第2章 公営企業型地方独立行政法人に適用される会計基準及び注解 第4節


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4節 財務諸表の体系

39 財務諸表の体系
 公営企業型地方独立行政法人の財務諸表の体系は、次のとおりである。
(1) 貸借対照表
(2) 損益計算書
(3) キャッシュ・フロー計算書
(4) 利益の処分又は損失の処理に関する書類
(5) 行政サービス実施コスト計算書
(6) 附属明細書

40 セグメント情報の開示
1  公営企業型地方独立行政法人における開示すべきセグメント情報は、所在地別セグメント情報等当該法人の事業内容等に応じた適切な区分に基づくセグメント情報とする。
2  事業区分の決定に当たっては、事業内容の実態を適切に反映した情報を開示しうるようにしなければならない。決定した事業区分については、当該区分の方法、各区分に属する主要事業の名称等を補足情報として記載する。
3  所在地セグメント情報は、事業所別、施設別等事業活動の実態を適切に反映して開示するものとする。
4  開示すべき情報は、事業収益、事業損益及び当該セグメントに属する総資産額その他の財務情報とする。(注36)

注36>セグメント情報の開示について
1  公営企業型地方独立行政法人においても、その業務の内容が多岐にわたる場合、説明責任の観点から、その業務ごとのセグメントに係る財務情報を開示する必要がある。
2  また、開示すべき情報についても、住民その他の利害関係者に対する説明責任を果たすため、主要な資産項目、主要な事業費用及び国又は地方公共団体による財源措置等の内訳を積極的に開示する必要がある。
3  セグメントの区分については、運営費負担金及び運営費交付金に基づく収益以外の収益の性質や複数の業務を統合した法人における業務の区分を参考にしつつ定めていくこととする。

41 貸借対照表の作成目的
 貸借対照表は、公営企業型地方独立行政法人の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、住民その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。

42 損益計算書の作成目的
1  損益計算書は、公営企業型地方独立行政法人の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属する公営企業型地方独立行政法人のすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して当期純利益を表示しなければならない。
2  損益計算書は、法第40条にいう利益又は損失を確定するため、当期純利益に必要な項目を加減して、当期総利益を表示しなければならない。

43 キャッシュ・フロー計算書の作成目的
 キャッシュ・フロー計算書は、公営企業型地方独立行政法人の一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告するため、キャッシュ・フローを一定の活動区分別に表示しなければならない。(注37)

注37>キャッシュ・フロー計算書の位置付けについて
 キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり、貸借対照表及び損益計算書と同様に公営企業型地方独立行政法人の活動の全体を対象とする重要な情報を提供するものである。このようなキャッシュ・フロー計算書の重要性にかんがみ、公営企業型地方独立行政法人の財務諸表の一つに位置付けられる。

44 利益の処分又は損失の処理に関する書類の作成目的
 利益の処分又は損失の処理に関する書類は、公営企業型地方独立行政法人の当期未処分利益の処分又は当期未処理損失の処理の内容を明らかにするために作成しなければならない。

45 行政サービス実施コスト計算書の作成目的
 行政サービス実施コスト計算書は、納税者である住民等の行政サービスに対する評価・判断に資するため、一会計期間に属する地方独立行政法人の業務運営に関し、行政サービス実施コストに係る情報を一元的に集約して表示する。(注38)

注38>行政サービス実施コスト計算書について
1  行政サービス実施コスト計算書は、公営企業型地方独立行政法人の業務運営に関して住民等が負担するコストを集約し、情報開示の徹底を図り、納税者である住民等の行政サービスに対する評価・判断に資するための書類である。公営企業型地方独立行政法人の損益計算書は法人の経営成績を表示する書類であり、ここに計上される損益は、法人の業績を示す損益であって必ずしも納税者にとっての負担とは一致しない。例えば、運営費負担金収益が増えると、公営企業型地方独立行政法人の損益にはプラスにはたらくが、納税者の負担は逆に増加する。また、損益計算には明示されない減価償却充当補助金、損益計算を通じない場合の減価償却相当額、国又は地方公共団体の財産や出資等を利用することから生じる機会費用等、公営企業型地方独立行政法人の損益計算書等には計上されないが、広い意味で最終的に住民等の負担に帰すべきコストも存在する。行政サービス実施コスト計算書は、これらのコストを集約表示する書類である。
2  なお、表示すべき行政サービス実施コストには、地方公共団体内の企画立案部門の費用等までは含まないものとし、「第24行政サービス実施コスト」で示した項目に限定する。
3  行政サービス実施コスト計算書は、公営企業型地方独立行政法人独自の計算書類であり、公営企業型地方独立行政法人の財務諸表の一つに位置付けられるものとする。


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-- 登録:平成21年以前 --