設置認可申請又は届出について(教育課程、履修指導)

Q1.1単位の授業時間を講義ごとに個別に定めることはできますか。

A.各授業科目について,「大学設置基準」第 21 条第 2 項に基づき,1単位当たり標準 45 時間の学修を必要とする内容をもって構成することを前提とし,同項で規定された時間の範囲内(おおむね 15 時間から 45 時間)であれば個別に定めることが可能です。

Q2.複数の学科間で異なる卒業要件単位数を定めることは可能ですか。

A.可能です。学科ごとの教育研究上の目的等を実現するために必要な卒業要件を適切に定めることが必要です。

Q3.1学科(又は1専攻)において,複数の名称の学位を授与することは可能ですか。

A.制度上は可能ですが,大学の学位授与について定める「学位規則」では,「学位を授与するに当たっては,適切な専攻分野の名称を付記する」(第10条)とされていることから,複数の名称の学位を授与する場合,教育課程や教員組織がそれぞれの名称の学位を授与するに適切なものとなっていることが必要です。

Q4.履修科目の登録の上限(いわゆる「CAP制」)は,必ず定めなければならないのでしょうか。

A.履修科目の登録の上限は,法令上「定めるよう努めなければならない」(「大学設置基準」第27条の 2,「短期大学設置基準」第13条の2)とされており,その趣旨を踏まえて適切に定めることが望ましいです。仮に上限を定めない場合は,申請書又は届出書の「設置の趣旨等を記載した書類」において,上限を定めない理由又は趣旨及び学生の適切な学修時間の確保の観点から妥当であることを具体的に説明していただく必要があります。

Q5.履修科目の登録の上限を定める場合,申請書又は届出書においてどのような説明をする必要がありますか。

A.履修科目の登録の上限を定める場合は,学生の適切な学修時間の確保の観点から,上限となる単位数の設定の趣旨について説明していただく必要があります。なお,上限とすべき単位数は,学科等の目的や教育課程の内容等によって異なるものと考えられますので,一般的な目安等についてはお答えできません。

Q6.一部の授業科目について,学生の利便を考えて,遠隔配信や講義を収録したビデオの視聴によることとすることは可能ですか。

A.その学科が「通学課程」か「通信教育課程」かにより異なります。

  1. 「通学課程」の場合
    卒業要件単位中60単位まで,多様なメディアを高度に利用して行う授業(「メディアを利用して行う授業」)を履修させることが可能です(「大学設置基準」第25条第2項,第32条第5項)。「通学」ですので,単なる印刷教材等による授業や放送授業は認められません。「メディアを利用して行う授業」の要件は,「大学設置基準第25条第2項の規定に基づき,大学が履修させることができる授業等について定める件」(平成13年文部科学省告示第51号)に規定されています。通信技術や学習支援体制がこの要件を満たさない場合,遠隔授業やインターネットを利用した授業により履修させることはできません。
  2. 「通信教育課程」の場合
    「面接授業」「メディアを利用して行う授業」に加え,「印刷教材等による授業」「放送授業」の計4種類の履修形態が認められています(「大学通信教育設置基準」第3条第1項)。卒業要件中「20単位以上」を「面接授業」又は「メディアを利用して行う授業」により修得する必要があります(「大学通信教育設置基準」第6条第2項)。通信技術や学習支援体制が告示の要件を満たす場合,124単位全てを「メディアを利用して行う授業」により修得することも可能である一方,告示の要件を満たすとは認められない場合,その履修形態は104単位(124単位マイナス20単位)分までしか認められないこととなります。

Q7.通学制の学部において,一部の授業科目についてメディアを利用して授業を行う場合,学則に明記する必要があるでしょうか。

A.卒業要件において,「大学設置基準」第 32 条第 5 項の制限がかかってきますので,学則やその他の履修規程で明示してください。学生の身分に関わることなので,学則に記載なくメディアを利用して授業を行うことはできません。学則の記載例は以下のとおりです。

(メディアを利用して行う授業)
第○条 メディアを利用して行う授業は,あらかじめ指定した日時にパソコンその他双方向の通信手段によって行う。
2 前項の授業を実施する授業科目については,○○規程において定める。

Q8.学部の通信教育課程において,スクーリングによる面接やメディアを利用して行う授業等の科目を学則や通信教育規程に明記する必要があるでしょうか。

A.卒業要件において,「大学通信教育設置基準」第 6 条第 2 項の制限がかかってきますので,学則等で明示してください。学生の身分に関わることなので,面接やメディアを利用して行う授業について学則に記載のないまま,通信教育を実施することはできません。

Q9.大学院の通信教育課程において,利用できる授業の方法は,学部と同じでしょうか。

A.大学院の種類によって異なります。

  1. 修士課程及び博士課程については,学部と同じです。
  2. 専門職大学院については,「メディアを利用して行う授業」しか認められません(「専門職大学院設置基準」第9条)。

Q10.通信教育の開設の認可申請をする際,利用する印刷教材(インターネットで利用するデジタル教材等を含む。)は,申請時点で全て準備している必要がありますか。

A.審査の過程で教材の提出を求める場合があるため,求めに応じて内容を示せる程度の準備ができていることが必要です。

Q11.大学通信教育設置基準第 8 条第 2 項における「昼間又は夜間において授業を行う学部が通信教育を併せ行う場合」として通信教育の開設の認可申請をする場合,3つのポリシーや教育課程,学位の分野は通学課程と通信教育課程で異なっていても良いでしょうか。

A.大学通信教育設置基準第 8 条第 2 項における「併せ行う場合」とは,既設の通学課程を基礎に通信教育課程を開設することを指します。これは,通学課程と通信教育課程では同一の学位を与えるものであり,かつ既設の学部等自体に整備された教育研究資源(教員組織等)を通信教育課程の教育研究に充てることから,以下のように通信教育課程の3つのポリシー(アドミッション・ポリシー(AP), カリキュラム・ポリシー(CP), ディプロマ・ポリシー(DP))及び教育課程が既設の通学課程の学部等に相当する又は両者が同一であることを説明できる必要があります。また,この場合において,通信教育を併せ行うことにより現に開設されている通学課程の教育の質が低下しないこと及び新設する通信教育の質を担保できるようにする必要があることに十分に留意してください。

  1. 3つのポリシーについて
    通信の3つのポリシー(AP・CP・DP)が通学のものに相当する又は両者が同一であること。「相当するもの」の判断として,通信教育課程の学生(編入学者を含む。以下同じ。)であることを理由とする差異(AP において定める社会人等を含む多様な学生像そのものやその能力・評価方法等に違いがある,CP において定める学修方法等に違いがある,多様な学生像や進路等を踏まえた DP を設定するなど)や,それを含めた3つのポリシーの関連性を理由とする差異(APの差に起因して CP において定める教育内容に違いがあるなど)等が許容され得るところです。なお、DP については,通学課程と通信教育課程で同一の学位を与えるものであることを踏まえ,学位の質保証に十分留意して設定する必要があります。
  2. 教育課程について
    通信教育課程が通学のものに相当する又は両者が同一であること。「相当するもの」の判断として,通信教育の手法を用いることを理由とする差異(面接授業でしか実施できない授業科目を通信課程ではスクーリング科目を除き設定しない,通信教育における対面性を補完するために教育内容の充実を図るなど)や,3つのポリシーの違いを理由とする差異(通信課程の APで求める学生の属性や能力を踏まえ,リメディアル教育や導入科目を設定するなど)等が許容され得るところです。
  3. 学位の分野について
    上記の「併せ行う」通信教育課程では,通学課程と同一の学位を与えるものであり,上記の通り,通信教育課程の3つのポリシー及び教育課程が通学課程のものに相当する又は両者が同一である必要がありますが,通学課程の学位の分野が複数にわたる場合において,通信教育の手法を用いることを理由とする科目編成の若干の差異により,通学課程の学位の主たる分野のうち一部の分野の教育課程の体系性に変更が生じ,結果的に当該分野が通信教育課程の学位の主たる分野に含まれなくなったとしても,上記の要件を満たしていれば,「併せ行う」ものとして取り扱うことは妨げられません。
    ただし,「併せ行う」通信教育課程は,通学課程を基礎に開設する場合を指すものであることを踏まえ,通信教育課程の学位の分野について,通学課程の学位の分野に含まれない分野が新たに加わることが認められないことはもちろんのこと,科目編成の差異等により,通学課程の教員組織等に過度な負担を生じさせ,通学課程もしくは通信教育課程の教育の質を低下させることのないよう,留意する必要があります。

Q12.複数の教員が担当する科目のシラバスを作成する際に注意すべき点はありますか。

A.共同科目やオムニバス科目については,担当する全ての教員を明確にするとともに,各教員の担当する内容がわかるようにしてください。

Q13.大学設置基準第21条第2項の1単位当たり必要な授業時間数に,定期試験を含めてもいいでしょうか。例えば,全15回の講義において,15回目に定期試験を行ってもよいのでしょうか。

A.大学設置基準第21条第2項の1単位当たり必要な授業時間数に,定期試験を含めることはできません。例の場合,定期試験は15回の授業時間外に行ってください。

Q14.リメディアル教育(高校以下レベルの学び直し)の授業を単位認定することは可能ですか。

A.高校以下レベルのいわゆる学び直しのための教育は,大学における教育目的や人材養成の目的とは別途行うべきものですので,単位認定することは不適切です。そのため,大学における教育課程外の取り組みとして位置付けた上で行ってください。

Q15.博士論文や修士論文の担当指導教員が,学位論文審査委員会において主査を務めることは問題ないでしょうか。

A. 論文を直接指導した教員が,学位論文審査体制において主査として審査を行う場合は,当該分野の特殊性と審査の公平性を比較衡量の上,その妥当性を申請書等において説明してください。

Q16.学士課程において,卒業研究を「必修科目」,卒業論文を「選択科目」としてもよいですか。

A.各授業科目を「必修科目」とするか「選択科目」とするかは,大学においてその科目内容から判断いただいて構いませんが,両科目をそれぞれ「必修科目」と「選択科目」とした理由やその妥当性等を申請書等において説明してください。

Q17.教育課程連携協議会の構成員のうち,専門職大学院設置基準第6条の2第2項第2号に該当するのはどのような方でしょうか。

A.条文のとおり,「当該専門職大学院の課程に係る職業に就いている者又は当該職業に関連する事業を行う者」による団体のうち,広範囲の地域で活動するものの関係者であって,当該職業の実務に関し豊富な経験を有するものとされており,職能団体や事業者団体,研究団体等の関係者が想定されています。

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高等教育局大学教育・入試課大学設置室

(高等教育局大学教育・入試課大学設置室)

-- 登録:平成28年04月 --