平成24年3月8日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省3F2特別会議室
(委員)
水谷座長、荒木委員、安藤委員、石原委員、伊東委員、伊藤委員、江副委員、太田委員、奥田委員、加藤委員、岸澤委員、五味委員、竹田委員、武田委員、田村委員、西澤委員、西原純子委員、西原鈴子委員、堀委員、山口委員、山本委員、山田委員
(関係省庁)
法務省、外務省
(文部科学省)
松尾学生・留学生課長、早川文化庁国語課長 他
(1)配布資料について、事務局より説明があった。
(2)以下のとおり議論がなされた。
(○:委員、●事務局)
○本日の最終報告書(案)の議論では、報告書の本文と別添1-1、1-2の審査基準(案)、審査基準ガイドライン(案)に分けて議論を進めていきたい。まず、審査基準(案)と審査基準ガイドライン(案)について議論をおこないたい。
審査基準(案)、審査基準ガイドライン(案)について、意見をいただいたので説明いただきたい。
○審査基準(案)に対して、日本語教育機関の立場から、幾つかの変更提案をさせていただきたい。
まず、基準第1 「日本語教育機関の修業期間は、1年以上とする。ただし、合理的な理由がある場合に限り6カ月も認めることとする」を「修業期間を持つ教育課程を継続的に運営する。ただし、合理的な理由がある場合は1年未満も認めることとするが、3か月を下回ってはならない」に改訂していただきたい。
改訂理由は、現在、大学間の協定による交換留学で、3か月の留学資格が付与されている。また、日本に来る留学生の語学の能力、あるいは現地の学校と日本の大学との関係で、修業期間を3カ月とするところもある。今後、留学生の受入れ30万人計画のためにも、留学生の受入れについて柔軟に対応するために3か月以上ならば認めていいのではないか。
それに伴い、基準第2 学年の終期、これは原則3月となっているが、今般、秋入学という議論もあるので9月も認めることにしていただきたい。
関連して、第4 6カ月380時間以上、週20時間を、3カ月当たり190時間以上に改訂していただきたい。
基準13 主任教員については、「常勤の日本語教員又は日本語研究者として3年以上の経験を有する」、「主任教員は、専任教員のうちから選任する」となっているが、この主任教員は、日本語教育機関にとって非常に大事な地位であるので、「常勤の日本語教員として3年以上(そのうち、日本国内において1年以上)」としていただきたい。海外のある国で、例えば中国やベトナムで現地の人だけを対象に3年教育するのと、様々な国の人が来ている日本の日本語教育機関で教育する経験とは違うので、日本国内において1年以上としていただきたい。
また、「主任教員は、専任教員のうちから選任する」とあるが、常に学校にいることが大事で、常勤教員としていただきたい。
基準20に、新たに、三「設置者は、教育及び教育関連事業のみを行うことが望ましい。少なくとも、設置者の事業の経営と区分して行わなければならない」をぜひ入れていただきたい。
基準21 生活指導担当者のほかに、入国在留事務局担当者を明確に定めてほしい。関連して、4に、生活指導担当者と同様な資格について規定をしていただきたい。
第25 自己点検評価に関しては「その結果を公表することとする」となっているが、現在の実態から考えると、努力目標として「公表するよう努めることとする」が妥当ではないか。
留意点4 「学生の入学前または入学後できるだけ早い時期に行うものとし、1年経過後再度健康診断を行うよう努めることとする」と変更いただきたい。
そのほか、案の中の「生徒」を「学生」としていただきたい。
もう一つ、「修業期間1年以上とする」を、「1年以上の修業期間を持つ教育課程を備える」と修正いただきたい。
●3か月についての議論は、まずあると思っていた。現在、短期滞在で日本語を学んでいる外国人はどれくらいか教えていただきたい。
○短期滞在の場合は、今まで日振協の基準では、基準対象外のコースなるので、それぞれの日本語教育機関に短期滞在で学習して在籍している者がどの程度かは、正確なところはわからない。
●法務省は、在留目的、短期滞在の場合、必ずしも日本語学校に行くということを前提として許可をしているわけではないのでデータとしては保有していない。
○日振協の維持会員校については、調査可能かと思う。
○仕分け後の日本語教育機関の新規審査では、特に第13 主任教員については、非常にあいまいな部分があると感じたため、やはり「常勤教員であること」がいいのではないか。
第21 「日本語教育機関には生活指導担当者を置くものとする。」は、留学ビザ、あるいは勉強のために来ている学生ということに係ると、入国在留事務業務が重要なので、その旨明記することは重要かと思う。
○時限の問題もあるので、各委員からの審査基準の見直しについての意見は、今後ワーキンググループのようなものを立ち上げて議論を行うこととし、二段階で作業を行ってはいかがか。
●堀委員からコメントのあった専任教員と、1年以上、日本で外国人に日本語を教えたについては、資料1の別添1-2、新審査基準ガイドライン(案)の第1で、専任教員の定義が書かれている。また、第2で、「少なくとも1年以上、在留資格『留学』を有する外国人に日本語教育の実施経験を有することが望ましい」としている。
○3か月の修学コースについては、この検討会議は、高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育であるので、今実際に3か月の短期滞在で日本語の勉強を行っている人はいるかもしれないが、次のステップとして、専門学校や大学への進学を希望している人が3カ月だけ日本語を勉強して、それでステップアップできるのかと考えたら、今の規定のほうがいいのではないか。
○基準第1は、日本語教育機関の持っているクオリティーコントロールをしていると思うが、日本語教育機関は1年以上の修業期間を持つ教育課程を備えているというのは、どんな学習者が来ても、おそらく初級から上級にかけて対応できるような1年間の教育課程を持っているということを規定していて、それと合理的な理由がある場合は1年未満を認めて、3カ月もというのは、何か理解しづらい。1年の教育課程を備えているとは、学生の希望するニーズに応じて、対応できるクオリティーを持っている日本語教育機関を規定しているので、3か月を下回ってはならないというのがわかりにくい。
そうすると、合理的な理由がある場合、3か月のコースだけを備えていると読めてしまい、この規定の前件と後件がうまく整合性を持って読むことができない。
○3か月ということで、短期滞在のところに集中しているようで誤解をされているようだが、私はもう一つの観点があると思う。それは、大学と日本語教育機関との連携につながる。今、大学では、渡日前入学許可によって学生を受け入れている。一定程度の日本語力はあるが、もう少しブラッシュアップしたい、そして、日本語を学びながら、日本の生活に適応していく、その期間については、日本語学校では、正規の学生としては受け入れることができない。大学との連携を図るための、短期間のものはあってしかるべきだと思う。大学と日本語教育機関との連携を強化する上でも非常に重要ではないかと考えている。
○今、突然のご提案で、多分、1日この議論を行っても結論が出る話ではなく、先ほど委員が提案したように、もう少し幅広いスペックでいろいろ議論していただきたい。特に現状がどうなっているかということを、先ほどの専任教員の資格の話についても、例えば日本語教育課程を修了して、学士号、あるいは修士号を取って、日本語の先生としての資格を持っていても、なかなか日本国内では就職できないという状況があって、やむを得ず海外へ行って3年間過ごしてきて、せっかく常勤の職を手に入れたのに主任教員になれないのでは、採用してもしようがないということになって、ますますそういう人たちの就業機会が奪われるとか、3か月の修業期間の話も含めて、幅広く検討していただきたい。それから、水準を上げるとすれば、新規参入を抑制する方向で働くことになり、下げれば、やや問題のあるような機関も入ってくる。3か月でもいいということが主流になってしまうと、それは機関全体の混乱を来す危険性もあるので、ワーキンググループ等でご検討いただき、しかるべきものについては取り入れていくという方向で処理いただきたい。
○日本語教育機関の新規審査協力者としての経験を踏まえまして、今回の最終的な報告書(案)に一言ご意見を申し上げたい。
まず、スタートポイントに戻り、この会議は、日振協の仕分けというのがきっかけになってスタートしていることにもう一度立脚する必要性があると考えている。
日振協が誕生した理由は、1988年の上海事件で、日本語教育機関の質保証が問題になり、この質を高める目的で審査の枠組みとして日振協が設立された。上海事件以降、日振協の審査機能というのは十分に機能を果たしていた。
ただし、今回の仕分けによって、この機能が失われ、それにかわる機能をつくるのかが今回のスタートだと思う。質の保証を国が行うであれば、さらにきっちりとした質の保証が確保できるということが一番重要ではないか。
これまで全国で8校・9校くらいの日本語教育機関の新規審査に携わってきたが、現在のシステムでは、日本語教育振興協会が今まで行ってきた審査機能を果たしているとは到底思えない。これは私の所見だが、非常に問題が存在しているというふうに感じている。
昨日、大阪の新規申請校の審査の際に、以前から感じていた点で、今回非常に強く感じた点として、文部科学省と法務省が協力をして審査を行うとなっているが、どちらの省の側でもスタンスが少し違うのではないかと。この日本語教育機関の質保証という観点からこれを審査しようという視点がずれているような気がする。これは、各省の責任が違うのでずれざるを得ないと思うが、その点で、審査が非常にあいまいなものになりつつあると考える。
昨日の審査には、入国管理局からの立ち会いはなかった。法務省からの立ち会いがなかったということで、実際にこの審査に関しては、再審査ということで2回目の審査になったが、これは入国管理局の指導により、8月の審査表からの差しかえ書類だけ再審査を依頼されたが、審査表の中身は、すべて過去のものであって、生年月日から見れば、もう年齢すら変わっている。実際にスタート時期が4月なのか10月なのか。4月にスタートするという審査表で10月のスタートを審査しなければいけない。非常に困難をきわめ、個人的には、もうこれはできない、あとは法務省に任せるしかないと感じ、審査の内容的には怠った形になった。
現実的に今の体制で新規審査を継続して行えるのかと考えると、私は非常に疑問に思う。この報告書の案の中で、立脚点を明確にした上で、日本の日本語教育機関の質保証という観点から、この審査を行うことが明確にされる必要があると思う。あるいはその審査体制を国がやる場合に、それが実行力のあるものであって、以前の質保証を下回らない体制をつくることを明確にしていただきたい。
○資料1 2(ローマ数字).喫緊の課題 「法務省告示に係る新規審査の枠組み及び変更事項等の取扱いについて」で、過渡的なことに関して記載されているが、今このときに感じることは、新規審査の際の提出書類そのものが十分に整備されず不十分なところがあり過ぎるということである。
申請者は土地も購入し、学校もほぼ準備している段階で、審査を行い、申請を却下した場合、申請者はこの後どうなるのだろうと思う。今まで、いわゆる日本語教育振興協会が行ってきた枠組みと、今の実際とではあまりにもかけ離れているので、これまで日本語教育振興協会が審査を行ってきたノウハウをもう少し生かすことが必要ではないかと感じた。
それは、1つには書類の段階で不備がないようにするためのチェック機能であり、以前は、日本語教育振興協会の段階でお互いにチェック機能を果たしていたということがすごくいい効果を出していたし、学校を設立するということがどんなに大変で、そして法務省、文部科学省との、いわゆる2つの視点から、整備しなければいけないということが機能されていたが、今はその部分が非常にあいまいになっている。
それと同時に、当分の間以降、予算がない中で、文部科学省・文化庁で、審査にかなりの時間と労力を割いていることを考えれば、当時、日本語教育振興協会の時代は、審査に関しては審査料を支払っていたこと、大学の認証評価は何百万と費用がかかることを考えると、やはり審査にもある程度予算措置が必要になってくるのではないかと思う。過渡的であっても、何らかの形で、申請者が負担することが重要ではないか。
したがって、この2(ローマ数字).喫緊の課題で、もう少し具体的に法務省、文部科学省等々の役割、いわゆる連携に関して何らかの形で実務的ことが明記されていた方が、今後の過渡的な作業を行う上でも行いやすいのではないかと思う。
○質の保証というのは非常に重要な課題で、それと同時にやはり留学生の立場というか、留学生にとってわかりやすく利用しやすい、そういう制度になるべきだと考える。そういう観点から考えたときに、先ほどの審査基準の第一が、修業期間となっていることに、非常に疑問を感じる。日本の教育制度は6・3・3・4制、いわゆる年次管理であるが、留学生にとっては、いかに日本語能力を高めるかが重要であって、期間ではない。どういう教育カリキュラムで、そこでどのような能力を取得できるかということが一番重要なことで、それは3カ月であろうと、6カ月であろうと、1年であろうとバラエティーに富んだカリキュラムがあるべきであり、期間を定めることに対して、非常に疑問を感じる。
またここの審査基準第2-2では、4月及び10月の年2度までの学期の始まりとし、第2-3では、1月及び7月云々とあり、2-2の随時に入学させるケースは認めないものとするはほんとうに必要か。それぞれの事情があれば、少なくとも年4回ぐらい始期があってもいいのではないか。最低でもある程度の日本語能力を備えていて、次のステップに進むときに、あと3カ月あればこの能力が高められるということであれば、3カ月間で終了するということが全く不思議ではないのではないかと思う。
●今いただいた意見も含めて、やはり2段階で考えていただきたい。
まずは体制のあり方、それから今の基準の中身は、ある程度、是として整合性をとる形でまとめたい。また、中身については、それぞれのコンテンツについてよく時間をかけて議論をしていきたい。その中で、例えば審査のための予算措置であるとか、これまで日本語教育振興協会が培ってきたノウハウをどう生かしていくかについて盛り込んでいきたいと思っている。コンテンツについては、教育の質の保証というのは、いろいろな角度からの議論、これから尽くすべき課題が多々あると思うので、今の議論は、まずはこの報告書と新基準の整合性についての議論と、その次の検討課題の2段階に分けて議論いただきたい。
○資料1の2ページ目の一番下の「国が審査を行うに際しては」は委員の意見を取り入れて「審査業務の外部委託等、効率的な審査の実施が望まれる」と、もっと強く打ち出していった方がいいのではないか。あるいは3ページの下から3ブロック目の最後のところに、「在留資格『留学』につながらない日本語教育を行う」から「基準や枠組みを設定することの可否等も含めて検討を行うことが必要である」が、まさにその第2段階のほうにつながる部分で、この2カ所をもっと細かく書いた方がいいのではないかと思う。
○外部委託については、私は逆にきちんと国が予算をつけてやるべきだと思う。外部へ委託するということは、いいときもあるかもしれないが、いろいろな問題もあるので、その辺は十分検討をすべきではないかと思う。
●外務委託といっても、要するに責任と業務の内容だと思うので、例えばいろいろなやり方があるが、すべての権限を外部に移譲する、これは法律で移譲する必要がある。また、権限、責任は国に残して、一部を外部に委託するという形もある。荒木委員の意見は、すべての権限を外部に委託すると、それはあたかも国の権限を、ある一法人が担って、行使をしている、これが今回の仕分けの大きな論点であったので、そこは権限と事務とを切り離した形でのいろいろな事務の効率化を図っていくという趣旨である。
○もう一度確認だが、法務省としては、今の体制、それぞれの入国管理局職員が、文部科学省の委員と一緒に審査を、現地調査を行う形が、現状で機能している、この体制で機能できると、あるいは今の現状で、それが十分に機能を果たしていると考えているのか。
●十分に機能しているかどうかについては、現場で見ているわけではなく、書類を見ているだけだが、日本語教育振興協会が行ってきた高い水準を求めるのであれば、そこまでは至っていないのかもしれない。ただ、法務省が今現在できることは何かというところでやっているのが現行の取り扱いで、当然現行の、法務省の能力の及ばないところ、知見のないところについて、文部科学省に協力をいただいている。
○それは現状で機能しているかどうかというもう一つの、先ほど説明した立脚点の問題で、要するにこの制度というのは何のために行われているのか、その目的を達成できているのかということの立脚点が必要だと。要するに、日本語教育機関、留学生を受け入れる日本語教育機関としての最低限の基準を持っているのか、満たしているのかを、しっかり審査された上で認めている、これが質保証になると思う。海外でも、例えばイギリスでも国境局が審査を行っているが、その審査基準を高めたり弱めたりして行っている。各国は留学生の受け入れに際して、統一の基準を、質保証として売り込んでいる。
そういう意味では、国がこの審査をやるということは非常に質保証のアップになるが、これは内容が伴っていないとなれば、次に爆発する形になってしまうと思う。これはほんとうに上海事件の再来を招いてしまうような危機感を覚えているので、ぜひ、外部委託について方向性を明記しないと、今の体制のまま内部でやるということでは、まず、できないと思う。
法務省の審査に対するスタンスを、やはり明確に示さないと、行政相談で、あとは書類を提出だけでは、無責任に感じる。現状の体制を放置されることは、個人的に非常に懸念するので、この報告書の中で、やはり何のために、日本語教育振興協会から次のステップ、新たな枠組みにするのかということと、その新たな枠組みが日本語教育振興協会で行ってきた審査と同様のクオリティーを保つという明確な目標を持って報告書を作成していただきたい。
○4ページの3に新たに、国際交流基金についての記載を提案した背景を説明、修正をしたい。国際交流基金は、海外の日本語教育と、海外の日本語教育自体の中でも、中等教育で勉強した人たち、あるいは大学の予備教育機関で勉強した人たちが高等教育に進学する段階で、高等教育で提供される日本語教育との間で非常に段差、あるいは、重複があり、せっかく基礎は学んでいるのに、また同じことを大学に入って繰り返されることによって、日本語教育に興味を失ってしまうという問題を解決するために、そのアーティキュレーションという接続性、教育機関双方の教育の接続性の研究をこの数年間アメリカの教師会、ヨーロッパの教師会、それから日本の日本語教育学会等の協力を得ながら進めてきたが、その成果がまとまりつつある。それを日本語教育関係者と共有したく、提案した。現在の案では、日本語教育の連携の支援と簡単に書いているのがわかりにくいのではないかと思うので、日本語教育のアーティキュレーション(接続性)の支援に取り組んでいるということと、その成果を日本語教育機関でも参考にしていただきたいという趣旨に書きかえたい。
○1ページ目1(ローマ数字).日本語教育機関に関する課題については、やや正確さに欠け、このままでは、事業仕分けの結果が取り違えられてしまうのではないか。事業仕分けでは、日本語教育振興協会ではなく、制度が問題となったので、「財団法人日本語教育振興協会」以下は、例えば法務省告示をもとに日本語教育機関を定める際に、日本語教育機関の施設及び編成について、審査及び証明のできる法人の証明を参考にできるという制度が法的に不明確であり、と修正したほうが、誤解を招かないのではないか。
○2ページの一番下の、「外部委託等、効率的な審査の実施が望まれる」に、審査の実施を検討するワーキンググループの設置が望まれる、あるいは3ページの一番下に、「基準や枠組みを設定することの可否等も含めて検討を行うワーキンググループの設置が必要である」ともう一歩踏み込んだ表現で報告書にしていただきたい。
○各委員の意見をお聞きしましたが、報告書最終取りまとめについては座長に一任とさせていただきたい。
○3ページ目の3の審査基準について、昭和63年に文部省が策定した基準及びその後日振協が云々の基準をベースにとあるが、これは、あくまで日本語教育振興協会の審査委員会が、上海事件の後始末のときに苦労しながら積み重ねていったものであり、日本語教育振興協会審査委員会審査内規を加えたほうが、より正確になるのではないか。
○この検討会議の後に扱ってほしい、すべきだという意見をいただきたい。
○最終的に議論いただきたいのは、日本語教育政策というか、日本語を何のために教えるのか、だれに教えるのか、それから非常にいろいろ目的がある。今回は高等教育機関に進学・在籍する外国人に対する日本語教育ということだが、現在の日本語教育機関、日本語学校には、在留資格「留学」以外の様々な目的の学生がいる。それから、日本語教育機関の先生方も、学校以外に、例えば地域や地元でNPO的に様々な仕事を手伝っている。日本語教育の目的は非常に多様性があると思うので、日本語教育の目的や、施策全体を議論する場をつくっていただきたい。
○資料3の最後のページにも記載しているが、英語教育は専門学校だが、日本語教育は専門学校でないことが、一番大きい問題があると感じているので、日本語教育の専門学校を認めて欲しい。
○日本語学校の留学生を「学生」というのか、「生徒」というのか教えていただきたい。
●基本的には大学や専門学校は、「学生」であるが、日本語教育機関については学校教育法上の概念がなく、法律上はどちらでも構わないが、一般概念としては「学生」だと思う。検討課題とさせていただきたい。
○この委員会の近未来の役割として、高等教育局の下にできた委員会なので、日本語学校の質を高めるのはもちろん、そのビジョンとしては、日本の高等教育が世界中から留学するに値する、あるいは留学したい国としてのアピール力を持つ、そのことのために、実は日本語学校の質を高める必要があるという議論の仕方をいつも頭に置いて進められるべきである。
それから、もう一つは日本語だけのことを考えて施策ができるのは不十分で、このごろ英語を公用語にする企業ができてきた。世界的なビジョンの中で日本語はどういう言語なのか、日本人にとって日本語はどういう言語なのか、どういう機能を持つものなのかということも含めて、日本において日本語がどうあるべきか、日本語政策じゃなく、言語政策として考えることが1つ大切なことなのではないか。
○言語政策という大きなウエートがある概念のもとに動く一方で、確実に着々と変わっていく時代の変化、学習者のニーズの変化、事情、それはグローバリゼーションの中で5年前、10年前とは全く違う実態が動いている。日本語教育機関の現場は、概念はもちろん、実態に向き合っていかなければならない。それを整理して、未来像としてどのように進んでいくべきか、概念と実態を合致させるところに日本語教育機関のプロとしてのありようがあるのではないか。
○海外での日本語の教育が、我々が今ここで日本の国内での日本語教育、そして質の担保が議論されてありがたいことだと思うが、総合大学としては、海外で教育された留学生も入学して欲しいということと、もう一つ、留学生は、日本の大学に4年以上在籍すると日本語が上手になって母国に帰って、しかも子供が日本語を習って帰っていくが、国に帰るともう日本語を習う機会がない。
○これからの問題として、7月に大きな制度の改正があり、登録法の関係で大きく変わる。行政書士が入管の研修に行ってきたが、まだ中身がよくわからないと。一応パンフレット等あるので、大枠はわかるが、私の勘だと、この改正は戦後ずっと続いてきた法律が一気に変わる。大変な変革なり改革であって、おそらく留学生制度もかなり影響を受けることは間違いないそういうことも踏まえて、これからの留学生の問題、日本語教育の問題も含めて考えていかなければいけない。
もう一つは、委員の方々の御意見のとおり、いろいろな日本の魅力が足りないと、いい留学生が来ないのは当然のことであって、それがだんだん失われていて、なおかつ3・11の問題があるということで、これから全体的な外国人受け入れについて楽観できない、どちらかというと非常に悲観的、厳しく見るべきであると私自身は思っている。そういう中での日本語教育の問題も、そこを踏まえて考えないと、これまで議論や第2段階、第3段階の議論でも、そこをとにかく念頭に入れないと、全く方向性を誤るのではないか。
○この委員会が、高等教育機関に進学・在籍することを前提に考えたときに、グランドデザインも重要だが、逆にボトムアップすることも考えられる。高等教育に進学・在籍する学生たちのさまざまな大学との連携、例えば大学と日本語教育機関が一緒に日本留学のためのプログラムを考えたときに、それは従来どおりの基準のものだけでは済まない。
さっきの3カ月とか期間の問題ではなくて、今後高等教育機関に日本語学校から留学生を送り出すというフローの関係ではなく、一緒に新しいプログラムに、新しい留学生教育として、要するにインターナショナルスチューデンツとして呼び込むときには、従来のフロー型の枠組みは使えないことがたくさん出てきていている。
先ほどの委員の意見のように、新しい留学生のプログラムを魅力あるものにするためには、大学も日本語学校も単独ではできない。新しいプログラムを日本の魅力として生み出していこうと思ったら、今の現行の制度では苦しいことがたくさんある。高等教育機関に進学・在籍することをもう少し大きくとらえて、日本語も含めた新しい日本での留学の魅力あるものをつくっていくことの、1つは新しい基準の発想、あるいはとらえ方をしたほうがよいと思う。
現実には、一番問題になるのは変更が生じたときの取り扱いであると思う。例えばこの変更を、位置だとか規則の変更があったときに、これを新しい日本語教育だとしたときに、一体だれが認めるのか。法務省に報告をして、入管に新しいプログラムを届出するだけでよいのか。あるいは、もし質の保証をする場合は、今度は基準を守っているかというよりも、実際に新しいプログラムや、現行を評価する機構が必要だと思う。基準には自己評価に努めることとするとあるがそれを外部の評価機構で行う枠組みも、この中で一緒に今後考えていくということであれば、もっと現実的になり、新しい留学のプログラムを大学と一緒につくっていける可能性ができるのではないかと考える。
高等教育局学生・留学生課留学生交流室
-- 登録:平成24年07月 --