派遣型高度人材育成協同プラン制度上のポイント(ディスカッションのたたき台)

資料5
産学連携高度人材育成推進委員会(第1回)
平成17年3月29日


1.申請の条件
研究分野や企業活動において中核的役割を果たす「高度人材育成」を目的としたもの
主として学生の自己発見や職業観の醸成を目的とした、いわゆる就業体験型のインターンシップとは、概念を分ける必要がある。
「高度人材育成」という言葉が、時として「専門分野における高度なスキル修得(トレーニング)」と捉えられる傾向があるが、本プランにおいては、「スキル」にとどまらず、現実の中から問題設定を行ったり、企業活動全体の中での自分の専門の位置づけを理解するなど、現実社会の中で必要となる「能力」を磨くことが主眼。
上記の考え方を踏まえ、本プランと他の取組を峻別するためのメルクマールを更に検討する必要があるのではないか

応募の対象
本プランは、科学技術振興費の性格上、1「科学技術分野」及び2「それに関連する人材」が対象となる。
なお、上記2の「それに関連する人材」として、例えば、MOT(技術経営)や知的財産管理などが考えられるが、これらの人材育成などを今回の事業の対象にどの程度含めるべきか、否か。

大学が学生の派遣先企業を想定して応募すること
これまでの支援システムでは、応募の段階では派遣先企業が必ずしも明確でない場合がある。
本プランでは、事前に、産学がプログラムの実施について、十分な意思疎通が図るため派遣先企業をある程度明確に記載させる必要があるのではないか。

大学の組織的な取り組みであること
これまでのインターンシップは、キャリア教育の観点から就職課中心に実施されるものや、教官の個人的な努力により実施されるものなどが少なくない。
大学院(学部)教育課程の中で組織的な取組として明確に位置づける必要がある。
実効性のある実施体制を確立するには、大学が教育として取り組みの意義、価値を共有するとともに、企業とも組織的なパートナーシップを形成する観点から、少なくとも学部・研究科レベル(学部の学科、研究科の専攻)での組織的な取り組みであることが重要ではないか


2.派遣期間
おおむね3ヶ月以上の長期プログラム(ただし、期間の分割等は可能)
質が高く、実効性のあるプログラムを実施するには、大学、企業とも派遣期間の長期化が必要との共通認識(これまでのインターンシップは2週間程度の短期的な就業体験が主体。)。
本プランは、専門教育としての観点から、企業における研究開発スケジュールや学生の研修効果を考慮し、3ヶ月以上の長期派遣プログラムとしたらどうか。
ただし、その実施期間については期間の分割等、大学と企業の合意によりフレキシブルな対応が必要ではないか。


3.対象とする学生
一定の専門性を有する「能力」と「意欲」を兼ね備えた学生を選定
これまでのインターンシップは、就業体験という性格上、広くすべての学生に機会を提供。
本プランは、一定の専門性を有する学生を、産学双方の観点から能力、意欲等を重視して選定することにより、質の高いインターンシップを実施
そのため、選定の方法、選定の考え方等については、各大学と企業の協力により決定すべきではないか。
その際、選定のメルクマールが単に学業成績のみに留まらないなど、多面的な観点から学生の将来性を重視し、選定する必要があるものと考えられるが、留意すべき点はあるか。


4.プログラム
(1) プログラムの位置づけ
大学と派遣先企業との間で明確な契約に基づく合意がなされていること
産学双方が責任ある体制でプログラムを運営するため、明確な取り決めが必要。

大学院(学部)教育の教育課程の中で明確に位置づけられることを予定したものであること
これまでのインターンシップは、職業観醸成の観点からキャリア教育として実施し、単位認定される傾向。
本プランは、学生のプログラムにおける学修成果を適切に評価することから、単位認定を前提とすべきではないか。
教育課程に明確に位置づけるために、クリアしなければならない点があるか。あるとすれば何か。

(2) プログラムの内容
育成する「人材像」(ニーズ)及び期待される効果(アウトカム)が明確なこと
プログラムの意味を共有する観点から、大学、企業及び学生の三者がプログラムの目指す具体的な人材像を明確にする必要。
産学が共同して分析・把握したニーズをもとに、人材像について検討がなされる(予定)必要があるのではないか。

産学が連携して具体的なプログラムの作成が行われていること
産学が対等な立場から連携・協力し、必要な教育を行う必要。
また、プログラムの作成・実施に当たって、産学の双方の役割が明確である必要があるのではないか。

プログラムの実施に当たって、必要な事前教育、事後教育が考慮されていること
企業派遣前に企業活動に参画する上で必要な教育(専門教育を含む)、また、企業派遣後に学内における学修、卒業後の進路に活かすための教育などが考慮されている必要があるのではないか。

インターンシップ期間中及び終了後の大学による必要な指導・教育支援が行われること
大学が、派遣先企業と連携し、学生に対する十分な指導・教育支援を実施することが必要ではないか。


5.守秘義務・知的財産保護
大学と企業の契約にもとづき、守秘義務及び知的財産権について明確に取り決めがなされていること
学生が企業の中枢活動に参加し意味のあるトレーニングを受ける場合、守秘義務の確保は必須の課題。
このため、単に学生個人と企業の契約だけでなく、学生を送り出す大学と派遣先企業の間でも、明確な取り決めが必要ではないか。

守秘義務の範囲及びその担保措置について学生に対する十分な事前教育がなされること
学生は、どのような事項が守秘義務の対象となるのか、またどのように対処したら守秘義務が守れるのかについての基本的な知見がなく、トラブルの原因となりかねない。
このため、学生の選定において守秘義務意識の高い学生を見極めるとともに、事前に産学が協力して十分な守秘義務教育を行う必要があるのではないか。

学生の知的財産権の配慮について一定の取り決めがあること
優秀な学生の場合、長期間のインターンシップ期間中に新たな発見や発明、あるいは新しい学術的アイディアを着想する場合がある。
これらは、その後の学生の研究対象となったり、あるいは論文として広く我が国に貢献する可能性があるため、学生の知的財産権についての一定の配慮が必要ではないか。
このため、大学と企業が、守秘義務に抵触しない範囲で、学生の知的財産権について一定の配慮を行うことも我が国の科学技術人材育成の観点からは必要ではないか。
(参考:【資料6】学生等が寄与した発明の取扱いに関する考え方について)

守秘義務・知的財産権等のトラブルを調整するための規定があること
守秘義務、知的財産のトラブルを未然に防止し、あるいは調整するためのプロセスについて明確な規定を設ける必要があるのではないか。


6.評価、フォローアップ
プログラムの効果を測定するための学生に対するフォローアップ調査を実施し、フィードバックするための改善メカニズムを取り入れること
高度人材育成の効果を測定するため、学生に対するアンケートやその後の就職・進学等に対するフォローアップを実施する必要があるのではないか。
また、フォローアップ結果をプログラム改善のためフィードバックするメカニズムを盛り込んでおく必要があるのではないか。

プログラムの評価基準についての明確化
高度人材育成の効果を測定するためのプログラムの評価基準(教育に対する評価を行うためのメルクマール、人材育成プログラムのマイルストーンなど)について検討する必要。

プログラム終了後のビジョン
プログラム終了後に引き続きどのように継続して事業を推進するかについてのビジョン等について各大学が明確にしておくこと。

(高等教育局専門教育課)


 

-- 登録:平成21年以前 --