平成23年6月9日(木曜日)15時30分~17時30分
文部科学省3F2特別会議室
水谷座長、安藤委員、江副委員、太田委員、大沼委員、奥田委員、加藤委員、岸澤委員、五味委員、武田委員、西澤委員、西原純子委員、西原鈴子委員、林委員、福田委員、堀江委員、堀委員、山口委員、山田委員、山本委員
法務省、外務省
松尾学生・留学生課長、舟橋文化庁国語課長 他
(1)配布資料について、事務局より説明があった。
(2)以下のとおり議論がなされた。
(○:委員、●:事務局)
○報告書の取りまとめに当たっては、まず一つ目には昨年の事業仕分けを踏まえて喫緊に対応すべき課題である法務省告示に必要な審査の課題と、もう一つは日本語教育機関における日本語教育の在り方、両者に分けて議論を進めて報告書を取りまとめていきたい。
本日は、まず法務省告示に必要な審査についてご議論いただき、次回の会議では日本語教育機関における日本語教育の在り方、取り組むべき課題について広い視野からのお考えを提示していただきご議論いただきたい。
また、日本語学校の法務省による審査の実施の現状というのをご説明いただけないか。
●明年4月、新規校について法務省のホームページで手続の流れを案内している。6月の末までを目処に新たに受け入れを開始しようとする学校については、事前に各地方入国管理局の審査を担当している部門に相談していただき、その際、当局のほうで告示するに当たって必要な書類の案内等を差し上げている。最終的に相談の中で必要書類を提出してもらい、それに基づいて文部科学省、文化庁と日程等を決め、当該学校の実態を確認する作業を行う。それに基づき、現状において告示する前の段階であるが、相談の段階において受け入れに適合しないものはないという旨を先方に連絡する。それに基づいて新規校では明年4月期生、学生の募集を開始していただくということになる。
明年4月期生の一斉受付は、大体12月ぐらいになると思うが、事前に相談をしない学校については、それよりも前広に認定申請をしていただかなければいけないが、少なくとも受け入れることが可能かどうかという判断というのが、もちろんその学校自身で判断されればよいが、そういうものがない場合には支障になるとは思う。事前の相談がない場合に、明年4月に向けての告示というのがタイムスケジュール的にも困難になってくるのではないか。
文部科学省、文化庁の意見を聞いて告示ができるということになれば、その認定申請、在留資格認定証明書の交付申請をもって、その告示の判断をする。予定としては、明年の1月ぐらいを予定している。従前、日振協で学校を調査し認定証のようなものを交付されたと思うが、先ほど申し上げた法務省からの受け入れに支障はないというような文書がそれにかわるものと考えている。既に審査を終えたのは12校である。
また、従前から国が告示の判断をするということは前提となっており、その中で審査団体等の意見を参考とすることができるということであった。
○不認定はどの程度あったのか。その学校は募集活動をしていたのか。
●適切ではないという判断は1校。認定を受けていない段階での不適切という状態であるため、募集はしていない。募集活動自体、そもそも告示しているから募集ができる、告示していないから募集ができないという話ではないが、ただ、告示されている学校にしか、いわゆる在留資格「留学」というものを認めないという制度上の取り扱いがあり、従前、受け入れることができないような学校の募集を排除していたという趣旨ではあるが、告示されていない段階で募集ができないかというと、それを排除する規定はない。ただ、一方で告示されていない学校が在留資格「留学」の認定申請をすることも可能。ただし、告示されていないイコール基準に適合しないため、受け入れが認められない。いわゆるその方のビザが認められないという流れになる。
○上海事件というのはまさしくこのために起きたわけである。日振協の認定を受けていないと、これはビザが出ないから推薦をしない、送り出さないという仕組みが今までできていたが、今のシステムだと、25年ぐらい前の状態に戻ってしまうような危惧を感じている。速やかにこの今の形ではないものにシフトしていかないと手遅れになると思う。
それから法務省告示に対する審査の枠組み、これが非常に必要だと思う。これがうまく機能していたのは、日振協がやってきたこれまでの仕組みが下支えをしていたからだと思う。日本語教育機関の多くは指導官庁がなく、質の保証、監督、指導というものができない。
そこで考え出されたのが3年ごとの更新審査、変更審査で、これによって日本語教育機関の質の維持が可能であった。それにより20年かかって日本語教育機関も全体として一定の役割が果たせるようになったと思う。この告示に対する審査というときには、その背後にあるものも同時に考えて、その仕組みは先延ばしにせずにいただきたい。
○法務省が審査を始めていただいたということは、高く評価している。問題は、それを支援する体制ができ上がっていないので、これを一刻も早くつくらないと、せっかくの努力が壊れてしまう。
○当面の間、法務省が審査を行うということであるが、当面というのはどれくらいの期間なのか。法務省が文科省、文化庁と共同して審査に当たるということだが、日振協の審査基準を基にして実施するのだと思うが、今まで受益者負担で行ってきたものを税金を使って行うことになると、納税者のほうに十分な説明ができるかどうか。
当面とはいつなのか。それに代わる制度を早く明確にして、いつから動き始めるというのをやらないと、法務省が審査をしている間は無料、新しい制度が導入されるとまたお金がかかる、その差の不公平さに対して行政訴訟を起こすというような事案も出てくる可能性がある。
○どのような基準で告示をするのか、これまで日振協のものを信用してそれを決めていたということだが、現在の基準をご説明いただきたい。
●いわゆる大学等一条校であれば、学校教育法上の取り決め、我々があえてそこのところを審査する必要もない。日本語学校については、各種学校、専修学校もそうであるが、設備編成等でその外国人の学生を受け入れるに足る状況にあるのかというものは改めて告示しないと、要は学校教育法上の位置づけがないものであるため、告示の中で判断していく。文科省が考えている学校の考えと我々の考え、必ずしもイコールではないが、その学校の我々の考えの中には質の保証というのも当然あり、それが確認されたものについて告示していくという作業が今までの作業であった。それに適合しないような学校については、外国人の受け入れを任せられる教育機関ではないだろうという位置づけである。ビザというのは基本的にはそういうことで、要は学生を受け入れて、適正に在籍管理がなされるかどうか。教育が施されるかどうかというところが基準になる。
○今の段階のやり方としては、学校のほうでまず審査をして、学校ごとに、この学校には出す、出さないというステップを踏んで、当然、個々の学生に関して審査をされるので、その審査を通った上で新たに個々の学生に対して出す、出さないというのを決めているという手順という理解でよろしいか。
●例えば大学等が受け入れるというときには、一義的には大学の選抜等認めており、その大学がふさわしくないというふうな取り扱いではない。確かに問題が多い学校ということで異なる取り扱いをすることはあるが、学校自体が受け入れることを拒否する、認めないという許認可ではないので、そういう手続はしていない。他方で日本人学校の場合、告示された学校しか受け入れを認めていないが、告示しておくことが妥当でない、適当でない場合、そのようなことが発覚したような場合は告示を取り消すということによって受け入れを停止するということもある。
○よくわかった。あくまでもビザの発給というのは個々の学生にするという理解か。
●そのとおり。我々がやっているのは、基本的には外国人の審査である。
○日本語教育機関は、教育機関として法務省と文部科学省がそれぞれ行う二つの審査を通らなければいけない仕組みになっている。法務省は、個人の審査だけに集中すれば業務が軽減される。それ以外の教育機関としての認可というのは、既に地方公共団体等が実施している。ただ、株式会社立はそのような認可を受けずに事業をしている。
そこの区分けを明確にすれば法務省へのサポートになるのではないか。法務省の業務はあくまでも個人に外国人としての入国許可、ビザの発給を行うことであるが、制度上、現在の方法をとらないと確実な審査ができないので、このような仕組みになっていると思う。その辺の論議をしていただければ、今後明確な仕組みになり、変化にも柔軟に対応できる仕組みになるのではないか。
○整理をしたほうがよいと思うが、いわゆる日本語教育、日本語教育の質の問題で、日本語教育機関は専門学校、各種学校、株式会社等様々な設置形態があり、株式会社は都道府県の認可がないが、日本語教育の重要な部分を担っている。そのため、今までの流れの中で日本語教育機関の多様性を認めるということについて念頭に置かないといけない、設置形態の多様性を認めることを共通認識とすべき。
その上でどうするかということであるが、一番重要なことは、多様性があったとしても、日本語教育機関というのは告示という国の基準に基づいて、中には株式会社も各種学校も専門学校もあるが、国がきちんと認めている教育機関であるということを海外に知らせる必要があるのではないか。
それでは国の基準はどういう基準でやるのか、例えば日振協の今の基準をベースにきちんと検討する。国の基準に基づいて、国の機関が審査をして、通ったものは法務省が告示校として認めるということを法的に明確にして、それを海外にもちゃんと発信すべき。
それから告示は、一度告示してしまえばそれでおしまいということではなく、例えば告示校について3年なり5年なりに一度、質を維持しているか、その後変化はないかという継続的な審査をきちっと織り込んでやるべきではないか。
日本語教育機関というのはいろいろな設置形態はあるが、海外から留学し日本語を学ぶ人のために、国としてきちんと質の保証をするということをはっきりさせないといけない。
まずは早く国の基準というのをはっきりさせ、国が認めた機関、あるいは国が指定した団体、国が認可した団体、そういうところできちんと審査をする。しかも、継続的にきちんと質の審査も行う。そういう枠組みを早くつくるべきではないか。
○法務省の告示について、学校教育法の一条校は告示の必要がないということであったが、いわゆる専修学校、各種学校も学校教育法上の法律の枠内の学校ではないか。
●日本語教育をする上において、従前、不適切な在籍管理等があった経緯があり、専修学校、各種学校は押し並べて告示しているという状況ではある。
○我々は専修学校用、各種学校用の書類を作成した上で日振協の書類を作成し、準備教育課程であればさらに書類を作成している。実際作成している書類の内容は重複がある。既に学校教育法の中で認可されれば、告示校としても認可していいのではないか。
○今までのご発言の中でも急いでやらなければいけないというご意見が多かった。この先にどのように対応できる体制をつくるか、アイディアなどご意見をたくさんいただきたい。
○基本的に新規開設の審査に関しては国が行う。これは法務省、文科省が連携する。それから、今まで日振協が行ってきた3年ごとの継続審査、この二重立てがないとうまくいかない。基準に関しては、設置形態だけではなく学習者もいろいろな意味で多様化していることを十分に含んでもらった基準をつくる。
しかし、継続審査は実際に自助努力ができる今の日振協のような組織でないと無理。定期的に継続審査をしていくという仕組みをもう一度きちんとした形で、これまで20年間やってきた実績の再評価とともに、この新規開設と継続審査の両輪でこれから新しい仕組みをつくっていく必要があるのではないか。
また、国が実施するかあるいはどこかに委託をするかというのはあると思うが、例えば審査団体による審査ということになれば、外部の第三者の評価があるとは思うが、そのときに日本語教育機関の実態や多様性等を阻害しないような形で新規開設と継続審査は別枠で両輪を持っていくことが必要ではないか。
○大学の仕組みがそのようになっている。6年ごとに外部機関の評価を受ける必要があり、その結果を公表しなければいけない。それぞれの持っている日本語教育機関の特質に応じて各評価機関が評価する、そういうやり方でうまくいくのではないか。
○それはちょっと無理があるのではないか。日本語教育機関はさまざまな設置形態があり、日本語学校の法的な根拠はない。そのため第三者評価の義務付けもできない。それがまず問題。それから、新規の審査と更新審査は、同一の機関が実施しないと変更点がわからないので、これについてはセットにしないと、質、水準が維持できているかどうかの確認はできないと思う。
アイディアをということであるが、事業仕分けでは日振協が否定されたわけではなく、日振協が行っている審査認定事業を審査証明事業とするということが否定されたのであって、そこは法的な裏付けがないからだめだといわれたものである。逆にシステムとして機能的であるため、このシステムを法的に位置づけてしまうのはどうか。
○この委員会としては、まず、「国による審査を行うべきと考える」、ここが前提にならないと今のような議論は展開しないと思うが。
○国がやるのはいいと半分思う。というのは、日振協には法的根拠がないため、変なことが起こっていることも野放しにしなければいけなくなって批判されるようなケースも実際ある。一方で日本語学校が破綻するかもしれないということが予測される。国が認可したものが破綻していくというのは、海外から見ても相当ひどい話。
学校法人の場合は破綻のときのことまで全部最初に書かなければいけない。自分の学校が破綻する場合は、同じ学校法人と合併するなど。今の株式会社の形は破綻についての約束事は何も書いていない。破綻というところまで考えると、国がすべてやるというのはちょっと不安。ただ、今どうするかというものについては、これは国しかないだろうという気はする。
●ご議論いただくのは、上陸審査の前提としてのお墨つきであって、例えば国の審査だろうが、団体審査だろうが、そのお墨つきを与えたことが、イコールその機関が永続的に継続するということを国が認めたものではなく、それはまた別の問題である。当然日本語教育機関が破綻した際のスキームを考えていくことは大事ではあるが、それはまた別の話として、議論していただいたほうがよろしいかと思う。
○まず留学生の立場から考えれば、国の基準で国の機関がきちっとした認可をした日本語教育機関ということは非常に大事。告示校は現在449校ある。これは全部こういう基準に基づいて、こういう審査をして、認可をした学校なのだということをまず海外にきちっと知らせるべきだと思う。それから、いわゆる継続審査ということも重要だと思う。継続審査ということと、評価という問題は、また少し違うのではないか。継続審査ということと、学校の評価、2つ星なのか、3つ星なのか、1つ星なのか、それはまたきちっと分けて考えるべき。評価も重要なことだと思うが、一度認めたら、もう後は知らないというのではなくて、継続的に審査をするということについては国の基準の中に入れてほしい。
○新規開設を希望する日本語教育機関に対する円滑な審査の実施とあるが、円滑な審査というのは、つまり、何かということだと思う。円滑な審査が学校という教育機関を認定する話なのか、在留資格「留学」を付与するための告示のみの話なのか、事務局の説明だと告示行為の話、つまり、これは文科省マターではなくて法務省マター。
しかし、留学生からすれば告示されていれば、これは学校のことである。そして、この学校だったら勉強ができる学校だという理解をされるのが普通の話。ところが、それがあるときは告示だけの話になり、そうではなくて円滑な審査、つまり、この審査に係るのは教育機関としての審査というのは常にダブッている。これがすごくわかりにくくしているのではないか。
●ここで申し上げている円滑な審査というのは、現に日振協のスキームが破綻した後でも日本に来て日本語を学びたいと思っていらっしゃる留学生の方がたくさんいるので、新規の開設を滞らせてはいけないという意味で申し上げている。当面は、とりあえず喫緊の課題として考えているのは、あくまで上陸審査の前提としての告示のための学校の審査のことである。
○現在新規開設の申し込みは実際にあるので、今、国が審査をしていくということは、とりあえずという意味では必要。ここで決めなければならないのは、今の基準でいいのか、そのままやっても大丈夫なのかという議論。それから、次のステップ、これが終わった後に必ずこれをやりましょうというような確約をしておかないといけない。そうしないといつまでもだらだら国がやっていって、またその基準がないという状態に陥ってしまうのではないか。
それから、日本語教育機関、あるいは日本語を教える機関というものの法的な基準をどこかがつくる必要性があると思う。今、専修学校、大学、各種学校でも日本語教育を行っており、ある種の基準で学校としては成り立っていますけれども、日本語教育という基準はない。
また、日本語教育機関をすべて各種学校として認めるといった場合、やはり株式会社立の教育機関を認定できるかどうかという問題があると思う。例えば、文科省が基準に従って、各種学校で日本語教育をやる場合は、その中で日本語教育という基準をつくる可能性もあるし、もう一つ多様性を認めるということであれば、法務省が株式会社立等の新規のものは法務省告示で、3年の更新期間であれば、3年間においては留学生が日本語を教育できる施設であるということを認めるというような形で、きちんとした基準を設けていただきたい、それを今後話し合っていく必要があると思う。
もう一つ、中間的に文化庁に立っていただき、トータルに日本語教育のあるべき姿はこういうもだということを何らかの基準で示していただく。そして文科省であれば、それを各種学校、専修学校、あるいは大学等で日本語教育をやる場合には、そういったものを参考にして認可をする、あるいは法務省が株式会社立の日本語教育機関がやるのであれば、その基準を参考にして、それを認めていくということができるのではないか。
○国がもう既に設置基準を法律で決めていて、許認可をしている学校群に関しては告示の必要はないのではないか。そして、国の許認可を受けていない学校群に対しては告示を法務省でやっていただく。この告示の対象外の学校に関しては、要するに学校教育法上の一条校、地方公共団体で許認可を既に受けている学校に関しては、個人の学生のビザの審査をしていただくというような枠組みがよいのではないか。
もう一つ、質の保証の話で、大学などいわゆる受け入れ側のほうの立場からいうと、確かに教育機関の内容の質の保証も大事であるが、どんな教育結果としてそこの学校から卒業生が出てきて高等教育機関が受け入れるのか、その質の保証の話が一番大事。高等教育機関に進学する際にきちんと日本語ができる人になっているかどうかということ。出口を中心に質の保証、教育の質の保証というのを論議していただいたほうが将来的には高等教育機関から良い卒業生が大学を出た後、あるいは専門学校を出た後、日本語能力と専門能力を持った学生さんが出るという形になる。
○話を聞いていると議論が混在している。教育の内容や質の部分というのは、ここで議論してもしようがない部分。ある種、マーケットの理論に任せるしかない部分もある。マーケットの原理で、あそこの大学はいい就職ができる、いい研究ができる、いい先生がいる。それは学生側が決めること。
それから法務省としては、在留資格認定をするに当たって一番大切なのは、留学を目的としているのであれば、行き先がちゃんとしているということだと思う。これは箱がちゃんとしているかどうか、装置としてちゃんとしているかどうか。もう一つ、法務省が告示をするに当たって気になる部分というのは、在留管理をきちっとしてくれるのか。これらをごっちゃにしないほうがよい。更新が必要という部分は、装置がちゃんと残っているかどうかという部分ではなく、在留管理スキルをちゃんと維持しているかどうか、むしろ、そっちのほうに重きが置かれるべきだと思うので、例えば一つの案として一定のトレーニングを受けた在留管理主任者みたいのを置かないといけない、そういう議論はあるかもしれない。3年間、あるいは4年の間にきちっとした在留管理ができているかどうかというのをデータをもとに確認していく。それが非常に大切なポイントになる。
学校教育法上による教育機関には告示の必要はないのではないかという話だが、在留管理をきちっとするという部分では、むしろ告示は必要だと思う。例えば装置としてどうなのか、あるいは在留管理というものがきちっとされているかどうか、この辺をもう一度整理しながら議論をされたほうがよいと思う。
○国の基準として文科省から見れば、ある意味では教育の質の問題、法務省から見れば在留資格「留学」というのを与えても大丈夫なのかどうか。それは非常に特殊な話なので、学生の管理、在留管理、生徒の管理、こういう観点について、もう少し専門的かつ文化庁や法務省も参加した場で検討すべき。そういう具体的な動きにしないといけないのではないか。
あえてもう一つ言えば、その中に継続審査をどうするかという問題もあると思うが、もう一つ重要なのは情報開示。そういうことも織り込みながら、ある程度質の問題をチェックできるようにするのかどうかということも含めて、早くそういう委員会なりを立ち上げて、時期を区切って検討しないと進まない。
○審査認定の中で、法務省告示の性質というのは、そのときに在留管理するに足るだけの実態があるかどうかということを見ているわけで、それが何年か先、その在留上の問題が起こらない限りはどういう教育をやっているかということについては問題にならない。継続的に留学生に対して保証すべき教育の中身や外形が維持されているかどうかということは法務省告示されているか、されていないかでは判断できない仕組みになっている。だからこそ文科省、文化庁と法務省が一緒に審査する意味というのがある。本来は継続審査はやっていかなければいけない仕組みであるが、今のような状況を考えると、直ちにそういう事柄について法的な根拠を与えるような制度設計をするというのは非常に困難だということで、報告書の案に書いてあるのは、まさに当面、国がやるということ。
ただし、その先の質保証全体の話については、もう少し慎重にいろいろなことを検討しようということで、例えば専修学校や各種学校のように認可されているものについての取り扱いをどうするかというのは別途考える必要がある。告示する必要があるのかないのかも含めて考えるべきことは、書いてあるので、そこは検討していただいた上で在留の管理にとって必要な範囲で何が必要なのかということを明確にして、そのことを認可されているところについては要請するという形をとれば足りるので、一応、この方向で、さらにこの先具体的な継続審査、継続して外国から来る留学生に保証するに足る教育がなされているのかどうかを含め、あるいは期待する教育水準が確保されているのかどうかを含めて審査する仕組みというのは別途検討していくということで、この報告書の方向で議論を進めてはいかがか。
○とりあえずこれでスタートしてはどうか。不具合があったら直せばよい。スピードが要求されているので今の基準にとりあえずプラス・マイナスいろいろやって、これでスタートする。一方で、きちんと誰かが見て必要に応じて変える。
●必ずしも我々は入国時点の告示だけに主眼しているわけではなくて、例えばこういう視点から見ていただくと、各審査において我々は当然、学校の質とか状況を見ている。それと、定期報告、今、協力ベースでお願いしているが、その中で年間、例えば不法残留率等も出して次の審査に反映させるということも、これはある意味では我々が継続的に学校を見ている部分であると思う。それから例えば地方自治体と協力して学校の実態調査をやっており、日振協の継続審査も意義のあるものだとは思うが、我々国もやっているということはご理解いただきたい。
○まさに在留管理という観点でやっておられるということは承知しているが、それは教育の質を保証するためにやっているわけではないというふうに理解している。
○この辺で確認しておきたいが、国がちゃんとやるべきだということは再確認してよろしいか。その後の審査のレベルの問題というのは、結構難しい問題である。
●先ほど委員から日本語教育の在り方、質保証の在り方、継続審査の在り方等について、新たな会議を立ち上げて中長期的な視点から継続的に検討することをきちんと書くべきだというご指摘をいただいた。
また、当面、国が審査をするという中で、今使っている基準について、もし今後、当面、法務省と文科省が使う上で不都合なところがあれば、先にご議論をいただきたい。
○不都合ということではなく、国際的に透明性の高い基準というような条件をつけておく必要があるのではないか。留学というのは海外から学生が来るということをもって留学とするわけですから、全世界に広がっているそのポテンシャルに向けてきちんと透明性の高い基準をつくらなければならない。国がつくるからには一層そのことが必要なので、その大前提というのは崩してはいけない。
○継続審査をどう扱うのか、告示の基準に入れるのか。継続審査を国がやるとなった場合、3年に1回だとすると1年に130から140校審査しないといけないが、無理ではないか。
●多分、分けて議論しなければいけないのは、要するに入国管理という関係では法務省も告示という観点で継続的にやっている。ただ、教育の質の保証という観点で言うと、それはビザとは切り離して、恐らく日振協のほうで教育の質という観点でやられていたので、そこは2つ分けて考えていただかないといけない。
例えば協会、協会というのは日振協ということではなくて、例えば日本語学校の教育の団体等、そこが継続審査を行い、透明性を確保し、良い学校とか悪い学校というように例えばミシュランマークをつける。これは独自でやるのか、それとも基準を設けて国がやるのか、これは考え方としてはあるので、そこは明確に分けて考えていただいたほうがよろしいのではないか。
○新規の審査と変更審査というのはかなり大きなポイントになる。要するに定員を大幅に上げるとか、校長がかわるなど、この辺の扱いはどうするのかという疑問がある。
○そこの部分はちゃんと確認しておかないといけないと思う。そういうのを基準の中に書き込むのか、あるいは基準の内規としてそういうものをつくるのかということではないかと思う。
○今の基準に入っていないが、建物の耐震性なども条件として盛り込んだほうがよい。
○日本語教育施設の定員が変更になるとか、代表者、設置者が変更になるとか、このような手続きの仕方については、情報が錯綜している。現場の入国管理局の担当の方や地域によって回答が違う。この辺の周知をしていただく必要がある。
それともう一つ、今の現行の基準というのは変えられないのではないか。もともと学校の設置基準をもとにつくられたものなので、これを逸脱してというのは難しい。
●そもそも継続審査というようなものについては明文規定がない。それは日振協が今まで担ってこられたということになるのだと思うが、今この場でご報告するようなものがない。例えば変更点については日本語教育機関から連絡があると思うが、それは今までも日振協を介さなくても連絡はいただいているところであるが、それを一つ一つ審査しているということはなかった。今後はそういう問題が指摘されると思う。
○例えば設置者が変わってしまっているというケースもあり、新規開設の状態がほとんどなくなっているという場合があるので、重要な変更については必ず審査を必要とするように継続していかないといけない。
○告示をするということと、ある教育機関、日本語学校なり日本語教育機関を教育機関として認めるということは次元が違うということをわかったうえで議論しなければいけない。告示ということに関する要件と学校の認可というようなことは別物であることがはっきり区別されるような表現にしていただいたらいいのではないか。
それから、それを踏まえた上で告示という行為を続けることは必要であるが、そのときにこの基準については、はっきりと時間を切って、例えば2年以内とか、1年以内とか、その間にタスクフォースとして基準設置委員会などをつくって各種学校等の設置基準や語学留学関係等の分野に明るい方々で基準を検討していただく。
○この場でずっと何回も議論されてきていることだが、教育の質を保証するというときには、教育の外形的な部分と、それから、教育の中身を保証するという2つのものがあって、もう少し教育の質を保証するという今2つの項目があった、その基準というものが世界標準の基準として認められるようなものであってほしい。
○告示に関して現状で矛盾を感じるのは、同じ専門学校許認可を受けた学校であっても、専ら外国人向けの日本語教育をやっている専門学校は告示が必要だが一方で、そうではない専門学校で留学生を受け入れているケースがあるが、この場合は告示の必要がない。統一性がない。
○大変良いお話をたくさんいただいた。今後どのように整理して、この会の報告として何を重点的に打ち出し、それから、将来の方向として我々はこういうことに注目しているということをきちんとまとめた形で出していくのが最後の仕上げになる。
●次回も今回のご意見も踏まえて検討させていただくが、基本的には告示の件と、それから、その後の質の保証の件とはある程度分けて、透明性を持った形で留学生にPRしていく。我々の主眼は、いかに留学生に来てもらい、その中で日本の中で学んでもらって働いてもらうか、帰ってもらうかというその1点だけなので、皆さん、またぜひよろしくお願いしたい。
高等教育局学生・留学生課留学生交流室
-- 登録:平成24年02月 --