有識者の講演2(京都会場)

平成27年度 文部科学省 学校法人監事研修会
京都精華大学 非常勤監事 位ノ花 俊明

非常勤監事が果たせる役割りとは

1.はじめに

 私立大学法人の監事の現状から
  監事を取り巻く環境が変化していますが
   なぜ多くの監事が非常勤なのか
   監事の重要性の変化
 
 任免、権限、職責などから来ている基本的な問題
  監事の選任
  監事選任の基準
   監事の専門性とは 

2.監事の職務とは

 常勤監事と非常勤監事
  同じところは?異なるところは?
 
 法人の業務とは
 財産の状況とは
 
 「監査報告書」の署名押印 

3.下の公的書類の点検は、監事監査の範囲の例示でしょうか   

 a.「学校法人実態調査表」
 b.「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく「体制整備等自己評価チエックリスト」
 c.「内部規則等の総点検・見直し結果の調査について」
 d.「学校法人における会計処理等に関する実態調査について(依頼)」

4.学校法人京都精華大学の概要

  芸術と人文学の融合による「表現の大学」を目指しています 
  学章、学旗、学歌の無い大学
 
  人文学部、芸術学部、デザイン学部、マンガ学部、ポピュラーカルチャー学部
  大学院
  入学定員 1,172人(内、大学院74人)
  
  監事の構成 3人(全員が非常勤監事)
    弁護士/企業経営者/元大学職員
  内部監査室 
    9月の理事会で「内部監査規程」を制定し、設置が決定されました

5.京都精華大学の監事監査

 基本的な姿勢
  社会的、第三者的な視点で妥当性、適法性を検証する
  所属法人、設置大学の発展に寄与する
  教職員では慣例化して気づかないような点を指摘し、改善のきっかけとする
  監事監査でもPDCAを回すことを意識する
 
 監査の現状
  年度当初に「監査方針」と「監査計画書」を作成し、理事長と協議決定する
  監査の視点は
   ・手続きを正しく踏んでいるか
   ・十分な検討を行っているか
   ・社会性のある妥当な判断か
   →監事監査はガバナンスの監査として実施
 
  理事会  定例は年間4回
   = 監事全員が出席し、意見を述べる
  評議員会 定例は年間4回
   = 監事の内1名が代表出席し、意見を述べる
  業務監査会議
   = 年度末(5月)に、学内理事、公認会計士、法人事務局の各部課長から報告を受け、意見交換する
     この会議終了後、監査報告書に署名押印する
  公認会計士との協議、意見交換
   = 期首と期末の2回。会計士監査時に会計処理を中心に状況に関して情報交換する
  常務理事会議事録の査読
   = 毎週月曜日に開催される常務理事会の議事録が、月単位で監事に郵送されるので、これを査読し、監事会(後述)等で必要な確認を行う
  大学の出版、広報物
   = 理事会での配布の他、適時、監事に郵送される
  監事会
   = 8月を除く毎月1回。監事3名が理事、現場担当者から業務遂行状況等を聴取し、意見交換する
 
 具体的な監査活動例では
  学内諸規程の整合性の確認
   新規制定の規程に関しては、既存の規定との整合性などを点検する
   現在の規程に不整合や矛盾が無いか
  業務が規程に従って正しく遂行されているか
 
  財産の状況
   会計士との意見交換による重要な取引の確認、疑問点の把握
   予算編成手続き、および業務計画の反映の確認
   学外に保有する固定資産の保全、運用状況の確認
   固定資産に計上されないものの内、流通性のある物品の管理の確認
 
  業務の状況
   経営に影響を与える業務について担当からの実態聴取
   常務理事会での検討の状況の確認
   理事会、評議員会の議事録についての確認
   各種委員会の議事録による開催、議題の状況の点検
 
   教学に関しては
    学部改革の審議状況の確認
    学長のガバナンスに係る規程改正に関して、教授会の審議状況の確認
    補講など学則に沿った実施の確認
    自己点検評価報告書の作成、記載に関しての確認
    学生募集、進路支援に係る取り組みの確認 

6.監査に利用している役立つ資料等は

   各種議事録
   稟議書
   自己点検評価・報告書
   事業計画書
   指導、監督官庁等からの通知、通達等文書類       

7.監事意見が寄与した改善の例

  理事選出基準の変更
   理事会の経営、運営の継続性を高めるため
  稟議制度の改善
  予算編成時期の早期化とヒアリングの充実による事業計画の予算(業務)への反映
  補助金執行管理の見直し
  学外老朽化資産の処理
  各種委員会の設置必要性および手当支給の見直し
  自己点検評価報告書の「将来の改善・改革に向けた方策」の継続的検討
  学長選挙に当たっての選挙方法などの改善  


8.最後に

 監事監査を実質化し、PDCAを回すため
 ・ 理事会、評議員会での発言は、議事録に記載いただくこと
 ・ 監査記録を残し、必用な指摘、意見は文書で理事長に提出すること
 ・ 重要性があると思われる指摘、意見は、監査報告書(一般的な様式)の他に「意見書」として作成提出し、その内容については書面での回答を受けること  

お問合せ先

私学部参事官付

-- 登録:平成27年12月 --