共同利用・共同研究拠点 よくある質問(Q&A)

《制度関係》

1. 共同利用・共同研究拠点制度の創設の趣旨は何か。

 我が国においては、研究者の自由な発想に基づくボトムアップ型の学術研究は、個々の大学の研究所等のほか、大学の枠を越えて大型の研究設備や大量の資料・データ等を全国の研究者が共同で利用したり、共同研究を行うという「共同利用・共同研究」のシステムにより推進されてきました。
 従来、共同利用・共同研究は、国立大学の全国共同利用型の附置研究所や研究施設、大学共同利用機関を中心に推進されてきましたが、国全体の学術研究の更なる発展のため、国公私を問わず、高いポテンシャルを有する研究施設を共同利用・共同研究拠点として整備することが求められました。
 このため、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会における報告(平成20年5月)を踏まえ、文部科学省では平成20年7月に学校教育法施行規則を改正し、国公私立大学の研究所や研究施設を文部科学大臣が共同利用・共同研究拠点として認定する新たな制度を創設しました。

2. これまで実施されてきた共同利用・共同研究システムとはどのようなものか。

 共同利用・共同研究システムは、大型の研究設備や大量の資料・データ等を全国の国公私立大学の研究者の共同利用に供し、または共同研究を行うことで、大学の枠を越えて全国の研究者の知を結集し、当該分野の学術研究を効果的・効率的に推進するシステムであり、これまでは国立大学の全国共同利用型の附置研究所や研究施設、大学共同利用機関を中心に行われてきました。
 国立大学の全国共同利用型の附置研究所は、特定の大学に附置された研究所であるとともに、全国の研究者コミュニティに開かれた共同利用・共同研究を行う研究組織です。全国共同利用型の研究施設も、同様に共同利用・共同研究を実施してきました。
 また、大学共同利用機関は、学術の進展に伴い、個々の大学の枠を越え、全国的視点に立った研究者等の結集や共同利用・共同研究の実施が可能な組織として設置されています。
 これらの研究組織を中心として行われてきた共同利用・共同研究システムは、これまでの我が国の学術研究の発展に大きく貢献してきました。

3. これまで国立大学において実施されてきた「全国共同利用」と「共同利用・共同研究拠点」の違いは何か。

 これまで国立大学の全国共同利用型の附置研究所や研究施設において実施されてきた「全国共同利用」の基本的な考え方は、「共同利用・共同研究拠点」に踏襲されています。
 主な共通点と相違点は、以下のとおりです。

○主な共通点

  • 国公私立大学等の研究者に共同利用・共同研究の課題等を広く公募し、公正に採択
  • 開かれた運営体制を確保し、運営に外部研究者の意見を反映
  • 外部研究者への支援体制を整備

○主な相違点

  [平成22年度設定分]

  • これまで国立大学の全国共同利用型の附置研究所等において行われてきた共同利用・共同研究システムを、公私立大学にも拡大
  • これまで全国共同利用型の附置研究所等は、一分野につき一拠点の設置を原則としてきたが、分野の特性に応じて複数設置することも可能に
  • これまでの全国共同利用型の附置研究所等は、単独の組織単位で認められてきたが、複数の研究所から構成されるネットワーク型の拠点形成も可能に
  • 学校教育法施行規則の改正等により、共同利用・共同研究拠点の制度的位置付けを明確化

  [平成28年度設定分]

  • ネットワーク化促進のため、拠点認定制度の対象となっていない機関(大学共同利用機関や独立行政法人等の研究機関)が認定の対象となる研究施設とネットワークを形成する場合に、ネットワーク全体を「連携ネットワーク型拠点」として位置付け
  • ネットワーク型拠点形成促進のため、単独拠点の一部が他の研究施設と連携しネットワークを形成する場合、連携する研究施設も評価の対象に

《申請関係》

4. 拠点の申請にあたり、研究施設の規模に制限はあるか。

 研究所等の規摸に特に制限はありません。ただし、安定的・継続的に共同利用・共同研究を推進できる運営体制(例:専任教員・技術職員・事務職員等の配置、学内の予算配分等)が構築できるかなど、大学として事前に十分検討していただくことが必要です。

5. 研究科や学部に附属する研究施設の拠点化は可能か。

 研究科や学部附属の研究施設については、当該研究科や学部の目的に沿い、教育研究活動の一環として設置されるものであり、こうした本来の目的・活動と研究者コミュニティに開かれた共同利用・共同研究の拠点としての活動との整合が図られるのか、また、安定的・継続的に共同利用・共同研究を推進することができる運営体制が構築できるか等の点について、大学として十分検討することが必要です。

6. 一大学から複数申請することは可能か。

 可能です。その場合には、それぞれの拠点について申請を行っていただくことが必要です。

7. 研究施設の一部が拠点となることは可能か。

 研究所等の一部(例:研究所附属の研究センター)について単独で拠点申請することは可能ですが、その場合には、極端に細分化された組織では拠点としての役割を果たすことは困難と考えられるため、例えば1研究室等ではなく、大学の学則等の学内規程に位置付けられた研究組織であることが必要です。また、当該研究所等の全体の目的・活動等との関係や、円滑な運営が確保できるか等について、十分考慮されることが必要です。

8. 一つの研究施設が複数の拠点となることは可能か。

 一つの研究施設又はその一部が重複して複数の単独拠点及びネットワーク型拠点となることはできません。詳細につきましては文部科学省学術機関課へお問い合わせください。

9. 共同研究の実績のない研究施設が拠点となることは可能か。

 共同利用・共同研究拠点は、関連研究者の要請に基づいて活動し、当該分野の学術研究を効果的・効率的に推進するものです。したがって、一般論として言えば、関連研究者との共同研究の実績がない場合、関連研究者からの十分な要請や、当該分野の拠点として共同利用・共同研究を推進できる見通し等の観点から、ただちに拠点となりうる可能性は低いものと考えられます。詳細につきましては文部科学省学術機関課へお問い合わせください。

10. 認定後に申請内容を変更することは可能か。

 拠点として認定された研究施設の基本的な事項を大幅に変更することは認められませんが、当該研究施設の名称、目的又は所在地及び運営員会等の規則については、あらかじめ、その旨を文部科学大臣に届け出ることで変更することが可能です。
 その他、共同利用・共同研究の進展状況等に伴う変更等、詳細につきましては文部科学省学術機関課へお問い合わせください。

11. 関連研究者からの申請施設を拠点として認定すべき旨の要請を証する書類とは具体的にどのようなものか。

 具体的には関連学会等からの要望書を想定しています。学会としての提出が困難な場合には、個人名での要望書もあり得ますが、研究者コミュニティとしての要望であることを客観的に判断できるようなものであることが望まれます。

《ネットワーク型共同利用・共同研究拠点関係》

12. ネットワーク型の共同利用・共同研究拠点とは何か。

 従来の全国共同利用は研究所や研究施設が単独で行ってきましたが、共同利用・共同研究拠点制度では、研究分野の特性等に応じて、他大学も含めた複数の研究所や研究施設がネットワークを構成して拠点を設置すること(ネットワーク型共同利用・共同研究拠点)も可能とし、拠点形成の弾力化を図りました。
 ネットワーク型共同利用・共同研究拠点の構想にあたっては、ネットワークを構成することにより拠点として何を目指すのか、拠点として円滑な運営が可能か、ネットワーク化による各研究所等への影響等(各研究所等の目的・研究活動との整合性、円滑な運営が確保できるか等)について十分検討することが必要です。

13. 研究所や研究施設の一部がネットワーク型共同利用・共同研究拠点の構成機関となることは可能か。

 基本的に可能ですが、その場合は、ネットワークへの参画による各研究所等への影響、拠点としての円滑な運営の確保、研究所等の全体の目的・研究活動との整合性等について十分検討することが必要です。詳細につきましては文部科学省学術機関課へお問い合わせください。

14. ネットワーク型拠点の構成機関に大学共同利用機関や独立行政法人等を含めることは可能か。

 規定上、大学共同利用機関や独立行政法人は認定の対象になりませんが、認定対象となる研究施設とネットワークを形成する「連携施設」として位置付け、そのネットワーク全体を「連携ネットワーク型拠点」として申請することができるようになりました。この場合、これまでの「ネットワーク型拠点」と同様の申請書を作成する必要があります。詳細につきましては文部科学省学術機関課へお問い合わせください。

《認定期間関係》

15. 共同利用・共同研究拠点の認定期間はいつまでか。

 共同利用・共同研究拠点制度は、研究所や研究施設の組織としての取組を推進するものであり、研究分野等によっては長期的な視野に立った推進が必要なものもありますが、その場合であっても、研究者コミュニティの意向を踏まえ、共同利用・共同研究が適切に行われているか等について、定期的に評価や見直しが必要です。認定期間は、このような観点から、拠点制度の趣旨に沿った活動が行われているか定期的に評価・チェックするために設定しています。
 国立大学の共同利用・共同研究拠点については中期目標の別表に位置付けることとしており、認定期間は中期目標期間を予定しております。
 なお、認定期間終了後も共同利用・共同研究拠点の継続を希望する場合は、認定期間終了前に改めて申請いただくこととなります。

お問合せ先

研究振興局学術機関課

電話番号:03-5253-4111(内線4170)

-- 登録:平成21年以前 --