地域連携プラットフォーム等の構築促進に向けたシンポジウム「大学の力を活用した地方創生に向けて」の開催(オンライン開催)について



地域連携プラットフォーム等の構築促進に向けたシンポジウム(フライヤー)

1.日時

令和3年7月13日(火曜日)10時00分~12時20分 ※ 終了しました。

 

2.開催方法

オンラインシンポジウム(Webex Eventsによる開催)
 

3.開催趣旨

 現在、全国各地で取組が進められている「大学と地域の連携」については、文部科学省としても極めて重要な課題であると捉えており、今年度までに「地域連携プラットフォーム構築に関するガイドライン」の策定や、「大学等連携推進法人」制度の創設等により、一層多様かつ実効性のある連携を促進するための政策を実施している。
 現在も中央教育審議会大学分科会において「魅力ある地方大学」をテーマに議論が続けられているところであるが、全国を見れば、取組が活発な地域が数多くある一方、自治体や大学が未だ十分に取り組むことができていない地域も存在する。
 そのため、先進的な取組を進める大学等の事例発表と、実際の取組を有効に進めることができた理由や、連携の推進に必要な事項、取組そのものの意義等を参加者と共有し、各地域における一層の地域連携の促進を目指すものである。
 

4.内容

  • (1)開会
  • (2)取組事例の発表
  • (3)各界からのメッセージ
  • (4)事例発表者によるパネルディスカッション
  • (5)閉会

5.主催

文部科学省
 

6.配布資料

7.当日の模様

【西田高等教育企画課長】  本日は,地域連携プラットフォーム等の構築促進に向けたシンポジウム「大学の力を活用した地方創生に向けて」に御出席いただき,誠にありがとうございます。
 本日は,新型コロナウイルス感染症対策のため,Webex Eventsによるウェブ上でのシンポジウムとして開催します。
 本日,司会を務めます文部科学省高等教育企画課長の西田と申します。
 開会に当たり,文部科学省高等教育局長の伯井美徳より,御挨拶及び本日の趣旨説明をさせていただきます。

【伯井高等教育局長】  皆さん,おはようございます。文部科学省高等教育局長をしております伯井と申します。
 本日は,皆さんお忙しい中,地域連携プラットフォーム等の構築促進に向けたシンポジウム「大学の力を活用した地方創生に向けて」に御参加いただきまして,誠にありがとうございます。
 本シンポジウムは,現在政府として推進しております地方創生にも関連し,地域において先進的な取組を行っております各大学の事例発表を基に,全国で大学の地域連携の取組が一層進展していくために,それぞれ大学は何をすべきなのか,ということを考えていただくことを目的としております。
 地方創生に当たりましては,地域に所在する高等教育機関,その中でも教育・研究・社会貢献の役割を担う大学に対しては,地域の方々からも大きな期待が寄せられているところであります。文部科学省としても,後ほど御説明いたします地域連携プラットフォーム,あるいは大学等連携推進法人など,各種の連携のための施策を整備し,各地域において大学と地域の連携がより促進されるよう努めているところであります。こうした施策等を活用し,本日御発表いただく事例のような具体的な取組が進められることは,大変意義深いというふうに思っております。
 一方,地域や大学によりましては,自分たちも何らかの取組を行いたいが,どうやって自治体と大学が連携を図っていけばいいのか,そのきっかけが分からない。あるいは大学はどうしても敷居が高いので,どうもお話を持ち込みにくい,あるいは地元の大学が地域連携に関心が余りないといったような声も聞かれるのも,これまた事実であります。
 そのため,本日は,「めぶく。プラットフォーム前橋」,「金沢市近郊 私立大学等の特色化推進プラットフォーム」,「大学アライアンスやまなし」,「九州大学工学部」の4件の好事例を発表いただきまして,その後のディスカッションを通じて,取組を進める上での課題やその意義を皆様と共有したいというふうに考えております。
 また,11時からは政府,自治体,産業界,大学の各界を代表する方々からメッセージを頂くこととしております。自治体からは,村岡嗣政山口県知事,産業界からは,中央教育審議会会長でもいらっしゃいます,渡邉光一郎第一生命ホールディングス取締役会長,大学界からは,永田恭介筑波大学学長・中央教育審議会大学分科会長・国立大学協会会長に御登壇いただくこととしております。
 政府の立場からは,萩生田光一文部科学大臣から御挨拶を申し上げることとしております。
 お聞きいただいております皆様におかれましては,本日のシンポジウムを,自らの地域や大学等において取組を進める参考としていただければ幸いでございます。本日は,どうかよろしくお願いいたします。

【西田高等教育企画課長】  ※資料「文部科学省施策等の紹介 (PDF)」参照
 続いて,当省の関連施策について説明させていただきます。本日は,産学官の方々や多くの大学関係者に御参加いただき,本シンポジウムの開催にこぎ着けることができました。関係の皆様には,重ねて御礼を申し上げます。
 この「大学の力を活用した地方創生」というテーマは,直接的には平成30年の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」において,18歳人口の減少を踏まえた高等教育機関の規模や地域配置の課題が扱われたことに端を発します。この答申において,複数の高等教育機関と地方公共団体,産業界が,各地域における将来像の議論や具体的な連携・交流などの方策について議論する体制として,地域連携プラットフォームの構築が提言されました。あわせて,同答申では,各高等教育機関は自ら強みや特色を伸ばしていくべきであること,国公私立の枠組みを超えて大学等の連携や機能分担を促進する制度の創設などが提言されたところであります。
 これを受けて,本年までに文部科学省で考え方を整理したのが地域連携プラットフォームと大学等連携推進法人であります。地域連携プラットフォームについては,その構築に関するガイドラインを策定し,昨年10月に公表いたしました。プラットフォームの形態や構成は,地域の特色や実情に応じて多様な形態があり得るということを前提にしつつ,地域の大学等,地方公共団体,産業界等の関係機関が,地域の将来ビジョンを共有し,地域の課題解決に向けて連携協力の強化を図っていくことの必要性が言及されています。
 大学等連携推進法人については,大学同士のより緊密な連携を推進するため,大学の設置者を社員とする一般社団法人を文部科学大臣が大学等連携推進法人として認定できる制度を,本年2月に創設いたしました。
 文部科学省といたしましては,制度改正やガイドラインの策定を通じて,大学の地域連携活動を促進するとともに,このページに示すように国立・私立・地方大学・社会連携などの観点から,地方大学の取組の支援も行っているところでございます。また,今期の中央教育審議会大学分科会においても,引き続き魅力ある地方大学の在り方に関する議論を進めているところです。このように文部科学省としても,地方創生の実現のため,各地で様々なアイデアや工夫により,地域連携を積極的に進める大学に対し,引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。
 最後に,本日御紹介した文部科学省の取組に加え,本年4月には大学による地方創生の取組事例集を作成いたしました。プラットフォームや連携推進法人に限らず様々な取組を集めておりますので,是非一度御覧いただきたいと思います。
 文部科学省の施策の紹介は以上でございます。
 続いて,事例発表に移ります。本日は4件の事例発表を予定しております。発表内容について質問などがございましたら,後半のパネルディスカッションの中で可能な範囲で回答させていただきたいと思います。Webexの画面の右下から入ることができる「Q&A」から「全員に対して」を選択し,御質問してください。ただし,時間等の都合もあり,頂いた質問の全てにはお答えできない場合がありますので,御承知おきください。
 それでは,まず,地域連携プラットフォームの事例として,「めぶく。プラットフォーム前橋」についての発表をお願いいたします。発表者は,共愛学園前橋国際大学,大森昭生学長です。よろしくお願いいたします。

【大森学長】  ※資料「【共愛学園前橋国際大学】めぶく。プラットフォーム前橋 (PDF)」参照
 皆様,おはようございます。本日は御視聴いただきましてありがとうございます。それでは,これから「めぶく。プラットフォーム前橋」について事例を御報告させていただきます。今,画面を共有させていただきます。
 「めぶく。プラットフォーム前橋」について,今日は共愛学園前橋国際大学の学長としてというよりは,この「めぶく。プラットフォーム前橋」の推進協議会の副会長,あるいは運営委員会の委員長としての立場でお話をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて,「めぶく。プラットフォーム前橋」の「めぶく。」って何なのかということからお話をしたいと思いますが,前橋市では,まちづくりのビジョンとして前橋ビジョン「めぶく。」を掲げています。2016年に官民が協働で策定いたしました。もともとは“Where good things grow.”=「良いものが育つまち」というところで意見をまとめていったのですけれども,それを前橋市出身のコピーライター糸井重里さんが「めぶく。」というふうに翻訳してくれて,このボディコピーができました。
 この「めぶく。」の発表会には4,000人を超える市民が集まりました。多くの市民と一緒にこのビジョンが発表されて,共有されていきました。そのようなわけで,前橋では,例えば幼児教育指針も「めぶく。」という名前がついていますし,市立高校のキャリア教育プロジェクトも「めぶく。」というふうについています。あるいは,今様々なまちづくりが動いていますけれども,グリーン&リラックスをテーマにするなども,「めぶく。」からひもづいているものであります。
 現在,前橋市はスーパーシティにチャレンジをしていますけれども,この考え方も「めぶく。」をベースに,そのまちづくりの延長線上でスーパーシティを考えようということになっています。ちなみに,私はこの前橋のスーパーシティのアーキテクトチームの統括ということでやらせていただいていますけれども,この「めぶく。」というビジョンの中で「前橋めぶくグラウンド構想」をスーパーシティで立ち上げて,特にその中心に人が学び育つまち,学育のまち前橋をつくっていこうというようなことを掲げています。
かように前橋では様々な取組が「めぶく。」というビジョンに基づいて進められていく,その中にこの「めぶく。プラットフォーム前橋」も位置づくということになります。当然スーパーシティの学育のまちの中でも,このプラットフォームは大きな役割を担っていくことになります。
 さて,このプラットフォーム前橋の狙いと背景ですけれども,少し前橋市の状況を見てみたいと思いますが,御多分に漏れず若者の流出という課題があります。進学時そして就職時,少しずつ流出超過が増えてきているという現状がございました。その真ん中に大学があるということで,今盛んに地方創生と大学がセットで語られることが多いですけれども,それは至極当然のことなのかなというふうにも思うところです。
 一方で,産業界の課題としては事業承継です。事業所数が年々減っていってしまっているという現実があります。その大きな理由の1つで事業承継がままならないということは,全国の地方都市の共通の課題ではないでしょうか。そういった課題,それからもちろん事業者数を増やすという意味では起業していく人が増えていくとか,めぶくまちになって様々なイノベーティブな産業が前橋に来てくれるとか,そういった若者の働く場所というところもつくっていく,そんなことが必要だという課題もありました。
 一方で,環境としては非常に恵まれていまして,前橋市という約34万人中核都市において6大学,12高校があって,その12高校と6大学は,スライドにあるように半径6キロ以内,直径12キロ以内にぎゅっと集約してまとまっていると,これはもう連携しましょうと言わんばかりの環境にあるというところも,大きな背景の1つということが言えるのかなと思っています。
 さて,「めぶく。プラットフォーム前橋」の成り立ちですけれども,先ほど申し上げたように地域課題の解決のためにこのプラットフォームは立ち上がりました。ただ,その大きな地域課題に向き合っていく中で,1つの大学だけとか,行政だけとかでは,なかなか難しいということが見えてきて,それぞれが持っている財源であるとかノウハウも含めて,そういった資源をみんなで持ち寄って,地域の課題を解決していくという,正に基盤としてのプラットフォームをつくろうよという機運が高まってきて,前橋市の未来型政策事業の一つとしてこのプラットフォームを立ち上げていったということになります。
 このスライドの写真は立ち上げのときのものですけれども,真ん中に座って連携協定書を持っているのが市長ということになりますが,前橋市と前橋市の商工会議所と,そして前橋市の6大学が一緒になってこのプラットフォームを立ち上げるということをしました。
 実際にこのプラットフォームは,言ってみればバーチャルなプラットフォームなわけですけれども,これを動かしていくための協議会を立ち上げていて,それは総会が最上位にある中で,代表者会議があり,会長が市長です。そして副会長に商工会議所の会頭と,大学界からは私がということになっています。そして実際に様々な運営をしていく中では運営委員会が置かれていて,その委員長を私が仰せつかりつつ,副委員長に会議所や,それから地元前橋市の工科大が入って,更にこの下に事業ごとに部会が置かれていくと,そのような成り立ちになっているところです。
 前橋には6大学ありますから,このスライドにある学術マップを作ってみると,あたかも「前橋大学」という総合大学であるかのようにほぼほとんどの分野を持っているということにもなるということで,これはこの後,金沢工業大学さんからのお話の中でもそういったお話があるのかなと思いますけれども,そこはやっぱり地域で連携する強みになっていくはずだというふうに思っています。
 さて,この「めぶく。プラットフォーム前橋」の1つの特徴,今日は文部科学省のシンポジウムということでお話をしていますけれども,特徴は,行政施策としてこのプラットフォームが置かれているということです。大学だけの取組では決してなくて,前橋市の施策として動いているというところに大きな特徴があります。当然前橋市としても,これは事業ですから,人や予算もそこにつけているということになります。例えば,先般もプラットフォーム前橋について市民の皆さんにお知らせする放送をしたのですけれども,市長が真ん中にいて,会長として前橋市はこういう取組をしていますというようなことをお話になり,副会長2人が両サイドを支えるという構図になっています。
 あるいは,「めぶく。プラットフォーム前橋」についてのいろいろな会議体の記録であるとか取組であるとかというのは,前橋市のホームページにしっかりと掲げられていくというようなところになります。これは,これから大学と地域が連携していくときに,そこの自治体が本気になって大学と組んでいく,そういう必要が出てくるだろうということはいろいろなところで言われていますけど,その一つの事例になり得る取組なのかなというふうに自負しているところです。
 この取組をやってみて感じている意義や効果ということですけれども,これまでずっといろいろな取組をしてきました。これまでの取り組み内容は後で御覧いただければと思いますけれども,協議会を持ち,協働の取組をしたりしてきました。協議会では産業界の皆さんもたくさん来ていただいて,ああでもない,こうでもないと言いながら地域の課題を改めてみんなで議論するということをしてきましたが,そういう場が6大学と産業界と市役所で設けるということはこれまでなかなかなかったのです。その場がつくれたというだけでも大きな意義があるというふうに思っていますが,同時に,前橋の6大学の教職員が集まっての合同のSD・FDなども数回開催しています。正直言うと,各地ではそういうことがすでに行われていると思うのですが,前橋市ではできておりませんでした。なので,お互いの大学の中の人たちが一緒になって,まだコロナ前は飲み会もやりながら,協力し合える関係をつくれたというのも非常に大きなことだと思います。
 現在は,前橋で学ぶ,働く,生きるということをテーマに,重点事業としてリカレントプログラム,ビジネススクールを立ち上げていくということを中心に取組を展開しております。このスライドにありますように大学が協働することによっていろいろなデータも見えてきました。進学がどうなっている,就職がどうなっている,これは自治体だけではなかなか集められないデータですけど,大学が協力することでできる。そしてリカレントプロジェクトが動き出し,スライドにあるように大学同士の協働の取組も動き出しているというところです。
 また,プラットフォームをやっていく中で仲間になったことで,市長立会いの下両法人で協定を結び,明和学園短期大学が今年から共愛学園に移管されて,一つの法人の中で一緒に取り組んでいくということも動き出してきているところです。
 各方面から御注目いただいているところですけど,例えば商工会議所の関係のいろいろな取組なんかでも事例発表を求められることも増えてきまして,つまり教育界だけじゃない取組だということになります。
 最後に,これからということですけれども,今,中長期ビジョンを掲げて,スライドの図で,お日様が照っているところは何とかやっていますが,まだ曇りマークが多いので,しっかりとこういった取組をしていきたいと思っています。ただ,ほかのプラットフォームさんと比べてちょっと弱いのは,運営体制をお互い協働でやっていますが,それをしっかりと強化していけるかどうかということ,また,今はそれぞれの予算でやっていますけれども,活動資金をどう担保していくかということなどが課題になっています。
 雑ぱくですけれども,「めぶく。プラットフォーム前橋」についてお話しさせていただきました。ありがとうございます。

【西田高等教育企画課長】  大森学長,ありがとうございました。
 続いてもう一件,地域連携プラットフォームの事例として「金沢市近郊 私立大学等の特色化推進プラットフォーム」について発表をお願いします。発表者は金沢工業大学,大澤敏学長です。よろしくお願いします。

【大澤学長】  ※資料「【金沢工業大学】金沢市近郊私立大学等の特色化推進プラットフォーム (PDF)」参照
 では,資料を共有させていただきます。「金沢市近郊 私立大学等の特色化推進プラットフォーム」について御説明させていただきます。
 この地図にありますように,金沢近郊には単科大学が非常にたくさん集積しています。これまで文部科学省のCOC事業,AP事業,そして社会実装エコシステム等の補助金の採択を受けながら単科大学間で個々に連携を重ねてまいりました。その成果を受けてプラットフォームを構築し,それぞれの単科大学が持っている明確な強みを総合しようという趣旨のプラットフォームです。
 今後,デジタル・トランスフォーメーションも急速に進みますので,そうすると文理を超えてデータサイエンスだとかAIを使う能力が必要になります。こういう知の集積地域全体を産学官でキャンパスにし人財育成と産業の創成を行うことで合意しています。ここでの特徴は,プラットフォーム全体では県内出身が49%で,県外出身が51%で,県外から学生が来るタイプの大学,地域密着型のタイプの大学があり,多様性があります。卒業するときは,少し県内の就職者が増えるという状況でプラットフォームはスタートしました。
 この中で,非常に重要だと思っているのは,単科大学の機能を有機的に結びつけて総合大学としての機能を発揮するために,金沢市を中心にした自治体,商工会議所と大学群が連携を結んで社会実装を進めることです。実はこのプラットフォームは2017年から準備したのですが,そのときは他の大学のことをほとんど知らないという状況でした。従ってお互いを知るということから始め,現在は,どの大学とどの大学が連携していて,どの企業とどう連携しているのか,就職先がどうなっているということを共有している状況でございます。
 全ての大学が共通して知っていたことは,この図に示したように 18歳人口が急減少していくということで,このことを軸に危機感を共有していたということです。自治体は地域の人口減少に関して同様ことを共有しています。この図に示した石川中央都市圏が掲げるビジョンが,ちょうど私立大学12校でつくるプラットフォームのビジョンと一致しています。一つは人口減少を止めるということ,もちろんそれは大事ですが,産学官で連携して生産性を高めていきましょう,それが地域を活性化することにつながるという合意をしています。ここでは,住みやすい街という価値を生み結果として人口は増えていくだろうという共通の認識がございます。
 このビジョンの中で,質の高い教育は大学がやるべきことで,これによって地域に貢献しましょう,あるいはその地域での新しい将来を担う人材をつくりましょうということになります。産学連携による地方活性については,これは誰のためにというと,企業を中心にしてそこで働く人のためにということになります。自治体のビジョンの部分は,これから将来を担う地域住民のためにということになります。
 自治体は,住みやすさ日本一の圏域をつくるビジョンを掲げていますから,そこに住むあらゆる人たちのためにということになります。すべては人の豊かさのためにということになるので,人中心のデジタル・トランスフォーメーションを起こすことを共通の認識として,ここに書かれたビジョンを産学官で共有しているという状態にあります。その中で,金沢の伝統と歴史文化を基盤として,そこに新しい未来都市としての機能を入れて,地域と大学が連携してビジョンを達成しようという目標が明確になります。
 次に,取り組む理由です。プラットフォームを形成する12の単科大学は,建学の綱領に基づいたそれぞれの強みが非常に色濃く出ていて,しかも深く地域に根づいています。SDGsにも掲げられている多様性があります。それから地域といってもグローバル化が非常に大事ですので,それぞれのリソースを持ち合うことができます。例えば各大学がそれぞれ海外に提携校を持っています。12大学の海外提携校で連携をすればグローバル化は多様性を包含しながら進むということになります。リソースの共有と共同運用は新しい視点を生みます。
 それから,自治体と連携した人材育成エコシステムの構築が取り組む理由の一つでもあります。金沢市近郊全体を社会実装の場として,そこで学生を育てる,学生を大学から大学の外に出すことでいろいろな分野の人たちと関わりを持つという経験を若い間にしていただいて,この地域を理解して活躍できる人財育成に繋げたいと思います。
 それから,もう一つ大学の役割に関して,AP事業の最後には高大接続が非常に重要だという観点がありましたが,今高校の指導要領も社会に開かれた教育課程,それから小・中・高も公共の授業ですとか情報の授業が入ってきています。それを見ると,この若い人たちが大学,社会までを通して将来どういうキャリアを選択していくのかということを明確にするために,初等中等教育と高等教育と社会をつなぐ役割を大学が担うということになります。こういうことを私大プラットフォームとしては考えています。
 それに対して,大学を活用した新しい産業の創出というのは地方では大事ですが,実はその例というのは余り知られていなくて,産業界に好事例を業界ごとに出してくださいということをお願いしました。そうすると,その中で実はいい事例もあるということが大学側からも企業側からもわかります。それによって,といろいろな分野の人たちがそこに参加して産学に加え産産連携の事例も出てまいりました。
 一方,自治体から見ると地方の少子高齢化というのは待ったなしの問題ですので,これに関しては幼児教育から,介護,高齢者の問題,それに対応した新しい健康管理の方法などの取り組みを促進して,この中で多様な人たちがそこで育つということになります。12大学の連携の意義が見えてきます。
 今回,ここで重要なのは,それぞれの大学が有機的に結びつきましょうということです。それぞれの大学が自治体,企業と結びついています。それをデジタル・トランスフォーメーションでどう有機的に結びつけるかということになります。等身大で空間と空間を接続する臨場感のある遠隔通信システムがあるのですが,空間と空間をつないで対面と類似の議論ができ,しかもものづくりにも活用きるレベルのシステムをデジタル・トランスフォーメーションの一環として導入しました。これは2019年に本学が導入したものですが,要するに空間の制約を超えて東京に居る講師の方がアバターで別の空間に行ける,対面的に指導できるということでございます。この動画にある様に,ものづくりが遠隔でできるということは非常に大きな成果だったと思います。
 この時間と場所の制約が大学間連携においてはこれまで大きな障壁でした。共通時間割をつくっても,それぞれが通わないといけないので編成自体が難しい,大変だということを脱することができるので,プラットフォーム内で,共同授業運営の仕方を考えているワーキンググループ,社会実装プロジェクトを考えるワーキンググループなどを作り,新しいデータサイエンス科目とかアート科目を互換するということを進めています。この図にある様に多地点,1か所,2か所,3か所,4か所でも空間を繋ぐことができ,それとVRを組み合わせて,今言ったアバターを使う等の共同運営ができることが分かりましたので,今これを精力的に進めています。それぞれ多様な視点で学ぶPBLですとか,ポストコロナ社会で様々なDXのツールを使うデジタルツインという概念を入れていくことが大事で,大学在学中に,学生のうちにそれを学んでいくことが未来の人材育成に繋がります。それから,地方のグローバル化に関して特に強調したいのですが,全ての大学が国際教養課程をつくりたいと思っています。今その下地になる準備をしていこうと,産学官で進めていこうという状況でございます。
 最後に,取組を進めていく上での課題ですけれども,エース級の教員を大学が出せるかどうか,それから産も官もエース級を出せるかどうか,これにかかっていると思います。というのは,エースが出てこないと,このプラットフォームと自治体の加速度的な相乗効果が出てこないということです。自大学,自分のところでエースを囲わないということを大きな合意の柱にしています。それができると,「何がしてほしいか?」から「一緒に何ができるか」という方向に変わっていくと考えています。
 まとめは,ここに書いてあるとおりです。要するに幾つかの事業,それからやプロジェクトに学生や企業の人が参加するということを通してこのプラットフォームを強化していくというのが,地方創生に資するこの私立大学プラットフォームの概要でございます。
 以上,概要を御説明させていただきました。

【西田高等教育企画課長】  大澤学長,ありがとうございました。
 続いては,大学等連携推進法人の事例として「大学アライアンスやまなし」について,山梨大学学長の島田眞路様と,同じく山梨大学理事・副学長,前山梨県立大学理事長・学長の清水一彦様より御発表をお願いいたします。

【島田学長】   ※資料「【山梨大学】大学アライアンスやまなし(コロナ関係) (PDF)」参照
 ただいま御紹介にあずかりました,山梨大学学長の島田でございます。まず,私が「ワクチン接種を通じた地域貢献」といたしましてイントロダクションをいたします。その後,大学等連携推進法人に関しては,私の隣におられます前山梨県立大学学長,現山梨大学理事の清水一彦先生から御説明いたします。よろしくお願いいたします。
 まず,文部科学省様には,我々の大学等連携推進法人,「大学アライアンスやまなし」を3月にお認めいただき無事発足いたしましたことを,まずは御報告いたします。本邦初,日本唯一の大学等連携推進法人でありますので,これを成功させることが我々の使命と考えている次第でございます。
 それで,スライドですけれども,本学とアライアンスの法人会員である県立大学をはじめ,ワクチン接種に関して県との協力体制をすぐに組みまして,6月22日から県内大学等の関係者約1万2,000人に約2週間で接種いたしました。医療従事者4,000人は既に2回接種しておりますので,それを含むと1万6,000人の方々に接種しているということでございます。
 1枚目スライドにもありますように,大学拠点接種に関しては山梨大学だけではなく,アライアンスのパートナーの県立大学の学生,教職員には接種を開始しております。
 県知事から直々の依頼がありまして,県内には11大学のうち先ずは7大学の教職員,学生さんに接種していくとして開始しております。半分ぐらいは達成したのですが,障害者施設で集団感染いわゆるクラスターが発生したことから,再度知事からこちらの施設を優先するよう要請があり急遽開始したところであり既に2,500名の接種が終わっております。
 大学接種の内訳は山梨大学,山梨英和大学,専門学校の大原学園等,それから身延山大学,障害者施設,山梨県立大学,山梨学院短期大学ということで現時点では1万2,000人となっています。接種率も結構高いのですが,学生の中にはまだ打ちたくない,という副反応を過剰に心配されている方がおられるので74%となっていますが,これも徐々に増えてきていまして,現在は80%を超えようとしているところであります。
 今後の予定としては,1枚目スライドの緑色中段ぐらいにありますとおり,山梨県機械電子工業会3,300名,山梨学院大学1,800名,甲府商工会議所2,000名,弁護士会300名としており,山梨県トラック協会も最近県から要請があり2,700名を実施することになりました。また,ヴァンフォーレ甲府というのはJ2のサッカーチームで約100名,都留文科大学は我々が出張して打っていくという予定としています。
 先ほど申しましたように7月6日時点で1万人を超えたので記者会見を行いました。軽微なもの以外は副反応がほぼなく,アナフィラキシー等もなかった旨を説明して,多数の皆様に接種いただくことを推進しました。8月中には3万人を超える見込みです。(7月末に3万人へ接種済)
 2枚目のスライドは,我々附属病院がコロナ対応について,迅速に頑張ってきたことを示したものです。1月29日,国大協においていち早く警鐘を鳴らしましたが,余り呼応する大学はなかったのですが,本学では机上訓練を既に1月31日には実施している状況を示しており,非常に早い対応だったということです。ダイヤモンドプリンセス号を始め入院患者さんの受け入れを積極的に進め,重症患者さんを中心に現在まで118名を受け入れております。
 ドライブスルー方式,これも外来患者さんというのは大学病院にふさわしくないという話もあるのですが,PCR検査の体制としていち早く確立しております。
 国立大学附属病院で初となる大阪府や沖縄県への看護師派遣ですが,本年4月頃から完全な医療崩壊に陥っていまして,重症患者さんがベッド数を上回るというような状況がありました。文部科学省の川中審議官様からもすぐにでも派遣してほしいという依頼を受けまして,連絡を受けた3日後には大阪府にICUのベテラン看護師1名を派遣しております。これをつい先頃まで継続し大阪府には延べ12名を派遣いたしました。また,沖縄県が次に医療崩壊の危機ということが報道され,文部科学省からも再度要請をいただいたので,2名をいち早く派遣いたしましたが,感染状況が落ち着いたということもあり,現在は派遣をおこなっておりません。このほか,全国初の教育実習生のPCR検査も導入しております。
 3枚目のスライドは,私がこのコロナウイルス感染対応の重要性にいち早く気づいて,どんどんとこれはやっていかないと,国立大学としてしっかりと対応しなければならないと私はいち早く思いやってきたわけです。この症例報告論文ですけども,髄膜炎の患者さんを経験いたしまして,国際ジャーナルに出したわけです。私は学長になってから随分時間が経っており,こういう論文のラストオーサーになることはないですけども,指導させていただいて国際的なジャーナルに論文を載せました。なぜ髄膜炎に注目したかというと,最近後遺症でブレインフォグとか精神神経症状が結構現れて問題になっていたからです。この結果は非常に注目されており,下段3つの図はいかに引用されているかということを示しており,世界でも5番目,日本人がやっている中では京都大学と争うぐらい引用回数が多いものでございます。
 それから,右上は,私が本学の荒神先生と平凡社新書から出した新書で『コロナ禍で暴かれた日本医療の盲点』と称し,大村智先生からも御推薦いただいているものです。PCR検査の遅れなど,日本の科学技術力が低下しているためにうまく機能しなかったことにより現在のこの感染状況を招き,オリンピックも無観客で開かざるを得なかったというような残念な状況になっています。これに至る経緯などについて警鐘を鳴らしたということで注目されている書物ですので,是非御覧になっていただければ有り難いかなと思います。
 ここからは清水先生に替わります。

【清水理事・副学長】   ※資料「【山梨大学】大学アライアンスやまなし(大学等連携推進法人の事例) (PDF)」参照
 連携推進法人の最大の効果は,今学長がお話ししましたワクチン接種でございます。私の方からは,連携推進法人の狙いとか背景とか現状,今後の課題についてお話しいたします。
 スライドの1ページ目です。真ん中にありますように,この連携事業の最大の狙いは学生の利益を最優先すると,「学生の最善利益」ということで,未来の社会を切り開くグローバル人材の育成というものを狙っております。山梨県全体へ波及させて,まずは山梨大学と山梨県立大学との連携事業を開始していって,積み上げた実績を地方創生に貢献するというものでございます。
 2ページ,連携強化を促進した要因です。真ん中から下に3つにまとめてあります。これは島田学長と私が大学の統合経験者でもありますし,改革マインドを持った両学長の親交というものが最大の要因の1つでございます。2つ目は,公的な支援が減少する中で,高等教育に対して危機感を共有しているということ。3つ目は,両大学は甲府駅を中心に近い距離にあると。重複する学部が少なくて,お互いに補完できる学部構成になっているということでございます。
 3ページを御覧いただきたいと思います。このガバナンス連携構築構想については,早くから山梨県もこの協定に加わって,山梨県の政策,特に観光業や医療,福祉あるいは子育て支援,そうした政策と大学との関わりが非常に深いというところから3者による連携協定を結んで,この連携推進法人が出来上がりました。
 次に,4ページを御覧いただきたいと思います。アライアンスの運営体制ですが,理事会の中に山梨県の現職幹部,これを参画させて,山梨県と両大学で運営体制を構築しております。右側の評議員会においては,更に産業界,有識者,大学OB等を加えて幅広い意見,ステークホルダーの構成になって運営しております。その下に具体的な連携事業としてワーキンググループを幾つ設けて実施しております。
 5ページを御覧いただきたいと思います。この連携推進法人に至るまでの基本原則を3つ考えました。両大学の独自性とか独立性は堅持しましょうと。2つ目はウィン・ウィンの関係になるようにしましょうと。3つ目は,他の大学のモデルとなる先導的な施行を実施しましょうと,この3つを基本原則として,先ほどの基本原理である学生の最善利益,これをこの連携事業の理念としております。
具体的な連携事業は大きく3つに分けられます。1つは,この4月から始まりました連携開設科目制度を活用した連携教育事業。2つ目は施設の共同利用を含む学生支援事業,この中に先ほどの新型コロナウイルスワクチンの職域接種が入っております。3つ目は新たな大学づくりということで,電気の共同調達等々によって経営コストを抑制すると同時に,新しい教員のクロスアポイントメント制度とか事務職員の人事交流等を積極的に進めております。
 6ページを御覧いただきたいと思います。将来的な連携事業については,教養教育について,まず将来的には1か所集中開講にしましょうと。2つ目は,幼児教育については県のやまなし幼児教育センターを山梨大学の中に設置しておりますので,それとの連携で幼児教育の大学院コースを設けましょうと。3つ目は教職課程の共同設置,教員養成の高度化,人材養成のための指導者養成に力を入れましょうと。4つ目は,共同教育課程,新しい学部を両大学で設置したり,あるいはリカレント教育を提供したりと,そういう新しい高度人材養成機能の強化につなげていくというものでございます。
 現在の連携開設科目は4月からオンライン授業によって始まりましたけど,その状況が7ページに書いてございます。前期27科目のうち,集中を除いた20科目を開講して,両大学の学生1,732名が今履修しているところでございます。これは今,オンラインで順調に進んでおります。
 8ページ目,これは中教審でも強調されましたけど,こういう連携推進法人の教育の質保証,この体制をしっかりと整備して実現していこうというものでございます。教育の質保証委員会へというもの,これが中心的になって連携事業の全体,及び個々の事業についても評価を実施して,そのための規定とかチェックシート等は全て整備しております。
 最後に9ページですが,山梨県内の高等教育全体への普及を図ってシナジー効果を生み出そうというもので,まずはこの2大学で始めたというものでございます。
 以上です。

【西田高等教育企画課長】  島田学長,清水先生,ありがとうございました。
 事例発表の最後になりますが,今後地域連携の取組を進めていくに当たり,地域に所在する高等専門学校と大学工学部の教学面も含めた連携の構想の事例として,九州大学の石橋達朗総長,中島英治大学院総合理工学府長,渡辺幸信工学部融合基礎工学科長より,御発表をお願いいたします。よろしくお願いします。

【石橋総長】   ※資料「【九州大学】九州大学工学部と九州地域の高等専門学校の連携 (PDF)」参照
 今日は発表の機会を与えていただきまして,ありがとうございます。九大の石橋でございます。
 まず,九州大学の地域連携に関する主な取組について御説明いたします。本学の位置する福岡市は毎年人口が増加しておりまして,スタートアップ支援なども充実しており,政令市の中でも10代,20代の若者の人口比がナンバーワンの元気のいい土地でございます。九州大学は,2018年に移転が完了しました伊都キャンパスにおける実証実験などをはじめとして,福岡市,糸島市,福岡県などの地域の自治体や経済界との良好なパートナーシップ関係を構築しております。スライドの下にありますとおり,産学官の取組を進めるコンソーシアムなどにより,研究成果の社会還元の仕組みやベンチャーの創出など様々な地域振興に寄与しております。
 また,高等教育機関との連携も進んでおり,スライドの上にありますように本日発表する九州地域内の高等専門学校との連携,九州地域内の複数大学との連携などを行っており,教育資源の有効活用,それから若者や留学生確保など地方創生に資する多くの取組を進めているところでございます。
 以上のように,本学は世界に伍する研究大学を目指しながら,イノベーションエコシステムの構築や産学官の連携により,地域の発展に欠かせない存在として地域と積極的な関わりを構築しております。本日は,その中でも特色のある取組として九州・沖縄地域の9つの高等専門学校との連携につきまして,担当教員より御説明いたします。
 中島先生,よろしくお願いします。

【中島学府長】  どうもありがとうございます。九大の総合理工学府の学府長を務めております中島と申します。
 最初に,九州大学は今年度から工学系が大きく改組いたしまして,その様子をこのスライドと,次のもう一枚で説明させていただきます。
 九州大学は,この4月から入試の区分,それから学科,大学院のところを一気通貫でカリキュラムを整えるという大きな改組を行いました。それは,工学系の若者の人材は,実は平均で85%がもう大学院の方に進学するという状況になっておりまして,学部4年間,それから大学院2年間,あるいは博士課程まで通して一貫したカリキュラムをつくる必要があるという形で改組を行ったという次第です。ですが,これまでも4年生で卒業した学生は社会に大きな役割を果たしておりますので,その部分はきっちり担保するということを行っております。
 その中で,今日特別に御紹介申し上げます九州の9つの高等専門学校との連携教育プログラムは,新しく新設の学科として融合基礎工学課というのが設置されました。この中にあります高専連携教育プログラム,これが正にそうであります。この学部ですが,この学部は,その後,大学院の方には大学院総合理工学府の方に連結してまいります。この学府,大学院が我々筑紫キャンパスの方にありますので,私が担当してここを説明させていただいているという状況であります。
 次をお願いします。
 これが新学科,融合基礎工学科と,それに続きます大学院の総合理工学府の関係であります。3年生のところから高専からの編入生が入ってくるわけですが,融合基礎工学科の中に57名の学生がいますが,そこに更に予定として20名の編入学生が加わりまして,総勢77名の学生が4年間の学部教育を終わりまして,その後,大学院の方に進学していくという状況になります。
 大学院の方の定員は172名ありまして,当然大学院の方が圧倒的に多いわけですが,その部分は他大学からの進学者,あるいは九州大学からの,例えば理学部からの進学者と,それから留学生と社会人等が含まれた形になっておりまして,学年が進むに従いましてどんどん学生が増えていくという形をつくっておりまして,いろいろな学生が3年生あるいは修士に入る段階で交わってくるという形で切磋琢磨(せっさたくま)するような学部,大学院での教育を実際に行っていくという状況にあります。
 今日,この後で学科長の渡辺先生に説明いただきますのは,この中にあります高専連携教育プログラム,ここのところを詳しく説明していただきたいと思います。
 渡辺先生,よろしくお願いします。

【渡辺学科長】  融合基礎工学科の学科長を務めております渡辺でございます。
 私の方から高専連携プログラムの概要について御説明しますが,最初に,新設の融合基礎工学科について御説明いたしたいと思います。
 地球規模の環境・エネルギー問題のような複雑な問題の解決には,1つの専門分野だけではなくて複数の分野を融合し,更に情報科学を駆使することによって新しい革新的な技術・価値・概念を創出できる人材が求められております。
 本学科では,工学系分野の融合×情報化を基軸としまして,広い視野と実践的な行動力を持った技術者・研究者,我々はこの右側の絵で工学系π型人材と呼んでいますが,その育成を目指しております。
 学科の構成に関しましては,専門分野として物質科学×材料工学の融合分野と,機械工学×電気電子工学の融合分野を学ぶことができるようにということで2つのコースをつくりまして,そこに両方にまたがる形で3年次編入の高専連携教育プログラムが入ってまいります。先ほど説明がありましたように6年一貫型の教育ということで,大学院は総合理工学専攻科で筑紫キャンパスにつながっていくということで,3年次,4年次からは筑紫キャンパスでは学ぶという形になります。
 それでは,高専連携教育プログラムということで説明いたします。九州・沖縄地区に9つの高専がございまして,久留米,有明,北九州,この三校は福岡県に属しております。佐世保,熊本,大分,都城,鹿児島,沖縄になります。これら高専の専攻科から編入生を20名受け入れ,大学と高専の双方の強みを生かし,教育資源の有効活用によりまして教育内容の高度化を図るという連携プログラムということで,これは令和5年4月からスタートということで,現在準備中でございます。
 なぜ,9つの高専と九州大学が組むかという背景ですが,1つは地域としてのまとまりということを挙げることができます。全国にある高専の地域ブロックの1つとして,この地域は第5ブロックと呼ばれており,9つの高専が以前から活発な交流や共同での教育活動を継続的に実施しています。また,九州大学はこの地域での最大の総合研究大学でございまして,学術教育研究の地域ブロックとして様々な学協会の九州支部が設置されているなど,地域の中の大学,高専との人的交流のコアを形成しているということがあります。
 それで,それぞれの強みということで,この融合基礎工学科は,先ほど申しましたように工学系の融合専門教育,情報科学,更にPBLの教育という特徴があります。各高専の方に関しましては早期の専門教育,地域密着型である,社会実装にたけているということで,この2つを組み合わせることによって特色ある教育プログラムをつくっていくことになります。この取組の狙いといたしましては,双方の教員が協力し合うことによってオール九州で,グローバルな活躍ができ,かつ地方創生にも貢献できる,そういう高度技術系人材を育成することを目指しております。
 このプログラムは,この絵を使いまして説明したいと思います。高等専門学校と申しますのは,中学を卒業した後,5年間一貫の早期専門教育により実践的な技術者を教育する機関であります。この後,更に学びを深める道といたしましては,高専に設置されている専攻科に進学する,あるいは大学の3年に編入するキャリアパスがあるのですが,このプログラムは専攻科の進学が決まった者の中から新学科の方に編入するということで,最終的には2年間,専攻科と九州大学の融合基礎工学科の双方に在籍して,双方の教育を受けていくという形になります。1年次は各高専での学修が中心となりまして,九大からは遠隔授業の配信,4年次,すなわち2年目のところでは九大の筑紫キャンパスに移動して,卒業研究を中心に学修することになります。
 もう一つの特徴は,編入学するときに既に卒業研究を実施する研究室を決めておりますので,早期に卒業研究にも着手できる点にあります。この点が従来の編入学のプロセスとは違うところになります。そうして,単位相互互換制度を活用することによって,双方で必要とされる単位を修得することにより,九州大学の方では学士(工学)の学位,専攻科の方では専攻科の修了証を取得できるという仕組みになっております。
 この連携教育プログラムの特色といたしましては,異なるバックグラウンドを持つ学生のコラボレーションを教育の場に導入できるということがあると思います。高専生の特徴といたしましては,高専ロボコンに代表されますように実際に手を動かして試行するという能力が傑出していると我々大学人は見ております。また,学部1年生から九大生であるという学生さんの特徴の1つとしては,理論的基盤の上で思考するという傾向がやや強いのではないかと考えております。この2つの異なったバックグラウンド,価値観を持つ学生を一緒にすることによって,お互いに切磋琢磨(せっさたくま),感性の共鳴,そしてお互いに学び合うことのできる環境をつくることによって,新しい人材を育成することを期待しております。
 先ほど申しましたように,まだこれは準備中のプログラムでありますので成果については御紹介できませんので,現在準備している中で期待される効果を最後に4つ挙げさせていただきまして,その中で課題も幾つか挙げさせていただき,私の説明を終わりたいと思います。
 まず,1つ目は,九大と9つの高専の教育研究連携により,産学連携を含む最先端の研究力と,9つの高専が持っている技術教育基盤,これを融合させることにより,ある分野に「尖(とが)った人材」を育成することに貢献していきたいと考えております。
 また,九州大学が触媒になることによって,それぞれ特色を持った9つの高専,それが相互に連携し合うということにより,より高い教育効果を創出することも期待できるのではないかと考えております。
 3番目,双方の教員がコラボレーションを進めていくことにより,共同研究の推進に貢献していくことを期待しております。それぞれの高専は地元の企業との共同研究もありますが,九大も含めることによってより強固な産学連携の共同研究を創出し,また産業界との協力も頂きながら,課題解決型の産学連携教育を実施していきたいと考えております。
 また,工学系π型人材で申しましたように,情報科学の専門分野に活用できる,そういうAI人材の育成にも貢献することをしたいと考えております。
 現在,連携協議会やカリキュラムのワーキンググループを設置しまして,産業界の協力も得ながら準備を進めております。その中で課題は幾つか出てきております。1つは3番目の共同研究の推進をこの連携の中で強めていきたいと考えておりまして,両方の教員の研究マッチングの促進が1つの課題となります。
 また,先ほど言いましたように産学連携教育をこのカリキュラムの中に入れておりますので,令和5年からのスタートですが,早速その具体化のための準備をやっていくことがもう1つの課題になっております。
 以上をもちまして,九州大学工学部と九州・沖縄地区9高専との連携教育プログラムの概要についてご説明いたしました。御清聴,どうもありがとうございました。

【西田高等教育企画課長】  石橋総長,中島先生,渡辺先生,ありがとうございました。
 ただいま御発表いただいた大森学長,大澤学長,清水先生,中島先生,渡辺先生には,後半のパネルディスカッションにも御参加いただきます。御発表においても,取組を進める上での様々な御苦労や工夫を御紹介いただいておりますが,パネルディスカッションにおいては,今後,新たにこうした取組を進める地域や大学にとって,あるいは既に行っている連携の中で新たな取組を始めるに当たって参考となるようなディスカッションができればと思っております。先生方,後半もよろしくお願いいたします。
 それでは,ここで「大学の力を活用した地方創生に向けて」,各界を代表する方々からメッセージを頂きたいと思います。
 最初に,地方公共団体を代表して,村岡嗣政山口県知事よりメッセージを頂戴いたします。
 村岡知事,よろしくお願いいたします。

【村岡知事】  皆さん,こんにちは。山口県知事の村岡嗣政でございます。大学の力を活用した地方創生について,都道府県知事の立場からお話をさせていただきたいと思います。
 これまでも,大学等の高等教育機関には,地域における知の拠点として地域を支える人材の育成,産業の振興,イノベーションの創出,医療提供体制の確保等,様々な分野で重要な役割を担っていただいているところであります。各大学そして文部科学省の皆様には,この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。
 さて,本日のシンポジウムは大学と地域の連携がテーマとなっております。地方におきましては人口減少,そして少子高齢化が急速に進むとともに,進学や就職時における若者の流出,これが大きな課題となっています。こうした課題に大学が積極的に関わるべく,文部科学省によるCOC関連事業等が推進をされまして,大学における地域課題の解決,また地域で求められる人材の育成に対する意識の高まり,そして地方創生の実現に向けまして,大学は重要なパートナーとなっております。
 また,昨年10月には地域連携プラットフォーム構築に関するガイドラインが公表されました。地域の高等教育機関と自治体,そして産業界等が恒常的に対話する,そして連携していく,そのことの重要性が改めて示されたところです。本県におきましても,県の総合計画で「やまぐち維新プラン」というものをつくっておりますがそうしたもの,あるいは地方創生の県の総合戦略におきまして,県内の大学等の連携,また機能分担の推進を掲げております。
 昨年の8月に,こうした動きも踏まえまして,県内の全ての大学,そして短期大学も含めて構成します「大学リーグやまぐち」というのをつくっておりますけれども,ここを地域連携プラットフォームとして再構築をして,新たに全ての高等専門学校,そして経済団体等の参画も得まして,若者の県内定着に向けました取組なども強化しているところです。
 一方で,コロナ禍によって国民の行動・意識も大きく変わってきております。新たな日常の構築を目指す中で,未来に向けた変化も生じております。東京一極集中に変化の兆しが見られるとともに,我が国の特に行政分野でのデジタル化の遅れが浮き彫りとなって,社会全体のデジタル化の必要性が改めて強く認識されるようになってきております。
 大学では急速にオンライン教育が取り入れられましたけれども,今後も面接授業と効果的に組み合わされることや大学間の教育リソースの共有等が進むことによって,高等教育の新たな可能性が拓かれようとしています。
 私は,こうした変革の動きをしっかりと捉えて地方創生につなげていくためには,地方においてこそ官民を挙げてデジタル化を強力に進めていく,そして現在の危機を成長へのチャンスへと変えていく,その必要があると思っております。
 このため,本県におきましては,私自身がデジタル分野の最前線で活躍されている方々から直接助言や提案を頂くということと,それから,デジタル・トランスフォーメーションを推進する官民協働のフォーラムの立ち上げ,そして拠点の整備,また新たな視点で住民と協働するシビックテックの取組,そうしたことなど,大学を始め多様な主体と連携・協働しながら進めていこうとしているところです。
 また,本県におきましては,昨年度に山口大学と連携して社会人向けのデータサイエンス講座を開設いたしました。地方で特に求められるデジタル人材の育成を始め,地域の課題の解決に向けた産業界との共同研究等を通じたイノベーションの創出,また中堅・中小企業の成長支援など,真の地方創生の実現に向けまして,大学への期待はますます高まってきております。
 本日のシンポジウムがこれからの大学,地方公共団体,そして産業界等との連携を一層深化させ,大学が地域とともに発展していくための契機となりますことを祈念いたしまして,私からのメッセージとさせていただきます。ありがとうございました。

【西田高等教育企画課長】  村岡知事,ありがとうございました。
 次に,産業界を代表する立場として,第一生命ホールディングス取締役会長,一般社団法人日本経済団体連合会副会長,中央教育審議会会長でいらっしゃいます渡邉光一郎会長よりメッセージをお願いいたします。よろしくお願いします。

【渡邉会長】  ありがとうございます。御紹介いただきました渡邉でございます。
 本日,冒頭に御担当の方から地域連携プラットフォームのガイドラインと,大学と地域の連携事例集について御紹介いただきました。私はこの事例集を事前に見させていただきましたが,本日のテーマの「大学の力を活用した地方創生に向けて」にふさわしい事例が数多く取り上げられていると思いました。
 そして,本日ご発表いただいた事例は,いずれも大学がリーダーシップを発揮して,自らの個性を生かしながら,ステークホルダーと協働して価値共創を図っているという,大変すばらしい事例でした。これからの時代において,地域の持続的な発展を考えますと,多様な主体が協働して継続的に価値を創造する,いわゆるエコシステムというものが不可欠だと考えております。
 先日発表された政府の骨太方針におきましても,成長の原動力としてグリーン社会の実現や官民挙げたデジタル化の加速に加えて,日本全体を元気にする活力ある地方創りが示されました。また,経団連におきましてもSociety5.0 for SDGsに向けて,サステイナブルな資本主義を掲げた新成長戦略を打ち出しています。新成長戦略の重要分野の1つに地域社会との価値共創を置き,地方大学を核として地方の中小企業やスタートアップ,地方銀行や地方公共団体,大企業などを含むエコシステムの構築の必要性を述べています。地方大学が保有している豊富な知的・人的リソースを,社会実装に向けて遺憾なく発揮することで,地域産業の振興などの地域活性化の要となるのではないかと考えております。その際に欠かすことのできないのが,地方大学が地域の企業を世界につなげる役割を担うという視点だと思います。
 政府も地域経済の活性化には海外経済の活力の取り込みが必要だとして,中小企業の海外展開のさらなる拡大を推進しております。中小企業でも国際競争力を高めて海外展開を進めていかなくては,持続的な成長は考えにくいということだと思います。しかしながら,各企業の力だけで実現していくのは容易ではありません。そこで,各企業が地方大学と協力することで,地域資源に精通して海外展開を進められるようなグローバル人材やグローカル人材の育成,あるいは留学生の呼び込みを可能とするということを期待されていると思います。こうした国際化という観点からも,経済界の地方大学への期待感は想像以上に高いのではないでしょうか。
 また,コロナ禍が10年早く未来を連れてきたと言われておりますが,ニューノーマルでの地域連携の在り方にも大きな変化をもたらしていると考えます。それと同時に,今日の発表をお聞きして,コロナ禍で地方大学の役割は更に拡大しているという印象を持ちました。大学を取り巻く社会環境の変化を見ますと,まず,コロナ禍を契機にして,BCPの観点から本社機能の分散や地方拠点の強化を検討する企業が出てきています。また今後,東京圏から地方への人の流れが高まる可能性もあります。オンラインによるコミュニケーションという視点で見ても,先ほどの発表の中でアバターやVRの事例もありましたように,共創の場というものが急速に拡大しています。地方大学との地理的な距離によるデメリットが軽減されつつあることを示しているのだろうと思います。
 地域経済活性化のためには,その地域の住人や,観光に来たいわゆる交流人口という視点だけではなく,地域と関係を持つ関係人口の創出という視点が大変重要だと思います。この関係人口というのは,まさしくエコシステムによって創出されると考えています。私は,今まで経団連活動の一つとして様々な地方大学と交流して,各大学の学長の皆さんから取組内容をお聞きする機会がありましたが,お聞きするたびに,想像以上の先駆的な取組をされていることにいつも驚かされております。大学なくして地方創生はない,そう確信しております。
 本日の御発表は,地方にはたくさんの好事例が眠っているということを示していると思います。エコシステムの構築によって大学のシーズが社会実装され,横展開して地域活性化につながるということを強く期待しています。今後は産官学がSociety5.0 for SDGsに向かってベクトルを合わせ,協働して社会課題の解決と持続的な経済成長を実現させていきたいと考えます。
 最後になりますが,皆様のますますの御発展を祈念して私からのメッセージとさせていただきます。ありがとうございました。

【西田高等教育企画課長】  渡邉会長,ありがとうございました。
 続いて,大学側を代表する形で筑波大学長,一般社団法人国立大学協会会長,中央教育審議会大学分科会長の永田恭介学長よりメッセージをお願いいたします。よろしくお願いします。

【永田学長】  各大学からの事例紹介,興味深く聞かせていただきました。
 私から最初に申し上げたいのは,本シンポジウムのテーマは「大学の力を活用した地方創生に向けて」ですが,その先が何につながっているかということを十分意識していきたいということです。それは何か言うと,我が国のレジリエンスを高めるというところにつながっているということをあえて申し上げておきたいと思います。
 コロナ禍でつらいことがたくさんありますし,過去にもありましたし,今も被っているわけです。ただ1つだけ前向きに挑戦できた点は,デジタルによるコネクションが一気呵成(いっきかせい)に進んだということじゃないかと思います。これがどこに影響を与えているかというと,東京一極集中に過ぎる我が国の集中社会が,最近の報道にもありましたが少し緩んできている。そのことは,私は大変いい傾向だと思っています。実際,私がいるつくば市も,東京23区からの転出者が増えたベストテンの地域に入っておりまして,23区から人がようやく地域に出始めたかなということをうかがわせています。米国では大きな企業の本社は,もう既に東海岸や西海岸から,東寄りの中央部分に移動してきているという実態があって,ようやく我が国にもそういう契機が訪れたかと思っております。
 一方,我が国は気象災害や地震といった災害の多発する国と考えていいかと思いますけど,その際,東京一極集中というのは非常に弱点であるということも,もう既にみなさん気づかれていることかと思います。そういう意味合いを含め,我が国のレジリエンスを高める,強靱(きょうじん)化を進めるという意味で地方の創生を捉えていったらどうかということを,この際申し上げておきたい。
 大学は地域における人材の育成に大いに力を発揮していますし,人が働く場所としての産業創出にも当然ながら貢献しており,またしなければならないというふうに思います。地方創生に取り組むときに,当然ながら中心になるのは自治体であり,地域に根差す民間企業ということになりますが,また大学も大変重要なパートの1つであるというふうに当然考えています。
 それはなぜか。当然ながら大学はイノベーション創出の拠点であり,また人材を育成している場でありますが,もっと広く言うと,大学というのは地域の文化や社会,経済,こういったものに大きな影響を与えていて,もう少し具体的に言えば産業,医療,福祉,教育に責務があると,特に地方の大学は自覚しているはずです。
 そういう中で,最前線で地域に関わっているという性質を持ちながら,多くの大学は一方で国や,もっと言えば世界への窓口にもなっているはずです。そうであれば,地域から世界への窓口という言い方もできるのではないかと思っています。
 先ほど大学アライアンスやまなしからの事例発表にもありましたが,地域の連携プラットフォームについてのガイドラインも文部科学省から出ておりますし,そういったものを利用してプラットフォーム化が円滑に進んでいくと良いと考えています。
 最後ですが,そのような難しい問題をどう解決するか,つまり地方創生を人づくりと産業づくりで終わらせてはいけなくて,その根源が何かということを考えてみなければなりません。ちょうどオリンピック・パラリンピックが話題ですが,我々はホストカントリーとしてお迎えすることになって,実はそれに関連して考えていたことがあります。それは,自治体はそれなりに出されていると思いますが,大学も企業ももっと地元愛というか,地元への愛着心というのを前面に出されてはどうかと思います。「出しているよ」というところもあるかもしれませんが,少し恥ずかしがって出されている気がします。オリンピックなどの国別対抗のコンペティションがあると,自分の母国を応援する気持ちは誰もが自然に持っていると思います。
 それから,私はスポーツ科学でスポーツ振興のことを考えるためにアメリカにも訪問して勉強もしましたが,地域を支えている大きな原動力の1つに,プロフェッショナルベースボールやプロフェッショナルフットボールがあります。これがあるかないかで,全然地域の活性度が違います。加えて,1990年代から活発になった大学のスポーツとして,バスケットボールやフットボールがありますが。これも,例えばオハイオに行ってみると,駐車場のおじさんが語りかけてくるぐらい愛着を持って支えられているということがわかります。車を駐車しようとしたら,「昨日見たか?」みたいな感じで聞かれるわけです。そういう愛着心や愛情というのは忠誠心にまで姿を変えるぐらいのものだろう。こういったものを大学はもう一度強く意識して,実際に地域に貢献をしており,また世界への窓口でもありますが,恥ずかしがらずにもっともっとこれを意識的に出していけたらいいなと,オリンピックの開幕をこれからに控えて,そのようなことを思っておりました。
 是非とも原点に戻って,地域や原点に戻った部分と,それから,これから我が国における地域・地方の役割の重さを重々に感じながら,大学が地方創生の中核になるよう,本当にみなさんで努力していくべきではないかと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
 
【西田高等教育企画課長】  永田学長,ありがとうございました。
 最後に,主催である文部科学省を代表して,萩生田光一文部科学大臣より御挨拶いたします。
 大臣,よろしくお願いします。

【萩生田文部科学大臣】  皆さん,おはようございます。文部科学大臣の萩生田光一です。
 本日は,地域連携プラットフォーム等の構築促進に向けたシンポジウム「大学の力を活用した地方創生について」に多くの方々に御参加いただいておりますことに御礼を申し上げるとともに,主催者を代表しまして一言,御挨拶させていただきます。
 まずは,ただいまメッセージを頂戴した皆様,並びに事例発表いただいた各大学の方々に厚く御礼を申し上げます。各界からの大学に対する大きな期待を実感するとともに,それぞれの大学が創意工夫を凝らした取組を進めることで期待に応えようと努められていることに心強さを感じました。また,地域の知と人材の集積拠点である大学は,各地で地方創生を進めていく際にも,中核的な存在となることを改めて実感いたしました。
 先月策定された経済財政運営等改革の基本方針,いわゆる「骨太の方針2021」の中でも,活力ある地方創りのために地方大学の力を強化することが位置づけられています。研究・教育・社会貢献という機能を持つ大学には,地域のニーズに対応した人材育成や,研究によって地域課題の解決を図り,地域社会に貢献し,地域にとってかけがえのない存在となることが強く期待されていると思います。そのためには,これまで以上に地域との連携を強め,地域の課題やニーズを的確に把握することや,大学同士が連携して単体の大学では対処できない課題に対応していくことなどが必要になってくると思います。
 私の地元は八王子市でございまして,関東近辺では学園都市と言われる21の大学等の集積がありますが,市民の皆さんがそれぞれの大学の特性を理解しているかというと,理解されている大学もありますが,理解されていない大学もあります。それはなぜかといいますと,地域との関わりです。大学の公開講座を積極的に行ったり,施設を開放したり,また教授陣や大学生たちが小学生などへの出前授業などをやっている大学は,子供たちもその大学でどういう勉強がされているのか,どういう研究がされているのかということをより理解し,また,憧れを持って,将来その大学へ行きたいというインセンティブにもつながっていると思いますが,他方,少し敷居の高い大学は,我々でさえ一体どんな学部があって,どんな人たちがいて何をやっているのかが分からないという,こういう状況にあります。
 例えばスポーツで言いますと,体育会が強い大学ほど体育館の開放ですとか運動場の開放などで地域貢献をしていまして,そうでない大学ほど一切外に貸さない傾向がみられるという極めて異例な事態を目の当たりにしたこともあります。私は,地方大学はやっぱり地域の皆さんにその存在が認められ,愛される存在になるべきだと思います。したがって,今回「かけがえのない存在」というワードを強く使わせていただいた理由はそこにございまして,学部の内容ですとか,研究内容ですとか,それぞれ個性があってよいのですが,やっぱりその大学に聞いてみよう,その大学じゃないとできないのではないかと思っていただくことが極めて大事だと思いますので,しっかり対応していただきたいと思います。
 それから,この4月からGIGAスクール構想で小・中学校1人1台端末,まさにDX時代の学校教育を子供たちから始めました。しかし,実は教員養成の段階で,ICTの指導法の授業は教職課程の僅か1コマ程度を取れば単位が取れるという,こういう状況が明らかになりました。時代の変化に全く中身が合っていないわけです。私も大臣就任以来,私立や国立を含めていろいろな大学の創立記念ですとか,あるいは学部の120周年のお祝いのメッセージとかそういうのを書くのですけれど,120年名称が変わらない学部であっても,その中身はやっぱり時代の変化とともに変わっていかなくてはならないと私は思っていまして,今回,コロナやDX時代を迎えて,大学の果たす役割,また学ぶべき中身,こういったものを見直す時が来ているのではないかということを強く感じております。
 ちょうどこの会議の前に知財本部へ出ていたのですが,アフターコロナ,DX時代を勝ち抜く人材育成というのが高等教育機関である大学に強く求められているとともに,やっぱりその地域性が大事だと,それぞれの地域で個性ある研究をしていただくことが大事だと。それは自治体にも寄り添ってもらいたいし,例えば大学発のベンチャーといってもなかなか金融機関が協力してくれない、と。地銀にその地域に存在する大学と連携して研究内容をしっかり見ていただいて,ベンチャーの投資をしていただくリスクマネーを取ってもらうようなことを一緒にチャレンジしてもらうことも,これからの地方大学の在り方としては大切なのではないかと思います。経団連の皆さんにもお願いして,そういった地方でスクラムを組んで大学を拠点に新たな産業を興すイノベーションの力というものも,この際しっかり足元から見直していきたいなと,こんなふうに思っているところでございます。
 本日の御発表や,これから予定されているディスカッションは,特にそうした自治体・産業界と大学の連携,あるいは大学間連携を推進するための視座や,留意すべき事項について,大変示唆に富むものになると期待しています。私は公務の都合によりこれで失礼しますが,引き続き皆様にとって有益な議論が行われますことを期待し,それぞれの地方大学がそれぞれの地域にとってかけがえのない存在であり続けるよう,皆さん方も御努力いただくことをお願いして,御挨拶にしたいと思います。
 ありがとうございました。

【西田高等教育企画課長】  大臣,ありがとうございました。大臣は,公務の御都合によりここで退出いたします。
 なお,本日はWebex上で766名の方に登録いただいておりまして,11時の時点では561名が参加いただいています。多くの方々の御参加,誠にありがとうございます。
 それでは,パネルディスカッションに移りたいと思います。パネルディスカッションのファシリテーターは,共愛学園前橋国際大学学長の大森先生にお務めいただきたいと思います。
 では,大森先生,よろしくお願いいたします。

【大森学長】  それでは,パネルディスカッションを始めさせていただきたいと思います。12時15分までということですから限られた時間になりますけれども,御視聴いただいている皆さんに有意義な情報をお伝えできるお話し合いになればなというふうに思っています。また,今各界からの皆さんのメッセージ,本当に心強く,力を頂いたなというふうに思っております。全国の地域で様々な取組がスタートアップしていくような,そのきっかけになるディスカッションができたらと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 パネリストを改めて御紹介したいと思います。本日,「金沢市近郊市立大学等の特色化推進プラットフォーム」について御発表いただきました,金沢工業大学の大澤敏学長です。
 大澤先生,よろしくお願いいたします。

【大澤学長】  よろしくお願いします。ありがとうございます。

【大森学長】  それから,「大学アライアンスやまなし」の御発表いただきました山梨大学からは,清水一彦理事・副学長に御参加いただきます。
 島田学長も御一緒に御参加いただけそうですね。

【清水理事・副学長】  はい。

【大森学長】  よろしくお願いします。

【清水理事・副学長】  お願いします。

【大森学長】  それから,これも本当にすばらしい取組だなと思って拝聴しましたが,工学部と地域の高専の連携について御発表いただきました九州大学から,中島英治大学院総合理工学府長と,それから渡辺幸信工学部融合基礎工学科長のお二人に御参加いただきます。どうぞよろしくお願いします。

【渡辺学科長】  よろしくお願いいたします。

【大森学長】  遅れましたけれども,私,本当に拙(つたな)いですけれどもコーディネーターを務めます,共愛学園前橋国際大学の大森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日のディスカッションの流れですけれども,最初に,簡単にパネリストの皆さんから,今日のほかの発表や,あるいはメッセージをお聞きいただいての感想とか,こんな思いを持ったとか,あるいは疑問,ほかの大学にちょっと聞いてみたいなというような御質問や御意見を発表していただいて,ディスカッションを少ししたいと思います。
 その後に,今日御参加の皆さんからも,今少しQ&Aで御質問も頂いたりしていますけれども,御参加いただいている皆さんから頂いた質問の中から幾つかチョイスさせていただいてお答えしていく,また最後にパネリストの皆さんからメッセージを頂くという流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,最初にパネリストの皆さんから,ほかの方々の発表,あるいは各界からのメッセージを聞いての感想あるいは質問を頂きたいと思います。三,四分ぐらいでまとめていただければと思いますが,最初に,すみません,それでは,大澤学長へお願いしてもよろしいでしょうか。

【大澤学長】  ありがとうございます。それでは,各界からの御質問がございましたので,それについて少し感想を述べさせていただきます。
 まず,コロナが突破口になって,全国,全世界と言っていいのですがオンラインでの議論ができるようになったというのは,地方創生にとって非常に大きいチャンスだと思います。その中で地方がどういうふうに発展していくかという問題ですけれども,これは,先ほど社会実装という言葉も出てまいりましたけれども,地域の潜在ニーズにどれだけ深く入り込むかということが大学,自治体,企業の大きな課題だと思います。というのは,新しいスマート工場をつくりますと言っても,その地域の文化,歴史,そこに根差した働き方にたいする考え方が理解できていないと,なかなか受け入れられないと実感しています。
 ですから,地域の特色を生かしながらスマート社会をつくっていくとか,地域で共感されるといったことが非常に大事です。またレジリエンスというお話もありました。多様性というのはある特色を持った集まりが全国津々浦々地方にあり,それが相互に連携して形成すると考えることができます。それぞれの地域でレジリエンスを持つためには社会実装を通して,実際に地域で実行・運用することが大事で,大学の中で考えるという次元から一歩出て社会の中で共感を生む政策を展開することです。
 例えば,スマート農場を地域に根付かせた企業がありました。そのときに,地域の農業用水を活用した水力発電で電力を賄って, AIとかIoTを使って作物を作ります。これまで大変だった作業が楽になり生産性も上がります。そして誘致企業はこの工場に小学生を案内しました。そうすると,彼らの勉強になるわけです,そのスマート工場自体が,その地域の将来を明確に見せてくれます。それに父兄が共感して,それだったら観光客も取り入れようという話になり,特産物を売るような即売所が近くにできます。こういう地域に根差した共感の広がりを大切にしなければなりません。なので,地方創生にはその地域の文化,産業に根差したものを社会実装で展開し,本当にこの地域のためにということでやっていくというのが基本ではないかと感じました。それが各地域で起これば,それが日本全体のレジリエンスになるかなと思います。
 今日は,他の大学のプラットフォームの話しを聞いて,非常に勉強になりました。大森先生がお話された前橋の「めぶく。」ですけれども,地域の高校と大学がかなり連携していて,初等中等教育と大学の連携で,国際性というのが若い頃から養われるのではないかという感想を持ちました。この点についてご教示いただければと思います。
 それから,山梨では全国に先駆けて大学等連携推進法人というのをつくっておられます。私どもも連携推進法人に魅力を感じています。ただ私立大学の連合体なので難しい場合もあります。共同開設科目によって得られる効果,学生や教員にどんな影響があったか,科目数が実際に減ったのか,あるいはそこでの学びの質の転換についても非常に興味を持ちました。
 それから,九州大学の事例では,大学コンソーシアムとの関係に関する図が描いてありましたが,その連携関係,高専との連携に文理融合の要素も入ってくるのか教えていただきたいと思います。地域のプラットフォームとしてはビジョンが非常にすばらしいという感想を持ちました。
 以上でございます。

【大森学長】  ありがとうございます。
 今,それぞれに御質問も頂いたところですけれども,予定では一通りお話を聞いてから質問にと思ったのですけれども,3つ頂いたので,ちょっと簡単に答えをいただければと思いますが,山梨のアライアンス,清水先生,共同開設科目とかの効果,学びの効果と運営上の効果とはどんなものなのかということですが,いかがでしょうか。

【清水理事・副学長】  これは4月から始まったばかりですので,まだその効果の検証とか評価というのはこれからだと思います。その質保証のための評価指標ですが,それは既に準備してありますので,それに沿った形で検証し,評価するということになります。
 なお,先ほど言いましたように理系の山梨大学,文系の山梨県立大学,相互に補完できる学部を持っておりまして,それで教養教育においても医学とか理系,工学系に近い教養科目が山梨大学では開設されておりますので,それを山梨県立大学の学生が新鮮な気持ちでそれを選択履修できるということは,非常に履修の幅が広がってきているということだと思います。
 将来的には,現在それぞれの大学が開設している教養科目,これをSDGsの17の指標に基づいて分類しながら精選,厳選しながら,教養科目については,正に共同の科目に全て移行していこうという計画で今進めております。

【大森学長】  ありがとうございます。
 それから,九州大学の取組は,大学コンソーシアムとの関係はどんなことになっているのでしょうということですが,どうでしょうか。大学同士のコンソーシアムをお持ちだと思いますけれども,そのコンソーシアムとこの連携の取組の関係性がありますかという御質問だと思います。

【渡辺学科長】  現段階は,立ち上げました新学科,融合基礎工学科と9高専との連携ということでスタートしておりまして,今後これが発展していきますと,九州大学が進めている地域のコンソーシアムとの関係性も出てくるかと思います。まずは融合基礎との関係性だけで現段階ではスタートすることにしております。よろしいでしょうか。今後の課題ということで考えていくことにはなると思います。

【大森学長】  ありがとうございます。
 それでは,清水先生,皆さんの発表をお聞きいただいての感想や,あるいは御質問があればお願いします。

【清水理事・副学長】  ありがとうございます。いずれの事例も大変有益で,参考になります。ありがとうございました。
 その上で,前橋の大森先生のところに一つお伺いしたいのは,群馬大学とか県立大学ですね,それはその「めぶく。」にはどういう形で参画しているのかというのをお聞きしたいと思います。
 また,九州大学,高専を抱え込んだこの構想プロジェクトですね,これは大変すごい構想だなと思いました。というのは,高専は世界に誇る,世界に類のない教育機関でありまして,この高専というのは日本が誇る教育産業の1つだと私は思っております。その高専の資源を活用して,大学とリンクして人材養成をしようという,その意気込みに非常に感銘を受けました。
 その上で,九州には他の国立大も8つほどありますよね。こちらの方の工学部との関係はどういうふうに考えられているのか,このままでいくと九州大学が独り勝ちみたいになって終わるような感じがいたします。
 もう一つは細かいことですが,両方に在籍するということですが,授業料はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか,その2点をお聞きしたいと思います。

【大森学長】  ありがとうございます。
 では,最初に私の方から。さっき大澤先生からも高校との関係もお聞きいただいていたのにお答えしてなかったので,まず,「めぶく。プラットフォーム前橋」の取り組みというよりも全般的なお話になりますが,今,高校はやっぱり指導要領,先ほどもお話がありましたけれども社会に開かれた教育課程が動き出し,そして探求という授業が動き出している中で,高校の先生方が本当に学びの在り方の転換を模索されている,正にそのまっただ中にあるという中で,既に大学は正に探求そのものが大学ですから,大学が取り組んできたアクティブラーニングや地域連携の学びというものが,高校の探求にすごく生きてきている。なので,本学でもすごくたくさんの高校さん,公立の高校さんに学生が行ったり,教員が行ったりしながら一緒に探求の授業をつくっていますし,地域研究を一緒にやっています。
 そういうことで,高大接続というのは入試改革の文脈で語られてきましたけど,私は地域の教育の接続だというふうに考えていて,そんな意味でこのプラットフォームができたことで更にその領域も広がり,高大の連携は地域で更に広がっていくだろうと思います。この後,高校はカリキュラムデザインに入っていきますけれども,大学は教学マネジメントをやっていますので,そのノウハウも高校に生きてくるということになって,大学がちょっと半歩先の先輩となれるように我々もやっていかなきゃいけないなと思っているところです。
 また,今清水先生から御質問いただきました群大さん,それから県立の県民健康科学大学さん,それから公立だと前橋工科大学さんがあります。それぞれに特色をお持ちですけれども,まず運営のところで言うと,それぞれ担当者を出して共同事務局を設置しています。そういう意味ではフラットに参加していただいて,常々一緒に運営しているということです。
 それから,群大さんとかと協働してFDやSDを開設し,それから公開講座もこの後やっていこうというようなことでやっています。単位互換に関してはもう既にやっていましたので,このプラットフォームで特に新しくということではないのですが,そういう形で人も出していただいて一緒に取組をしていますようというところになっています。
 九州大学さん,いかがでしょうか,清水先生から他の国立大学さんとか,あと授業料のお話,質問がありました。

【渡辺学科長】  九州の中にある他の国立工学部の関係ということですが,各高専は,地元の地域の国立大と非常に強い結びつきを持っていらっしゃいます。それで,現在も3年生編入の通常のプログラムを使いながら,各高専から地元の国立大学へ編入するという道が当然あります。今回のこのプログラムは合わせて20名ということですので,9高専ということになりますと1つの高専から2名程度の学生さんがこちらに来るということです。地域の国立大学の方に行く数に比べて十分小さいと思っておりますので,その辺りは各高専の方でうまくバランスを取っていただけると考えております。
 もう一つ,授業料の件ですけども,高専の方と九州大学の両方に在籍するのでそれぞれの授業料が必要かということになると思うのですが,そうはしないようにしておりまして,九州大学への通常の編入生と同じ扱いということになります。九州大学の方に授業料と入学金を納めまして,その後担当する科目の単位数の割合に応じて各高専の方に授業料相当額を送付する形をとることにしております。保護者の立場から言いますと,九州大学へ編入する今ある道と同じ年間授業料と入学金という形に設定させていただいております。
 以上です。

【大森学長】  ありがとうございます。

【清水理事・副学長】  ありがとうございました。

【大森学長】  それでは,九州大学の中島先生か渡辺先生,代表して感想や御質問があればお願いしたいと思います。

【中島学府長】  中島の方から御質問させていただきたいと思います。
 非常に我々,今高専との連携を深めるという,まだ学生は来ていない段階ですので準備段階ですが,非常に参考になりました。先ほど御意見いただきましたように授業料がやっぱり違う,我々九大,それから高専で年間30万円ぐらいの差があり,入学金も違うというところを,何とかそういう負担を軽減化したいということを常々思っておりまして,今そういうところの努力をしている段階です。
 そういう中で,前橋の「めぶく。」というプロジェクトをお聞きしますと,その中に共同奨学金の検討とかそういうところが入っていまして,この辺の詳細を更にお聞かせいただければ有り難いなというふうに思っているところです。
 それから,我々は高専との連携を深めていますが,高専の先生方,それから九大の我々教員との連携,もう一つ大事な要因は産業界だと思っています。産業界の研究者,技術者の本当の新鮮な現在の問題点なんかを我々教員にぶつけていただくと同時に学生と共有して,そこで現場,学生の感性を高めるような,そういうような教育をつくっていきたいというふうに思っていまして,現在そういうところでの産業界の協力を得るために90有の企業からの連携を含む連携協議会というのをつくらせていただいて,検討を進めております。そういう中でも,我々よりも先陣を,前に進んでおられます前橋の「めぶく。」の企業との連携,あるいは自治体との連携ですね,こういうものをこれからも参考にさせていただきたいと思います。我々は何分そういうところでの知識がありませんので,よろしく御教示いただきたいなというふうに思っているところです。
 以上です。

【大森学長】  ありがとうございます。
 では,僭越(せんえつ)ながら前橋の方ですけれども,今奨学金の御質問いただきました。すみません,これは中長期計画の中に入っていて,これを今検討中というところで,まだ動いてないのです。このぐらいの額でやっていますという実績を申し上げられればよかったのですが。
 ただ,この奨学金のことというのは,実は行政課題として地方創生の一つとして前橋に暮らしてほしい,前橋に勤めてほしいという産業界と行政の思いがあって,これはいろいろな地域でもう既に先行して取り組まれているケースがありますけど,地元の企業さんに就職してくれる学生たちのために,学んでいる間の奨学金は行政や産業界が面倒を見ましょうねという仕組みをつくりたいという行政としてのニーズが,ニーズというのかな,思いがありました。それを前橋の6大学に入ると,そこから前橋,あるいは群馬に就職していくというケースが多いものですから,大学と連携することで奨学金のオペレーションは非常にやりやすくなるだろうと,個々の大学とやっていこうというわけではなくて,このプラットフォームの1つの大きな取組として位置づけましょうということになっているのですが,まだ実績は動いていませんが,これも必ずやるということになっています。これは地域の思いから取り組みとして上がってきているということが重要なポイントです。
 この後のテーマということにもなると思いますけども,地元の産業界とか,それから行政とどう密な関係をつくっていけるのかというのは,お聞きいただいている皆さんも関心があるところかなというふうには思いますけれども,この辺りはどうでしょうか。
 大澤学長,金沢工大さんはかなり地元の産業界と密で,奨学金とかも出してもらっているのではなかったかと思いますが,いかがですか。

【大澤学長】  まず,大学コンソーシアムとの関係ですけど,大学コンソーシアムに我々も参加し,その中で奨学金の活動を進めています。その中で,例えば海外留学の奨学金を地元企業の協力を得て運用しています。それから,地域の各自治体が補助金を出すというようなことをやっています。
 どれだけ企業と大学が密な関係をつくれるかということに力を入れています。社会実装の実例を産学官でどうやってつくっていくかということでもあります。それぞれの大学が既に行っている社会課題の解決に他の分野の大学が関わってくる関係性を行政が把握できているということが大事です。高齢者のケアで言うと医学系も看護系も入ってくるし,その中に心理学も入ってくる。そういう組合せの中で行政も課題を出してきますけれども,一緒に社会実装していくと,その過程で,実は行政も気がついてなかったような課題が出てきます。これが表には出ないニーズということなのでしょう。今は,地域に学生が出ていく形になっています。その中で,学生の目線から見て,例えば幼児教育にはこんな連携ができる,いじめに対してこういう解決の経験がある,そういうことも含めて地域と大学が連携するということは非常に大事だと思っています。
 このプラットフォームを通して月に1回は意見交換するのですが,それプラス事務局で雑談会というのをしています。この雑談が非常に大事でして,そこで回を重ねるごとに本音が出てくる。その中に本当の課題が見えてくるというところがこのプラットフォームの面白いところだと思います。

【大森学長】  ありがとうございます。雑談というのは私も本当に実感していて,私もプラットフォームのベースのところで産業界の皆さんも「いいよ,やろう」と一気に盛り上がったのは,実はふだんからの関係性の構築があったなというふうには思っていて,私自身は経営者ではないですけれども群馬の経済同友会のメンバーに入れてもらっていますし,商工会議所のメンバーにも入っています。会費を払って入っていますけれども,中小企業家同友会もメンバーですし,前橋経営者同友会もメンバーです。日頃,そういう産業団体の社長さんたちと一緒に活動して,一緒に取組をしていく中で大学のことも知ってもらい,人となりも知ってもらい,「こんなことが今動き出すけど,やろうよ」と言うと「ああ,いいね」という話になるというところで,組織的なソリューションじゃないかもしれないけれど,でも,やっぱりそういうところに本気になって我々大学人が入っていくということも実は重要で,その中から課題が見えてきて,さっきの事業承継なんていうのもそういう話で出てきたところですけど,そういうことも必要かな,何て思ったりしています。ありがとうございました。
 さて,お聞きいただいている皆さんからも幾つか御質問を頂いているので,全部はお答えできないですけれども,せっかくですからお答えできればと思います。
 大澤先生,金沢の取組について,私立大学の取組だけども,国公立大学さんは今後どうですかというようなこと,ちょっとお答えにくいかもしれないので答えられる範囲で結構ですが。

【大澤学長】  金沢大学と仲が悪いわけではなくて,非常にいい関係をコンソの中でつくっています。金沢大学さんは基幹大学なので,金沢の地域というよりは北陸3県,更に北信越地区全体をまとめる役割を持っていて,日本創生していく在り方の1つのすみ分けかもしれません。研究開発レベルだとか,そういうところのもっと大きいところを担当されているという意識があると思います。一方,私立大学は地域に根差しているという特性があります。もちろん金沢大学とも大学コンソーシアムで一緒になりますので,その中で国立大学,公立大学とPBLを行っています。チャットの質問にお答えします。PBL担当教員を育てるためにいろいろな大学からPBLの得意な先生集めて,そこにPBLに不慣れな先生も参加していただき,この地域の未来をどう考えるかという科目もつくりました。ですので,そういう意味では国公立大学とも連携しているということになると思います。

【大森学長】  ありがとうございます。
 もう一つ,さっき先生おっしゃっていたエース級の教員をお互いに出せるかというところの話で,やっぱり正直言えば学内ではすごく大事なことがたくさん動いていますよね,各大学さん。その中でというところのインセンティブみたいなもの,私も地域連携って,大学の使命としてやらなきゃいけないことだし,学生たちが巣立っていく地域を一緒に育てていくというのも大学にとってもうマストなことだと思っているので,余計な仕事では決してないと思いますが,その辺りはどうでしょう。

【大澤学長】  この12大学も,金沢大学もそうですが,どうせやるなら優秀な先生を出さないとうまくいかないということは一致していまして,優秀な先生を出したところに,また別の大学から先生が集まって協働で授業を運営しましょう,協働でプロジェクトを運営しましょうということになると,各大学の先生が学べることになります。学べそうな若い先生の素質は学内ではよく分かっているのでその先生を送り出して,そこで各大学が力をつけていくという考え方です。ウィン・ウィンという考えで成り立っていると思います。
 例えば,データサイエンスやAIは本学が得意なので,そこはエースを出します。そのノウハウも,ものづくりの手法も理解できます。そこに教員も参加すれば文系の大学もビジネスに根差したものづくりを始めるとことができるわけです。その中でビジネスチャンスが生まれてくるということは理解できます。本学もSTEAM教育をやるときにはアートが必要になります。その時は,アートを本学は持ってないので,そのスペシャリストが考える芸術と科学技術との融合ということについて,協働で事業運営やることで分かってきます。お互いに学び合うということは学生だけじゃなくて教職員も同じという意味です。いい先生を出さないとそれがしぼんでしまうという共通認識を持つのが大学コンソーシアムであり,私大のプラットフォームであると思っています。

【大森学長】  ありがとうございます。
 では,別の質問ですけど,清水先生か島田先生にお伺いするのがいいのかなと思うのですが,地域連携とか大学間連携というのは,時として規模の大きい大学だとその担当部署だけがみたいなことになりますけれども,今回のアライアンスは大学ごとの連携ですよね。全学的な意識の共有みたいなことというのは学長のリーダーシップという一言でいけるのかどうか,そんなことは,感想はいかがでしょうか。

【島田学長】  すみません。質問の内容は,大学等連携推進法人,それから大学と大学との関係になると一部門だけの連携になってしまうというお話ですか。

【大森学長】  一部門の連携に時としてなりがちだけど,今回は大学全体同士の連携ですよね。

【島田学長】  それはいい御質問です。もともと国立系と県立大学は,それほど親交が深いわけでもなく,初めから大学が連携するような機運があったわけでもないです。国立大学同士の連携が最初に制度化され,例えば名古屋と岐阜,北海道の3大学,奈良や静岡など各大学で実施・検討しておりますけど,山梨県でほかの国立大学との連携を考えたときに地理的な問題もありマッチングが難しい。しかし県立大学となら距離的にも非常に近く,よく見てみるとお互いにウィン・ウィンの関係になれるに違いないと。隣におられる清水前学長と,当時いろいろな面で親しかった点もありそのようなことが契機となったわけです。大学等連携推進法人の仕組みを使えばお互いの足らない面を補い合え,また地域貢献にも寄与できるのではないかと。ほかの大学は存じておりませんが,県立大学は地元に密着されており,全体として多様な学部構成でもある。例えば看護分野は,県立大学は看護学部を持っているが,我々は看護学科のみであり,実は国立の方が若干弱かったりする。このようなところがオーバーカムでき看護教育の面でも幅広く対応できるようになりましたし,共通科目は学生さんにとっても非常にベネフィットのあるお話であり,大学と大学が連携し非常にいい結果を生むはずである。御心配,御懸念のあるようにうまくいくかどうかというのは本当にこれからの課題であり,これを実現するために,我々も相当なプレッシャーを感じています。日本で唯一,しかもついてくるところは現在ない。他大学の皆様のところもやられないですよね,なかなかやられない。本当は割と相性がいいところがあるはずですけど,なかなかこれが広がらないのは残念なので,我々がいい見本をお見せして,これが全国に広がっていけばいいかなという思いでおります。

【大森学長】  ありがとうございました。

【清水理事・副学長】  一言,私の方から。

【大森学長】  どうぞ。

【清水理事・副学長】  かつての基準の大綱化は50年に一度のバスが来たと言われましたよね,国立大学の法人化は100年に一度の改革だと。私は国公私立の壁を越えた今回の連携推進法人制度,これは150年に一度の改革だと思っています。そう簡単にはこれはどこもかしこもできるはずがないと思います。特に国立と公立だけでもかなりいろいろな面で調整しなければいけないことがございました。
 今,大森先生がおっしゃるように,これは構成員どころか地域関係者の意識変革が重要なキーワードになっています。幸いと言いますか,今学長自ら毎日現場へ行っているワクチン接種,これによってワクチン接種のネットワークが今,できつつあるわけです。もちろん県立大学と山梨大学はそうですけど,他の大学とか,あるいは企業とか,あるいは県との関係,これがこの連携推進法人制度をきっかけにネットワークがワクチンでできつつある,私はこれが意識変革にはつながるということで,毎日のように学長は他の大学とか企業とか県の方々とその場でいろいろコミュニケーションを交わしているわけです。そういう意識変革というものが最大の課題であるというふうに考えています。
 以上です。

【大森学長】  ありがとうございます。本当に連携推進法人についてはアライアンスやまなしが先陣を切っていただいたので,多分,今普通に準備すると来年からみたいなところだと思うのに,もう2021からスタートされているというのは本当にすごいなと思っていて,まだついていけてないですけど頑張ります,ついていきます。いろいろなところでそのメリットを山梨に見せていただくことで他の地域でも立ち上がっていくのではないかな,それから地域にとっても,地域ニーズが常に変わっていく中で対応するレジリエンスという意味でも連携推進法人は意味があるなというふうに思っているので,私も関心を持っているところです。ありがとうございます。
 さて,時間はあっという間で,もう残り僅かになってしまいました。御質問いただいた皆様全てにはお答えできてないのですけれども,本当に申し訳ありません。
 最後に本当に一言ずつ,もう1分程度になっちゃいますけれどもパネラーの皆さんから,今日お聞きいただいている皆さんの中には,実は自治体の皆さんとか産業界の皆さんも含まれています。そういった皆さんも含めて,地域で大学がこれから頑張っていく上でのメッセージ,お伝えしたいことを一言お話しいただければと思います。
 では,すみません。また大澤学長からお願いしてよろしいでしょうか。

【大澤学長】  ありがとうございます。
 先ほど御紹介したように行政も企業も大学教育も含めて今チャンスなのは,デジタル・トランスフォーメーション,DXを進めて生産性を上げるということです。その中で大学が特にやらなければいけないのは,デジタルツインというある意味仮想空間と現実の中での学び方です。今日もそうですけれども有意義なディスカッションができましたね,仮想空間でも共有も議論もできるわけです。例えばこの中で,ことづくり,ものづくりを設計して,それを実際に実行するのは現実の工場で,それは企業に任せないといけない。そういうデジタルツインの仕組みは,現実と,そこからフィードバックして課題を,再び仮想空間でディスカッションするというやり方です。世界的にこれからデジタルツインという考え方が産業界でも広まるので,地方創生に是非地方の特色を持ったデジタルツインを推進するという方向性が,ある意味地方創生の起爆剤になるのではないかという期待を持っています。
 本日はありがとうございました。

【大森学長】  ありがとうございます。
 それでは,島田先生,清水先生,いかがでしょうか。

【島田学長】  すみません。それでは,一言だけ。
 本日は,大森先生,それから大澤先生,中島先生,渡辺先生,皆様のお話を伺って,本当に地域に密着されて頑張っておられるお姿を拝見して,我々もこの大学等連携推進法人を,今のところは国立と県立だけですけども,これを私立大学さんにも広めていき,更に地域密着型の試みをやっていきたいと感じました。
 ワクチンの話は,たまたま本当にここ1か月の話ですけれども,ワクチン接種を進めていかないと感染は抑えられないため,政府が職域接種というような形で大学での接種を認めていただいた,これは我々大学だけではなく地域の方々や,様々な業界団体や,県を含めたいろいろな団体と本当に良好で密なコミュニケーションが取れる契機となったわけです。先ほど清水先生がおっしゃったとおりこれを起爆剤として,更にこの大学等連携推進法人の形を核としてどんどん地域に広げていき,本当の意味での地域連携プラットフォームがつくれるように頑張っていきたいと思っております。
 本日はどうもありがとうございました。

【大森学長】  ありがとうございます。

【清水理事・副学長】  私の方からも一言。
 日本の現行の大学制度,戦後70年以上たちまして,70年の大学の推移を私は勉強しています,専門が教育の方ですから。そこで特に感じているのは,ここ10年間の文部科学省の意欲的な制度改革,これに私は注目している。それはなぜかと言いますと,ずっと戦後,日本の大学は組織中心の大学づくりが進められてきたわけです。ここ10年の間にかなりそこを弾力化,あるいは柔軟化して,プログラム中心の大学に変えようという動きがひしひしと伝わってきます。今日伺った事例も,みんなやっぱり教育プログラムとか,あるいは学生,学修者本位の教育プログラムという,そういう視点が非常に強く出ております。その意味で,文部科学省の努力も評価したいですが,やはり大きなうねりが,組織中心の大学からプログラム中心の大学へというそういううねりが今感じられる,是非これを更に文部科学省が後押ししていってもらいたいというふうに願っております。
 以上です。

【大森学長】  ありがとうございます。
 それでは,中島先生,お願いいたします。

【中島学府長】  本日はどうもありがとうございます。
 私,日頃から大学院生の動向を見ていて,やっぱり今の日本の大学の学生たちが海外に行く,あるいはドクターに行くという挑戦するという気持ちが何か少し弱い気がしていて,ある意味,内に閉じ籠もっているなというところを強く感じていまして,やっぱり若いうちに海外に打って出る,あるいはそういう気持ちで産業界に出ていくという意識を持った学生が,いろいろな高専生,あるいは九大生,他大学生,留学生含めて交じり合う場が大学だというふうに私は思っていまして,そういう活力ある場をこれからもつくっていきたいと。
 これから,今の日本の経済,産業界が弱体化している状況を何とかもう一度立ち上げていくというための人材をきちんと大学から供給していくということを行っていきたいなというふうに思っています。そういう意味で,地域連携というのはこれからも絶対必要だというふうに思っていますので,このシンポジウム以外でも,今後もよろしく御教示いただきたいなというふうに思っているところです。
 本日はどうもありがとうございました。

【大森学長】  ありがとうございます。
 渡辺先生,いかがでしょうか。

【渡辺学科長】  渡辺でございます。
 高専連携教育プログラムに関しましては,まだ令和5年からのスタートということで,今準備中の段階でございます。今日このシンポジウムに参加させていただきまして,本当にいろいろと勉強になりました。先生方からいろいろお話を頂いたことを参考にして準備をさらに進めていきたいと思います。我々としても9高専でキャンパスが分かれているという状況ですので,是非教育DX,デジタル・トランスフォーメーションを活用したアバターやVRといった技術を導入した形の新しい教育システムの開発,そういったことにも関係者の方々と協力していきながら貢献できればというふうに思っております。今後,金沢工業大学の大澤先生にもいろいろと御指導いただくこともあるかと思いますので,是非ともよろしくお願いいたします。
 今日は本当に先生方,ありがとうございました。

【大森学長】  ありがとうございました。これを機会に九州と金沢で連携が進んだらいいですね。是非進めてください。
 御視聴いただいた皆さん,そして御参加いただいた皆さん,ありがとうございました。
 最後になりますけれども,私は常に今,地域連携から地学一体へということを言っています。大学も地域の一部であるということ,もう一つは,人材や取組を必要としているのは地域の皆さんであるし,産業界である。そうであるならば,地域の皆さんも主体となって若者を一緒に育ててみませんか,大学という主体と地域という主体が一緒になる地学一体ということで,地域の中で是非大学も活用していただいて,お互いが主体的に未来の若者を育てていく,そんな地域をつくっていければと,そんなふうに思っております。
 今日は本当にたくさんの皆さんに御参加いただきました。御質問にお答えできなかったものも,文部科学省の皆さんが全部チェックして読ませていただいていますので,御意見を頂きまして本当にありがとうございました。
 それでは,シンポジウムはここまでとして,事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。

【西田高等教育企画課長】  大森学長,それからパネリストの皆様方,ありがとうございました。
 それでは,これにて地域連携プラットフォーム等の構築促進に向けたシンポジウム「大学の力を活用した地方創生に向けて」を終了いたします。本日の資料及び模様は後日,文部科学省のホームページに掲載されますので,適宜御活用いただければと思います。
 本日は御参加,誠にありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

文部科学省高等教育局高等教育企画課高等教育政策室
 

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