遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)について

ABSとは

生物多様性条約(CBD条約別ウィンドウで開きます、1993年12月発効)に、遺伝資源保有国とその保有する遺伝資源を利用して利益を得る国との間の利害調整を図るため、「遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分Access to genetic resources and Benefit-Sharing別ウィンドウで開きます、ABS)」(CBD条約1条、15条)という考え方を導入したもの。

遺伝資源(Genetic Resource)とは(CBD条約第2条)

  • 「遺伝素材」とは、遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物その他に由来する素材をいう。
  • 「遺伝資源」とは、現実の又は潜在的な価値を有する遺伝素材をいう。

名古屋議定書締結までの流れ

ABSに関する国際的なルールを適正に実施するための措置として、2010年10月に「名古屋議定書別ウィンドウで開きます」(議定書)を採択。2014年10月に発効。
日本は2017年5月22日に議定書の受諾書を国連事務局に寄託した。また、議定書の的確かつ円滑な実施を確保するため、2017年5月18日に「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針別ウィンドウで開きます」(ABS指針)が公布された。 2017年8月20日から議定書及びABS指針の効力が発する。

ABSの基本的な枠組み

  • 必要な情報を事前に知らせた上で、遺伝資源提供国からアクセス(利用)の同意(事前同意、Prior Informed Consent; PIC)を得る必要がある。
  • 相互に同意する条件によって、遺伝資源利用(研究開発、商品化)から生ずる利益を公正かつ衡平に配分Benefit-Sharing)(CBD条約第15条)することが必要になり、交渉が合意した場合、遺伝資源利用者と提供者は相互合意契約(Mutually Agreement Terms; MAT)と素材移転契約(MTA Material Transfer Agreement)を締約し、利用者は提供者から遺伝資源を提供される。
  • 議定書締約国である遺伝資源提供国は、PIC及びMATの手続完了を情報交換センターに報告する(議定書第6条)。
    また、議定書締約国である遺伝資源利用国は利用者へのモニタリングを行うとともに、適宜情報交換センターへの情報提供を行う(議定書第17条)。
  • 利用者は国際遵守証明書(IRCC)が情報交換センターに掲載された日から6月以内に環境大臣への報告を行う(ABS指針第2章第1)。
    また、環境大臣は、利用者に対し、報告を受けた日から概ね5年後に遺伝資源の利用に関連する情報の提供を求める( ABS指針第2章第5)。

※ABS指針の適用範囲に関係なく、遺伝資源を取得する際は、遺伝資源提供国の法令を遵守する必要がある。

大学等における体制整備について

  1. 担当部署・担当者の明確化
    大学等に所属する研究者が相談できる環境整備として、海外の遺伝資源の取扱いに関する担当部署・担当者を明確にすること。
  2. 現状把握
    大学等における体制構築に当たっては、機関内における海外の遺伝資源の利用状況を把握すること。
  3. 機関内プロセス及びルール作り
    海外の遺伝資源を適法に取得及び利用する手続きを行うために、機関内における遺伝資源の取得及び利用のプロセス及びルールを整備すること。
  4. 機関内周知
    遺伝資源の取得及び利用に関わる研究者及び事務職員に対し、条約及び指針の遵守を目的として啓発活動等を実施すること。

アクセスと利益配分に関わるリンク集

<生物多様性条約事務局>

生物多様性条約事務局ホームページ別ウィンドウで開きます
  1. Access and Benefit-sharing別ウィンドウで開きます
  2. About the Nagoya Protocol別ウィンドウで開きます
  3. The Access and Benefit-Sharing Clearing-House別ウィンドウで開きます
  4. Thirteenth meeting of the Conference of the Parties (COP 13)別ウィンドウで開きます

<日本におけるCBD条約・ABSについての概要>

生物多様性センター別ウィンドウで開きます(環境省)
  1. 生物多様性関連の法律・条約別ウィンドウで開きます
  2. クリアリングハウスメカニズム別ウィンドウで開きます
  3. 環境省「生物多様性ホーム」別ウィンドウで開きます
ABS特設ページ別ウィンドウで開きます(環境省)
  1. 名古屋議定書について別ウィンドウで開きます
  2. 我が国の国内措置について別ウィンドウで開きます
  3. 諸外国の制度別ウィンドウで開きます

<大学等向けABS支援・相談窓口>

ABS学術対策チーム別ウィンドウで開きます
  1. 名古屋議定書に関する大学等における体制構築ハンドブック別ウィンドウで開きます
  2. ABSガイドブック別ウィンドウで開きます
  3. ABSリーフレット別ウィンドウで開きます

<その他>

一般財団法人バイオインダストリー協会別ウィンドウで開きます(Japan Bio-industry Association; JBA)
  1. 生物資源のアクセスと利益配分別ウィンドウで開きます
海外生物遺伝資源の利用促進のための総合窓口別ウィンドウで開きます(農林水産省)

 

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