大学改革GPナビ-Good Practice-(第12号)

平成17年12月2日



 文部科学省高等教育局大学改革推進室からGPに関する情報等を随時お届けしています。
 「GP」とは「優れた取組」を表す「Good Practice」の頭文字をとった通称です。

 現在システムの関係上ご登録いただいている各大学・短期大学・高等専門学校の窓口(最大2アドレス)から学内の関係部署や希望者に転送をお願いしています。
 お手数ですが、窓口担当の方は、学内へ転送メールであることを示した上で転送してください。

 今後専用システムの整備を予定しています。システム整備後は自動受付による配信を予定しています。



INDEX
[平成17年度特色GPフォーラム体験記(その4)]
[レポート]
(1) 大学設置・学校法人審議会答申にあたって
(平成18年度開設予定大学等答申関連)
(2) GP選定取組の実施状況レポート
(北海道大学・札幌医科大学)
[GPに関するQ&A]
[編集後記―編集部(予算等全体調整担当)
大学改革推進室改革支援第1係 加藤 達矢]



[平成17年度特色GPフォーラム体験記(その4)]

特色GPフォーラムに参加された方の感想・ご意見などをお届けします。
今年度も各地で沢山の激励・要望などをいただきました。

(立教学院本部調査役、東京大学・桜美林大学名誉教授 寺崎 昌男さん(福岡会場参加))

 福岡シンポジウムで審査委員の方々にお尋ねしたかったのは、「特色」と「一般性」との関係でした。「特色ある」というのは「創造的」「ユニークな」といってもいいかも知れません。一方、「一般性をもつ」は「大学教育改革の共通課題に沿った実践」あるいは「どの大学でもできる」ということかも知れません。評価基準についての説明の一つには「自分のところでもやってみようと感じるような実践」と説かれてもいました。しかし、この二つは簡単に両立する基準ではなさそうに思われます。申請する側からすればどちらに重点をおいて申請書を書くかという深刻な選択問題になりえます。「『ユニークだが一般性がない』といった評価で落ちたような例はあるでしょうか」とも聞いてみました。思い切って出したこの質問に明確な答えはなかったように思いますが、ある程度原理的で、かつ例示的なご説明を期待するや切なるものがあります。


(名古屋学芸大学短期大学部 田尻紀子さん(名古屋会場参加))

 今回、はじめてフォーラムに参加したのですが、特色GPに取り組んでおられる大学・短期大学の生の声を聞くことで、教職員の方々の教育に対する情熱が直接伝わり、大いに刺激を受けました。しかも特色GPでの教育改革や工夫は、それぞれの大学・短期大学に今すぐにでも生かすことができるものもあり、大学のFDという面からも非常に有意義であったと思います。
 会場については、来年度は、シンポジウムでは後方座席でも見やすく、ポスターセッションではゆっくりと話が訊きやすくなるような工夫があれば、より良くなるように感じました。


(麗澤大学事務局庶務課主任 小生方俊明さん(横浜・札幌会場参加))

 今後の事業推進の参考にしたいと思い、事務担当者の立場からフォーラムに初参加しました。
 今年度選定された特色GP各取組の概要については、事前に目を通し理解もしていたつもりでしたが、実際に各ブースの担当者の方からお話しを伺ってみることで、より具体的に現在進行形の活きた取組として捉えることができました。
 フォーラムに参加するまでは、GP申請の事務担当者として、どのように申請書を作成すれば選定されるか、また選定後はいかにGP事業事務を滞りなく推進するか、といった点に関心が偏りがちでしたが、各ブースを回るうちに、「この取組は本学で実施しても大いに効果があるのでは」、「本学でも同様の取組を行っているが、このようにすれば良い方向に伸ばすことができるのでは」といった視点を持てるようになりました。


(麗澤大学事務局広報課主任 渡部洋子さん (広島会場参加))

 学生募集広報業務担当の立場から、特色GP、現代GPをどのように募集活動に生かすことができるのか、と言う視点で参加しました。ポスターセッション、シンポジウムを通して、選定された内容が決して特別な取組ではなく、それぞれの大学、短大でこれまで行われてきた事をもとに、整備、改革を重ねることによって、学生により良い「学びの環境」を提供しているものだということが分かりました。
 「GPに選定された」と言うことを広報の前面に出すよりも、大学における「学びの環境」すなわち「学びの特色(取組)」を正確に伝えることが大切であると思いました。
 「何を学ぶか」プラス「どのように学ぶか」イコール「どこの大学で学ぶか」
 この公式で受験生に選ばれる大学になりたいと思います。


(一般参加 新井良子さん(札幌会場))

 全国のいろいろな大学・短期大学が一同に集まって発表、説明して内容もとても良く分かりました。一つの場所で多くの大学・短期大学の教育情報が得られるということはとても有益だと思いました。これから本当に少子化のこともあり、いろいろと特色を出していこうということで、どの大学・短期大学も頑張っているのだと思いますが、これから大学にお子さんを入学させようという方達に大勢見ていただければさらに良いのではと思いながら拝見させていただきました。


(千葉商科大学政策情報学部政策情報学科 4年
 環境ISO学生会議所属    飯塚 翔さん(京都会場参加))

Q) ポスターセッションやシンポジウムについて、一番印象に残った点や今後の大学教育改革の参考につながる点などを学生さんの立場からお聞かせください。

A) シンポジウムについては、どの会場でも様々な活動状況を知ることができ、とても良い体験になりました。ただ事例報告の時間がもう少し長ければよかったと思いました。ポスターセッションについては本学以外の取組を知ることができたので、大学に持ち帰り、活用できればと思います。

Q) フォーラムに参加することの意義や期待することなどをお聞かせください。

A) 他大学の様々な取組を知ることが出来、情報交換をすることができました。来年度も是非開催してほしいです。要望としては、前年度選定大学も呼んでポスターセッションを行っていただければと思います。そういったことを行うことにより、様々な交流が図れるのではないかと思います。

Q) 学生としてどのような印象をもちましたか?

A) 今回、自分自身学生スタッフという立場で参加させていただきました。本学では学生と大学側が協力して取組を進めているのですが、その証明ができたと思います。実際私の体験談ですが、ブースで取組の説明を行った際に学生であることを明かすと、非常に驚かれ、「いい影響を受けた」という感想や「自大学へこの体験を持ち帰り学生に話します」という感想もいただきました。そういったところから、この場にいない他大学の学生にも良い影響をもたらすのではないかと思います。

(特色GPフォーラムの活用事例紹介)

 先日、横浜国立大学から職員研修の一環として行っている「横浜国大職員塾」の受講生が特色GPフォーラムに参加した際の感想をまとめお届けいただきました。
 特色GPフォーラムの活用事例としてご紹介します。

(詳しくはこちら)
http://www.jmk.ynu.ac.jp/gakugai/somu/jinji/syokuin_jyuku.html

 これまでご紹介した以外にも沢山の感想・提案をいただきました。
 ありがとうございました。

 今年度の特色GPフォーラムについての感想、次はこのような企画を計画してはという提案や皆さんの大学・短期大学・高等専門学校での「GP」の活用事例は随時daikaika@mext.go.jp、03-6734-3335(直通)又は03-6734-3387(FAX)までお願いします。




[レポート]

高等教育に関する最新の話題などについてお届けします。




 

(1)大学設置・学校法人審議会答申にあたって

(平成18年度開設予定大学等答申関連)

 大学の個性化・多様化は、大学の新設や改組にも現れています。
その「質の保証」を担う設置認可に関する情報として、今回は11月28日の大学設置・学校法人審議会答申について紹介します。

(「大学の設置認可の動向について」高等教育局大学設置室長 鈴木 敏之)

 このたび、大学設置・学校法人審議会(会長:永田眞三郎関西大学教授)は、今年5月及び7月に諮問された公私立の大学、大学院等の設置について、認可の可否を答申しました。これを受けて、大学・学部等は48校、大学院・研究科等は43校について認可を行う一方、2校については不認可の手続をとる予定です(その内訳は、下記URLを参照)。なお、3校は保留(審査を継続して1月に答申)となりました。
 様々な特色ある大学等が、来春産声を上げることになりますが、今回の審査では、大学院大学の設置計画を中心に、準備不足のものが目立ちました。このため、答申提出に当たって、審議会会長が異例のコメントを公表しました(下記URL参照)。申請書は、公共性を持つ大学の社会に対する約束、マニフェストと称すべきものです。その重みを踏まえて、各申請者が事前の準備を十分に行うことが望まれます。
 なお、最近の報道では、当省が「虚偽申請への罰則を設ける」とされています。会長コメントを真摯に受け止め、何らかの厳正な対応をルール化し、新年度からの適用が可能となるよう、今後検討していく予定です。

「11月答申の提出にあたって」(大学設置・学校法人審議会/永田会長のコメント)、答申等内訳(平成18年度開設予定大学等一覧)は、下記URLを参照してください。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/t_d18.htm


 

(2)GP選定取組実施状況レポート(北海道大学・札幌医科大学)

 GP選定取組実施状況レポートを数回に分けてお届けしています。
 2回目の今回は、北海道大学、札幌医科大学を訪問した際の感想等を編集部荒木と大学入試室の金盛係員からお届けします。
 東京と違いすでにもう冬ということを肌で感じた気候でしたが、学生の皆さんの率直な声や先生方からのご意見や激励をいただきかえってこちらが勇気づけられた一日でした。
 今後のGPへの参考にしていきたいと思います。


(北海道大学)
(編集部(予算等全体調整担当)改革支援第1係長 荒木 秀治)

(1) 「アジア・アフリカ諸国を視野においた国際獣医学協力体制の確立」

   この取組は、16年度特色GPに選ばれた取組です。日本とザンビア、韓国の関係者がお互いの持つ情報、研究成果をうまくミックスして世界各地で発生している疾病を防ごうとされていることが分かりました。
 ザンビア大学獣医学部のアロン副学部長先生のお話しからは、寄生虫による感染症が多いアフリカにおける獣医師の重要性が切実に伝わってきました。また、現地実習に参加した学生さんからは、現地の方へ日本のことを伝えることの難しさや人の命を守るための獣医学の役割の重要性、実際の解剖を行った際の感想について実感を自分の言葉で教えていただきました。
 鳥インフルエンザ等、人間への影響が取りざたされる昨今獣医学の重要性が以前にも増して高まっていることを改めて認識しました。

写真1 写真2

(取組紹介はこちら)
http://www.hokudai.ac.jp/veteri/Edu_GP/Edu_GP.htm


(2) 「大学院・社会人教育支援e-カリキュラム」

   大学院や社会人対象の教育支援を行う16年度現代GP選定の取組についてお話しを伺いました。特に復習の際の効果がとても高いというのが学生さんからの実感のようでした。
 山本先生からはコンテンツ作成に関わっている先生方が緊張感をもって取り組んでいるとの副次的な効果についても教えていただきました。
 大学院レベルのe-Learningのあり方を学生も含めお互い意見を出し合いながらブラッシュアップされている取組であることが先生方や学生、職員の方の表情の輝きからうかがえました。
 現状と課題もしっかり認識されており、今後どのように課題に挑まれていくのか注目していきたい取組だと思いました。

写真3 写真4

(取組紹介はこちら)
http://www.ceed.eng.hokudai.ac.jp/gp/


(札幌医科大学)
(高等教育局大学振興課大学入試室入試第2係 金盛奈緒美)

(1) 「地域密着型チーム医療実習」

   平成16年度現代GPに選定された「地域密着型チーム医療実習」では、実際に医学部・保健医療学部混成チームを組んだ学生さんたちが、「この実習を通して、他学部の学生に抱いていた先入観を取り払い、相手の仕事に対して素直に尊敬できるようになった」と声を揃えていた姿が印象的でした。
 また、実習後の学生の自己評価から、医療過疎が進む地域での滞在型実習によって、地域医療が遅れているという偏見が改まり、地域への就職に対する抵抗感も薄れたとの結果が得られたとのことでした。
 取組目的が十分に達成されうる教育内容であり、何より実習の主体である学生にとって充実した内容であることが、ひしひしと伝わる今回の訪問でした。

写真5 写真6

(取組紹介はこちら)
http://web.sapmed.ac.jp/gp/


(2) 「知的財産関連教育の推進」

   平成17年度現代GPに選定されたこの取組では、関連講義の受講希望者が予想以上に多く、また、質問が多数飛び交う活気溢れた講義となり、学生からの潜在的ニーズが高い取組であると判明したとのことでした。知的財産管理室の室長である石埜助教授は、医学博士であり弁理士の資格も持っており、この取組にとって、非常に心強い存在であると思われます。
 このように目標となる教員が学内にいることは、学生にとって励みになり、今後この取組を実施するうえで望ましい環境であると感じました。GP選定をきっかけに、この取組が長期にわたり継続され、札幌医科大学がパイオニアとして、日本における医療分野での知財教育を推し進めていくことを期待しています。

写真7  

(取組紹介はこちら)
http://web.sapmed.ac.jp/chizai/indexgp.html




[GPに関するQ&A]

 「大学改革GPナビ」メールボックス(daikaika@mext.go.jp)に対して、よくいただく質問にお答えします。

(Q)
 いつも興味深く拝見しています。要望なのですが、文字情報だけでは、少し硬いように思います。記事に関連した写真などを入れるとさらによいものになると思いますので検討してはどうでしょうか。

(A)
 ご提案ありがとうございます。メール本文には難しいですが、バックナンバーで適時写真等を掲載していきたいと思います。今号のバックナンバーでは早速「GP選定取組実施状況レポート」で訪問した際の写真を掲載する予定です。バックナンバーも是非ご覧ください。

 なお、特色GPフォーラムの各会場の様子については以下のページに写真を掲載しています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/tokushoku/05091401.htm

「GPに関するQ&A」でとりあげてほしい質問を随時募集しています。
  daikaika@mext.go.jpまでメールにて送信してください。お送りいただくメールの件名は必ず[大学改革GPナビ(Q&A)」の形式でお願いします。



[編集後記―編集部(予算等全体調整担当) 大学改革推進室改革支援第1係 加藤 達矢]]

 今回の編集後記を担当する加藤です。

 少し前の話になりますが、特色GPフォーラム広島会場に参加しました。
始めは曇りだったのですが、帰りは大雨でした。皆さんはお帰りの際、大丈夫だったでしょうか。足下の悪い中、多数の参加をいただき、ありがとうございました。
 当日は、「読者の皆さんと直接お話ができるチャンスだ!」と意気込んで行ってみたものの、なかなかタイミングがつかめず、でも、直接お話しできた方々からは、実際の取組の中で工夫している点や、苦労している点など、有意義な情報交換ができました。特色GPフォーラムでの経験(反省?)を生かして、来年3月予定の現代GPフォーラムでは、さらに皆さんとお話ができたらいいなと思います。皆さんも、お気軽に声をかけてください。昨年あったのですが、「すみませんが、まるまるさん(某芸能人)に似てるって言われません?」なんて切り出し方でもけっこうです(笑)。

 いよいよ、12月になりました。フォーラムも終わり、年内の行事はひと段落かと思いきや、予算編成や来年度のGPの検討、さらには現代GPフォーラムの準備など、編集部(イコール改革支援チーム)の業務は盛りだくさんです。
 これからも、大学教育改革の取組のお役に立てるよう改善を図り、よりよいプログラムになるよう、チームで団結して頑張っていきます。その状況は、積極的に情報を提供していきますので、GPナビに引き続きご注目ください。
 皆さまからのご意見なども随時お待ちしております。

 GPをはじめとする「国公私を通じた大学教育改革の支援」事業についての質問や提言などありましたら、daikaika@mext.go.jpまでメールを送信してください。
 お送りいただくメールの件名は必ず「大学改革GPナビ(件名)(学校名)」の形式でお願いします。
 なお、ご質問等に関しては、個別にお答えしてまいりますが、皆さま方にご紹介することが適当と思われるものなどについては、ご質問をいただいた方に確認の上、大学改革GPナビなどで回答する場合もあります。


大学改革GPナビ-Good Practice
編集長: 文部科学省高等教育局主任大学改革官 山崎 秀保
発行: 文部科学省高等教育局大学改革推進室
〒100-8959 東京都千代田区丸の内2-5-1
03-5253-4111(内線:3319、3321)



大学改革GPナビ-Good Practice
国公私立大学を通じた大学教育改革の支援
特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)
現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)(3月フォーラム予定)

-- 登録:平成21年以前 --