日本・EU留学生交流パイロット・プロジェクト(和訳)

ガイドライン

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背景

1991年の日本・EC共同宣言以降、日本・EU関係は着実に発展し、さらに緊密なものとなり、あらゆる分野にわたって密接な相互関係が築かれるに至った。日本・EU関係の着実な発展が10年を経た今日、さらに新たな関係強化に向け、2001年からの10年を「日欧協力の10年」とすることが宣言された。そのための方針を具体化した「日本・EU協力のための行動計画」が2001年12月に発表され、平和と安全の促進、経済・貿易関係の強化、地球規模の問題および社会的課題への挑戦、人的・文化的交流の促進という4つの重点目標が掲げられた。この第4項目では、学問的分野における日本・EU間の関係と交流の重要性が認識されている。

2000年4月、G8教育大臣会合、欧州委員会教育担当委員の会議が東京で開かれ、議長報告書が採択された。この報告書は、参加国が学生、教師、研究者、管理者の国際的交流を促進するため、あらゆる努力を傾注する決意を確認しつつ、a)今後10年間における交流のための移動率を倍増することを目標として、G8諸国および他の諸国間の全体的な交流レベルを大幅に向上させる方法を追求し、b)「エラスムス」およびUMAP等の国際的移動モデルの経験を分かち合い、教育交流ネットワークのさらなる発展を促進する、ことに合意している。

このような背景に基づき、日本と欧州共同体は、高等教育の分野における日本・EU間の実質的で長期的な組織的協力の将来モデルとなる、多国間の学生交流を目的とするプロジェクトの提案を1つまたは2つ程度、共同で募集するものである。

この募集はEUにおける「ソクラテス」※1プログラムを採択した決定の第13項に基づいて実施されたものである。

  1. 資金調達の適格者とプロジェクト・パートナーの最低数

    このプロジェクトは「ソクラテス」プログラム参加国※2のうち、少なくとも3カ国の3高等教育機関(以下「欧州側教育機関」)からなる、コンソーシアムを形成し、これら3カ国のうち少なくとも1カ国はEC加盟国とする。また日本からは3高等教育機関が参加する。

    この募集の目的上、「高等教育機関」とは、名称にかかわりなく、適用法または慣行に基づいて、高等教育レベルの資格または学位を授与できる機関を意味する。

  2. プロジェクトの実施期間と支持される活動

    パイロット・プロジェクトは3年間の資金供与を受けることができる。

    (2002年10月〜2005年10月までの3年間)

    プロジェクトの主な目的は、大学院(修士)レベルの学生交流の枠組みを設けることにある。

    パイロット・プロジェクトは以下の内容を持つものとする。

    2.1  共同学習プログラム

    申請を希望する日本および欧州の高等教育機関は、各参加機関で大学院(修士)レベルの学位授与を目的とした(正規課程に在籍している)学生を対象とした学生交流の共同プログラムを提案するものとする。

    プログラムの一部として、日本人学生は参加欧州の2カ所の高等教育機関に在学するものとする。

    「ソクラテス」プログラム参加諸国学生(以下「欧州側学生」)のためのプログラムでは、学生は所属機関以外のもう1つの欧州側機関と、少なくとも1つの日本側高等教育機関に在学する。

    2.2  学生の留学

    パイロット・プロジェクトは大学院学生(学位(修士)取得を目的とした正規課程在籍者)を対象とするものとする。

    留学生の数:パイロット・プロジェクトの期間全体を通じて、日本、欧州からそれぞれ30人から50人の学生交流を行う。留学生の数や期間は双方で均衡を取るものとする。

    留学期間:日本、欧州の学生はそれぞれの参加機関に最低1学期(学年暦での5カ月)、最長1学年(学年暦での10カ月)留学する。

    欧州側学生:プログラムの一部として、欧州の他の機関に最低2週間在学する。

    授業料等に関する合意:海外に留学する学生は所属教育機関に授業料等を納入し、留学先の教育機関には追加納入しない。これには授業料、入学料、検定料(受験料)、図書館、実験室設備利用料金などが含まれる。

    留学・研修期間の認定:このプログラムにおいては、受入れ機関における学習の成果は所属機関で認定できるものとし、欧州単位互換制度(ECTS)とUMAP単位互換方式(UCTS)に基づく単位認定の実施が必要となる。

    学生に対するサービス提供:提携教育機関は、受入れ学生が他の在籍学生と同じように教育プログラムに参加できるための、受入れサービスを提供する。

    学生の選抜:学生の選抜方法はプロジェクトに参加する日本、欧州の受入れ機関が決定する。提案には学生選抜方法を記述しなければならない。

    留学の準備:言語や文化の学習など、学生の留学準備のために適切な措置を取るものとする。

    初年度のプロジェクト活動は、単位の認定や各教育機関の間の単位互換、授業料に関する措置、学生の文化的な準備などを重点的に行う。学生の選抜方法、学生に対するサービス提供、プログラム開発、プロジェクトに必要な管理組織・方法なども初年度中に完成させるものとする。プロジェクトの第2年度、3年度を第2段階とし、学生交流を実施する。

    2.3  評価プラン

    プロジェクトでは、その目標や期待する成果などを述べ、さらにプロジェクトの成功を測定するために用いる質的、量的な指数を説明した、詳細な評価プランを作成するものとする。

  3. 提案募集の対象となる学問分野

    今回の募集は以下の分野におけるプロジェクトとする。

    • エンジニアリング・生命科学
    • 法律
    • 経営学・経済学
    • 情報通信技術
    • 社会科学・教育

  4. 参加教育機関の意志表明

    プロジェクトに参加する日本、欧州の教育機関は提携機関と詳細な提案について合意する必要がある。提案には特に、共同プログラムの内容、均衡の取れた学生交流、単位認定、受入れ機関における授業料・入学料の免除、などについて記述するものとする。なお、各機関は学術または管理部門の責任者(学長、副学長、学部長、所長など)が、提案の諸条件を守る旨の確認書を提出しなければならない。

  5. 資金提供

    欧州委員会(DG EAC)は欧州側機関が必要とする総費用の75%までを、共同で提供する。

    日本の当局は日本側機関が直接必要とする資金(短期留学推進制度による派遣学生の奨学金)を提供する。

    欧州参加国

    この3年間のプロジェクトに要する欧州側の資金は総額約30万ユーロである。この資金は次のように配分される。

    23万ユーロ:留学生の奨学金に充当。欧州の交流学生は平均月額700ユーロの奨学金を給付される。旅費は学生1人当たり平均1000ユーロが支給される。

    残額はプログラムの作成および実施に直接関連する活動に使用することができる。この資金には欧州域内の留学に対する奨学金も含まれる。

    日本

    日本の参加学生には、UMAPと日本国際教育協会(AIEJ)が委託協定によって実施している短期留学推進制度により、所属大学を通じて支援される。プログラムの開発、実施に必要な他の資金は参加各機関が負担する。

  6. 提案の提出

    日本および欧州の中心的機関は共通の内容の提案をDG EACおよび文部科学省高等教育局(HEB/MEXT)にそれぞれ提出しなければならない。DG EACおよびHEB/MEXTに提出されなかった提案は資金援助を受けることはできない。すべての提案申請書は2002年5月31日までに郵送または直接に提出しなければならない。

    欧州での提案書の提出

    欧州の中心教育機関は欧州における申請書(共通提案を含む。原本1部、コピー2部)を提出しなければならない。コピーはホッチキス止めとし、製本はしない。ファックスまたはEメールで送られた提案書は受理されない。DG EACに提出する提案書は欧州共同体のいずれかの公用語で作成する。すべての関連資料文書は2002年5月31日までに下記に書留郵便で郵送する。

    European Commission
    Directorate General for Education and Culture
    Martin Westlake, Head of Unit A/5
    200, rue de la Loi
    B-1049 Brussels

    申請書を直接に提出する場合、正式代表者または託送便で、2002年5月31日午後4時までに、EAC/A/5事務局 (Rue Belliard 5-7 Office 8/24, B-1040 Brussels, Belgium)に提出する。提出した書類を受領した担当者が署名した受領証を、提出の証拠として保管しなければならない。

    詳細な情報については、欧州での申請者は下記に問い合わせること。

    Augusto Gonzalez
    Deputy Head of Unit
    Directorate General for Education and Culture
    European Commission
    rue de la Loi, 200 (B7 8/20)
    B- 1049 Brussels
    Tel.: (+32 2) 296 63 19 Fax: (+32 2) 295 57 19
    Email: augusto.gonzalez@cec.eu.int

    日本での提案書の提出

    日本の中心教育機関は日本語による申請書(共通提案を含む。原本1部、コピー3部)とEU側の中心教育機関がDG EACに提出した申請書の写しを1部添え、提出するものとする。コピーはホッチキス止めとし、製本はしない。ファックスまたはEメールで送られた提案書は受理されない。すべての関連資料文書は2002年5月31日までに下記に書留郵便で郵送する。

    文部科学省高等教育局留学生課短期・海外留学係
    100-8959東京都千代田区霞ヶ関3-2-2

    詳細な情報については、日本での申請者は下記に問い合わせること。

    財団法人日本国際教育協会(AIEJ)留学情報センター所長
    堀江  学
    135-8630東京都江東区青海2-79
    Tel:(+81 3) 5520-6111 Fax: (+81 3 5520-6121)
    Email: m_horie@aiej.or.jp

  7. 提案書の内容

    日本および欧州の中心教育機関はそれぞれ、同じ内容の提案書をDG EACおよびHEB/MEXTに提出する。本書の最後に添付されている申請書式を使用すること。

    申請書式

    1  表紙

    2  提案の説明

    1. 共同プログラムの説明
      • プログラムの学術的内容の説明
      • プログラムを実施する場合の各欧州教育機関の学術上、管理上の責任を説明
      • 海外留学が国内学習プログラムの一部とする際の方法を説明
      • 期待される結果およびプロジェクトの成果を説明

    2. 学生の留学
      • 学生交流をどのように実施するかを詳細に説明
      • 参加各機関が合意した学生選抜方法を説明
      • 各教育機関が送り出し、または受入れる学生の数、留学の期間を説明
      • 留学生が受入れ機関の授業料、入学料等を免除されることを証明する、参加機関責任者の書状などの証明書類を提出
      • 学生交流プログラムに対して、学習成果の評価を保証する制度または方式を説明する参加機関責任者の書状などの書類を提出
      • 学生を支援するための学生に対するサービスの説明
      • 適切な言語および文化的な準備の説明

    3. プログラム関連活動
      • プロジェクトに関連するその他の活動、特にプログラム作成活動(スタッフ会議、セミナー、ワークショップなど)を説明
      • プロジェクトの製品、成果、結果等の発表方法
      • パイロット期間を超える活動を維持する方法の説明
      • 十分な評価制度作成の説明

    3  提携機関の説明書類

    4  個人情報

    プロジェクトに関係する中心的スタッフ全員の資格等を明確に記載する。別紙に簡略な経歴(1ページ)を添え、そのスタッフの関連するスキル、経験等を説明する。

    5  作業計画

    6  学生の留学チャート

    学生の留学チャートを作成し、各日本・欧州の教育機関、組織間の流れを説明する。

    7  組織の保証書

    各日本・欧州の提携機関の代表者、責任者による保証書を添付する。

  8. プロジェクトの選定

    DG EACおよびHEB/MEXTは共同で以下の選定基準(同一比重)に従い、プロジェクトを選定する。

    1. プロジェクト案設計の全体的品質、特に
      • 共同プログラムの設計および実施メカニズムの品質
      • 単位認定および授業料等免除を含む、学生交流に関する設計および実施規定の品質
    2. 各実施期間の均衡の取れた関与、および詳細な提案の受諾が明確にされているか否か
    3. 提案の予算が本募集案およびプロジェクトの目的に合致しているかどうか

(以上)



※1  共同体行動計画第2段階「ソクラテス」を決定した、2000年1月24日付欧州議会、欧州評議会決定(No.253/2000/EC)

※2  参加国は次の通り。

  • 欧州共同体15加盟国
  • EFTA/EEA加盟国:アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー
  • 加盟候補国
    • 中欧、東欧の加盟申請国:ブルガリア、チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア
    • キプロス、マルタ

(高等教育局留学生課)

-- 登録:平成21年以前 --