OECD「高等教育における学習成果の評価(AHELO)」フィージビリティ・スタディの結果について

1.経緯

○ 近年の高等教育の拡大や国際化の進展に伴い,多様な質の評価が重要になっている。
○ 政府や高等教育機関、質保証機関による学習成果の評価方法の改善に資するため、OECD(経済開発協力機構)においては、高等教育における学習成果の評価(AHELO)※1に関する国際的な検討の可能性を探るフィージビリティ・スタディ(FS)※2の実施を提案。
※1 AHELO: Assessment of Higher Education Learning Outcomes
※2 FS: 試行的に試験を行い、本格的な実施可能性を明らかにすること
○ 我が国は、2008年1月に東京において開催された「OECD非公式教育大臣会合」において、渡海文部科学大臣(当時)より、FSへの参加意志を表明。

2.フィージビリティ・スタディの実施

(1)フィージビリティ・スタディの概要

○ フィージビリティ・スタディ(FS)では、一般的技能、分野別技能(経済学、工学)等について、(1)各国の多様性と特殊性を踏まえつつ学習成果を適切に測定するテストの開発の可能性や(2)言語や文化を超えて国際比較の可能性を検証するために、調査枠組みの開発、テスト問題と採点基準の作成、それらの妥当性の検証作業が参加国において実施された。
○ 我が国は日本の参加について中教審大学分科会に設置した「OECD高等教育における学習成果の評価に関するワーキンググループ」において議論を行い、工学分野への参加を決定。
「OECD高等教育における学修成果の評価(AHELO)フィージビリティ・スタディの実施の在り方に関する調査研究」へリンク
○ 参加国数は、我が国を含め17カ国※3。
※3 参加国
  一般的技能:コロンビア、エジプト、フィンランド、韓国、クウェート、メキシコ、ノルウェー、米国、スロバキア
  分野別技能(経済学):ベルギー、エジプト、イタリア、メキシコ、オランダ、ロシア、スロバキア
   (工学):日本、オーストラリア、カナダ、コロンビア、エジプト、メキシコ、ロシア、スロバキア、アブダビ

(2)フィージビリティ・スタディの最終調査結果

○ 2013年3月11~12日にパリで開催された国際会議において、フィージビリティ・スタディ(FS)の結果が報告され、高等教育段階における学修成果測定の検討事項について、次の段階に向けての議論が行われた。
国際会議(Measuring learning outcomes in Higher Education)(※OECDウェブサイトへリンク)
○ FSの調査結果はOECDより報告書にとりまとめられ、第1巻は2012年12月に、第2巻は2013年2月に、第3巻は、2013年10月に発行済み。
調査結果(OECD's AHELO)(※OECDウェブサイトへリンク)
○ 第1巻ではAHELOが提案された背景や目標・計画が示され、FSの構成や運用方針、テスト問題や採点基準といった調査枠組みの開発、実施過程が説明された上で、それらの実現可能性が報告された。経済学と工学に関しては、予備的な調査フレームワーク及びテストツールの開発・翻訳・検証、一般的技能に関しては、既存ツールの応用並びに参加国による小規模な検証による、言語・文化横断的検証が行われた。
○ 第2巻ではFSのデータ分析における有効性や信頼性の検証や調査に参加した日本を含む各国ごとの調査結果が報告された。多様な高等教育機関における小規模な評価ツールと文脈質問の実施によるAHELOの科学的かつ実用的な実現性の評価が行われた。調査はコンピュータベースで実施された。
○ 第3巻では専門家による付加価値測定について報告された。専門家は、付加価値分析を念頭において、調査のデザインを構築しなければならないと結論づける一方で、その国際比較の難しさにも留意した。また、本年3月に開催された国際会議でのFSについての報告内容が掲載された。FSで上手く機能した点としなかった点、学習成果を測定する意義等が共有された。
○ OECD加盟国は、FSの結果を踏まえて、AHELOのさらなる発展や本格的な実施に向けた検討を行っていく予定。

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高等教育局高等教育企画課国際企画室

(高等教育局高等教育企画課国際企画室)

-- 登録:平成25年11月 --