学校法人のガバナンス改革に関するQ&A(令和4年5月版)

学校法人のガバナンス改革に関し、学校法人制度改革特別委員会(以下「特別委員会」という。)にてまとめられた「学校法人制度改革の具体的方策について」(以下「特別委員会報告書」という。)や任意の意見募集で寄せられた御意見をもとに、私立学校法改正法案骨子を策定しました。本ページでは、これまでに寄せられた質問とそれらに対する現時点での文部科学省としての考え方をまとめております。

※私立学校法改正法案骨子の項目に基づき分類

項目1 目的について

Q1 今回の改革をすれば、学校法人の不祥事の発生を防げるようになるのですか。

A 特別委員会報告書で示された学校法人のガバナンス改革の具体的方策は、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を基本的な考え方として、理事長の業務執行に対するけん制機能を健全に働かせることなどを目指すものです。
 学校法人の不適切な管理運営を防ぎ、学校法人が社会の信頼と支援を得た上で、一層発展していくことができるよう必要な制度改正に取り組んでいきます。

Q2 令和元年の改正法附則では5年後見直し規定が設けられているのに、5年経過する前に見直すのはなぜですか。

A 令和元年の私立学校法改正法附則の検討規定は、令和2年4月の施行から5年経過するまで見直しや改正をしてはならないという趣旨ではありません。
 また、令和元年改正時の国会における附帯決議や経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2019・2021では、学校法人のガバナンス改革について検討が求められています。私立学校を取り巻く様々な状況を考えると、速やかに適切な見直しを行うことが重要であると考えています。

Q3 特別委員会報告書(改正法案骨子)は、令和3年12月の学校法人ガバナンス改革会議の提言から大幅に後退しているのではないですか。

A 令和3年12月の学校法人ガバナンス改革会議提言では、評議員会を最高監督・議決機関とするなどの全く新たな役割分担を含む改革方策について提言されましたが、その基本的な考え方は、他の公益法人と同等のガバナンス体制を構築するために、「業務執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を行う点にあります。
 特別委員会では、この「業務執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を基本的な考え方に据え、学校法人ガバナンス改革会議の提言事項が実効性ある形で実現されるよう、学校法人の持つ独自性などに配慮して適切な見直しを加えつつ、関係者の合意形成を丁寧に図りながら議論されました。 その結果取りまとめられた特別委員会報告書の改革方策及び改正法案骨子は、学校法人のガバナンス改革を着実に進めるものとなっていると考えています。

項目2 基本的な考え方について

Q4 学校法人のガバナンスは各法人が寄附行為で自主的に定めればよく、法改正しなくてもよいのではないですか。

A 現行の私立学校法は、私立学校の自主性を尊重する趣旨に鑑み、広く寄附行為による自治を認め、その内容を各学校法人の裁量に委ねています。各学校法人の設立経緯や建学の精神などを踏まえ、それぞれの実情に応じた多様な寄附行為の定めが設けられています。
 一方で、この仕組みでは、理事や評議員の人事権など重要な権限を理事長等の特定の者に集中させることも、寄附行為の定め方によっては可能です。こうした仕組みが不適切に運用され、悪意のある業務執行がなされた場合に、自主的な監督が機能しないようなときは、学校法人の公共性に疑いを持たれるおそれもあります。
 このため、令和元年の私立学校法改正時の国会における附帯決議や骨太の方針2019・2021などを踏まえ、学校法人制度の沿革や多様性に配慮しつつ、「執行と監視・監督の役割を明確化・分離」をする観点から、私立学校法を改正することで、法律上も自律的に学校法人の公共性が高まり、信頼性の一層の向上につながるものと考えています。

Q5 理事に対する監督は、理事会や監事が行えば十分で、評議員会が監督する必要はないのではないですか。

A 評議員会は、昭和24年の私立学校法制定当初から必置の機関とされており、その趣旨の一つは、理事による専断を防止することにありました。
 平成16年の私立学校法改正では、監事と評議員の兼職が禁止され、それぞれ独立に機能を発揮することになりました。その際、通知において、評議員会は、理事会の決定が適切か判断し意見を述べるとともに、学校法人の公共性を高めるために必要なチェックをすることが示され、監事は、その専門性と独立性をさらに高めることが要請されています。
 監事による監督が機能しないような場合でも、初めから所轄庁が介入するのではなく、まずは学校法人内で評議員会が自浄作用を発揮することが期待されるところ、今回の改正でその方法や手続を具体化することを検討しています。

Q6 理事選任機関が機能しない場合や、監事が機能しない場合とは、どのような場合ですか。

A 特別委員会報告書では、理事の選任を行う機関として、評議員会その他の機関を寄附行為で定めることが示されました。理事の解任については、客観的な解任事由として法令違反、職務上の義務違反、心身の故障などを定め、評議員会は、評議員会以外の理事選任機関が機能しない場合に、解任事由のある理事の解任を当該理事選任機関に求めることができるようにすることが示されています。
 この場合、理事選任機関において客観的な解任事由に該当すると判断されれば、当該理事を解任することができますが、何らかの事情で理事選任機関において当該理事を解任するに至らない場合、評議員会はその決議によって当該理事の解任を当該理事選任機関に請求することができるような仕組みを検討しています。
 また、現行制度においても、監事は、理事が法令等に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって法人に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該理事に対し、当該行為の差止を請求することができますが、何らかの事情で監事がこうした権限を行使しない場合、評議員会が監事に対し、権限行使を請求することができるような仕組みを検討しています。

Q7 大臣所轄学校法人と知事所轄学校法人では状況が大きく異なるので、ガバナンスの在り方は分けて考えるべきではないですか。幼稚園法人は大学法人とは違うため、幼稚園法人向けの制度改革を行っていただけないですか。

A 理事・理事会と評議員・評議員会の関係、役員や評議員の欠格要件や解任事由など、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」に関わるガバナンスの基本構造については、学校法人の規模に拘らず法的規律を共通に明確化して定めることが適切であると考えています。
 一方で、ガバナンスの基本構造に関わらない事項については、大臣所轄学校法人と知事所轄学校法人の区分その他の規模に応じた区分を適切に設けることも必要であると考えています。法人の基礎的変更に係る事項及び重要な寄附行為の変更に関する評議員会の決議(承認)、会計監査人の設置、内部統制システムの整備などについては、対応を分けることを検討しています。

Q8 今回の改革について、どこまでが大臣所轄学校法人、知事所轄学校法人の対象なのか、明確な区分を示していただけますか。

A 特別委員会報告書別紙の「規模に応じた対応案」を踏まえ、法制化作業を進めて行きますが、今後、設置する学校に応じた私立学校法の適用関係についてわかりやすい資料を提示していきたいと考えています。

Q9 知事所轄学校法人でも全国的に展開する大規模な法人については、大臣所轄学校法人と同等の扱いとすることが示されていますが、広域通信制高校のみならず専門学校についても同様に扱うべきではないですか。複数県(四県ほど)に跨って専門学校を運営している学校法人は大規模・広域の知事所轄学校法人に当てはまりますか。

A Q7の通り、ガバナンスの基本構造に関わらない事項については、大臣所轄学校法人と知事所轄学校法人の区分その他の規模に応じた区分を適切に設けることが必要であると考えています。
 特別委員会報告書では、知事所轄学校法人でも、全国的に展開するような大規模な法人については、大臣所轄学校法人と同等の扱いとすることも考えられるとされているところ、例えば広域通信制高校を運営する法人などが該当しうると考えておりますが、具体的な対象については、今後関係者の意見も伺いながら検討していきます。

Q10 施行時期について、十分な準備期間を設けることに加え、経過措置を設けることも検討していますか。

A 新制度の経過措置については、現状から変更が生じる事項について負担の軽減と運営の継続性を確保する観点から、準備期間との関係を踏まえ、他法人制度の施行時の対応を参考にして検討していきます。

Q11 新たに寄附行為を変更するためのガイドライン等は示されるのでしょうか。寄附行為を必ず変更しなければならない箇所が分かるようにしていただきたいです。

A この度の制度改正に対応して、今後大臣所轄学校法人向けの寄附行為作成例の改訂について検討していきます。それを参考としつつ、都道府県向けに知事所轄学校法人の寄附行為変更の参考となる資料をお示しできるよう検討していきます。

Q12 理事長、理事、評議員における定年をどのように考えるべきですか。

A 定年については、今般の学校法人制度改革の議論では論点となっておらず、残された課題と認識しています。今回のハードローの整備に加えて、ソフトローとしてのガバナンス・コードの見直しや実効性確保の方策について、自主的な検討と改善を促すことが望まれるところです。

項目3 学校法人における意思決定について

Q13 理事会と評議員会の意思決定の権限分配を見直すことが示されましたが、学校法人の最終的な責任・権限を持つのは誰になるのですか。

A 平成16年の私立学校法の改正において、それまで明文の規定がなかった理事会を法定し、理事会を学校法人の業務の決定を行う機関とすることや、理事会が学校法人の運営に最終的な責任を負うことが明確化されました。
 特別委員会報告書では、理事会と評議員会の建設的な協働の実現を目指し、両者の意思決定権限の分配を見直すことが提言されました。これは、評議員会が理事長や理事会へのチェック機能をしっかりと果たすべきとの考えに基づくものであり、従来の理事会の権限・責任を前提とした上で、これに対する評議員会によるけん制機能を強化することを意図したものです。

Q14 重要事項に関する学校法人の意思決定に当たって、理事会と評議員会とで判断が分かれた場合、どのように確定することになるのですか。評議員会の決議事項は、評議員会での審議が最終決定となり、再度理事会を開く必要はないということでしょうか。評議員会が理事会提案の議案を否決した場合において、評議員会議長が対案を理事会に示す権限を有するのでしょうか。それとも、評議員会で理事会に対して意見を述べてそれを汲んだ理事会が修正案を作成し、評議員会に示すのでしょうか。

A 特別委員会報告書では、大臣所轄学校法人について、学校法人の基礎的変更等の重要事項については、理事会の決議に加えて評議員会の決議(承認)を要することとするとされました。また、教学面の校務や法人業務の執行等に関する具体的な事項については、寄附行為に特段の定めを置かない限り、評議員会の決議の対象にならないという考え方が示されました。
 その上で、評議員会の決議を要することとする重要事項については、多様な関係者の意見を聴き反映する趣旨に鑑み、まずは理事が評議員に対して丁寧な説明を尽くし、理事会・評議員会の建設的な協働を促進することが今次の改革の出発点であり、学校法人の基礎的変更等や各法人の寄附行為で定める評議員会の議決事項については、両者の決議をもって学校法人の意思決定とするものであり、各機関の決議の優劣を一律に法制上措置するものではないことが示されました。通常は、理事会が決議した事項について、評議員会が決議をすることが考えられ、再度の理事会開催は不要と考えます。双方の判断が分かれた場合の対応については、他制度や学校法人の運営の実務を参考に、今後検討していきます。

Q15 大臣所轄学校法人について理事会決定とともに評議員会決議を要することとされた事項は、具体的にどのようなものですか。

A 事業活動の社会的影響やステークホールダーが広範にわたる大臣所轄学校法人においては、学校法人の基礎的変更(任意解散・合併)や重要な寄附行為変更について、理事会の決定とともに評議員会の決議(承認)を要することとなります。
 また、特別委員会報告書では、これら以外の業務に関する事項については、各法人の寄附行為の定めにより評議員会の議決事項を定めうる現行の評議員会の基本構造を維持することが望ましいとしつつ、中期計画や役員報酬基準などの重要な業務の基本方針についても、理事会決定に加えて評議員会の決議(承認)を要する位置付けとしていくことを、引き続き検討すべきとされました。

Q16 学校法人の基礎的変更(任意解散・合併、及びそれに準じる程度の寄附行為の変更)のうち、「それに準じる程度の寄附行為の変更」とは、具体的にどのような事例を指すのでしょうか。

A 大臣所轄学校法人等において評議員会の議決を要する「寄附行為の変更」の具体的内容については、下位法令(文部科学省令)の検討の中で、広くご意見を伺いながら検討したいと考えています。その際、学校法人にとって重要な寄附行為の変更とは何かという観点で検討を行う予定です。

Q17 評議員会での審議事項決定は誰が行うことになりますか。理事個人として行うことは可能でしょうか。

A 評議員会における議題や議案の提案については、「学校法人の業務」の一環であるため、理事会が行うこととする方向で検討しています。また、一定の割合以上の評議員が招集を請求した評議員会の審議事項は、請求した評議員が決定することとする方向で検討しています。

Q18 理事長を含む理事は評議員会に出席し、発言できるのでしょうか。理事の評議員会への具体的な関わり方はどのようになるのでしょうか。

A 理事会と評議員会の建設的な協働の観点から、理事長を含む理事が評議員会に出席し、議題・議案の内容を説明することを可能とすることを検討しています。具体的な理事・理事長の関わり方については、今後、法制的に検討していきます。

Q19 評議員会の招集は誰が行うことになるのでしょうか。

A 評議員会の招集については、機動的な開催が可能となるよう、理事が行うこととする方向で検討しています。
 (なお、現行においても、評議員会が招集されないような場合、評議員は総数の3分の1以上によって招集を請求することができるとされており、大臣所轄学校法人における招集要件の緩和について検討しています。)

項目4 理事・理事会について

Q20 理事長を寄附行為の定めにより評議員会が選定することは可能でしょうか。また、理事長を校長などの充て職とすることは可能でしょうか。

A 特別委員会報告書では、理事長の選定・解職を理事会の権限とすることが示されており、これによって、任命責任を理事会が負うことが明確化されることになります。ただし、現行法第42条第2項のように、寄附行為をもって、理事長の選定・解職に評議員会の議決を要することとすることは可能と考えます。(この場合は、理事会決議と評議員会決議の両方が必要となる。)また、理事長を校長などの充て職にするなどの理事長選任の在り方については、現在の運用状況も踏まえ、今後、検討していきます。

Q21 個別理事への委任禁止の重要事項の範囲はどのようになるのでしょうか。「重要事項の決定につき、個別の理事への委任を禁止」について、「理事」には、理事長も含まれますか。

A 個別理事への委任禁止の重要事項の範囲については、現行法第42条第1項各号(評議員会への意見聴取事項)や、他法人制度の類似制度を参考に、今後、法制的に検討していきます。
 理事長も「理事」であるため、個別の理事への委任を禁止する重要事項については、理事長への委任も禁止する方向で検討しています。

Q22 理事の任命権は、評議員会のみが持つこととすべきではないですか。

A 理事・理事会に対する監視・監督機能を発揮する上では、業務の決定と執行を担う理事会の構成員である理事を選解任する権限が重要です。現行制度では理事の選解任は寄附行為の定めに委ねられているところ、これを法定することを検討しています。その際、「執行と監視・監督の明確化・分離」と、学校法人の沿革・多様性や独自性の双方のバランスを考慮した仕組みを検討する必要があります。
 現状でも、理事の選任は、評議員会や理事会による選任のほか、役員選考会議や関係団体といった任意の機関による選任もあり、学校法人ごとに多様な方法で行われています。このため、特別委員会報告書では、理事の選任機関を評議員会に一元化することはせず、理事選任機関を寄附行為で明確に定めるよう法定することが示されました。

Q23 評議員会を理事選任機関とせず、外部理事と監事、一部の評議員による選任委員会を設けることは可能でしょうか。

A 特別委員会報告書では、理事の選任機関として、評議員会その他の機関(評議員会、理事会のほか、役員選考会議、設立団体、選挙実施機関など任意に置かれる機関を含む。)を寄附行為で明確に定めるよう法的に措置すべきことが示されたことを踏まえて検討していきます。
 なお、評議員会以外の機関によって理事が選任される場合は、あらかじめ選任機関において評議員会の意見を聴かなければならないこととする方向で検討しています。

Q24 改正後は、全ての理事を単一の選任機関において選任しなければならないのでしょうか。

A 理事選任機関として、評議員会その他の機関を寄附行為で明確に定めていれば、複数の選任機関を認める方向で検討しています。

Q25 改正後は学校職員(管理職)は理事にはなれないのでしょうか。

A 現行私立学校法において、学校職員は理事に就任できるところ、改正後もその方向で検討しています。

Q26 校長理事について理事として解任がなされることを前提に維持とあるのは、理事の地位のみ解任し、校長の地位は残るという理解でよいでしょうか。新たに校長理事を選任することになるのでしょうか。

A 理事のうちには校長を含まなければならないとする現行規定(私立学校法第38条第1項第1号)の趣旨は維持する方向で検討しているため、校長理事を理事として解任する場合は、他の校長を理事に選任する(校長が複数いる学校法人の場合)か、校長の職を解職した上で新たな校長を理事に選任する(校長が一人の学校法人の場合)のいずれかの対応が必要と考えています。

Q27 総長が寄附行為の定めにより理事及び評議員に就くことになっており、任期に定めを設けていない場合、寄附行為を変更して任期を定める必要が生じるのでしょうか。

A 理事・評議員としての任期を定めていただく必要があると考えています。なお、理事と評議員の兼職関係は解消することとしています。

Q28 現在の理事・監事・評議員は、法改正に伴って退任しないといけないのですか。新たに選び直さないといけないのですか。

A 現在の理事・監事・評議員は、現在の仕組みの下で選任されていますが、新制度への移行に当たっては、負担の軽減と運営の継続性を確保する観点から、適切な移行措置を設けることが必要になると考えています。
 ただし、改めて新制度における理事・監事・評議員として果たすべき役割や権限、責任を十分御理解いただき、適切な選任手続を経た上で、引き続き就任することは可能であると考えています。

Q29 理事の任期について、「選任後4年を上限に寄附行為で定めた期間内の最終会計年度に関する定時評議員会の終結の時まで」の意味は、理事任期を会計年度に揃えるという理解でよいですか。また、その場合の後任はその終結の翌日からの選任となるのでしょうか。

A 理事の任期は、選任後4年を上限に寄附行為で定めた期間内の最終会計年度に関する定時評議員会の終結の時までとするところ、例えば寄附行為で4年とした場合で、仮にX年6月28日に選任した場合、その任期は(X+4)年度に関する定時評議員会(例:(X+4)年6月25日)までとなります。
 後任の理事の任期の始期は、前任の理事の任期満了日の翌日以降となります。

Q30 改正法案骨子では、理事は4年を、監事は理事と同等以上、評議員は6年を上限としていますが、例えば、理事・監事・評議員とも4年で統一することもできると理解してよいでしょうか。

A 役員の任期は、私立学校法で定める上限の範囲内において、寄附行為で具体的に定めることとなります。その際、理事の任期を4年、監事の任期を4年とすることは、理事の任期が監事の任期を超えてはいないため、許容される方向で検討しています。

Q31 理事に対する理事会への職務報告回数について、大臣所轄学校法人等においては、年4回以上の理事会開催が必要となるのでしょうか。

A 理事の職務報告を義務付けるのは、報告を通じて、理事会が理事の職務の執行の監督を適切に行うことができるようにするためです。他法人制度においても、理事の理事会への報告は3か月に1回以上とされており、私立学校法改正においても、大臣所轄学校法人等においては同様の方向で検討しているところです。
 この場合、年4回以上の理事会開催が必要となります。

Q32 監事が各理事の業務執行状況をヒアリングし、監査報告書として理事会へ報告する場合、これとは別に、理事が「年4回以上」職務報告を行う必要があるのでしょうか。

A 理事の職務報告を義務付けるのは、報告を通じて、理事会が理事の職務の執行の監督を適切に行うことができるようにするためです。そのため、質疑応答等を通じて理事の職務の執行状況を適切に把握する必要があり、監査報告書では職務報告に代えられないと認識していますが、他法人制度も参考に、具体的な運用方法については、今後お示ししたいと考えています。

Q33 特別委員会報告書別紙の「規模に応じた対応案」の中で知事所轄の学校法人において、「理事の理事会への職務報告」が年2回以上(寄附行為の定め)とありますが、これは年2回以上理事会を開催するということでしょうか。

A 理事の職務報告を義務付けるのは、報告を通じて、理事会が理事の職務の執行の監督を適切に行うことができるようにするためです。
 知事所轄学校法人において寄附行為で、年2回の報告とした場合は、年2回以上の理事会開催が必要となります。
 なお、短期間に2回立て続けに報告がされ、その次に報告がなされるまでの期間が長くなりすぎないようにするため、2回の理事会の間の期間は一定期間空けることを求める方向で検討しています。

Q34 理事会への職務報告を課すのは、業務執行理事に限るのでしょうか。

A 「理事の職務の執行を監督する権限を担う」理事会の職務に鑑みると、職務報告の対象は業務執行の権限を有する理事が中心となるものと考えています。業務執行者以外の理事についても、理事の相互監督という理事会の職務が健全に果たされるよう、その役割や活動を可視化していく努力が求められ、社外取締役の活動状況を事業報告に掲載する会社法の取組も参考になると考えています。

項目5 評議員・評議員会について

Q35 理事と評議員の兼職禁止が示されましたが、兼職は認めるべきではないですか。禁止するとしても、知事所轄学校法人については十分な移行措置を設けるべきではないですか。

A 特別委員会報告書では、現状から変更が生じる事項について、負担の軽減と運営の継続性に鑑み、所要の準備期間を設けることや、知事所轄学校法人を中心に、必要に応じて経過措置を定めることが示されています。その上で、理事と評議員の兼職禁止については、評議員の確保のために兼職関係を維持することについては慎重であるべきとしつつ、移行に向けての一定の配慮も検討すべきとされました。これらも踏まえ、今後具体的な在り方について検討していきます。

Q36 理事と評議員の兼職禁止により、理事と評議員は別物と解釈すべきと考えられますが、理事の選任を定めた法第38条第1項において、第2号に定める「評議員のうちから選任される理事」の区分が削除されるという理解で良いでしょうか。

A 理事と評議員の兼職については、理事会と評議員会の役割を明確化し、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」をするというガバナンスの基本的な考え方を踏まえれば、法律上、兼職関係を解消していくことが必要です。そのため、現行私立学校法第38条第1項第2号は改正する方向で検討しています。

Q37 理事と評議員の兼職を禁止すると、新たな仕組みに対応できる適切な評議員を確保することが難しくなるのではないですか。

A 現行制度における評議員の数は、「理事の定数の二倍の数を超える数」とされており、現状でも、各学校法人で理事を兼職していない評議員が選任されているものと考えます。 この規定は、評議員会の独自性を確保する観点から、理事を兼ねる評議員が評議員定数の過半数を占めることを防ぐ趣旨ですが、理事と評議員の兼職が解消されれば、評議員定数を理事の二倍超とする必要がなくなるので、評議員定数を引き下げることを検討しています。
 現在就任している理事兼職者でない評議員について、新制度における評議員が果たすべき役割や権限、責任を十分御理解いただいた上で、引き続き新制度の評議員に就任することは可能であると考えますので、新たに別の評議員の就任を求めなければならないケースは少ないと考えています。

Q38 理事や評議員に御就任いただける方の確保も、年々難しくなってきています。理事と評議員の兼職禁止について趣旨や理想は理解できますが、知事所轄学校法人にそれが可能なのでしょうか、どのような形で検証されているのでしょうか。

A 2021年度に行った都道府県所轄学校法人に関するアンケート調査によると、評議員数は、高校から幼稚園までの全体平均で14.6人であり、このうち、役員と兼職している評議員は、2.6人、兼職していない評議員は12.0人となっています。
 法改正後は、評議員の定数を理事の定数を超える数まで引き下げる方向で検討していますが、現在の理事数は、全体平均6.7人となっているため、法改正後において評議員は平均7人程度必要となります。既に、役員と兼職していない評議員が12人程度いるので、その中から適切に選任いただくことで、新たに別の評議員の就任を求めなければならないケースは少ないと考えています。
 ただし、これは全国平均となりますので、個別の学校法人の負担軽減の観点から、所要の準備期間を十分に設けることが必要であると考えています。

Q39 「評議員の選任については、評議員会を選任機関として明確化」とは、評議員会以外による評議員の選任を認めないということでしょうか。

A 学校法人のガバナンスにおける「執行と監視・監督の明確化・分離」の観点から、特別委員会報告書では、評議員の選任方法については、基本的に評議員会を選任機関とすることとされました。他方、評議員会と理事会の建設的な協働と相互けん制の関係の形成に資する範囲で、理事会による評議員の選任を認める余地もあるとされました。
 そこで、両者のバランスを考慮した仕組みとするため、理事・理事会による評議員選任を許容しながらも、選任される評議員の数や割合に一定の上限を設けることを法定し、評議員会に期待されるけん制機能の形骸化を防ぐことを検討しています。

Q40 「評議員の選任については、評議員会を選任機関として明確化」とは、評議員会以外による評議員の選任を認めないということでしょうか。

A 特別委員会報告書では、「基本的には評議員会を選任機関として明確にしつつ、理事・理事会により選任される評議員の数や割合に一定の上限を設けることを法律上措置すべきである。」とされており、評議員会以外によって評議員が選任されることも想定しているところです。具体的な取り扱いについては、今後の法制化の中で検討していきます。

Q41 評議員の選任については「評議員会を選任機関として明確化し、理事・理事会による選任に一定の上限を設定」とされていますが、理事会にて当該候補者を検討し、評議員会にて決議をする(適切な人材であるか)という流れで行うことに問題はないという理解で良いですか。

A 理事又は理事会が評議員を選任することを禁止している他法人制度においては、評議員の選任又は解任に当たりその議題又は議案を理事会が提出することは妨げられていないこととされています。 そのため、改正後の私立学校法においても、理事会において評議員候補者の原案を作成し、評議員会又は選任のための中立的な機関に提案することは妨げないこととし、当該機関において評議員を選任することを許容される方向で、法制的に検討したいと考えています。
 ただし、特別委員会報告書の趣旨を踏まえれば、実質的に理事・理事会がすべての評議員を選任していると同視できるような寄附行為の定め(理事会提案の評議員候補者からしか評議員会が評議員を選任できない旨の寄附行為の定め等)については、許されないと考えています。

Q42 評議員から理事を選出し、当該理事は評議員を辞職するとともに、評議員を選出した母体は再度評議員を選出することは許容されるのでしょうか。

A 「建設的な協働とけん制関係の確立」の観点から、理事と評議員との兼職は禁止されますが、兼職関係になければ評議員のうちから次期理事を選任することは可能であると考えており、その方向で検討しています。また、評議員が欠けた場合の評議員の補充についても、他法人制度も参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

Q43 現在の理事・監事を、改正後の評議員に選任することは可能でしょうか。また、現理事を監事とすること、現監事を理事とすることも可能ですか。

A 「建設的な協働とけん制関係の確立」の観点から、理事・監事と評議員との兼職は禁止されますが、元理事や元監事を評議員に選任することや元理事を監事、元監事を理事に選任することは可能であると考えており、その方向で検討しています。

Q44 職員評議員を設けられない場合、評議員の選任区分はどのようになるのでしょうか。

A 特別委員会報告書では、学校法人の職員が評議員に就任することは、教学と経営の協調を通じた教育の質の向上に対する責務や人的集団としての私立学校の特性に鑑み、認めた上で、特定の利害関係に偏らない幅広い意見を反映し、評議員会の機能の健全な実質化を推し進める観点から、評議員に占める数や割合に一定の上限を定めていくべきであるとされました。具体的な上限割合の詳細は、評議員会と理事会の建設的な協働と相互けん制の関係の形成に資する範囲内とすることが示されたことを踏まえながら、今後検討していきます。

Q45 理事・理事会により選任される評議員の評議員定数に占める上限割合は、どのようになるのですか。

A Q39の通り、理事・理事会による評議員選任を許容しつつ、選任される評議員の数や割合に一定の上限を設けることを検討しています。
 具体的な上限割合の詳細は、評議員会と理事会の建設的な協働と相互けん制の関係の形成に資する範囲内とすることが示されたことを踏まえながら、今後検討していきます。

Q46 評議員を構成する属性ごとの評議員定数に占める上限割合は、どのようになるのですか。

A 特別委員会報告書では、評議員の機能の健全な実質化・可視化を図るため、評議員の属性に応じた評議員会構成上の上限割合を設定することが示されました。役員近親者や同一団体所属者については、学校法人の設立の経緯や建学の精神との調和にも配慮して、評議員に占める数や割合の一定の上限を定めることについて、今後検討していきます。

Q47 議決権をもつ評議員に、使用人である教職員を一定範囲まで選任できることは、学校法人の意思決定のあり方として不適切ではないですか。

A 具体的な上限割合の詳細は、評議員の機能の健全な実質化・可視化を図ることが特別委員会報告書で示されたことを踏まえながら、今後検討していきます。

Q48 理事会と評議員会との関係性のなかで評議員会の役割、理事会への諮問機関としての役割強化を図ることになりますが、評議員に公認会計士、第三者評価に携わる関係者等を加えるなど弾力的な構成員選出も可能ですか。

A 理事又は理事会が評議員を選任することを禁止している他法人制度においては、評議員の選任又は解任に当たりその議題又は議案を理事会が提出することは妨げられていないこととされています。そのため、改正後の私立学校法においても、理事会において評議員候補者の原案を作成し、評議員会又は選任のための中立的な機関に提案することは妨げないこととし、当該機関において評議員を選任することを許容される方向で、法制的に検討したいと考えています。したがって、改正後においても、評議員に公認会計士、第三者評価に携わる関係者等を加えることは可能であると考えています。

Q49 評議員の候補者が「卒業生かつ教職員」など2つ以上の属性を持つ場合、どの属性に分けるかは法人が恣意的に判断してよいですか。

A 属性の振り分け方については、適切な方法について今後検討していきます。なお、卒業生については上限を定めることとはせず、評議員会の監督機能としての実効性の担保のため、現に学校法人と関係の深い教職員、役員近親者等について評議員に占める数、割合の一定の上限を定めることとし、具体的な算出方法等については引き続き検討していきます。

Q50 評議員数の下限のみならず「評議員数の上限」を定めることが有用であり、真に有為な人材を確保することにも繋がりますが、評議員の上限を規定することについて検討するのでしょうか。

A 特別委員会報告書でも示されているとおり、評議員の上限定数については、ガバナンス・コードの見直しにおける議論の中で検討させていただきたいと考えています。

Q51 評議員会の議長の選任方法を任意に定めることは可能でしょうか。

A 現行法において評議員会の議長の選任方法は各学校法人に委ねられており、その考え方を維持する方向で検討しています。なお、評議員会の議長と理事が兼任している場合には、理事と評議員の兼職解消を図ることとしていることを踏まえた見直しが必要です。

Q52 評議員の資格と選任⽅法、評議員会の構成等に関する規律は法定されるのですか。「資格」とは具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか。

A 評議員の資格、選任方法、評議員会の構成等に関する規律は、他法人制度も参考に、法定する方向で検討していきます。
 また、資格とは評議員に就任することができない事由(いわゆる欠格事由)などを想定していますが、他法人制度も参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

Q53 評議員に関して、補償契約、責任限定契約、損害賠償責任保険契約を締結することは可能ですか。

A 評議員の責任に鑑みて、他法人制度も参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

Q54 理事会は、評議員会に対し評議員の解任請求権はあるのでしょうか。

A 学校法人と評議員との関係が民法上の委任関係に立つことを前提に、評議員会の解任については、他法人制度も参考に検討して行きます。

Q55 評議員会と監事は協働するとなっていますが、評議員会の監視はどこが行うことになるのでしょうか。

A 特別委員会報告書では、「評議員会の活動状況も監事の監査の一環として確認し、評議員の不正行為や法令違反について所轄庁・理事会・評議員会への報告の対象とすべきである。」とされており、監事が行うことが示されています。

Q56 評議員「個人」の権限について、過去の判例(東京高裁平8・6・20判決)にもあるとおり、評議員会の場を離れて、評議員「個人」としての権限は何ら有さない旨を明記しないのですか。

A 当該裁判例は、評議員会に属する権限について評議員個人が自ら行使することができないと判断したものであり、個人としての評議員が何らの権限も有さないと判断したものではないと理解しています。
 理事会と建設的に協働し、理事長・理事会に対するけん制機能を健全に働かせるという評議員会の役割を踏まえ、個々の評議員にどのような権限を付与するか、他法人制度も参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

項目6 監事について

Q57 監事候補者はどのように推薦するのですか。理事長や理事が推薦することは可能でしょうか。

A 改正後の私立学校法案においては、理事会において監事候補者の原案を作成し、評議員会に提案することは妨げないこととし、それを踏まえて評議員会において監事を選任することを許容する方向で、法制的に検討したいと考えています。
 ただし、特別委員会報告書や改正法案骨子の趣旨を踏まえれば、実質的に理事・理事会が監事を選任していると同視できるような寄附行為の定め(理事会提案の監事候補者からしか評議員会が監事を選任できない旨の寄附行為の定め等)については、許されないと考えています。
 また、恣意的な監事の選任又は解任を防止する観点から、理事長や特定の理事による提案ではなく、理事会の決定を必要とすることが適当であると考えています。

Q58 監事を選任するのは「理事長」から「評議員会」に変更されるが、その理由が「監査される側が監事を選任するのは合理的ではないから」と説明されています。しかし、評議員会の活動状況も監事監査の一環になることを踏まえると、矛盾ではないでしょうか。

A 今般の学校法人制度改革は、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を基本的な考え方としつつ、理事・理事会、監事及び評議員・評議員会の各権限を明確に整理し、「建設的な協働と相互けん制」を確立することで、実効性のあるガバナンス構造を構築することとされています。
 学校法人の業務の執行は引き続き、理事会が行うことに対して、監視・監督の役割は監事・評議員会が担うこととなると認識しています。そのため、業務執行を行う理事長が監事を選任するという現行法の仕組みを改めることとしています。

Q59 役員近親者とは、どのような者ですか。

A これまでも、監事に期待される役割に鑑み、監事は理事の配偶者又は三親等以内の親族以外の者から選任することが望ましいこと(令和元年法改正時の通知)、評議員会の構成について、当該学校法人の役員及び職員が大多数を占めたり、特定の同族が多く選任されたりすることのないようにすること(平成16年法改正時の通知)が示されています。
 今回の改正では、これらについて法律上の規律として、役員近親者が監事に就任することを禁止するほか、評議員に含まれる役員近親者の数に一定の上限を設けることを検討しています。
 なお、役員近親者の範囲については、現行制度や他の法人制度も参考としつつ、検討していきます。

Q60 理事長が経営する会社に所属している者が学校の監事を務めることは認められますか。

A 監事については、現行法において、理事、評議員又は学校法人の職員の就任が禁止されており(私立学校法第39条)、更に特別委員会報告書において、役員近親者の監事の就任を禁止すべきであるとされました。これは、監査の実効性・客観性を高めるとともに、監事が理事会のモニタリング機能や評議員会のチェック機能の起点ともなることから、理事会や評議員会との協働や相互けん制を強化する趣旨です。そのため、監事としてふさわしい資格を有する者の範囲については、その趣旨を踏まえて、今後の法制化の中で、他法人制度も参考に検討していきます。

Q61 監事の一部を常勤化することが示された「特に規模の大きい大臣所轄学校法人」とはどのようなものですか。また、「一部」や「常勤」の定義は何ですか。

A 特別委員会報告書では、特に大規模な大臣所轄学校法人については、監査対象となる業務範囲が広いことや、常時の監査の必要性が大きくなることから、監事の一部について常勤化することが示されました。
 「特に大規模な大臣所轄学校法人」の範囲については、他の法人制度なども参考にしながら、今後詳細について検討していきます。
 また、「一部」とは、複数の監事のうち少なくとも一人を常勤とすることを想定しています。なお、一般的に、「常勤」とは、「定められた勤務時間中常に勤務する態勢にあり、かつ、職務専念義務があるもの」とされていますが、他法人制度も参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

項目7 会計監査について

Q62 会計監査人による会計監査の制度化について、私立学校振興助成法上選任している会計監査人については、改めて私立学校法上の会計監査人として選任することになるのでしょうか。

A 私立学校振興助成法に基づいて会計監査を実施している会計士等を、法律上そのまま私立学校法に基づく会計監査人とみなすわけではありませんので、手続上、改めて、私立学校法上の会計監査人として評議員会により選任することが必要になります。

Q63 会計監査人による会計監査など、学校法人会計基準の根拠は、私立学校振興助成法から私立学校法に移るのですか。その上で、全ての学校法人が学校法人会計基準に拠るという理解でよいですか。

A 私立学校法に基づく会計監査人の監査が制度化されることに伴い、学校法人会計基準を私立学校法に基づくものとして位置付ける必要があります。会計監査人による会計監査は、学校法人の説明責任の履行強化を目的とするものであり、私立学校法に位置付けることを予定しています。一方で、私立学校振興助成法助成法に基づく監査も存続させる予定であり、学校法人会計基準を、私立学校法及び私立学校振興助成法双方に基づく基準として位置付けることを検討しています。
 その上で、全ての学校法人に学校法人会計基準を適用する方向で検討しています。

Q64 学校法人会計基準の改定まで予定しているのですか。

A 私立学校法において会計監査人による監査を制度化するためには、私立学校法に基づく会計基準を整備することが必要となります。
 このため、現在の私立学校振興助成法に基づく学校法人会計基準を改正し、私立学校法及び私立学校振興助成法双方に基づく会計基準として位置付けることを予定しています。

Q65 大臣所轄学校法人においては、会計監査人による監査が規定されるようですが、会計帳簿の作成・保存・閲覧の義務化についても規定されるのですか。

A 他の法人制度も参考にしながら、会計帳簿の作成・保存・閲覧の義務化についても検討していきます。

Q66 「計算書類のセグメント別の情報表示」とは、現在の計算書類内訳表で部門ごとの内訳を表示しているものではなく、セグメント別で単独の計算書類を作成するということですか。

A 私立学校法により作成が必要な計算書類の内容については、現在の学校法人会計基準をベースとしながら、セグメント別の情報表示の在り方を含め、今後検討していく予定です。
 (現時点では、セグメント別で単独の計算書類を作成することは予定しておりません。)

Q67 財産目録等の作成期限を、現行の2か月から3か月に、1か月延長する理由は何ですか。

A 会計監査人による会計監査は、理事会承認前の計算書類及び財産目録について行うことを予定していることから、当該監査期間を確保するため、書類の作成期限(理事会承認の期限)を現行より1か月延長することを予定しています。

項目8 内部統制システムの整備について

Q68 整備すべき内部統制システムの考え方は、会社法により企業に求められる「内部統制システムの基本方針」に準じて整備するということですか。

A 内部統制システムの整備に求められる水準については、他法人制度も参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

Q69 「監事への内部通報」制度の整備にあたって、監事及び理事の役割等、具体的な体制整備の方法はどのようになるのでしょうか。

A 他法人制度も参考に、内部通報を受けた者が適切に監事に報告することなどを必要とする方向で、今後の法制化の中で検討していきます。

Q70 「学校法人の業務の適正を確保するために必要なリスク管理」とは、具体的にどのようなことでしょうか。リスクマネジメントは、コンプライアンスだけにとどまらせるのではなく、学校経営を円滑に行い、リスクを認識し、回避しつつ継続的な存続を維持するよう、幅広くとらえるべきではないですか。

A 2021(令和3)年3月19日に取りまとめられた、「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」報告書では、公益的な法人としてのガバナンスを確保するためにふさわしい学校法人制度の在り方が議論されました。
 その結果、①中長期的な教育研究の質の向上を図る「攻め」のガバナンス向上に向けて、優れた理事長・役員の選任、理事の執行と理事会の監督の分離などについて、学校法人の多様性を尊重しながら後押しする枠組みの構築、②不祥事事案の発生を防ぎ社会からの信頼を確保する「守り」のガバナンスの確保に向けては、評議員会の監督権限、役員の解任事由や手続、監事の独立性などについて、他の公益法人と同等の枠組みの整備などを求める改革方策の基本的な方向性を提言頂きました。
 特別委員会報告書でもこの考え方は踏襲されているものと認識しています。

項目9 その他

Q71 子法人の対象はどの範囲ですか。

A 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律では、子法人を「一般社団法人又は一般財団法人がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」と定義しており、学校法人における子法人についても、これらを参考に、今後の法制化の中で検討していきます。

Q72 監事・会計監査人の調査対象に子法人を含めることについて、監事が子法人の「役職員」を兼職することが禁止されていますが、この「役職員」とは取締役、理事を意味し、監事や監査役は含まれないという理解でよいですか。

A 今般の改正において、監事・会計監査人に子法人に対する調査権を付与する趣旨は、学校法人が子法人を利用した不適切な行為を行うことを防止する観点等から、学校法人に対する監査に必要な範囲で、子法人の業務及び財産の状況を調査できることとするものです。その上で、子法人の監査については、会社法等の法令に基づいて適切に監査されるべきものであると考えています。
 また、上記趣旨から子法人の役職員との兼職禁止は、子法人の業務執行者等を対象とし、子法人の監事・監査役等との兼職は禁止する必要がないと考えています。
 なお、法案骨子においては、「監事が子法人の業務を執行する理事・取締役や社員等を兼職することを禁止する。」と修正しています。

Q73 監事・会計監査人の監査の対象に子法人を含めるのですか。

A 監事・会計監査人に子法人に対する調査権を付与する趣旨は、学校法人が子法人を利用した不適切な行為を行うことを防止する観点等から、学校法人に対する監査に必要な範囲で、子法人の業務及び財産の状況を調査できることとするものです。したがって、監事・会計監査人の監査の対象に子法人を含めようとするものではありません。

Q74 監事・会計監査人に子法人の調査権を付与することは、子法人の監事・会計監査人との役割が不明確にならないですか。

A 子法人に対する調査は、あくまで学校法人が子法人を利用して不適切な行為を行っていないかという観点等から行われるものであり、子法人の業務や会計処理が適正に行われているどうかを監査するものではありません。このため、子法人の監事・会計監査人との役割が不明確になるという問題は生じないものと考えます。

Q75 今後の法改正のスケジュールはどうなるのですか。新制度はいつから施行されるのですか。

A 特別委員会報告書を踏まえ、文部科学省において報告書に基づく私立学校法改正法案の骨子案を作成し、その内容について広く国民の皆様から御意見を伺う意見募集を実施し、法案骨子を公表しました。
 国民の皆様から頂いた御意見も踏まえた上で、法制化の作業を進め、法案を国会に提出できるよう努力していきます。
 新制度の施行時期については、現時点で未定ですが、現状から変更が生じる事項について負担の軽減と運営の継続性を確保する観点から、十分な準備期間を設けることが必要であると考えています。

Q76 改正法施行前に、改正後の法令を踏まえた学内規程等の体制整備を行うことは可能ですか。

A 施行に伴う経過措置については、今後の法制化の中で検討していきますが、学内規程の効力発生日を施行日以後にすることで、改正法施行前に学内規程等の体制整備を行うことは可能と考えています。

Q77 寄附行為作成例や標準的な寄附行為は、今後示されるのですか。

A 学校法人の制度改革は、ハードローとしての私立学校法の改正だけでなく、関係する政省令や寄附行為作成例、設置認可等に関する審査基準、関係団体におけるガバナンス・コードの見直し等、実効性確保の方策が総合的になされた上で、各学校法人における自主的な検討と改善を促していくことになります。
 寄附行為作成例や標準的な寄附行為についても、こうした総合的な実効性確保の方策の一つであり、今後、その見直しについて検討した上で、お示ししていくことを考えています。

Q78 各大学団体等が作成しているガバナンス・コードの見直し・充実について、今後どのように取り組んでいくのですか。

A 私立大学版ガバナンス・コードについては、令和3年3月に取りまとめられた学校法人のガバナンスに関する有識者会議で「各大学における遵守状況の点検・公表の段階的な推進を強力に推進していくとともに、できる限り早期にコンプライ・オア・エクスプレイン方式への移行を目指していくべき」とされました。
 今後、法改正の状況を踏まえつつ、各大学団体等においてガバナンス・コードの見直し・充実に向けた自主的取組が進むことが期待されますが、そうした取組を一層促進するための更なる方策についても、関係者とも協議・相談しつつ検討していきます。

(高等教育局私学部私学行政課)