「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について」(令和7年6月26日付文部科学省高等教育局私学部長通知)の考え方等について

 

「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について」(令和7年6月26日付文部科学省高等教育局私学部長通知)(以下「通知」という。)に関して、各設置者における対応の参考として、これまで寄せられた質問等に対する考え方等を取りまとめましたのでお知らせいたします。
各私立大学の設置者におかれては、令和8年度大学入学者選抜に向けて検討の上、必要な対応を行っていただくようお願いします。

<質問1>
最高裁判所判決において大学は入学料の返還義務を負わないこととされているが、通知との関係をどのように考えているのか。

  <回答>

入学料の額や納付期限等の取扱いについては、最高裁判所判決等も踏まえ、各設置者において判断されるべきものですが、入学しない大学に納付する入学料が、学生や保護者にとって負担となっていることについて、国会等においても、度々、指摘されているところです。 また、最高裁判所判決当時に比べ、併願が可能な総合型選抜等を実施する大学が増える等、一般選抜以前の受験機会が拡大していることをはじめ、入学者選抜の機会が多様化し、入学料を複数の大学に納付する機会が拡大している状況があるとともに、高等教育における教育費負担軽減が重要な課題となっています。 通知は、こうした状況等を踏まえ、複数大学への入学料の納付が進路選択の幅を狭めることのないよう、入学しない学生の納付する入学料に係る負担軽減のために必要な対応を行っていただくことをお願いするものです。
 

<質問2>
通知では、一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜のいずれにおける対応を求めているのか。

<回答>
 一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜の入試方法の別に関わらず、入学料を複数の大学に納付する機会が生じ得る場合には、複数大学への入学料の納付が進路選択の幅を狭めることのないよう必要な対応を行っていただくことをお願いするものです。
 

<質問3>
一部の入試方法から段階的に学生の負担軽減のための対応を行うことは考えられるか。

<回答>
全ての入試方法において対応を行うために時間を要する等の場合に、速やかな対応を図る観点から、入試方法の一部から対応を行うことも考えられます。
 
 

<質問4>
大学が既に公表した入学者選抜要項等において、納付された入学料については返還しない旨の記載がある場合、どのように対応したらよいか。

<回答>
 各大学の募集要項等において、納付された入学料については返還しない旨の記載を公表している場合であっても、通知を踏まえ、入学しない場合の入学料に係る負担軽減を図るための取組を講じようとする場合には、志願者にとって不利益変更ではないため、別途、ホームページ等においてその旨を公表することなどによって対応していただくことが可能です。
 
 

<質問5>
通知に記載されている「複数大学への入学料の納付が進路選択の幅を狭めることのないよう経済的に困難な学生への特段の配慮の観点」の考慮について具体的な対応としてどのようなものを想定しているのか。

<回答>
 経済的に困難な学生が、複数大学への入学料の納付という経済的な事情によって進路選択の幅を狭めることのないよう、例えば、当該学生について、入学料を減免したり、納付時期を複数回設定したり、納付を猶予したりすることなど、入学料に係る負担の軽減を図ることが考えられます。

 

<質問6>
通知に記載されている「経済的に困難な学生」とは具体的にどのような学生を想定しているのか。

<回答>
 配慮をする対象やその内容の具体的な判断については、国等による支援の枠組みの対象範囲や支援の趣旨も参考に、法人ごとに御判断されるものです。
 例えば、独立行政法人日本学生支援機構では、社会的養護のもとで育った生徒が大学等への進学をあきらめることのないよう児童養護施設等の生徒への受験料等支援を実施しております。設置者が経済的に困難な学生への特段の配慮を行う場合には、本取組の趣旨を考慮いただき、当該支援対象者について配慮をいただくことが考えられます。
<参考>
独立行政法人日本学生支援機構 児童養護施設等の生徒への受験料等支援
https://www.jasso.go.jp/kihukin/j_shien/index.html
 
また、その他の国等による支援の枠組みの例として、高等学校段階では、高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)等による支援が行われています。さらには、高等教育段階では、「高等教育の修学支援新制度」等による支援を実施しています。
 
 

<質問7>
経済的に困難な学生に配慮した負担軽減策を講じようとする場合に、経済的状況の把握はどのように行うことが考えられるか。

<回答>
入学料に係る負担軽減を図ろうとする場合の経済的状況の把握については、出願時等に関係書類の提出等によって個別に確認を行うことのほか、例えば、児童養護施設等の在籍証明書や高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)の支給決定に係る通知、修学支援新制度(給付奨学金・授業料等減免)の予約採用候補者決定通知の写し等を活用することが考えられます。

 

<質問8>
経済的に困難な一部の学生から段階的に負担軽減のための対応を行うことは考えられるか。

<回答>
全ての学生に対して対応を行うために時間を要する等の場合に、速やかな対応を図る観点から、経済的に困難な一部の学生への配慮から対応を行うことも考えられます。
 

<質問9>
通知に記載されている「入学料納付後の学生の入学辞退の意思表示の時期が、大学において他の入学者選抜等により辞退者の代わりの入学者を決定することができ得る時期かどうかという観点」の考慮について具体的な対応としてどのようなものを想定しているのか。

<回答>
 例えば、入学料の納付後、入学辞退の意思表示の時期によって、入学料の全部または一部を返還することとしたり、入学料を返還する場合に、いくつかの時期に応じて返還額に差を設けたりするなど、入学料に係る負担の軽減を図ることが考えられます。
 
 

<質問10>
通知に記載されている「入学料を納付する時期を複数回設定するなどの時期の設定の観点」の考慮について具体的な対応としてどのようなものを想定しているのか。

<回答>
 例えば、合格者の決定発表後に、入学料の一部を納付することとし、年度内など一定の時期までに残余の額を納付することや、入学料の納付期限を後ろ倒しすること等により、結果的に入学しなかった大学に納付する入学料が抑制され、学生の負担軽減が図られることが考えられます。
 
 

<質問11>
今回示された「寄せられた質問等に対する考え方等」は、全ての項目に対応することが求められるのか。

<回答>
今回示しているものは、通知の内容の一部の考え方を示したものであって、各設置者の判断により、いくつかの取組を組み合わせることや、他の取組を講ずることも考えられます。
一方で、まずは内容の一部に取り組む場合でも、通知の趣旨も踏まえ、学生の経済的負担の軽減に向けて、着実に取組を進めていただくようお願いします。
 
 

<質問12>
今後、対応状況等についての確認は行われるのか。

<回答>
 今後、文部科学省から各設置者に対して、令和8年度入学者選抜に向けた対応状況や対応方針等について伺うことを予定しています。