「産学連携による実践型人材育成事業-長期インターンシップ・プログラム開発-(平成18年度採択)」中間評価結果
大 学 名
(共同:主となる大学名に◎) |
福井大学 |
申請区分 |
(1) 単独 2 共同 |
設置形態
共同:主となる大学 |
(1) 国立 2 公立 3 私立 |
教育プロジェクト名称 |
地域産業との連携による派遣型高度人材育成 |
学長の氏名 |
福田 優 |
事業責任者 |
所属部局
職名
氏名 |
工学研究科ファイバーアメニティ工学専攻
教授
長谷 博行
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◇事業概要(目的、特色、重要性など):大学からの進捗状況報告書を抜粋
<事業の目的>
本学大学院工学研究科では学生の個性に応じた総合力を育む大学院教育を展開しており、その一環として、長期インターンシップによる地域産業との連携による派遣型高度人材育成を推進する。本教育プロジェクトは、大学院生を対象に、産業や研究機関の現場での派遣教育の実践を通して、課題設定能力、物の設計やパラメータの決定など、システマティックに目標を達成する能力、企業活動全体の中での自らの専門の位置づけと果たすべき役割を理解する能力、目標達成に向けて異なる分野の技術を理解し、利用・組み合わせる能力、目標達成のために組織を運営する能力を育成することによって産業の取り組みを理解し、自主的に問題を解決する素養のある、総合的な見識をもった高度専門人材を育成することを目的とする。 |
<事業の特色>
本教育プロジェクトの特色は以下のように要約される。
(1)組織的取り組み
大学院工学研究科内に設置した派遣型高度人材育成センターを核として、厳選された学生を企業に長期派遣することで、産業の取り組みを理解し、自主的に問題を解決する素養のある高度専門人材を育成する。地域協賛企業の高度専門人材育成関連部門を横断的に連合した組織(ウェブシェーパコンソーシアム)との密接な産学連携活動を継続、連携範囲を福井県のみならず地場産業の関係深い近隣の県にも拡大、また、本学各専攻の幅広い専門分野に拡充することで、教員の個人プレーから脱却した、選択肢の豊富な、持続性のある組織的派遣教育の実践を目指す。
(2)大学院教育改革の一環
工学研究科教務学生委員会を通じた研究科内の合意に基づき、教育委員会にて正規カリキュラムとして策定、併行し展開することとなった大学院教育改革プログラムで、集団指導体制により学生毎にオーダーメードで設定する産学官連携教育カリキュラムの選択肢の一つとして、望む学生に主体的に学べる場を与えている。所要時間は事前教育1.5ヶ月、派遣教育3ヶ月、事後教育1ヶ月を目安とし、修了者に10単位を認定し付与する。
(3)地域産業との連携活動
上記地域産業を中心とした横断的連合組織との連携により、定期的な人材育成勉強会を継続するとともに、この勉強会をベースとした産学官連携により、本教育プロジェクトと併行し、地域産業界の指導的階層を講師とする任意参加の講師派遣型講演会を開催、地域産業界が求める人材像への理解と学生の意識高揚を図ることで、地域産業との両方向性の連携教育を実現している。
(4)Plan-Do-Seeを実行
大学院教育の一環として実行し、高い教育効果を得るため、派遣型高度人材センター内に設けた実施委員会で、本教育プロジェクトの企画立案、実施に係わる詳細事項の決定と学内関連部局・委員会との間の連絡調整を図るとともに、運営委員会で評価、改善指針を審議、結果を次年度計画に反映する。派遣教育のスキームとして、事前説明会により学生のやる気を起こさせ、即戦力に向けた事前教育、長期インターンシップによる派遣教育、補足・終了報告書作成・成果発表・反省のための事後教育の各段階を大学と産業が協同で行う体制をとっている。
(5)プロジェクトの質の向上
本教育プロジェクトの持続的発展を促すため、国内外の先駆的な機関の有識者を招いてセミナーを毎年開催し、意見交換の場を提供、産学官、特に教育の原動力となる教員の意識改革を図っている。 |
<事業の重要性など>
科学技術の高度化・専門家の急速な発展と併せ産業の国際的自由競争化・グローバル化、人材の流動が進展しつつある中、大学院教育の修了者に期待される人材像として、産業の取り組みを理解し、自主的に問題を解決する素養のある、総合的な見識を持った高度専門人材を育成することが、わが国でも急務となっている。本教育プロジェクトは、本学における大学院教育の質の向上に資するのみならず、産学官が協同して行う高度人材育成の有効な一方法を確立し、将来のわが国の大学院教育の基礎とする点において、極めて重要な役割を果たすことになる。 |
◇産学連携高度人材育成推進委員会における所見
(総合評価)
当初目的を達成するには、助言等を考慮し、一層の努力が必要と判断される。 |
(コメント)
- 地域在の大学にとって地域の産業、文化振興への関わりは重要なミッション。その点で地域産業と連携した長期インターンシップの方針は評価できる。
- 長期インターンシップが、学生毎にオーダーメード化されたカリキュラムの中で選択肢の一つとして位置付けられているのは、労力的に相当大変なものであると考えられ、十分な遂行にはまだ距離があるが、人材育成の望ましい姿と評価できる。
- ただし課題もある。大学院生派遣先の地域産業には(A)全国規模の大企業の地域拠点と、(B)いわゆる地場の企業があり、それぞれが求める人材像は、共通項はあるが違いもあるのではないだろうか。(A)と(B)とはどんな比率での連携を志向しているのか。地域産業振興のためには、今まで以上に(B)に軸足を置くべきではないだろうか。その点で地域在の大学のインターンシップのあり方について、一つのモデルになっていただきたい。
- その他の全体の展開については、特段の問題なく実行されている。
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文部科学省高等教育局専門教育課
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