「産学連携による実践型人材育成事業-長期インターンシップ・プログラム開発-(平成18年度採択)」中間評価結果

大 学 名
(共同:主となる大学名に◎)
立教大学
申請区分 (1) 単独   2 共同 設置形態
共同:主となる大学
1 国立   2 公立   (3) 私立
教育プロジェクト名称

派遣型ビジネスクリエーター養成プログラム

学長の氏名 大橋 英五
事業責任者 所属部局
職名
氏名
大学院 ビジネスデザイン研究科
教授
松井 泰則

◇事業概要(目的、特色、重要性など):大学からの進捗状況報告書を抜粋

<事業の目的>
 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科では、平成14年より「ビジネスクリエーター」の養成を教育目標に掲げ、養成に関する一群の手法を経営科学技術と捉え、体系的な教育プログラムの開発に注力してきた。「ビジネスクリエーター」とは、ビジネスの専門性に立脚しながら企業経営全体を俯瞰し、新たなビジョンにもとづいて業務や事業を構想できるコーポレートアントレプレナーシップを持つ自立したゼネラリスト人材と定義している。
 そのような実績・背景の中、本プロジェクトの目的は、
(1) 企業活動を資本流通の側面から支えてきた金融機関の持つ資金アドバイスや経営コンサルティング等の実 務的視点を取り込み、より実践的で俯瞰的な能力育成を目指すこと
(2) 教育プログラムが提供する理論的な知識を、製造業・中小企業を中心とした地元の地域企業を対象として実際的に運用し、その効果を検証するとともに課題を把握し、より高度な教育プログラムに改良していくこと
(3) 異なる背景を持つ院生同士がチームを組み、金融機関や地域企業の現場を体験することにより、異業種間交流的な効果を促進し、新しい気づきやクリエイティブな精神を醸成すること
(4) 本プロジェクトに協力いただく金融機関や地域企業にとっても、単なる学術研究への協力ではなく、実務上のメリットを感じるような具体的で完成度の高い成果を提供すること にある。

<事業の特色>
 本プロジェクトの特徴は、地元金融機関である巣鴨信用金庫と、その取引先企業を中心とした地域企業(製造業、卸売業他)の協力により、「二段階インターンシップ」を実現している点にある。毎年、協力いただく地域企業を巣鴨信用金庫と一緒に3~4者選定し、各社1~2チームの院生チーム(1チーム5~6名)を編成する。
 第一次派遣では、協力いただく地域企業から提出された財務諸表データや各社ホームページ情報などから、市場分析、事業環境分析、技術動向分析、競合企業分析、基礎的な財務分析などを、巣鴨信用金庫の研修施設を利用しながら客観的かつ間接的に研究する。巣鴨信用金庫の中小企業診断士や対象地域企業の担当者なども加わり、対象地域企業を取り巻く全体環境をコ・ワーク(Co-Work)することで、より俯瞰的で全体的な視野の育成を可能としている。
 第二次派遣では、第一次派遣で研究した知識・知見をベースに、実際に対象地域企業を訪問し、現場視察や地域企業担当者との意見交換などを通じて、より具体的で実践的な課題発見能力および新しい提案の創造能力の育成を目指している。
 第一次派遣および第二次派遣それぞれの終わりには、各チームより研究成果の発表を行い、その場には対象とした地域企業の経営者に列席いただき、研究成果に対するコメントを頂いている。

<事業の重要性など>
 ■ゼネラリスト人材について…近年の教育プログラムは、財務、マーケティング、金融、知財、経営などスペシャリスト養成にその軸足を置いているが、企業の経営全体を俯瞰しながら何か新しいビジネスを創造し企画していくには、それらスペシャリストがもつすべての知識・情報を全体的かつ総合的に活用し判断する能力、すなわちゼネラリスト的な能力が必要である。特に、今回協力いただいた地元金融機関や地域企業のような中小企業では人的資質も少なく、外部のスペシャリストを活用しながら適切な事業判断を下していくゼネラリストの必要性を感じている。
 ■二段階インターンシップについて…第一次派遣先として金融機関で事前研究するステップは極めて有効である。特に第二次派遣先が中小企業の場合、多くは創業者やオーナー経営者であることが多く、事業にかける思いや技術に関するこだわりは凄いものがあり、いきなり院生チームを中小企業等へ派遣したのでは、その勢いに飲み込まれてしまい、全体的で俯瞰的な思考を維持できなくなる恐れがある。その点、第一次派遣先がその地域企業を知る金融機関であれば、財務的な側面から事前に地域企業を分析・理解すると同時に、金融機関の目から見ている地域企業の情報を事前に学ぶことが可能である。
 ■波及効果について…院生2年次後期の事後学習ステージでは、ビジネスプランの中にインターンシップの派遣先企業を関連づけるなど、よりリアルで具体的な事業計画の立案に役立っている。  

◇産学連携高度人材育成推進委員会における所見

(総合評価)
当初目標を達成するには、助言等を考慮し、一層の努力が必要と判断される。

(コメント)

  1. 本教育プロジェクトは、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科、巣鴨信用金庫、および地域のパートナー企業の3者で「ビジネスクリエーター」を養成し、コーポレートアントレナシップを持つ自立したゼネラリスト人材の育成を目的としている。
  2. 「二段階インターンシップ」を採用し、まずは第1次派遣先の巣鴨信用金庫とともに地域企業の分析を行い、第2次派遣としてその地域企業にて実戦的な課題発見や提案を行うといったユニークな取り組みで、中小企業振興ためにオーナー社長にアプローチするなどビジネスクリエーターの育成に取り組んでいることは高く評価できる。
  3. しかしながら、参加しているのは30~35歳といった社会人学生が中心で、そのために第2次派遣は実際の仕事時間帯よりも平日の夜や土曜日に実施されている。実務が行われている時間帯での経営会議に少しでも参画などの工夫をしていただきたい。
  4. また、「ビジネスクリエーター」がアントレプレナーを主とするならば、もう少し年齢層の低い博士前期課程の学生(社会人でなく学部からの学生)も対象にできるような展開も検討していただきたい。
  5. 受講した学生の意見や評価が、次の期の学生に適切にえられていない理由として、プログラムが毎年改良され、発展しているため、次期学生の履修の参考にならないとあるが、その年に実施されたことを次期候補者になんらかの形で伝わるように検討していただきたい。
     今後、以上の点を考慮し、一層の努力と工夫を重ねられることを期待する。

お問合せ先

文部科学省高等教育局専門教育課

電話番号:03-5253-4111(内線2992)

(文部科学省高等教育局専門教育課)

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