「産学連携による実践型人材育成事業-長期インターンシップ・プログラム開発-(平成18年度採択)」中間評価結果
大 学 名
(共同:主となる大学名に◎) |
信州大学 |
申請区分 |
(1) 単独 2 共同 |
設置形態
共同:主となる大学 |
(1) 国立 2 公立 3 私立 |
教育プロジェクト名称 |
長寿長野を支える機能性食品の開発人材養成 -地元企業と連携した高度専門技術と経営感覚の統合教育-
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学長の氏名 |
小宮山 淳 |
事業責任者 |
所属部局
職名
氏名 |
農学研究科長 唐澤 豊
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◇事業概要(目的、特色、重要性など):大学からの進捗状況報告書を抜粋
<事業の目的>
当大学農学研究科機能性食品開発学専攻コースは、国民の健康・長寿、食の安全に資する高度な専門性を有する機能性食品開発・技術人材を育成している。本プログラムは、地域の食材を生かした機能性食品企業が多い長野県の特性を活かし、機能性食品開発を学ぶ修士課程一年生を、企業活動全体を見渡すことが可能な地域の中規模食品企業に派遣して、幅広い企業活動を経験させ、広い視野と経営感覚を併せ持つ高度実践型の機能性食品技術者を育成することを目的とする。その目的のために;
(1)インターン研修により、食品工業に関わる課題発掘力と問題解決能力を技術とマネージメントの融合を通して習得させる。
(2)産学官の連携研究会「信州機能性食品開発研究会」のフォーラム、共同研究事業に参加し、専門性の高度化と実践への応用力を身につけさせる。
(3)事前教育―インターン研修―事後教育を系統化して、高度食品技術者としての社会人基礎力を身につけさせる。
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<事業の特色>
本インターンシップ事業の特色は以下の通りである。
(1)本インターンシップの社会的枠組みが整備されている点。すなわちインターン研修生は主とし
て「信州機能性食品開発研究会(参加49企業・機関、86名)」の会員企業において企業実務を研鑽し、並行して同研究会の「教育GP学生会員」として機能性食品に関る実践的な専門性を高める機会を得ている点。更には、同研究会において研修の成果報告を行うなどにより、対社会的発信を行っている点。
(2)農学研究科全体として将来のコア科目化を確実にするため、当面は各専攻の選択科目「特別演習」(2単位)とし、学生のエントリーは指導教員の同意を得るものとしている点。
(3)インターン研修先企業スタッフ・大学指導教員のメンバーからなる指導チームが、きめ細かい計画、フォロー、助言、指導等を行っている点。
(4)上記インターン研修先企業のメンバーには企業内指導員として委嘱状を農学研究科長より発令している点。
(5)インターン研修の内容・テーマについては各企業の特徴を十分ふまえて、学生・指導チームメンバーが事前に周到な打合せを行い、学生の研修意欲が反映されるようにしている点。
(6)所定期間修了後も事後教育と併せて補完的に研修を継続できるよう、派遣先企業の協力体制が得られている点。
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<事業の重要性など>
国民の健康の基盤となる食品に関わる昨今の状況は、その機能の多様化、高度化の一方で安全・安心面での作為・不作為の問題も発生している。食品技術者には、高度な専門性と健全な経営感覚を併せ持つことが極めて重要になってきている。
こうした観点から、中小規模の地場産業からなる長野県の食品産業と、当大学が人材育成において協力することは相互にとって極めて意味あることである。大学にとっては、食品企業活動の一貫した流れを総合的に学生に体験させることが出来、企業は直接・間接に大学の研究成果、研究開発の方法論導入の波及効果を期待できる。
本プロジェクトの目指す育成人材像の要件は次の通りである。
1) 地域をよく知り、地域産業資源と地域特性を活かす能力と、地域に貢献するマインド
2) 自分或いは企業が持つ技術シーズを売れる商品に結びつける開発能力
3) 経営的視点をもって、長期的展望のもとに技術開発を評価する判断能力
4) 幅広い知識と視野を持ち、企業組織をマネージするリーダーシップ能力
5) 食品企業のコンプライアンスに必要な高い倫理観 |
◇産学連携高度人材育成推進委員会における所見
(総合評価)
当初計画は順調に実施に移され、現行の努力を継続することによって目的達成が可能と判断される。 |
(コメント)
- 「信州機能性食品開発研究会」という地域企業と大学で構成されるコミュニティーが学生会員も取り込み、産学連携教育の実践場になっている点、また具体例として(1)企業への商品開発企画提案書、業務改善提案書や、(2)大学への教育改善提案書の作成は学生のコミットメントを高め、プログラムの課題を顕在化させている。このような地域社会を教育場にした実践教育は評価できる。
- 一方、派遣形態は企業種によって最適な姿が異なってくるのではないか、それは学生派遣先で、当プログラムの統一した考え方と現場の考え方の間でミスマッチが生じはじめていることに表れている。もう一度原点に立ち返って長期インターンシップ目標を明確に具現化されたい。
- 事前教育の「周到な打ち合わせ」とは何か、事後の進路や、博士後期課程につなぐフォローアップがどのようになされているのか、など説明が十分とは言えない。また、企業や学生の満足度も必ずしも高くないことから、関連情報を公開し、企業や学生の参加意欲を刺激し、プログラムの波及効果を高めて頂きたい。
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文部科学省高等教育局専門教育課
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