留学生受入れ制度100年記念式典

1. 留学生100年記念式典式次第
  留学生受入れ制度百年記念式典次第
       
  日時 平成十三年十一月二日(金曜日)
  会場 国際研究交流大学村
東京国際交流館   プラザ平成
       
  一、 開場
       
  二、 天皇皇后両陛下御臨席
       
  三、 国歌斉唱
       
  四、 式辞
      文部科学大臣
      留学生受入れ制度百年記念事業実行委員会委員長
       
  五、 留学生受入れ制度百年記念留学生交流功労者表彰
      文部科学大臣
       
  六、 天皇陛下おことば
       
  七、 祝辞
      内閣総理大臣
       
  八、 留学生代表あいさつ
       
  九、 天皇皇后両陛下御退席
       
  十、 退場

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2.天皇陛下おことば

 留学生受入れ制度百年に当たり、我が国における留学生の受入れに携わってきた関係者と共に、外国からの留学生を交え、この記念式典に臨むことを誠に喜ばしく思います。
 明治三十四年、当時の帝国大学などに留学生を受け入れるための「文部省直轄学校外国人特別入学規程」が制定され、その翌年、我が国は五十八人の留学生を近隣諸国などから受け入れました。以来百年を経て、現在では、世界のすべての地域から、八万人に近い留学生が我が国を訪れ、勉学にいそしんでいます。この間、制度の充実や、実際に日本を訪れる留学生の接遇に長年力を尽くしてきた関係者の努力に深く敬意を表します。
 我が国は、その歴史を通じて、多くの留学生を海外に送り、その恩恵を受けてきました。古くは七世紀から九世紀にかけて遣隋使、遣唐使に同行して中国に学んだ留学生や、十九世紀後半に国の近代化に貢献するべく欧米諸国に学んだ留学生があり、戦後は、ガリオア留学生やフルブライト留学生を始めとし、今日に至るまで、多くの学生が様々な形で外国に学んできました。これらの留学生は、外国での見聞や経験を持ち帰り、それぞれの時代の国や社会の発展に寄与し、国際親善にも貢献してきました。
 外国留学には、専門分野の研鑽を積むことに加えて、留学先の歴史や文化を学び、他国に友を得るという大きな意義があります。外国から我が国を訪れる留学生が、帰国後、それぞれの母国で留学の成果を十分に役立て、また、母国と我が国との相互理解や友好関係の増進に寄与していくためには、各自が安心して勉学に励み、多くの知己を得て、実り多い滞在をなし得るよう、我が国の人々が十分に配慮をすることが重要であると思われます。
 我が国の留学生受入れ制度が、今後ますます充実していくことを期待し、日本を訪れる外国人留学生、そして海外に学ぶ日本人留学生双方が、周囲の温かな理解の下、良き留学生活を送れることを願い、式典に寄せる言葉といたします。

 

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3.内閣総理大臣祝辞

 本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、留学生受入れ制度百年記念式典が挙行されますことは、誠に慶ばしく、心からお祝い申し上げます。
 明治三十四年に我が国政府が留学生の受入れ体制を整えてから、既に百年が経過したことに、感慨を深くしております。二十一世紀に入り、今ここで改めて内外の情勢を展望するとき、我が国はまさに大きな転換期を迎えております。我が国は、あらゆる分野で世界に平和と繁栄をもたらすために、一層積極的な貢献が求められております。
 このような状況の中で、次の時代を担う人材を育成することは、極めて重要な政策課題であります。特に留学生交流は、国際社会に対する我が国の知的貢献の柱です。心と心の触れあいを基礎にした若い世代の交流を力強く進める観点から、今後とも政府として、留学生受入れのための諸施策を積極的に進めてまいります。
 また、留学生交流は、政府だけの対応で推進できるものではなく、留学生が実際に生活される各地域や大学などにおける、きめ細かな対応が必要であります。留学生交流や留学生教育のために尽くされてきた多くの方々の支えがあってこそ、留学生の数も着実に伸びてきていると思います。ここに関係者の皆様方の並々ならぬ御努力と御尽力に対し、深く敬意を表すものであります。
 特に、本日の式典に際し、留学生交流のために長年にわたり御尽力され、栄えある表彰を受けられました方々に対して、心よりお慶び申し上げます。今後とも、皆様と手を携えて、我が国の留学生交流がますます充実・発展することを祈念いたしまして、祝辞といたします。

      平成十三年十一月二日

            内閣総理大臣   小泉   純一郎

 

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4.文部科学大臣式辞

 本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、天皇陛下御在位十年記念事業の一環として建設されました、ここ国際研究交流大学村の「プラザ平成」において、留学生受入れ制度百年記念式典が挙行され、皆様とともに我が国における留学生交流の発展を祝うことができますことは、主催者の一員として深く光栄とし、かつ、大きな喜びとするところでございます。
 明治三十四年、一九〇一年の文部省令による留学生受入れ体制の整備以来、政府としての留学生の受入れは、本年で百年を迎えました。
 この一世紀は、我が国にとっても、また世界にとっても、まさに激動の世紀でありましたが、留学生を通じた国際交流の意義の大きさと、我が国が果たすべき役割は、年々増大しつつこそあれ、減少することはありません。
 我が国では、昭和五十八年に「留学生受入れ十万人計画」を標榜し、渡日前から帰国後までの体系的な留学生受入れのための諸施策を推進してまいりました。その結果、今日では、我が国で学ぶ留学生は約七万九千人に達し、目標の十万人まであと一息というところに至っております。このことは、留学生交流拡大のために今日まで心血を注いで来られた大勢の諸先輩方、関係者の皆様方の御尽力によるものと言って過言ではありません。
 本日表彰させていただく方々を含め、様々な立場から留学生交流の推進に御貢献いただいた皆様の御尽力に対して、この機会に心から感謝申し上げる次第です。
 二十一世紀を迎え、あらゆる分野でグローバル化が急速に進む中で、異なる国や文化、歴史、思想などをお互いに正しく理解し、認め合い、尊重し合うことが従来にも増して必要となっており、その意味でも「未来からの大使」である留学生交流の重要性はますます高まっております。今後も、留学生が日本に留学して良かったと思えるような質的な面にも十分に意を用いた留学生施策の推進を図ってまいりたいと考えております。
 終わりに、新たな世紀を迎えて、国際社会の我が国に対する期待に応えるためにも、留学生交流の一層の発展に全力を注ぐ決意を表明いたしまして、式辞とさせていただきます。

      平成十三年十一月二日

            文部科学大臣   遠山   敦子

 

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5.留学生受入れ制度100年記念事業実行委員会委員長式辞

 本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、留学生受入れ制度百年記念式典を挙行し、皆様とともに百年にわたる我が国の留学生交流の足跡と、その発展を祝うことができますことは、深く光栄とし、喜びとするところであります。
 留学生は、未来からの大使とも呼ばれます。次代を担う若者の国境を越えた交流は、国と国とを繋ぐ架け橋となるものであります。我が国の留学生交流は、国レベルから地方自治体、民間団体、個人に至るまで、数多くの方々の御支援のもと、明治から平成に至るまでの長きにわたり充実、発展し、ここに百年を迎えることとなりました。これもひとえに関係の方々の御努力・御尽力の賜物であり、深く敬意を表する次第であります。
 今日、我が国は、少子高齢化、情報化、国際化などの進展の中で、大きな変革期に直面しております。この変革期を乗り越え、この新たな世紀を輝かしいものとするためには、国際感覚に優れ、世界で活躍できる人材の育成がますます必要であります。
 そういう観点から、留学生との交流は、我が国の若者にとっても一段と意義を増すだけではなく、広い国民層が留学生との接触を通じて享受できる異文化交流の実は、我が国の国際化にとり、計り知れぬものがあると存じます。
 今後一層の留学生受入れの推進のため、魅力ある大学づくりを始めとする留学生受入れ環境の一層の改善充実がなされることを期待しております。
 最後に、本日、表彰の栄誉を受けられます方々に対し、心からお慶びを申し上げますとともに、留学生交流の今後ますますの発展を祈念して、式辞とさせていただきます。

      平成十三年十一月二日

            留学生受入れ制度百年記念事業実行委員会委員長   小林   陽太郎

 

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6.留学生受入れ制度100年記念留学生功労者表彰

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7.留学生代表挨拶

 ○ヤング・リーダーズ・プログラム留学生代表
      ニシト・ケオパンヤ氏   挨拶

ADDRESS by Mr. Nisith Keopanya,
Representative of Young Leader’s Program Students

Your Majesties, Ladies and Gentlemen,
It is my great pleasure and honour to be offered an opportunity to speak on behalf of all the international students in Japan on the occasion to Commemorate the Centennial of Japan’s International Student Acceptance System.
I am Nisith Keopanya from Laos (Lao PDR). Coincidently, my name Nisith means “Student.” After working as a government official at the Prime Minister’s Office since 1993, I am offered a prestigious opportunity to study in Japan thanks to the Young Leaders Program fully supported by the Ministry of Education at the National Graduate Institute for Policy Studies (GRIPS). At GRIPS where 136 students from 39 countries are studying, I, who had a desire to but found little chance to come over to Japan, obtained a golden opportunity to learn not only about Japanese experiences but also those of other countries in the world.
Through a number of fellowship programs for international students such as the YLP program, Japan has been actively contributing to international cooperation through international exchange. What is most impressive to me is that Japan has been committed to international exchange for 100 years since 1901. I think Japan is highly regarded by other countries not only because of its brilliant economic success but also because of its passion to international exchange of human network.
During my stay in Japan for one year, I would like to learn more about Japanese system and culture. My wish is to bring Japanese experiences into my country so that Laos can develop a democratic and prosperous system like Japan. I think all the international students who have studied in Japan share my feeling that Japan’s contribution to international exchange has made and will make this world more cooperative and prosperous.
Once again, on behalf of all international students let me express my deepest respect and sincere gratitude to the Japanese government and all parties concerned for 100 years of contribution to international education and cooperation.
Thank you very much for your kind attention.


(和訳)
天皇、皇后両陛下、皆様

 この留学生受入れ制度100年記念式典に際し、日本政府に対し心からお慶び申し上げるとともに、ここにいらっしゃる皆さまに深く感謝申し上げます。日本への全ての留学生を代表してスピーチをする機会を得られたことを大変光栄に存じます。

 私はラオスからの留学生でNisith Keopanya(ニシト・ケオパンヤ)と申します。偶然ではありますが、Nisithは学生という意味を持っております。1993年より、母国ラオスの首相府において行政官として勤務した後、文部科学省の奨学金プログラムであるヤング・リーダーズ・プログラムのおかげで、私は政策研究大学院大学で研究を行なうまたとない機会を得ることができました。日本を訪れたいと願いつつ、その機会に恵まれなかった私は、39カ国の136名におよぶ留学生が在籍している政策研究大学院大学で、日本の経験について、そして世界の他の国々の経験について学ぶことができる貴重な機会を得ることができました。

 ヤング・リーダーズ・プログラムを始めとする、多くの留学生のための奨学金プログラムを通して、日本は国際交流および国際協力に積極的に貢献してきました。実に100年もの長きにわたって、日本が国際交流に多大な貢献をしてきたことに私は深い感銘を覚えます。日本が他の国々から高く評価されているのは、素晴らしい経済発展を遂げたからだけではなく、強い意欲を持って国際交流に力を注ぎ、人的ネットワークを形成してきたためだと私は考えます。

 1年にわたる日本での研究生活を通して、私は日本の制度と文化について、より見識を深めたいと思います。そしてラオスが日本のような民主的で豊かな社会を築くことができるよう、日本の経験を祖国ラオスに持ち帰るのが私の願いです。国際交流における日本の貢献は、世界の協力関係をよりよいものへと導き、さらなる発展をもたらすものと確信しております。日本に留学しているすべての留学生もきっと同じ思いを抱いていることでしょう。

 最後に、ここでもう一度、全ての留学生を代表して、100年にわたり国際教育と協力に貢献してくださった日本政府及びすべての関係者の方々に、心から感謝申し上げ、私のスピーチを終わります。御清聴ありがとうございました。

 

 ○国際研究交流大学村居住留学生代表
      ハイケ・シュローダ氏   挨拶

 本日、天皇皇后両陛下がおいで下さいまして、留学生受入れ制度100年記念式典が開催されるにあたり、国際研究交流大学村に居住する留学生を代表してご挨拶させていただきますハイケ・シュローダと申します。
 私は去年の4月、ドイツベルリン自由大学から、国費留学生として日本にまいりました。現在、東京大学大学院法学政治学研究科で「地球温暖化の政治と日本」をテーマとして研究をしております。

 東京での生活は非常に貴重な経験だと感じております。来日するのは、今回が初めてではありません。実は、兵庫県の神戸で生まれ、3歳までそこで育ったため、日本にはもともと親しみがありました。
 今回、留学生として、また二十数年ぶりに日本に来ることができました。ここで、自分の研究を進めると同時に日本への理解を深めることができ、本当に嬉しく思います。

 それだけではありません。新しく建てられたこの国際研究交流大学村・東京国際交流館に、今年6月に入居しました。ここの施設の充実度や雰囲気には感動しました。部屋も広く、リクレーション施設や学習設備も充実しています。
 管理センターの方々も、私達にいろいろと心配りをして下さり、とても感謝しております。

 さて、日本が留学生受入れ制度を始めてから、ちょうど今年で100年を迎えました。
 日本への留学の人気は、近年ますます高まり続け、現在では、8万人近い留学生が、日本で学んでいます。それは、日本の安全で平和な生活、そして政府や多くの方々の暖かい歓迎のおかげではないでしょうか。
 国際交流や異文化理解は、今日のグローバル化した世界の中で、ますます大切になってきていることです。さまざまな文化の人々が共存する平和な世界を築く土台だと言えるからです。これからも、留学生の交流などを通じて、国際交流の場や機会が増えることは、それに大きく貢献すると思います。

 最後になりましたが、本日ご列席の皆様をはじめ、長い間にわたって留学生を応援していただいているすべての皆様にこの場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。皆様のご期待にお応えできるよう、充実した生活を日本で送り、一つでも多くのことをドイツへ持ち帰りたいと思います。

 ご静聴ありがとうございました。

 

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8.留学生受入れ制度の主な歩み

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-- 登録:平成21年以前 --