登録日本語教員を養成する機関の質の向上と、日本語教育の人材の資質向上を図るための研修のために必要な措置を講ずることを掲げております。
以下、具体的な施策の例のところにつきましては、今申し上げたところを具体的に挙げているわけでありますが、1つ目のポツのところにつきましては、「また」のところの欄にございますけれども、日本語教員試験につきましては、今、現行年1回の受験でございますけれども、受験機会の拡大のためのCBT、コンピュータ・ベースド・テスティング方式による実施の検討について盛り込んだところでございます。
また、20ページのところには、外国人児童生徒に対する日本語教育体制を充実するための学校における登録日本語教員の活用促進、これは先ほども出てまいりましたが、ここの項でも入れさせていただいております。海外の日本語教育における登録日本語教員の活用といった認定日本政府機関に限らない場での登録日本語教員の活用を促すことを書いております。
上から3つ目のポツのところでは、日本語教師の養成を行う大学などを中心としたネットワークの構築によりまして、日本語教師の養成、日本語教師の研修の地域拠点の整備について書いているところでございます。
また、20ページの下から2つ目のポツでは、国際交流基金を通じまして、日本語教師の養成を行う大学による学生の海外実習の取組の支援とともに、各種海外派遣プログラムによりまして、登録日本語教員をはじめとする日本語教育人材の海外で活躍する機会の提供について入れているところでございます。
21ページのところに移らせていただきますと、4つ目のポツで教育課程の編成に係る指針の策定等というところでございます。ここはヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)を参考としました「日本語教育の参照枠」を示して、これの普及活用のところについて書かせていただいております。
21ページ、22ページのところにCEFR、日本語教育の参照枠に基づく教育を行うために必要な知識、技能を有する者の登録日本語教育の登録などなど、書かせていただいたところでございます。
22ページの下のところ、5番のところにつきましては、日本語能力の評価のところでございます。外国人の日本語能力を測る方法として様々な日本語能力を判定する試験が実施されているわけでございますけれども、次のページに入ってまいりますが、この判定する日本語能力についての共通の指標としまして、「日本語教育の参照枠」が整備されまして、日本語能力の判定試験などと、この参照枠の対応付けの手続きが示されたところでありまして、この外国人等の日本語能力の把握を容易にするためにも、日本語能力の判定試験と、この日本語教育参照枠の対応付けが進むよう、参照枠の普及をするために必要な施策を講じることを書かせてもらっております。
下の6番、日本語教育に関する調査研究及び情報提供のところにつきましては、具体的な施策のところに、今説明申し上げたのと同じような視点から記述を入れさせていただいております。
第3章のその他日本語教育の推進に関する重要なところにつきましては、日本語教育推進会議、また本日開催していただいています日本語教育推進関係者会議につきまして、引き続き踏襲をさせていただいております。
以後、26ページのところの2つ目の項目でありますが、先ほど目次のところで、日本語教育を行う機関に関する制度の整備というところでございますが、先ほども申しましたように、この法律におきまして、検討結果に基づいて必要な措置を講じるというふうにしているところでありますが、こちらにつきましては、制度化が図られたことを受けまして、今回の基本的な方針案のところから削除させていただいております。
以上が、この基本的な方針の改定案のところの主な修正をさせていただいた箇所でございます。今後の改定に関します、今後のスケジュールのところにつきまして、最後に御説明させていただきます。
今御覧いただきましたように、この基本的な方針につきましては、具体的な取組のところで、かなり事業に関する取組の記載が多うございます。ということから、来年度、令和8年度の予算にも関わってくるというところでございまして、できますれば今時点では、私どもといたしましては、パブリックコメントを6月から7月中あたりに開催をいたしまして、この基本方針を夏頃にできますれば閣議決定を図るべく、政府内で調整を進めさせていただきたいと思っているところでございます。
かなり駆け足で恐れ入りますが、基本的な方針の改定の主なポイント、また、今後のスケジュールにつきまして、事務局の説明とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西原座長
ありがとうございました。この資料につきましては、今日以前に、委員の皆様方には御提示してあると思いますので、それは御覧になった上で御出席であろうというふうに思って、これからの議事を進めていきたいと思います。
今から60分で15人の先生方がいらっしゃるということを考えますと、かなり手短に御質問、コメント等いただかないといけないということになると思います。
今日はロジャーズ委員が御欠席、それから、今オンラインでまたはここで御参加の委員のうち、由井委員と浜田委員が途中退席をなさるということですので、そのお二方にまず口火を切っていただいて、それから委員の先生方に御発言いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
では、由井委員はおいでになりますでしょうか。
○石川日本語教育課課長補佐
由井委員ですが、御都合で御退出されております。
○西原座長
それは失礼いたしました。浜田委員はいかがでしょうか。いらっしゃいますか。
○浜田委員
失礼いたします。
○西原座長
では、御質問等ありましたらどうぞ。恐れ入りますが、3分ぐらいしか差し上げられないのでよろしくお願いいたします。
○浜田委員
ありがとうございます。これまでに発言をさせていただいたことも具体的に盛り込んでいただきまして、本当にありがとうございます。外国人の子供に関する日本語教育のことについてなんですけれども、実は別途、現在、学習指導要領の改訂に係る関係、別に有識者会議というのが立ち上がっておりまして、そこの中でも、いろいろ議論を進めているところなんですけれども、そこで話題になっていることというのは、こちらのほうのプランとどういうふうに関わらせていけばよいのかというところを少し教えていただければというふうに思っております。
と申しますのは、ここに書かれておりますことは基本的に非常に重要なことではあるんですけれども、ここ数回の議論の中で、例えば子供の日本語指導についても、スタンダード的なものが必要ではないかとか、あるいは評価について、様々な問題提起とかが出ておりますので、もし間に合うようであれば、こちらのほうにも書き込んでいただくというようなことは可能なのかなと思っているんですけども、その辺りのスケジュールですとか、少し教えていただければありがたいかなと思っております。
以上です。
○西原座長
そうですね、先生も御参加の有識者会議については、ネット上には載っているのですけれども、この報告書との関連と申しますか、そのほかにも、育成就労に関しても新しく有識者会議ができるというニュースも入ってきておりますけれども、それはどういうふうになさるんでしょうか。課長は何か御意見がおありでしょうか。
○降籏日本語教育課長
ありがとうございます。今、外国人児童生徒の有識者会議のほうも、進められておりますけれども、こちらのほうにも私も参加をさせていただいておりまして、子供に対する日本語教育をどうするのかというところの御議論を今いただいているところであります。こちらのほうの動きというものも、我々も向かう方向性は同じなところでございますので、できる限りこちらの基本的な方針に入れるべきところにつきましては、入れていただきたい、入れるべく日本語教育課とこちらの担当は文部科学省の国際教育課のほうで担当していただいているわけでありますけれども、連携をしながら、この記載のところについても、今の案をまとめさせていただいております。
ですので、今議論が有識者会議のほうで進行しているところでございますけれども、その動向と方向性のところをこちらの基本方針、基本的な方針のところでも吸い上げられるように、必要なキーワードだとか、ポイントのところを入れ込みながらこちらのほうをまとめていけるといいなと思っております。
○西原座長
タイムリミットがありますよね、できれば、概算要求の始まる9月以前に、内閣のほうでこれを決定したいという、そのタイムリミットもありますよね。
○降籏日本語教育課長
そうですね、国際教育課のほうから有識者会議の進め方のスケジューリングのところの補足説明をお願いしてもいいですか。
○岡嶋国際教育課課長補佐
国際教育課でございます。浜田先生、御指摘ありがとうございます。有識者会議におきましては、今年度の1年間で外国につながる子供たちへの支援の充実について検討を行っているところでございます。有識者会議で今並行して議論中でありますけれども、そちらでのご意見や内容はこちらの基本方針のほうに入れさせていただいているとともに、本会議で御議論いただいた内容も、しっかり有識者会議の議論のほうにつなげていきたいとに思っておりますので、しっかり連携を図っていきたいと思っております。
○西原座長
ありがとうございました。浜田委員、そのくらいでよろしいでしょうか。
○浜田委員
分かりました。では、安心して議論を続けたいと思います。ありがとうございました。
○西原座長
ありがとうございました。それでは、ここにあります名簿の順に御発言をお願いいたします。まず、伊東委員、よろしくお願いいたします。
○伊東座長代理
伊東です。私からは2点です。まずは外国児童生徒への教育における登録日本語教員の活用促進なんですけれども、私が拝見する限り、登録日本語教員の教育や研修においては、まだまだ外国人児童生徒を対象にした研修が少ないように感じます。一方で、国際教育課が実施している小学校、中学校の教員向けの教育内容がかなり充実してきたということも考えますと、ここはうまく整合性をとって、登録日本語教員がやはり児童生徒の教育に関われるような生徒の在り方と研修の在り方を検討する必要があるのではないかというふうに感じました。これが1点です。
もう1点は、日本語教育の参照枠では、日本語能力というものを運用能力、産出能力の活用という形で特徴として位置づけられているので、現能力評価でいいますと、JLPTとJFT-Basic、この2つが柱になっておりますが、いずれも、産出能力のスピーキングとライティングを測定しておりません。
したがって、現場サイドでは、特に認定日本語教育機関申請の段階でどのように、この産出能力を測るかというところで、いわゆる日本にはまだ標準化されたスピーキングとライティングがないので、申請する段階でも皆さん苦慮していらっしゃる。したがって、早い段階で産出能力のスピーキングとライティングも日本語教育の参照枠のスキームの中で、どこかがつくるかあるいは開発するかというような形で一歩踏み出していただきたいと思います。
以上です。
○西原座長
第2点につきまして、四ツ谷委員、関係者でいらっしゃいますけれども、何かおっしゃることありますか。
○四ツ谷委員
今、伊東委員からも御指摘いただいたとおり、JLPTですとか、JFT-Basicともにスピーキングとライティング試験がなく、産出能力を測ることができないということで、それぞれの試験において、産出能力を測るという対応になっていないということを説明しております。ただ、参照枠そのものが産出能力を含んでいますので、今後、参照枠に対応するしっかりとした試験が必要なのは確かだと思いますし、国際交流基金としても、その必要性は高いというとことは認識はしておりますが、すみません、毎回、言い訳になってしまいますが、現状、試験の受験者数が急増しており、その試験の実施を何とか回すことで手いっぱいな状況になっておりまして、産出能力の測定は課題ではありますが、まだその具体的な検討に着手できていない状況です。
○西原座長
緊急な課題であるという御認識は共有しているということでございましたよね。
○四ツ谷委員
はい。
○西原座長
1つ目の御質問に関して、特別な日本語教育という文言を今度入れてくださっていますよね。そこと登録日本語教員の関係というか、特別の日本語教育は、教育課程を経て、教員免許を取る人たちの特別な日本語教育課程ということで、プラスアルファのような形になっていますよね。それと登録日本語教員が小中学校、高等学校で活躍するための条件というのはちょっと2つ違うものだというふうに考えられるわけですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○石川日本語教育課課長補佐
日本語教育課でございます。伊東先生御指摘のとおり、まず日本語教師に対する児童生徒の研修というところで、文科省はこれまでも研修プログラム、児童生徒向けの研修プログラムの提供ということに取り組んできたところでございますが、まさに児童生徒、外国のルーツを持つ児童生徒が増えている中で、そのニーズが高まっているということは事実であると思います。
そういった観点から、どのようにそこに対応していけるかということだと御指摘いただいたと思いますので、それを受け止めてしっかり検討していきたいというふうに考えてございます。
○西原座長
この段階で詳しく書き込むということは多分できないということでございましょうか。
○石川日本語教育課課長補佐
そうですね、教員の研修のところに関しては現在、すみません、19ページのところ以降で、20ページにもいきますけれども、研修の普及で日本語教育人材の能力向上やキャリア形成を支援するということなどを書かせていただいておりますけれども、そこの充実ということで、引き続き検討していく必要があるものだというふうに理解しております。
○西原座長
では、オチャンテ委員、いかがでしょうか。いらっしゃいますか。
○オチャンテ委員
すみません、コメントになります。第2章の日本語教育の推進の内容の外国人児童生徒のところなんですけど、6ページのところで提案されている内容については、賛同するんです。特に中学校、高等学校の段階においての将来の進路指導とか、外国人生徒のキャリア教育などというところは書いてあるんですけど、それはとても重要であると感じています。それに加えて、より早い段階からのキャリア教育を行う必要性もあるのではないかなと思っています。子供たちが自らの将来像を具体的に描けるように幼児期からなどの早期からの年齢に応じた段階的なキャリア教育の導入が求められるのではないかなと思っています。例えば幼少期から様々な職業があるとか、そういった指導の機会を設けるなど、もう少し先を見据えたキャリアにつながる日本語指導の意義がより高まるのではないかなと感じているんです。
あともう一点、先ほどの伊東委員と同じになるんですけど、やっぱり子供の日本語教育に関わる方々の実態や、研修の在り方についても検討する必要もあるのではないかと思います。専門職として適切な報酬を得て生活できるように、安定した職業、目指したい職業になっていくことも、既に言われていることだと思うんですけど、これは非常に重要なのではないかなと考えています。プロフェッショナルとして自信を持ち、子供たちや学習者と関われる体制を整えることが必要なのではないかなと思っています。
最後に動画や多言語翻訳機能など、いろいろとツールが作られていると思いますが、外国人家庭とか当事者とかの皆様にはやっぱりどんどん利用していってもらう必要があると思うんですけど、これをなかなか知らない人たちが多いと思うので、普及の方法、どのように広めていくのかが課題ではないかと、気になっているんです。
ごめんなさい。以上です。
○西原座長
ありがとうございました。先ほどの総務省のほうからいろいろな、こういうものがありますという御提示がありましたけれども、ただ、それは今の御意見ですと、あんまり知っている人が多くないということでございましょうか。
○オチャンテ委員
一部の方々には既に利用されているものもあるかと思いますが、私自身がコミュニティの中にいて感じるのはよく分かっていないとか、まだ知られていないという方も少なくないということです。さらに一般的な外国人の方々にとってアクセスしやすく、使いやすい形で普及していくことが必要なのかなと思って、いろいろな動画とかもつくったりもしていると思うんですけど、これも教員側にも共通する課題だと思います。そのため、宣伝、普及宣伝、普及の取り組みが求められているのではないかなと思ったりします。
○西原座長
ありがとうございました。あえて具体的にこの報告書の中に、どのように書き込めるかということは御検討いただくということで、よろしくお願いいたします。
では、河原委員。
○河原委員
私のほうから4点御質問させていただければと思います。まず資料2の5ページで、具体的施策例の冒頭部分に「日本語と教科の統合学習を含む体系的・専門的な指導」とありますが、この体系的・専門的な指導とは、具体的にどのような内容を指しているのでしょうか。「日本語と教科の統合学習」という概念は、現場の教員が容易に発想したり、明確にイメージしたりできるものではないと思われます。そのため、こうした指導を実現するには教員向けのガイドラインを整備し、教材を開発して教育現場に提供していく必要があるのではないでしょうか。
もしそのような意図を含んでいるのであれば、具体的な施策例として、もう少し、もう一歩踏み込んで記述すべきではないかと思います。現状では具体的施策例というよりも、抽象的な方向性を示すにとどまっている印象を受けますので、いかがですか。
2点目ですが、資料2の外国人留学生等に対する日本語教育についての箇所で、8ページの冒頭のポツに、専修学校が日本語教育機関等と連携して、日本語教育や国内定着の支援等を行うと記載されています。専修学校の中には、特に介護分野などで外国人留学生に対する資格取得支援を行っている例もあり、日本語の専門用語を教えるノウハウが蓄積されている機関も少なくありません。
そのような蓄積があることを踏まえると、同じく8ページ後半の「ウ 外国人等である被用者等に対する日本語教育」においても、専修学校が果たせる役割は大きいと考えられます。例えば企業が専修学校と連携し、外国人被用者への専門的な日本語教育を推進していくといった形の活用も十分に想定されます。したがって、「ウ 外国人等である被用者等に対する日本語教育」の具体的施策例の中にも、企業が専修学校と連携して、外国人被用者の教育を推進することも明記しておくべきではないかと考えます。
次、9ページの上から5番目のポツでは、「教材開発等の支援を行う」と記載されていますが、以前の案にあったモデルカリキュラムの記載が削除されています。モデルカリキュラムの開発支援は、現場での教育の質と一貫性を確保する上で非常に重要だと思われます。にもかかわらず、今回それが削除されたのは企業においては、例えば技能実習生に対してモデルカリキュラムを用いるような体系的な教育を実施することは、現実的に難しいといった事情が考慮されたのでしょうか。
次、最後ですが、18ページの具体的施策例の上から4番目のポツには、「大学・専門学校等」と記載されていますが、8ページの冒頭では「専修学校」となっています。専修学校と専門学校は厳密には異なり、もしこの表記の違いが意図的であるのならば、その理由を明確にする必要があるのではないかと思います。
一方、特段に意図がなく、たまたま異なる表記となっているのであれば、文脈上、「専門学校」で統一したほうが分かりやすいのではないかなと思いました。そのほかにもあるのですが、ちょっと時間がありませんので割愛いたします。
○西原座長
ありがとうございます。これは事務局、いかがでしょうか。
○石川日本語教育課課長補佐
文科省日本語教育課、石川でございます。まず、2点目の御指摘からでございます。8ページのところの、外国人等である被用者等に対する日本語教育というところにも、専修学校の企業と連携した取組を、ということで御指摘をいただきました。今回ちょっと後ろになりますけれども、18ページのところの日本語教育機関の部分では、この具体的施策例の上から4つ目のポツということで、認定日本語教育機関ということで、この中には当然、専門学校の認定日本語教育機関というのも入り得るものと思いますけれども、認定日本語教育機関として企業と連携して教育を提供するような取組というのも書かせていただいたところでもございまして、ここにもそういったお話は含まれてくることかと思いますけれども、就労者の部分でどういうことが何らか書けるのかどうかというのは、政府部内で、また相談させていただきたいと思っております。
また、3点目の御指摘でございます。就労者への日本語教育のところの9ページのところの教材開発等の支援ということでございますけれども、すみません、事前にお送りした資料の中が、政府部内で調整中の状況でお送りしていたところがございまして、現行の基本方針からの修正といたしましては、現行には少なくともモデルカリキュラムということではなくて、今、教材開発等の支援を行うとなっているものを引き続き、そこを今回育成就労制度ができたということもあって、この技能実習制度だけでなく育成就労制度にもということで記載をしているところでございます。
その上で、どういったこと、今回の育成就労外国人が今後、そこに対する日本語教育が必要になっていくという中で、また、これは入管庁さん、厚生労働省さんと文科省としても連携させていただきながらということでございますけれども、日本語教育がきちんと行われるための整備ということ、どういったことが必要かということを引き続き検討していく必要があるものと認識してございます。
あと4点目でございます。すみません、ここは確認させていただければと思いますけれども、18ページのところの専修学校と専門学校の専修学校になっているのが何行目のところでございましたでしょうか。
○河原委員
18ページのポツの4つ目のところでは、「大学・専門学校等と連携」してというように書かれているのですが、もう一箇所は、戻っていただいて8ページの最初のポツのところです。そこには「専修学校」と表記されています。
○石川日本語教育課課長補佐
かしこまりました。
○河原委員
8ページ冒頭のポツは「専修学校」と表記されているので、ここを統一するのか、意図的に書き分けているのであれば、その趣旨が分かるようにしたほうがいいかなと思いました。
○石川日本語教育課課長補佐
かしこまりました。18ページのところでございますけれども、大学と並べて専門学校等としておりますのは、イメージとしては、日本語教育機関の進学先である高等教育機関としてのという趣旨で、文脈で使わせていただいておりましたので、そこで高等教育機関として大学と専門学校という並びで書かせていただいたところでございました。
○西原座長
ありがとうございました。
○河原委員
分かりました。理解いたしました。
○石川日本語教育課課長補佐
それで1点目の日本語と教科の総合学習を含むというところの御指摘で、国際教育課さん、よろしいでしょうか。
○岡嶋国際教育課課長補佐
国際教育課でございます。御指摘いただきました5ページの日本語と教科の統合学習につきましては、学校教育において子供たちの日本語指導のための特別の教育課程を制度化した際に、5つのプログラムという形でお示ししているものの一つでございます。来日した子供たちにおいては、おなかが痛いですとか、日常をまさにサバイブするため、の「サバイバル日本語」ですとか、漢字や文法等の「日本語基礎」など、幾つかの項目に分けて日本語指導というものを整理しているんですけれども、日本語と教科を統合して、子供たちの教科学習につなげていくということで、「日本語と教科の統合学習」を用いております。
こちらにつきましては、実際実施していくために、JSLカリキュラムというものを文部科学省で開発をいたしまして、学校で活用いただいています。こちらの体系的・専門的な指導というところにつきましては、まさにJSLカリキュラムも含めまして、また、最初のほうの初期の日本語指導も含めまして、来日間もない頃から教科との統合学習までをより体系的・専門的に全国の先生が取り組んでいただけるように、そういった指導を充実する在り方についても、今検討しているところでございますので、具体化を図っていきたいと思っております。
○西原座長
ありがとうございます。佐藤委員いらっしゃいますか、何かこの点についておっしゃることがありますか。
○佐藤委員
いいえ、今、お話しいただいたとおりで、先ほどの有識者会議の検討でもありますので、かなり具体的に提案できるんじゃないかというふうに思っております。
○西原座長
ありがとうございます。では、橋本委員、お待たせいたしました。
○橋本委員
愛知県教育委員会の橋本です。よろしくお願いします。今までの委員の方々の意見とほぼ重なるところがありますので、簡潔に意見ということでお聞きいただければいいと思います。
まず、愛知県が非常に指導の対象の生徒が多い、全国一番ということもあって、小中学校、高等学校、それぞれで教育を進めているんですが、やはり課題としては指導者の確保と指導力の向上、それから、指導カリキュラムの確立、これがポイントだというふうに思っています。指導者の確保については、今現在現場で教えているのは、基本的にはボランティアの方が多くて、これまでの経験であるとか、独自のプログラムをつくっている、そんな形で教えているのが現状であります。
そういった方々の質の向上と、それから、新しくその認定教員という形でなられた方々とを学校につないでいくというのは大事だろうなと。そこのところでつなぐ役割として、例えばコーディネーターみたいな、これは過去の御意見にもありましたけれども、そういう方がおられると非常にスムーズにいくんじゃないかなと思いますので、そういったところも少し触れていただけるとありがたいのかなということであります。
それから、指導カリキュラムの確立については、ちょうど今御説明があったJSLカリキュラム等がありますので、こういったものを全国的にしっかりと周知をいただいて、活用するという方法をやはりしっかり行っていく必要があるだろうと思っています。
基本的には、これから、要請されている指導員をどう学校の中につないでいくか、それをできるだけ早く、そういったことができるといいなと思っておりますので、引き続き、我々としても協力しながら進めてまいりたいと思います。
以上です。
○西原座長
ありがとうございました。登録日本語教員を公教育の中でもというのはよく言われていることですけれども、ここに書き込むことができるほど具体的でないというふうに考えてよろしいでしょうか。
○石川日本語教育課課長補佐
今、登録日本語教員の活用を一定程度、方向性としては書かせていただいておりますけれども、まさに有識者会議のほうで御議論をいただいているところでございますので、その様子を見ながら、どういった記述が可能かということは考えていきたいと。
○西原座長
ありがとうございました。では、小池委員、お願いいたします。
○小池委員
自治体国際化協会の小池でございます。こちらからも意見ということでお話をいたします。
私のほうでは、地域における日本語教育の項目を中心に拝見させていただきました。この会議において、私のほうからも言及させていただいたマンパワー不足への質量にわたる対応ですとか、オンラインの活用などについて触れられていまして、現時点における、一定の取りまとめになっているというふうに考えております。
ぜひとも基本的方針が地域における日本語教育の支えとなって、実際のニーズに応じた様々な事業がきちんと実施されるよう、関係機関には方針を踏まえて必要な支援をぜひともお願いしたいと思います。関連してなんですけども、地域における日本語教育の実施に当たりましては、文科省の地域日本語教育の総合的な体制づくりの補助金が不可欠となっております。今年度予算増額していただきましたけれども、需要がそれ以上に伸びていまして、4月に入ってかなり大幅に削られているというような状況があります。同様の状況、在留管理庁の窓口関係の交付金でも起こっていると聞いていまして、こうした状況が続きますと、事業の実施や、せっかく生じている地域での機運にも影響することが懸念されますので、ぜひとも地域の実際の事業ニーズに応じた予算確保をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○西原座長
御意見として承りました。では、佐藤委員。
○佐藤委員
ありがとうございます。私から4点ほど、ぜひ検討していただきたいという点をお話ししたいと思います。
1点目は、第2章全体に関わることでけども、児童生徒、留学生、就労者、難民生活者など属性ごとの支援策がかなり具体的に書き込まれていると思いました。ただやはり改めて強調したいのは、1人の人間として成長発達を支えるというライフコースの視点も必要だということです。今後外国人の定住化は必然化しますし、日本生まれ、日本育ちの外国人も多くなってきますので、幼児期から高齢期に至るまで、ライフコース全体を見通しながら切れ目なく支える仕組みをどうやって構築していくのか。なかなか制度や所管がばらばらですので、難しいかもしれませんけれども、例えば学校、地域、職場などの支援者同士の連携とか学習ポートフォリオの導入などによって、学習者一人一人の言語発達だとか学習歴を把握して、次のステージの支援者に引き継ぐような仕組みなどはぜひ検討していく必要があるのではないかというのが1点目です。
2点目は、2-1のアの外国人の幼児、児童、生徒ですけれども、いろいろ書き加えられていて大変よかったなと思いますけれども、このほか保護者の責務と保護者の支援というのを検討する必要があると思います。学齢相当の子供を帯同する外国人には、やはり教育を受けさせる責務がありますけれども、そのためには、保護者向けの日本語学習支援とか学校行事への参加支援などの施策が必要になってくるのではないかと思います。
また、幼児と小学校の接続について、書き込まれていますけれども、1章で母語の重要性が強調されていますので、幼児段階における多文化共生や母語支援という視点が必要ではないかと思います。さらにもう1点児童生徒に関わることで言うと、児童生徒自身の声を反映させる仕組みも必要です。聞き取り調査の実施、意見表明できるような日本語教育、中高生段階になってくれば自らの居場所づくりであるとか、日本語支援の施策等の検討への関与なども考える必要があるのではないかと思います。
3点目は16ページの、海外に在留する邦人の子等に対する日本語教育ですけれども、具体の支援書き込まれました。ただ、その必要性について親日層の拡大、グローバル人材の育成に加えて、継承語としての日本語教育の位置づけをより明確にすべきではないか。海外の子供の日本語教育というのは、子供たちが自分のルーツや複言語環境を肯定的に捉えて、将来を切り拓くものだという位置づけを明示してほしいと思います。
最後4点目です。17ページの日本語教育推進法の改正における国民の理解と関心の推進に関する点ですけれども、やはり国民の理解と関心を高めるには単なる情報提供を超えて、ともに担うという視点が必要です。学校、地域、企業などに加えて、特にこれからの社会を担う若い層を巻き込んだ横断的参加型の仕組みづくりが必要だと思います。例えば日本語教育を共生教育として学校教育全体に位置づけるであるとか、高校、大学などと連携して地域で日本語支援に関わる体験プログラムや、異文化交流プログラムなどを実施して、将来の支援者、当事者としての意識を育むといったような取組を展開していくべきではないかなと思いました。
早くてすみません。以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。4つの点について、御意見をいただきました。杉山委員、お願いします。
○杉山委員
杉山です。聞こえますでしょうか。推進法の下で幅広い分野の具体的な施策が増えているようにお見受けしまして、大変意義深いものと感じております。
その中で8ページ目のウの外国人等である被用者等に対する日本語教育の部分のところと、ここには意見とあともう1点は、質問をさせていただきたいと思います。法の14条で、国は事業主が雇用する外国人等に対して、日本語学習の機会を提供するとともに研修等により専門分野に関する日本語教育の充実を図ることができるよう必要な支援を行うものとありまして、今回ここの関連したところで書き込まれているのが関係省庁や関係機関が連携し、様々な在留資格や業種の外国人労働者に対する体系的な日本語教育の質的及び量的な充実を図ることが重要であるというような文言が加わり、大変意義深いことと思います。
そうした中で参考資料の1の関係予算一覧というものが、もう一つ資料でございますが、その中の40から50が非被用者等に対する日本語教育の現在の関係予算ということになっておりますが、これを見ますと介護人材向けの支援が多く見られます。これは2国間の経済連携協定でありますとか、介護という職業上の性質で、日本語使用の依存度が高いということで、介護人材の事業が中心になっていて、それはそれで継続拡大していただきたいと思うんですが、外国人の受入れは1号特定技能の産業分野を見ても、16分野あるわけでして、支援の対象に何か偏りがあるのではないかなというような印象を受けております。
また、昨年の11月25日の今回のこの会議においても、介護事業者さんから、在留資格がいろいろあるうちに地方自治体の日本語学習支援の補助金等において、特定の在留資格のみを対象とした補助の仕組みがあるというような問題が指摘されていたと思います。
そうした事例が、報告が、実態があるわけですので、様々な在留資格や業種というふうに書かれておりますが、支援の対象には産業分野や在留資格においてもやはり偏りがあるのではないかなというふうな印象を持っておりますので、国の支援策としては、幅広い産業分野や在留資格が、支援が受けられるような施策が必要ではないかなというのが1つ目の意見です。
もう一つは非被用者のところではなくて、これは地域の日本語教育のところですけれども、地域の日本語教育のところで就労者が増えますと、生活のための日本語教育でありますとか地域の日本語教育も非常に重要な役割を果たすと思うんですが、そうした中で、現在も多様な形で地域の日本語教育に関わる方々が支援されていらっしゃると思いますが、認定機関法の意図はそれらに関しまして、生活分野の認定日本語教育機関の活用というものが想定されると思うんですが、ここの11ページ目、12ページ目、13ページを見ますと、生活分野の認定日本語教育機関という記載が見られませんで、「認定日本語教育機関をはじめとする日本語学校等」、あるいは「認定日本語教育機関をはじめとする関係機関」という表現が使われております。
これはやはり生活分野の認定日本語教育機関の認定の見通しがもしかしたらあんまり芳しくないのかなというふうにお見受けするんですが、その辺りいかがでしょうかという質問です。
私からは以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。いかがでしょうか、事務局で何かおっしゃることがありますか。
○石川日本語教育課課長補佐
御質問いただきました2点目の生活分野での認定ということで、今の認定の状況といたしましては、生活での認定日本語教育機関の認定というのはまだ行われていないというところでございます。ただ、制度的には当然そういった生活者向けに日本語教育を行う機関に対して、認定するということを想定したものでございますので、とはいえ、現在地域で行われている日本語教育の全てが認定を受けなければいけないということではないとは思っておりますけれども、そこは認定制度の生活分野での活用を促進していくためにどういった工夫が必要か、引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○西原座長
そうですね、今、認定が留学、就労、そして生活になっておりますけれども、生活者というのは、留学生であろうが就労者であろうが全部生活者ですよね。ですから、何かすごくやりにくいという、多分そういうところはあるかもしれません。でも御意見のようなことをきちんとお考えいただいてということで、よろしくお願いいたします。
それでは、高橋委員。
○高橋委員
質問が2点とコメント1点お願いします。まず、質問ですが、ちょっと私の読み込み不足かもしれないんですが、改定が5年ぶりに行われるということで、この5年間に起きたことを踏まえた記述あるいはヒアリング意見を反映させた記述になっているという御説明ございました。本文で、そういったところが加えられて、あるいは改定されていると思いますが、一方で、今度はそれを反映した政策ということでいうと、具体的な施策例ということになると思うんですが、ここは、これまで5年間に行われた施策を記述しているのか、それとも、これから改定を踏まえてやらなくてはいけない施策を書いているのかというところがちょっと分かりづらいんですけど。
○西原座長
そこから先にお答えいただけますか。
○降籏日本語教育課長
ありがとうございます。そこの部分は、両方の側面があるというふうに思っていまして、これまで行ってきた施策を今後も続けていくというようなものもございますし、あるいは一方で新しい制度ができてきますので、それを見据えた施策が必要だというところがあると思います。我々は行政ですから、今後の未来のところでの具体的な事業というものは毎年度予算要求をしていく形になるものですので、具体的な施策例のところで全て書き込み切れるかと言われると難しい部分がございます。
ただ、その上の具体的な施策の例の部分で、この進むべき方向性というものを示させていただいており、これを受けながら、各省庁の要、要で必要な施策を打っていく。ここに挙げさせていただいているところは具体的な施策例ということで、あくまでも例というところで御理解いただければと思います。
○西原座長
総合的な表では政策、200あるというふうに読めるんですけれど、それを全部書くってわけにはいかないという。
○降籏日本語教育課長
そうですね。すごく膨大なものになってまいりますので、これは、特にその中でも、日本語教育の推進というところにフォーカスをしたものを取り上げていくというようなところで、書かせていただいているものですので、ここにないものはやらないということではありませんので、そういう考え方で今回案としてまとめさせていただいているというところの御説明であります。
○高橋委員
それは分かるんですけども、これが閣議決定された後、各省において一定予算取りが行われると思いますが、新規に何をしなくちゃいけないのか、あるいは追加で何をしなくちゃいけないのか、それから改定をしなくちゃいけないのか。その辺の施策、具体的に多分これから議論されると思うんですが、その辺がどんなものが出てくるのかというのが少しでもこれから分かるようになるんであればそれでいいと思うんですけれども、そこは大丈夫なんでしょうか。
○降籏日本語教育課長
その辺りはこの例というか、これまた、この基本的な方針を受けて施策を進めていく、どこかの段階でまたフォローアップなり点検などをしていくことになってまいりますから、そのときに本日は資料1という形で、今の推進状況という形で御説明申し上げましたが、こういったところで、新規事業であったり拡充しているところだとかを御説明申し上げることになろうかと思っております。
○高橋委員
分かりました。質問2点目、極めて簡単な話でして、6ページなんですけれども、夜間中学に通う学生が、外国人が4年間の間に8割から6割に減ったと思うんですが、これ、改定されていますので、その背景は何か分かりますでしょうか。学校の数が増えていますね、この間。ですけど、何らかの事情で8割から6割に減ったのか、もしその辺がお分かりであれば教えていただきたいと思います。
○降籏日本語教育課長
すみません、こちらは担当に確認させていただいて、追って個別に御回答という形にさせていただければ幸いです。
○高橋委員
最後、コメントですが、23ページです。日本語能力の評価というところで、いわゆる日本語教育の参照枠のお話なんですが、23ページの具体的施策例の1ポツなんですが、ここは「周知を行う等により普及を図る」というふうに書いてあって、これは具体的な施策なのかなというところがちょっと疑問なんですけれども、上の本文中でも「必要な施策を講ずる」とあるので、その具体例としては、ここはもうちょっと踏み込んでいただきたいなという気がするんですが、具体的に記述をお願いしたいなと思うんですが、そこは可能なんでしょうかということです。そこはこれからですか。
○石川日本語教育課課長補佐
ありがとうございます。ちょっと検討させていただければと思います。
○西原座長
ありがとうございました。それでよろしゅうございますか。
では、田尻委員、お願いいたします。
○田尻委員
大分時間が迫っていますので、簡単に言います。たくさん書き込んでいただいたことは評価いたします。私はこの関係者会議は、昨年度は3月にもう1回開くと伺っていたのはなくなっちゃったので、やっぱりこの6月の時期は、概算要求に対する意見を言える機会ですので開いていただいて、年度末には来年度予算が決まったところに対する話なので開いていただいて、それで年度末の締めとして、必ず最低2回、3回程度の関係者会議は開いていただきたいというのを、これは日本語教育課か、どこへお願いするか分かりませんが、希望いたします。
それから、この5年間で大きく変わったのは就労と外国人の児童生徒だと思うんですが、就労についてもう少し言いますと特定技能はものすごく増えております。N4で全部、整理されているけれども、例えばバス、タクシーはN3だったのが、新聞記事だとそれを下げようとする動きがあるので、就労の日本語能力はしっかりと日本語教育課と厚労省が組んでやっていただかなきゃいけないと思っています。
同じように育成就労についても、さっき座長から有識者会議があるという話でしたけども、参照枠A1を目指して150時間でしょうけども、こういう150時間の中身について、ちゃんと日本語教育の専門家が入って検討しないといけないので、そこら辺のことも、育成就労の日本語教育課は関係ないということではなくやっていただきたいと思います。
何か同じような、夜間中学の日本語の指導も今後は調査研究あるんですけども、これの結果は日本語指導に関わりますので、これもちゃんと日本語教育課が入ってほしいと思います。
それからもう1点が、言い出したら切りがないので、いずれにしろさっきから言っていますが、多分省庁を超えて今から、外国人の児童生徒は、学習指導要領の改訂のところで、たしか日本語教育が出てきているんですよ。それもまたこの流れと関係なくやられたらちょっと困るので、その連携をとってほしいというふうに、文科省の内部だけではなく、他省庁との関連がかなり大きな仕事になってきますので、日本教育課の課長がするのか、もう少し上の部署がするのか。連携をうまくとっていかないと、ばらばらでやられたら今後、今から5年間がちょっと大変なことになるので、特に就労分野と外国人児童生徒については、連携をとっていただきたいということを強くお願いします。
○西原座長
ありがとうございました。
○田尻委員
もし今、会議開催などについて、お答えいただけるならお願いします。
○西原座長
日本語教育推進会議という省庁が集まるものがあって、基本方針の改定案が取りまとまってから、それを日本語教育推進会議にかけて閣議決定ということになりますですよね。そのときに、いろいろな意見交換が省庁レベルでなされるということでございますよね。田尻先生。
○田尻委員
そこら辺が今のままだとうまく連絡取れていないのでというふうに見えるので、すみませんが、関係者会議が実際の事務方の方がやる会議のときに、うまく連携をとっていただきたいと思います。今のままだとちょっとばらばらになっている印象がありますのでということをお願いしたいんです。
○西原座長
ありがとうございます。では、西口先生。
○西口委員
ありがとうございます。では、5点、簡潔に申し上げたいと思います。
まず、1点は「はじめに」の部分に関わることですけれども、やはり「はじめに」の部分で機関認定ができたこと。それから、日本語教育の参照枠を重要な柱として諸政策を進めているところである。今後もそういうふうに進めていくという文言をやっぱりぜひ入れていかないと、大きなバックグラウンドが分からないと思います。
それから2点目、3点目は参照枠関係なんですけれども、まず、この参照枠ができましたのが2019年ですかね、公表されたのが。
○西原座長
2000年にヨーロッパで、国際交流基金が2010年に、そして、3番目が我々というか。
○西口委員
それに参照枠を参考にして教育課程をつくりなさいということが始まったのは、実は前の年度なんですよね、去年度で、そんな事情もあって、まだまだ参照枠の理解普及が進んでいないというような感じがします。この部分に関しては、ぜひとも理解普及を進めていく必要があると思いますので、今現在は、何ページですかね、周知を行う等というね、そういう言葉だけになっているんです。やっぱり周知だけではなくて、やはり教育モデル開発事業の成果も点検評価しながら、参照枠の理解普及を進める具体的な方策というものが必要ではないかと思います。
3番目ですが、やはり参照枠関係ですけれども、今現在公表されているのは、参照枠報告というこれだけなんです。これはなかなか理解も活用も難しいと思います。これに関しては日本語教育の参照枠ユーザーズブックとか、日本語教育の参照枠活用のためのハンドブックというようなものを作成して、できればもう出版したらどうかと思いました。作成、出版に当たりましては、私どもの学会などと協力してやっていく可能性があるかなと思っています。
それから3点目ですけれども、こちらは登録機関と登録日本語教員関係のことです。まず、登録の養成機関の登録後のことですけれども、今申し上げましたように、やはり今後日本語教員になる人にとっては、日本語教育の参照枠の理解というものが非常に重要な部分になりますので、既に登録が完了している機関に関しても、今後、登録をしようという機関に関しても、参照枠をカリキュラムに反映していくというようなことで、やはりそのために既に登録が終わっている部分に関しては外部評価の推奨とか、あるいは文科省派遣の専門家による実地視察とか、そういう施策をやってはどうかと思います。
○西原座長
それは既に書いてありますよね、そういうことがあるということは。
○西口委員
認定機関に関して実地視察というのは書いてあるんですね。登録機関は書いていないんです。養成のほうですね。
○西原座長
教員のほうですね。
○西口委員
そうですね。それから、今度は日本語教員の研修に関してですけれども、皆さん共有されているように初任研修、中堅研修、コーディネーター研修、いずれも充実しつつあると思うんですが、オープンバッジ制度というのも始まったということですかね。それもありますので、やはりそれぞれの初任、中堅、コーディネーター研修の内容を整理し、整備して、いずれの研修も長期的で継続的に実施できるような制度の整備というんですか、そういうものが必要ではないかと思います。
以上です。
○西原座長
ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。それを御参考にということですね。福島委員、お願いいたします。
○福島委員
お願いします。私からは2点です。まずは13ページの海外の日本語教育なんですけれども、この項目を見ますとJFの記述は非常に多いんですけど、JICAの記述が少ないのがちょっと気になっています。JFの役割が大きいことは理解していますが、4ページのほうでは、海外でJICAとJFが(海外の日本語教育を)やるとありますので、2つの機関の特徴とかスケール感が出ればいいかなというふうに思いました。特に中南米の日本語教育はJICAが非常に大きな役割を果たしています。南米の日系人の数は一説で300万人いると言われていますし、国内の日系人も非常に大きなボリュームがありますので、そういった日系人をめぐる国内外の日本語教育の方針は、もしもあればもうちょっと書かれてもいいかなと思いました。これが1点目です。
2点目は21ページにあります教育課程の編成に係る、先ほどの指針の策定のところの、参照枠のことについてなんです。ここの記述が認定とか登録とか試験の日本語教育全体の水準向上に資するものだということは理解できるんですが、一見して参照枠が従うべき規範とか基準のように思われてしまうとよくないかなというふうには思っています。ヨーロッパの参照枠はいろんな国やいろんな教育機関、政府や地方公共団体が一致してよりよい日本語教育を目指すための共通言語や対話のツールとして扱われているということが原則としてありますので、より創造的なツールであるということを書いておくといいかなと思いました。
以上です。
○西原座長
ありがとうございました。ここでちょっとお断りしなければいけないんですけれども、あと4人の委員の御発言をいただくことになっておりますが、予定された時間がそろそろ尽きてしまっておりますので、恐れ入りますが、10分ないし12分程度の延長をさせていただきたいと思います。それでもし4時半の後に何か御用がおありの委員がいらっしゃいましたら、その委員から先に御発言をお願いしたいと思うんですが、よろしいでしょうか。あとの4人の方、あと10分、15分いらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。
ほかにも御発言をくださった委員で、4時半以降に御用事のおありになる方は、恐れ入りますが、御退室をいただいても結構でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、山岸ゆり委員。
○山岸委員
山梨県多様性・働き方統括官の山岸でございます。県で人事異動が4月にございまして、昨年度まで、参加させていただいておりました古澤から私が引き継ぎまして、今年度から会議に参加させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、11ページからの地域における日本語教育につきまして、地域の実情として本県の取組に触れさせていただきながら、発言をさせていただければと思っております。
本県では、やまなし外国人活躍ビジョンを策定いたしまして、それを基本方針として、空白地域の解消や日本語教育の質の維持向上に係る取組を進めてまいったところでございます。その結果というか、現在では県内の市町村の約55.5%、15市町村で日本語教室が設置されております。さらに本県では、県内在住の全ての外国人の方が身近な地域で日本語教育を受けられる体制を整備するために、オンラインの日本語教室の取組を進めております。これは日本語初期レベルの外国人住民の方が基礎的な日本語力を養った後に、市町村が開設する地域日本語教室へ移行するということを目指しまして、オンライン初期日本語教室を実施しているところでございますけれども、これを日本語教室がまだ未開設である市町村というのがございますので、そちらの日本語教室空白地域の解消にも活用していきたいと考えまして、取り組んでおります。
令和5年度は2自治体、令和6年度10自治体と施行する自治体は現在増やしておりまして、ニーズが大変高いということがございますので、今年度はこれまでの成果、課題を踏まえながら、県下全市町村に対象を拡大して実施する予定となっております。また、日本語の教育の質の維持向上を図るために、現在、地域日本語教育プログラムの開発に取り組んでいるところですが、昨年度から、地域の日本語教室で試行を始めまして、現在専門家の御意見ですとか、また、課題等を踏まえまして、令和8年度から地域日本語教室などでの本格運用に向けて改善等を進めているところでございます。
すみません、ざっくりと本県の取組に触れさせていただいたんですが、こうした地域の実情、本県の実情も振り返りながら、今回改定になる国の方針案を見させていただきますと、現行の取組を踏まえつつも市町村との連携、オンラインとのさらなる活用による広域的な日本語教育の取組を促進するよう示されております。本県の例でもやはり小さな町村など、なかなか独自で日本語教室を立ち上げるのが難しいという、各自治体でのこの地域の実情というのもありまして、全国の各自治体でも同様の課題があると思いますので、こうして方針にお示しいただくことで、外国人住民の方が身近な地域で日本語教育を受けられる体制が整備されるよう、取組や連携を進めていく必要があるというふうに考えております。
併せまして、方針案に日本語を教える人材の質の担保ですとか学習機会の確保についても、地域における日本語教育の推進において極めて重要な視点でありますので、課題であると強く認識をしております。本県も含めまして、各自治体ではこの視点を踏まえつつ地域の実情に合わせた体制を構築することで、地域日本語教育の一層の充実を目指して取り組む必要があるというふうに考えております。
以上になります。
○西原座長
ありがとうございました。では、松田委員、お願いいたします。
○松田委員
よろしくお願いいたします。私からは大きく3点、子供の日本語教育、それから参照枠、情報発信について、コメント申し上げたいと思います。
まず、子供の日本語教育について2点申し上げます。一つは評価に関する施策の記載を加えていただきたいと思っています。子供たちの日本語能力や教科学習の理解度の把握、仕組みの共有として、例えばDLAや文科省が昨年度公開した、ことばの力のものさしなどの評価ツールの活用などについて、具体的施策例として記載して関係者に周知されるようにしたほうがよいかと思っております。
2つ目は、登録日本語教員の採用、雇用促進についてです。こちらは伊東委員、橋本委員からも指導者の確保と養成についての言及があったかと思いますが、今後は登録日本語教員の資格と教員免許の両方を有する人材の育成を推進する施策を検討する必要があると思っています。具体的には、日本語教師養成課程における発達段階を踏まえた指導内容の明確化、そして、学校教員養成課程を持つ大学の登録日本語教員養成機関化の推進、次に教員採用試験時における登録日本語教員資格のインセンティブ化、また、現職の学校教員が登録日本語教員の資格を取っていくための検討、最後に資格取得者の適切な教員配置などが考えられると思いますので、御検討いただければと思います。
ここまでで長いんですが、1点目です。次が参照枠についてです。こちらも高橋委員、西口委員がおっしゃったように、私自身も参照枠の普及周知のためのより明確な方針策定の必要があると思っています。日本語教育機関への周知も重要なことですが、企業や学校、自治体の担当者などへの理解が行き渡るような、省庁横断的に強力な普及施策を講じる必要があるのではないかと思います。
次に、この参照枠と子供の日本語能力の判定等の対応付けです。JLPTとの対応づけだけでなく、子供の評価と参照枠との対応関係も検討する必要があるのではないかと思います。例えば、先ほど言及したことばの力のものさしと、ほかの評価尺度との関係性です。大人向けの参照枠と子供向けの評価尺度は発達段階の異なりがあるんですが、その点に留意はしつつ、高校生などについては特定活動への変更申請、大学入学、就職活動に対してJLPTのN2相当レベル、つまりB2相当レベルが要件とされる場面もあるため、これがものさしにおいて、どのように上位レベルと参照枠と連関するのかといったことが明確に示されるとよいかと思います。
最後に渡日前の情報提供サイトの構築です。外国人に対する日本語教育の情報発信については、法務省のほうで推進してくださっていると思うんですが、日本に渡航する外国人の御家族に対する日本の教育制度や日本語教育環境に関する情報を渡日前に提供するといったことについて追記されればよいのではないかと思います。特に子供の場合は来日時の年齢が言語習得や教育適応に大きく影響し、家庭内での言語マネジメントなどにも関わってきます。こうした点を保護者が理解しないままに来日してしまっていることで学校や自治体の対応負担が増しているように思われます。また、自治体ごとの日本語教育環境についての情報発信についても、自治体ごとの日本語教育環境の提供に加えて、外国人学校の有無などの情報もポータルサイトに盛り込まれるとよいかと思います。
以上です。
○西原座長
ありがとうございました。御意見として伺いました。次、森下委員、お願いいたします。
○森下委員
私のほうからは、4点ございます。1点目ですが、第2章の1の(1)のイです。「外国人留学生等に対する日本語教育」、7ページ目です。「留学を終えた後の日本国内への定着活躍が期待される」といった部分の具体的な施策例に、大学、専修学校を主語とした施策は記載されておりますが、この項目の中に、認定日本語教育機関(留学)を主語とした施策がございません。日本学生支援機構の「外国人留学生進路状況調査結果」によりますと、母国の大学卒等で日本語教育機関に入学し、日本語を学び、直接国内の企業に就職する留学生は年々増加しております。最新データ(2023(令和5)年度)では、日本語教育機関の修了生の10.0%、6,595人が直接就職するというようなデータも出ており、こういった認定日本語教育機関(留学)からの直接の国内就職というルートを視野に入れた施策も必要ではないかと考えております。認定日本語教育機関(留学)に移行中の法務省告示校においては、就職準備のためのビジネス日本語の長年の経験や、企業との連携による実践的な日本語教育について実績のある日本語教育機関も多いことから、外国人材が日本で即戦力として活躍するための日本語教育を提供できる基盤を十分に備えていると考えます。したがって、この項目立ての中で日本語教育を提供できる施策として認定日本語教育機関(留学)を主語とした施策を入れていくべきではないかと考えております。
2点目でございます。こちら20ページ、「3 日本語教育の水準の維持向上等」の「(2)日本語教育に従事する者の能力及び資質の向上等」です。ここの具体的な施策で下から1ポツ目の文章についてです。現地の日本語教師の訪日研修については、JFが実施されていらっしゃるというのはもちろんのことなのですが、今回の認定制度において、文科省の認定登録を受けた登録日本語教員養成機関、実践研修機関を活用すべきではないかと考えております。文化庁届出の養成講座時代から、海外の日本語教育機関に在籍の外国人の日本語教師の教育実績がある機関も多々ございまして、今回の文科省認定を受けた機関であれば、なおさら、海外の日本語教育の質の向上にも十分貢献できるのではないかと考えております。したがって、ここで「JF等」の「等」が削除されておりますが、削除されるのではなく、「JF」以外に、登録日本語教員養成機関、実践研修機関などの活用も明記するべきではないかと考えております。
3点目です。同じ章立てですが、ちょっとページは戻ります。19ページ目、「登録日本語教員をはじめとする日本語教育に従事する者の質的及び量的な確保を図ることが必要であり、そのためには日本語教師の専門性が社会において適切な評価を受ける環境の整備が重要である」の箇所ですが、この点は本当に大切なことだと思っております。
質については、今回の新制度等で進められておりますが、量の確保に向けた施策を同時に考えていかなければ、せっかくの制度を活かしていくことができません。現在、日本語教育機関においては、留学生の在籍者数がコロナ後一気に回復している一方、日本語教師の数が追いついておらず、この5月に日本語教育機関団体連絡協議会が、法務省告示校対象にアンケートを行いましたが、こちらでも教師の募集が厳しいといった回答が70%、以前よりよくなったけれど、まだ望む人材は確保できないという回答が24%と、94%の機関が望む教師の確保ができていないというような状況でございます。今後の外国人の方々のさらなる増加が見込まれる中、登録日本語教員の需要が一層高まるということが予想されます。これに対応するためには、登録日本語教員の資格を取得する人を増やす必要があると考えるのですが、そのために、認定日本語教育機関自体が教員の処遇改善を図り、選ばれる職場となるという努力するということは当然ではありますが、外国人材を雇用し、受益する民間企業等においても、認定日本語教育機関や登録日本語教員に対して適正な対価を支払い、登録日本語教員が活躍することができる場を拡大するということが非常に重要だと思っております。その結果、登録日本語教員の職が魅力ある資格となり、その増加・確保が実現すると考えられるので、今回の基本方針見直しにおかれましても、政府としてこのような好循環の実現に向けた具体的な施策を検討し、確実に実施していただきたいと考えます。
最後4点目、これは体裁的なことです。2つございます。1つ目は、文章全体を通じて「日本語学校」、「日本語教育機関」、「認定日本語教育機関をはじめとする日本語学校」などと、複数の用語が併用されているため、それぞれの使い方を整理していただければと思います。
2つ目です。育成就労の日本語講習主体に対する書きぶりについてです。9ページ上から4ポツ「文部科学大臣の認定を受けた日本語教育機関(以下「認定日本語教育機関」という。)等における講習機会を提供すること」と、講習機会を提供する主体者に「等」が付け加えられている、これは経過措置を意識した書きぶりなのかもしれないのですが、一方、18ページの具体的施策例の上から2ポツの「認定日本語教育機関が提供する日本語講習について、認定日本語教育機関が実施する「就労のための課程」であることを求める」となっており、育成就労の日本語講習の主体者についての書きぶりが違っているので、誤解のないよう表現を見直していただきたいと思っています。
私からは以上です。
○西原座長
ありがとうございました。御意見として伺います。では、最後でございますが、四ツ谷委員、お願いいたします。
○四ツ谷委員
2点だけコメントします。1点目は自戒も含めたコメントになりますけれども、海外の日本語教育ですが、この基本的な方針にもありますように育成就労制度と特定技能制度というのがつながっている形で、外国人材受入れに向けた日本語教育の重要性というのがますます強くなるのは間違いないと思いますが、他方で、今海外では、日本の経済的な魅力の低下に伴いまして、例えばベトナムでは、日本への就労希望者が減っているという話でありますとか、あるいはSTEM教育に教育資源を投入していくとか、あるいは少子化で日本語学習者が減っているという国もあります。そういった国々もある一方で、日本への観光やアニメ・漫画の影響で、趣味や課外活動で日本語を学習する人も増えており、国によって状況はまちまちですので、それぞれの国における状況や課題というのを正確に把握して、それぞれの国に応じたきめ細かな支援策というのが必要になってくるのではないかと考えております。
2点目は、基本的な方針の23ページに日本語能力の評価の記載がありますけれども、ここで参照枠に各日本語の試験を対応づけさせるとして、手続等も定められており、日本語能力試験(JLPT)もCEFRレベルの参考表示により、参照枠に対応することを説明しておりますが、参照枠の各レベルのRLD、言語項目リスト等がありますと、試験実施機関は参照枠のそれぞれのレベルを意識した形での試験実施がよりやりやすくなると思いますので、その辺りを今後御検討いただけるとありがたいかなと思います。
以上です。
○西原座長
ありがとうございました。私の司会の不手際で、委員の皆様方からいただいたご質問ご意見等は、案として示された基本的な方針の中に加えられるものは加えていくということになると理解しております。
ただし、それについて、皆様方の御意見をお集まりいただいて聞く時間的な余裕がありませんので、おっしゃったことが反映されるということを、事務局を信頼して今言っていただいたというふうに御理解いただければと思います。パブリックコメントの期間があるというふうに、先ほどの御説明がありましたので、委員の皆様方もその機会を御利用になって、その手順として述べられるということは、この結果に関して可能かと思います。
そして、8月にはその結果を踏まえて、閣議決定がなされるという御説明でございました。それは予算の申請が始まるのが9月になるということを踏まえて、そういうタイミングになるということであると理解しております。本当にも御協力いただいて、おかげさまで、これで終わることができると思います。ありがとうございました。
では、事務局にお戻しいたしますので、何か御連絡等ありましたら。
○石川日本語教育課課長補佐
本日は御議論、御意見いただきまして、大変ありがとうございました。もし本日お示しいたしました基本方針の改定案について、時間の都合などで言い切れなかった御意見等ある場合は、後ほど事務局までメールをいただいても結構でございますので、その場合には御連絡をいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○西原座長
ありがとうございました。それでは、以上で本日の会議を終了いたします。
本日はどうもありがとうございました。