学校法人の管理運営の適正確保について

文管企第207号
昭和58年7月29日

文部大臣所轄各学校法人理事長 殿

文部事務次官
佐野 文一郎

  近時、私立大学の一部において、私立大学等経営費補助金の不正受領、学園内での刑事々件などの不祥事をはじめ学校法人の管理運営について適正を欠く事例がみられることは、私立学校全体の社会的信頼にも影響を及ぼすものであり、極めて遺憾であります。
  各学校法人におかれては、かねてから法人運営、会計処理、補助金事務等の適正な執行について努力されていることと存じますが、この際改めて私立学校に負託された社会的責務の重大さに思いを致され、かかる不祥事の根絶を図ることはもとより、学校法人の適切な管理運営の確保について今後一層の努力を払い、私立学校に対する社会的信頼の確立に努められるよう強く要請いたします。
  ついては、下記事項に御留意の上、学校法人の管理運営状況の全般にわたって再点検を行い、従来からの慣行にとらわれることなく、必要な点については早急に改善されるようお願いします。
  おって、今後学校法人の管理運営が適正を欠く場合及び補助金の申請、各種の報告等の内容に虚偽があったなどの場合は、補助金の交付等について法令の規定にのっとり一層厳正な態度で対処するものであることを申し添えます。

1.学校法人の運営について

  • (1)私立学校法、学校教育法等の関係法令並びに寄附行為を遵守して法人運営を行うこと。
      特に、理事及び評議員会は、私立学校法及び寄附行為に定められた職責並びに私立学校の公共性とこれに伴う社会的責任を自覚してそれぞれに課せられた役割を果たし、法人の適正な運営に努めること。
  • (2)学校法人の運営のために必要な学内諸規程の整備を図って組織的な運営に努めるとともに、いやしくも法人の運営に関する諸決定が正規の機関、正規の手続の外で行われることのないようにすること。
  • (3)理事、監事及び評議員の選任に当たっては、私立学校が極めて公共性の高いものであることに配意して学校経営に参画するにふさわしい者を慎重に人選し、社会の信頼に応える適正な運営が行われるよう努めること。
      また、理事、監事及び評議員が欠員となったときは、速やかに適任者を補充し、法人の正常な運営に努めること。
  • (4)監事は、私立学校法並びに寄附行為の定めるところにより学校法人の財産の状況並びに理事の業務執行の状況について監査を行うという職務の重大性を自覚し、厳正かつ積極的にその職責を尽くすこと。
      なお、監事は、私立学校法の規定により、学校法人の財産の状況又は理事の業務執行の状況について理事に意見を述べるとともに、監査の結果不整の点があることを発見したときは、これを所轄庁又は評議員会に報告することとされていることにも留意すること。

2.学校法人の会計処理について

  • (1)学校法人会計基準に従って適切に会計処理を行うこと。特に、基本金への組入れ処理は学校法人としての明確な計画性をもって行うこと。
      なお、私立大学等経常費補助金の交付を受けていない学校法人にあっても、できるだけこの基準に従って会計処理を行うことが望ましいこと。
  • (2)会計処理に当たっては、財政及び経営の状況について真実な内容を財務計算書類に明瞭に表示すること。また、内部監査機能の強化などにより経理の適正を期するとともに、必要に応じて財務状況を関係者に明示すること。

3.補助金の交付申請等について

  補助金の交付申請等に当たっては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律等法令の規定及び私立大学等経常費補助金取扱要領等に従い、提出書類を十分点検するなど遺漏なきを期すること。

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