高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育に関する検討会議(第4回)議事要旨

1.日時

平成23年4月28日(木曜日)10時00分~12時05分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

(委員)

水谷座長、江副委員、安藤委員、太田委員、大沼委員、奥田委員、加藤委員、岸澤委員、竹田委員、武田委員、伊東委員、西澤委員、西原鈴子委員、林委員、堀江委員、堀委員、福田委員、堀委員、水谷委員、山口委員、山本委員、山田委員

(関係省庁)

法務省、外務省

(文部科学省)

松尾学生・留学生課長、舟橋文化庁国語課長 他

4.議事録

(1)配布資料について、事務局より説明があった。
(2)以下のとおり議論がなされた。

(○:委員、●:事務局)

○前回の会議で議論できなかった部分、高等教育機関と日本語教育機関との連携促進について及び質保証の際に用いる基準について、報告書の取りまとめを見据えながらご議論いただきたい。

○前文の4について、大学等みずから日本語教育を実施する高等教育機関は含まないものとして整理とのことなので、留学生別科はこの中には含まれないという解釈でよいか。

●これまでの議論で、日本語教育機関といったときには、いわゆる日本語学校というところと大学等みずからがやっているところがあり、そのあたりをどう整理するのかというご議論がなされたと理解している。この素案の取りまとめに当たっては、ご質問いただいた内容で整理したが、この整理でいいのかどうかというのも含めてご議論いただきたい。

○海外における日本語教育と日本国内での日本語教育との連携についても提言の中に含まれるべき。

○日本の国際交流関係の仕事の将来に貢献できるような知恵集めを我々はする必要がある。その意味では国内に限らず、日本としてどう考えるかという知恵集めが必要だろうという意見。

○高等教育機関との連携促進という話があるが、高等教育機関というと普通は大学ということになるが、日本語教育機関のほうから言うと、進学先は専修学校、専門学校も重要であり、留学生がそれを選択できるという魅力がある。ここで高等教育機関との連携というときに、専修学校、専門課程との連携も答申の中に織り込んでいただきたい。

○今日の議題の中に入っているので、当然そういうことになると思う。

○本日の報告書の素案には、日本語教育機関についての記述がほとんどであるが大学等高等教育機関の日本語教育についてはこれから検討が行われるという理解でよろしいか。

●この会議の中でご議論いただきたい。

○今日のねらいは前回の会議で議論できなかった部分。一つは、高等教育機関と日本語教育機関との連携の促進、要するに日本語教育機関のあり方、全国的な視野で、あるいは国際的な領域も含めての議論をしなければいけない。それから質保証の際に用いる基準について、議論しなければいけない。それを展開していくために、前文、総論について、具体的に議論を進めていきたい。

○前文の4について、「日本語教育機関とは大学等高等教育機関への進学前に日本語教育を実施する機関であり」とあり、全体の中では日本語教育機関は多様な機関であるとは書かれているが、このような記載になると、日本語教育機関は高等教育機関より前の機関であるというふうな誤解を生まないか。

●全体の内容としては先生ご指摘のとおりなので、ここで最初にどう定義づけるかというのを、まとめに当たって修正していきたい。

○今のところについて、機関を峻別するということではなく、課程を峻別して議論するというような言い方にしたほうがよいのではないか。日本語教育機関であれ大学であれ、日本語教育に関連して単一の目的で固まっているということではない。この会議が議論の対象とするのは、入学の前段階における日本語教育について、留学しようとする者に対して行うべき日本語教育にかかわるものの審査ということである。日本語教育機関を入学前と定義し、それを丸ごと除くという議論ではなく、入学前にかかわる諸機関の機能、役割に限定して議論をするほうが矛盾はないと思う。
 つまりここの「日本語教育機関とは大学等高等教育機関への進学前に日本語教育を実施する機関であり」、これが日本語教育機関と入学前の日本語教育が同じだと読めてしまうのはよくない。日本語教育機関の教育のうち、入学前の日本語教育及び入学にかかわる課程を議論するということにとどめておけば、別科についての疑念を取り去ることになるのではないか。

○ここでの一つの重要なテーマは、日本語学校の認定ということがある。「学校の設置基準」と「教育の質」といった範囲が違うものが一つの中に入ってしまう気がするが、その辺の区別をはっきりさせておかないと後で混乱する。

○素案をそのまま読むと、日本語学校を取り上げて、例えば別科は含まれないように読める。そうではなく、機関の認定も含め、あくまでも留学しようとする、留学前ということに焦点があることを合意しておく必要があるのではないか。
 日本語学校の中で、留学とは関係なくオペレートしている部分があるが、今までの日本語学校の認定でそこに問題があったのではないかと思う。特にこの近年、日本語学校というのは留学のためだけに存在してきたわけではない。そのため、私たちが今注目していることが留学前という期間にかかわる日本語教育なのだということをはっきりさせておく必要があるのではないか。

○留学という言葉が何度か出てきたが、留学というのは高等教育機関で学ぶことを留学と定義するのか。もう少し広く留学をとらえるべきではないか。日本語学校もそうであるが、例えば高校生の場合、留学生と言っている。

○留学と言う場合にはかつての就学も含んで留学。

○留学前というのはどの時点なのか。

○この会議の目的が「高等教育機関に進学・在籍」という会議であるため、高等教育機関でないところの留学の範囲は、少なくともタイトルからは外れていると思う。高等教育機関進学・在籍前。

○日本語学校で学ぶ留学生たちの目的は大学進学、高等教育機関進学だけではない、ただ日本語をやりたい、アニメが好きだから日本語を覚えたいという人たちも民間の日本語学校には多く在籍している。その留学生たちと高等教育機関に留学を目指す人たちというのを意識的に分けて考える必要があると思う一方、日本語学校の認定ということに関してはどう扱うべきなのかということも、きちんと議論して明示しないといけない。

○現状として、日本語教育機関の多様化がかなり進んでいて、大学進学以外のものについて問題になるが、どれぐらいの幅があるのか教えていただきたい。

●机上資料に、(2)財団法人日本語教育振興協会認定校の現状という資料があり、日本語教育機関の活動に関するアンケートというデータがあるが、これによると日振協の認定校に在籍する学生の属性は多種多様な活動をしているということが読み取れる。

○大学進学を目的としない場合、何を目的としているかという情報を持っていない。例えば看護師や労働者に対する日本語教育の領域について我々はどういう考えで臨むのか、報告書をまとめる際に必要な整理。限定した、明確な範囲での提言と、情報が広くとらえられていることは、どちらも必要ではないか。

○この委員会が議論すべきものは多様な活動ではなく、進学、留学する者たちに対してどういう教育をするべきなのか、どういう設置が必要なのかということが中心的課題ではないか。認定されるべきことは、留学に関して、あるいは進学しようとする者に関して行っている教育についてで、その他、直接進学に関係しないようなこと、あるいは文部科学省以外の省庁と関係するようなことも積極的にやっている場合は、学校そのものがだめだと言われるのではなく、その活動については今回の認定の対象ではないと整理したほうがよいのではないか。

○現在の在留資格の留学は大学等へ進学する人に対する付与だけではなく進学をしない一般コースと言われているコースの人たちにも付与されている。つまり一般コースの人たちは、進学しないが留学を持っていた。その人たちの認可というのも日本語学校としてやっていた。高等教育機関に進学・在籍するだけに限ってしまうと、一般コースの人たちに対する留学の付与ができない。その部分について日本語教育機関の審査、認定をどうするのかという問題が残る。

●今のご発言のとおりで、留学、就学の在留資格が一本化されている現状では、専修学校の一般課程のほか各種学校で学ばれている学生さんも留学となっている。そういう意味で、事務局として、今回この会議のタイトルの立て方が必ずしも適切ではなかった。
 中心的課題は、高等教育機関に進学・在籍する外国人留学生の日本語教育に関する会議ということであり、今回のこの会議のミッションとして、在留資格を認める日本語学校の認定がある。その中には高等教育機関に進学しない留学生についても俎上に上げるべきなので、そこは事務局が設定をしているこの会議のタイトルと、今回議論をしていただくべきことにずれがあるのはご指摘のとおりである。

○前文の4番についての議論はきちんと決めないといけない。一つは、法人が大学別科を設置して、同時に各種学校も設置しているケースがあり、その場合、設置した日本語学校の各種学校はこちらの議論の基準に当てはまり、別科は当てはまらないという状況があり得る。
 もう一つは、別科の学生が本科に来ないという状況があり、極端な場合は別科の一年が終わった後日本語学校で勉強し、良い大学に行きたいという学生もいると聞いている。そのため、学生の取り込みのために、日本語能力はある程度目をつぶり、本科にそのまま入学させ、日本語教育をやりながら初年次の課程を行うという考え方もあるやに聞いている。
 やはり日本語教育として独立したものであれば、それについてきちんとしたものを枠組みの中にとらえるべき。
 一つの例として、アメリカの場合、当初、大学のエクステンションを中心とした、大学の設置した語学教育機関というのが協会をつくっていたが、数が少なかったことと、規模が小さくレベルもたくさんつくれないこと、学生募集に難があったことからそのまま立ち消えになった。結局外部の民間の語学学校に委託してするような学校の形態が増えていった。民間の学校も含めた上で、AAIEPというようなアメリカでの英語教育の一つの集まりをつくったという形で、より広範な語学学校も含めた形で枠組みをとらざるを得なかったという現実もある。
 日本の大学は助成を受けており、経営的な負担は少ないのかもしれないが、小規模なものを大学内でやっていくときにこそ、より質の高いものを提供していかなければいけないという使命もあり、マーケットから見られる現実の側面もあるので、やはりここの枠組みの中で組み込んだ上で議論していく必要がある。

○今のお話は、この後予定していた、高等教育機関への進学前、進学後、要するに2(ローマ数字).3(ローマ数字).のところで今日は徹底的に話し合いをしようと思っていた。

○この話し合いでは、目的は大学進学だけではなく、ほかの枠についても、一部タイトルと内容がずれているが、議論するということでよろしいか。

●中心的課題はこの高等教育機関に進学・在籍するということで考えていたが、在留資格を付与される学校の認定のことを考えると、このタイトルよりも若干広くご議論いただかないといけないのは事実。

○日本語学習者というのは大量にいるが、日本語学習者が大学進学希望者と重なるかというと、必ずしも重ならない。6カ月、4カ月勉強したいなど、現状のビザに合わない人たちが大量にいる。そういう人たちは、この場以外に議論する機会がない。それを思うと、もう一度この4番のところを変えていただきたい。それから、一方で、現在、日本語学校は、半数以上の学生が帰国していて、おそらく10月の新規の学生は来ないという状況におかれている。来年の4月生に至ってはゼロではないかという深刻な状態に陥っている。安心・安全な社会というのは、地震以前の話であり、このままこの素案を発表されるとしたら、何とずれた話というイメージを持たれるのではないか。
 今回の震災で一体留学生はどういうふうな状況に置かれてしまったのか、日本語学校の未来の形はどういう形になるのか。過去数年間留学生がどんどん減っている最中に、さらに震災により、二重苦、三重苦の状態に日本語教育はなりつつあるところだと認識している。これから何が起こるのかということを想定しながらこの結論を出さないと、時代に合わなくなる。

●委員がおっしゃることはごもっともである。在留資格が留学ではない方についても大事なテーマであるが、そこまでこの会議でご議論を始めると、時間が足りないため、それはまた別の機会にお譲りいただくべきだと思う。

○在留資格「留学」をもって日本語、日本文化を知ろうという人たちが非常に多い。そういう人たちは、高等教育を母国で終えて日本に来ている。こういう人たちも我々は取り込んでいかなければならないわけで、留学の在留資格で高等教育機関への進学以外の目的で学ぶ人たちを考えないといけない。

○地震の後の問題、この現象がどれぐらい続くかというのは、予測できないだろう。しかし、今までになかった、大きな反省ができる機会であるため、幅を広げて、可能性については言えるようになるはず。前がこうだったからというのは通用しないし、これからというのは予測できないという状況で、日本の未来に対して我々が少しでも貢献できれば、これにこしたことはない。
 ただ、与えられた議題に対する答えを出す責任がある。しかし、いい知恵というのは余裕を持ってやっていなければ絶対に生まれない。広げてまたすぼめてといういき方でいきたい。

○総論の2.のところで「外国人留学生を引きつけるさまざまな魅力を有しており」と言っていること、それから最後に「高い競争力を有してきた」と書いてあるが、ほんとうにそうなのか。何が魅力であるのか、それを国としてどのように外に出していくかということの議論はとても必要で、そのことを国として認識しなければならない。この先、世界と競争するだけの力を、学校単位ではなくて国として、政策として持っていかないといけない。高い競争力を有してきたとは思っていない。
 日本語教育機関の範囲を狭めるということは、これは多分国の決定にもなることだと思うので、非常に違和感がある。

○今の総論の2.の中で、この表現をこう変えたほうがいいという具体的な案はないか。

○変えるというよりも、今の段階でこのようなことを言えるのかという疑問が大きい。今後に向けて高い競争力を持つべきというようなものであって、現状としてこれを世界に向けて言うのは、あまりに私たちがそれを認識していなさ過ぎる。

●ここでの議論についてだが、各委員の先生が言われたように、スコープを広げて、きちんと日本語教育のあり方というのは議論すべきだと思う。
 一方で時間が限られている。今回の目的は2つあり、しっかりとした日本語教育のあり方を議論した上で、日振協の体制が事業仕分けで廃止されたことによる、日本語学校の告示についてどうするかということ。そのため、タイトルを「高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育に関する検討」としたが、スコープが若干狭過ぎるので、そこは座長が言われたように、広げたり狭めたりして議論していただくということになると思う。
 ただ一方で、実際に法務省の告示を待つ日本語学校があり、ある程度広げながら議論していただき、近々に行う告示の基準をどうするかについて短期間であわせて議論していただき、それを踏まえて全体としてどう考えるか、やるべきミッションと、それから後半につなげるミッションと、分けてご議論いただけるとありがたい。
 多様な教育、これは不可欠であり、日本で勉強するだけではなく、海外で資格を取って来日したり、あるいは日本でさらに大学以外で勉強する等、これは極めて必要なことであるが、一方でなかなかデータ等準備できていない状況でもあり、そこは時間をとった形でご議論いただくのがよろしいかと思う。
 我々としても、しっかりとご議論いただきたいと思うが、時間が限られているという部分と、しっかりと長時間とって議論をして、今後10年、20年、日本の魅力を上げていく部分と分けてご議論いただきつつも、関連づけをし、後に続くような形でのご議論をしっかりといただくというのが、我々としてはありがたい。

○その方向で異議はない。この会議でやろうとしていることは、日本語教育機関の審査等のシステムをつくり直す、そういう現実的な問題である。それを進めるために周辺にある問題を同時に抱え込みながら、将来に向けてやっておこうと思ったが、今日のお話の中で、広げろというご意見と狭くしろというご意見があった。

○総論の2.と3.で、「安心・安全」という文言や、「さまざまな魅力を有している」、「高い国際競争力を有している」という文言を、現実を踏まえた表現に変えたほうがよい。そういうものを目指すということを掲げることはできると思うが、海外において日本は決して高い競争力は持っていない。

○総論の3.に日本留学の具体的なロールモデルを海外に発信するということが書かれているが、事務局には具体的な提案があるのか。日本留学に向かっての道筋を明確に説明するということであれば、そのような書き方にすればよい。

●前回までの議論の中で、どのような道筋で日本に留学し、勉強して卒業するというものがないので、それをつくって諸外国との競争に勝たねばならない、というご議論があり素案の中に書いたが、具体的に何かあるわけではない。

○日本語を勉強することが将来のその人にとってどういう可能性があるかということをより具体的に提示することによって、日本留学、日本語学習の魅力がもう少しクリアになるのではないか。

○留学生30万人計画の中で、各省庁連携で、留学後や地域との連携についてどのようにしなければならないかということについて既に構想の中に入っている。アジア人財資金構想の中にも、どのように海外から人を誘致して、どのような活躍をしてほしいかというようなことは既に書いてある。ただ、それが実行に移されているかどうかということ自体は大きな問題かもしれない。
 有用な人材に来てもらって、日本で勉強してもらって、定着してもらって、帰化してもらってというような、そういうことが構想の中には既に書かれているので、今後、盛り立てていくというような書き方にするべきなのではないか。

○事務局で各省庁、省内で協力してもらえるような記載をお願いします。

○特に科学技術の多くの分野で日本は世界のトップをいっていると思う。学術研究のところで日本及び日本人、大学院レベルの研究施設が、ノーベル賞候補を抱えているという現状があり、それは学部レベルで留学してくる人の目にはとまっていないかもしれないがやはり世界に冠たる日本の研究競争力というのはあると思う。
 そこが留学につながっていないとか、学術交流というのに対してあまり人の目に見えてこないところがあると思うが、例えば、技術力というか、技術を物に還元する力というのは、認められているのではないのか。それを留学に結びつけるということとの続きをきちんと記載すれば、あまり謙遜する必要はないのではないか。

○高等教育機関とのかかわりの部分、2(ローマ数字).3(ローマ数字).のところに入りたいが、ご遠慮なくご意見を賜りたい。

○やはり日振協後の認定の問題であるが、どうしてもタイトルに引き寄せられてしまうが、せめて、副題に「質検討会議」というタイトルをおいていただきたい。

●タイトルで誤解を招きやすいところがあるので、副題等をつけて中心ミッションを明確にするということは前向きに検討させていただく。

○高等教育機関の中の、大学の日本語別科は除くという意見があったが、そうであれば専修学校で行っている日本語教育も除かれるのが当然だと思うが、以前の日振協の審査の形で言えば、専修学校の日本語教育は日新協審査に附属している。その辺には矛盾があるので、この場で整理していただきたい。
 まず、なぜこのような課題が生じているのかということで、日本語教育機関の中の一部は教育機関としての認定がない。株式会社立があるが、日振協の仕分けにおいても問題になった。法的な基準が明確でない、教育機関として国が定めたものが何もないということ。
 今の課題を整理すれば、大学の日本語別科、専修学校が行う日本語の教育、各種学校で日本語教育機関としての認可を持っているところ、この3つに関しては国の定められた基準によって、教育機関としての認可をもらって教育をしているため、これで済ませることでよいのではないか。
 では問題は何かといった場合に、教育機関として日本語教育をやるのではないところ、要するに株式会社、個人立等でやる場合に関してのみ、新規の日本語教育を始める場合の認定をやらなければいけないという問題が残る。
 教育機関以外のところが新たに日本語教育をやりたいといった場合には、法務省に申請し、今の形で法務省が、必要であれば文科省がお手伝いをしながら認定をし、告示まで持っていくという姿でよろしいのではないか。
 もう一つの課題は評価の問題。認定された株式会社立も含めて、日本語別科、専修学校や各種学校でやっている日本語教育、すべてに係る評価機関をつくった場合、評価機関の認定はどこが行うのか、この問題は課題として残る。文科省あるいは文化庁の国語課がやるのか、日本語教育をきちんとやっているという評価基準をつくって公表した上で、評価する団体を公募すればよいのではないか。文科省あるいは文化庁で、その評価をする評価機関であるという認定を出せば、その評価機関が日本語教育ということについて評価していく。これを公表することによって大学等との連携も深まっていくのではないか、あるいは海外の発信というのも、評価されていくのではないか。

○では、審査段階について意見を伺う。

○各種学校については、準備教育課程のための資料、東京都認可のための資料、日振協審査のための資料を出している。細かい内容かつそれぞれ違う書式であるため、なぜこんなに書類を作成する必要があるのかわからない。この機会にぜひ検討いただきたい。
 また、新しい評価機関ができた場合、日振協に認可されていた既存の機関はどうなるのか。既存のがオーケーであるんだったら、ここで明らかにポイントを切りかえる。切りかえるタイミングとしては、今後は各種学校のみでも何でも、今はそのタイミングとしていただく。

●枠組みを決めた場合には、経過措置を置くか、あるいは過去のものはそれとするのかというのは、ご議論があるところだと思うが、やはり現状を見据えて、経過措置を置く、あるいはもう既に認められているところは中間評価、1年ごとに評価を行うとか、質の保証という観点からどうあるべきかをご議論いただきたい。
 また、各種学校として認められている場合は、一定の教育機関としての水準を保証されているので、それをもって法務省の告示の対象としたらどうかというご議論があるが、それは事務局から提案するよりは、委員の皆様にご議論をいただきたい。事務的に一つ申し上げれば、教育機関としての水準を持っているということと、日本語教育機関としての水準を持っているということは必ずしもイコールではないので難しい気がする。

●現行では、専修学校、各種学校が日本語教育を行う場合は基準に基づいて告示をしている状況であるため、日本語教育を施す機関が留学という在留資格を付与する日本語教育機関に当たるのかというのは、必ずしも現状ではイコールではない。

○留学生に対して日本語教育を行う基準は、法務省の告示をする際の基準が内規としてあるだけで法的に示されたものはないというのが現状ではないか。
 そうであれば、各種学校や大学等でも同じだと思う。大学では日本語教育を実施する基準があるのかというと、多分ない。別科の日本語教育の設置基準は聞いたことがない。日本語教育を受けるための在留資格というのはあるか。

●日本語教育を受けるだけの在留資格というのは「留学」となる。あるいは短期間であれば短期滞在という在留資格も該当する。

○法務省では留学の中で日本語教育のみを実施するという、もとの就学に当たるビザとの区分けはされているのかもしれないが、留学ビザというのは日本語教育を受けるためのビザではなく、日本で教育を受けるビザではないか。日本語教育を受けることと留学生としての教育とはまた別の質のものである。

●日本語教育を受けることも基準省令の中でうたっているので、必ずしも該当しないということではなく、当然留学に該当するものであって、その上で、いわゆる質の保証も含めて告示されたものに限られているということになる。

○例えば留学生を受け入れている教育機関の中で、日本語教育をやっていなくてもビザが出るのではないか。

●基本的には一定水準以上の日本語能力が必要ということになっている。

○そうであるが、ビザを与えて日本に入ってくる留学生に教育を施している教育機関に関する認定は全くないのではないか。法務省の認定を受けたから留学生を受け入れられるわけではないのではないか。これは大学や専修学校も該当する。日本語教育をやる場合のみ告示が必要だということではないか。
この辺が前から矛盾を感じている。専修学校であれ、大学であれ、留学生を教育できるかどうかという質保証は一切されていないのが現状。日本語教育を施す際だけに質保証と告示を必要とし、何回も審査を受けながらこれをクリアしていかなければならないという形が、これは特に専修学校、各種学校に関して、二重、三重の審査をもってこれをやっているわけである。そういった現状があるので、この際、その辺の矛盾をクリアしていただけないか。
 本来であれば大学であれ、専修学校であれ、日本語教育をやっている機関であれ、留学ビザを申請して許可するのであればすべて告示が必要だというのが基本ではないか。日本語教育について告示が必要であれば、留学生をきちんと教育できるかということを告示する、それを審査する必要性もあるはず。

○各種学校で日本語学校をやってきた者としていいたいが、学校教育法上、外国人をもっぱら対象とする場合は専修学校から除かれるので各種学校になるわけだが、その場合、日振協の書類と同じようなものを提出する必要があることから、株式会社で日本語教育をする場合、ある種楽である。その意味で、既存の学校は今までの形を現状のまま継続したい。

○専修学校や各種学校が新しい学科を設置したいという場合には、当然しかるべきところ、都道府県等に審査、あるいは申請して認可してもらう。
 それが日本語教育機関の場合、専修学校や各種学校は今までだったら日振協に審査あるいは申請をしていたということだと思うが。

○専修学校と各種学校では取り扱いが違うと思うが、日振協と都道府県に同時に申請しないといけない。そして、日振協のほうは都道府県がどのような判断をしているのかを見ながら考えることとなり、両方でそれを見合っている状況。委員が言われたように、二重のことをやらなければいけないということ。

○懸念があるが、委員のおっしゃったことに一部誤解があると思ったのが、日振協の仕分けのときに問題になったのは日振協の法的根拠であって、株式会社立の学校が入っているからそこで問題になったというわけではない。
 日振協に意味があると思うのは、設置主体は関係なく株式会社立も個人立も含めて日本語教育機関としての質を問うという部分である。もう一つは、この会議について、将来に向けて期待できるなと思うところは、設置主体関係なく、すべてをもって収集し、そこで質について論議しようというふうな姿勢であるところであり、これからの日本語教育機関はそれをもって日本語教育と大きくとらえられると思う。
 専修学校の煩雑さ等について、それは一つの議論としてあっても、株式会社立云々というところをごっちゃにして話をしてしまうと、すべてが学校教育法上の学校の範囲内しか日本語教育としてとらえてもらえないことになるのは非常に大きい問題だと思うので、そのことは別の議論としていただきたい。

○課題を整理する際に、法的根拠があり教育を行っている各種学校と専修学校、あるいは大学の別科、別科はもともと外されているが、法的根拠のある教育機関が日本語教育を実施する際は別の方法をとっていただくか、除外してほしいという意味での発言である。
 もう一つ、日本語教育をすべて評価するということであれば、大学の別科であれ、日本語教育として教育そのものの評価をするのであれば、第三者評価機関が自由に評価するべきだと思うが、このときに設置主体がどこであるかというようなことは言っていない。
 なぜ日本語教育機関だけが告示が必要になるのかということも矛盾を感じているし、もっと原則的に立てば、日本語教育というのは留学生教育の一部である。留学生教育自体がちゃんとできるのかどうか、これも一つの評価基準になるべきであり、ビザを出すのが法務省であれば、教育機関として幾らすばらしい専門学校であったとしても、留学生を教育できるかどうかはまた別の話である。
 日本語教育だけの留学のビザじゃなくて、留学生を受け入れられる教育機関であるのかどうかということも審査する必要性があるのではないか。しかしそこまで話を進展すると、議論が混乱するので限定すべきだが、本来はそうあるべきだと思う。
 やはり一つの大きな問題は、審査機関が一切ない。法的根拠を持たない組織が留学生を受け入れて教育を施したいというところに関しては、今後も新規にやる場合にはちゃんとした認定をして、告示をしないといけないと思う。

○質保証の点で言うと、日振協のやってきた審査は新設校の認定以上に更新審査が重要であったと思う。これが質を担保していたのではないか。
 新設の場合の認定をどうするのかということは、武田委員がご発言の方法も一つあると思う。ただそれと同時に、一定期間ごとの評価をここでしっかり議論していかないと、今まで日本語教育機関の水準が全体的に向上してきたものが、もとのもくあみになってしまうのではないか。その2つの部分は分けて議論したほうがよいのではないか。

○機関の認定、審査、証明を行って、法務省の告示をどういう形できちっと担保するかという問題だと思う。もし無駄なことをしているのであれば簡素化すればよい。例えばちゃんと学校教育法上のアクレディットを受けている専門学校、大学、各種学校であれば、審査するときの膨大な資料をカットすればよい。そもそも学校教育法上の基準をもとにつくられたものであるので今さらやる必要はないという簡単な議論でいいと思う。
 むしろ残りの日本語教育機関をどう担保するか。いわゆる専ら外国人を受け入れる機関として、その学校の在籍管理だけではなくて、在留管理を含めたところをきちんとやらないといけない。学校教育法にのっとっていない機関については、施設面、人について、別途アクレディテーションを行う機関を置いてはかる。
 議論があまり拡散してしまうのではないかという危惧していたことの一つが、いわゆる株式会社立と称される学校教育法にない教育機関と、学校教育法にのっかった機関についての議論をあまりする必要はないと思う。せっかく仕組みがあるので、それを生かして、今後どうやって、簡素化するようにするか、あるいは今後の話として、どういう形で外へ打っていくのか、競争力があるように制度的にどう整備していけばいいのか、そういう議論をしていったほうがよい。

○3(ローマ数字).で、高等教育機関との連携の話で、専修学校、専門学校も当然入るべきだと発言をしたが、表題が、高等教育機関への進学後と書いてある。これは必ずしもそうではなく、進学前にどうするかということをいろいろ連携し、日本語教育と、例えば大学の教育の間で日本語教育はどういう位置づけであるかというようなことも大事だと思う。
 それからもう一つ、高等教育機関というと法律的に言うと狭いと思うが、専修学校、専門学校との連携も踏まえてということであれば、例えば経済産業省、企業団体との連携等、いろいろな連携を視野に置いて、まず学校教育法上の大学、専門学校から始めるという順序があると思うが、そういう広い視野に立つことが必要。
 先ほどロールモデルの話があったが、ロールモデルというのは、日本語を勉強してその先、いろんな道があり、大学への進学、世界で1位の日本の科学技術の研究者になる、日本での就職、帰国して日本企業への就職、日本駐在大使になる、等いろんな道筋があり、過去もこういう人がたくさんいるということを発信するには、このような連携というような組織をつくることは非常に重要ではないか。まず高等教育機関から始めてもいいが、そういうことが将来非常に重要ということを記載願いたい。
 それから、日本語教育だけ告示が必要なことについても疑問に思うが、今それを議論しても簡単にはいかない。質の問題をどうするかということであるが、例えば日本語教育は入管、告示が重要であるということであったとしても、学校教育法上の学校で日本語教育を行っているところ、それ以外何もないところ、これを手続の簡素化も含めて、何らかの形で考えていただく必要があるのではないか。
 ただ、それは入り口のところで、ほんとうにきちんと日本語教育をやっているという評価、これは設置形態は関係なく評価されることが重要なことだと思う。ここについて一度整理をしていただきたい。

○4(ローマ数字).についてだが、日本語学校と大学の連携を模索するときに絶対に欠かせない議論がここにある。留学生をどうやって日本に呼び込むかというところで一番困難なのは、アメリカ、イギリス、英国はそのようにしているが、ポテンシャルで仮留学許可を出して、スチューデントビザという形で渡英、渡米することができる。そして英語力が大学入学・学術研究遂行相当になったときに初めて入学許可が出る。
 日本留学でもこのことが大きな問題になっていて、結局優秀な学術能力を有していながら日本語ができない。大学としては、日本語ということを考えなければ採りたい学生がいっぱいいる、またはそのことが担保されれば来たい留学生候補者はいっぱいいるというところで逡巡してしまう。日本語学校には残酷なことを申し上げるかもしれないが、結局日本語学校に行って、1年ないし1年半日本語を勉強して初めて入学試験を受けることができて、留学できるかどうか、または入学できるかどうかの保証がないところでそういうことをやっていなきゃならないというのは、日本語学校にとってはそれが重要なミッションですけれども、留学したい世界の人口にとってはこれはハザードである。そのことが大きな障壁になっている。
 日本留学試験ができたとき、留学生30万人計画が構想されているときにも、直接海外にいて入学許可を得て渡日できるようにするということがうたわれていると思う。そのことが、確かにここに書かれている、留学生にとって留学しやすい環境というところを考えるときに欠かせない制度の改革だと思う。日本語学校群と大学はそこで大きな連携の可能性があって、つまり仮入学許可を得て、日本語能力はいまいちだけど、日本の大学としては欲しい人材が来日してきたときに、大学との連携の中でその能力アップを担うことができるのは日本語学校群の大きなメリットでもあるし、存在理由としても非常に大きなものになるのではないか。その連携のあり方というのをここにどのように書くのかについてはお任せするが、将来的にはそういう日本留学のあり方が海外の留学候補者にとっては非常に魅力的になるのではないか。

○先ほど出たロールモデルの一つとして、やはり自分の国で日本語を勉強している人が日本の日本語学校、日本語教育機関にそのまま入れるとか、日本語学校で勉強している人が大学に優先的に入学させてもらえるとか、インターンシップができるとか、企業へ就職の道が開かれている、そういう一つの横ぐしを通したモデルを提示することは、日本留学をしてみようと考える人を増やすことになると思うので、横断的にそういうことを考えないといけないのではないか。
 2(ローマ数字).で、日本語教員の標準的な資格・能力・資質の基準というのがあるが、職員の基準も設けるべき。学生たちは日本語学校では毎日職員に接する。その職員たちが適切に対応できるか否かによって、留学というものが変わる可能性が大きい。
 それと文科省と文化庁の連携だけではなく、外務省や経産省などオールジャパン的な連携というものも提唱しておく必要があるのではないか。

○今回の大震災で、例えば日本で1年でも2年でも勉強しながら生活をしたことがある人たちは、日本は汚染列島だとか沈没するのではないかという情報に踊らされないという気がする。
 例えば渋谷に原発があるというような話は、自分の国に帰って報道されようが、そんなことはなく、日本というのはもっと安全だというふうに理解してもらえる。
 そういう意味で、やはり日本に留学して勉学だけではなくて生活してもらうということは非常に日本にとって大事なことではないか。そういう意味でいろいろ考えなくてはいけないが、科学技術ももちろん、経済力ももちろん、いろんなことがありますが、その魅力プラス、日本で生活して日本がどうだったかということを身をもって感じてもらうのが10年先、20年先、30年先に親日家になり、そういう人材を育てていくのは非常に重要なことだと思う。やはり、結論は留学生を増やす、日本で生活実体験のある人を増やすということが非常に重要。

○外国人受け入れということは、どうしても日本語教育機関を語るときに欠かせない視点で、やはり受け入れのスキルは非常に重要で、今回の震災のときに、学生たちを置いて自分の国に帰られた経営者がいると聞く。そういうことは日本語学校の場合は起こり得る。
 外国人受け入れについての必要な理念などは日本語学校であろうと大学であろうと変わらないものであり、それについて考えておく必要がある。オーストラリアの場合は留学生受け入れに関してCRICOSというところで基準を設けている。それは留学生受け入れに関する資格を国がつくって、その下に英語教育というものを質的に認可し保証している。そういった形での海外の事例もあるのでせめて留学生受け入れというところで、何か規定なり基準なりが必要。

○日本語ができないから大学へ進学できないという学生をどうしたらいいか、そのために大学がみずからつくったものが留学生別科になる。日本語学校と別科は違う形態を持っているが、日本語教育の機関であるという意味では同じことをやっているので、一つの連絡組織的なものができると、もっとスムーズに留学生が留学しやすい環境が整っていくのではないか。

●次回、第5回目の会議は5月中旬から6月上旬に、第6回の会議は6月中旬から7月上旬の開催で、日程調整をさせていただきたい。

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-- 登録:平成23年08月 --